バヅクリ

「きれいな制度」では会社は伸びない。成長ドライバーとしての人事制度を再設計する

"理屈"ではなく"成長の仕掛け"として、現場が自走する制度へ

「きれいな制度」では会社は伸びない。成長ドライバーとしての人事制度を再設計する
IT会社
課題
  • 評価制度はあるが、等級の定義が曖昧で「何をすれば上がれるのか」が見えなかった
  • 成果を出す人と行動に問題がある人を区別できず、「成果さえ出せば昇格」になっていた
  • 報酬制度が年功的に運用され、挑戦する人としない人の差がつかない構造だった
効果
  • 6等級×役割定義で「次に何を求められるか」が全社員に明確になった
  • 行動評価を昇格の足切りに設定し、「成果は出すが組織を壊す人」の昇格を構造的にブロック
  • 評価と報酬の連動ロジックを再設計し、「挑戦する人が正しく報われる」構造に

人事制度が「成長の装置」になっていなかった

同社は従業員数約400名、複数事業部を展開するIT企業。評価制度も等級制度も一通り整備されていました。しかし実態を紐解くと、等級は名称こそあるものの、各等級に何を期待するかの定義が曖昧で、昇格判断は上長の「なんとなくの推薦」に委ねられていました。

評価も同様です。成果評価の仕組みはあるものの、「目標が甘い人ほど高評価になる」「行動面で問題があっても数字を出していれば昇格する」といった運用上の歪みが常態化。報酬面では、等級が上がっても給与への反映ロジックが不透明で、優秀層から「頑張っても変わらない」という声が上がっていました。

経営陣が求めていたのは、「きれいに整理された人事制度」ではなく、会社の成長を加速させるエンジンとしての制度。挑戦する人が報われ、組織を壊す人は昇格できず、全員が「何をすればいいか」を自分で判断できる、そんな設計でした。

等級・評価・報酬を「成長の仕掛け」として再設計する

バヅクリが設計したのは、等級制度・評価制度・報酬制度の三位一体の再構築です。「論理的に正しい制度」ではなく、「現場で回る制度」「成長にレバレッジが効く制度」を基準に、運用のシンプルさを徹底しました。

① 等級制度:「入学方式」で甘い昇格を排除する

全6等級の等級体系を新たに設計。各等級に役割定義を設け、「自分の等級で何を期待されているか」「次の等級に上がるには何が必要か」を明文化しました。

ここで最も重視したのは、昇格の考え方を**「卒業方式」から「入学方式」に変える**こと。従来は「今の等級で頑張ったから上げる」という運用でしたが、新制度では「上位等級の役割をすでに果たせていることを実績で示す」ことを昇格の前提としました。

さらに、2→3等級(マネージャーへの登用)では同僚・部下4名への人間性ヒアリングを実施。「感情の安定」「非を認める誠実さ」「立場の公平性」を確認し、致命的な言動が複数報告された場合は足切りとしました。3→4等級以上では、成果を生み出した仕組みの再現性と構造化をプレゼン形式で審査します。

「実力×人間性」の総合判定を仕組みとして埋め込むことで、成果は出すが周囲に悪影響を与える人材の昇格を構造的に止める設計です。

② 評価制度:「必達×挑戦×行動」の三層構造で成長を促す

評価制度は以下の4軸で構成しました。

A. 成果評価(必達目標+挑戦目標)

従来の「ざっくりした目標設定」を廃止し、必達目標挑戦目標の二層に分離。必達目標は「現在の能力で100%達成すべきもの」を複数設定し、未達の場合は原則として総合評価B以下に制限。一方、挑戦目標は「現在の実力を超えた高難易度のテーマ」を1つだけ設定し、達成した場合は評価ランクを引き上げます。

この設計のポイントは、必達を当たり前にしつつ、挑戦した人だけが上に抜ける構造を作ったこと。「普通にやったら達成度70%程度」の目標をあえて設定することで、期間内の成長を構造的に促す仕掛けです。

B. 行動評価(4軸×6等級別基準)

会社の行動指針から「信頼の完遂」「価値の創造」「組織の進化」「主体的な姿勢」の4軸を導出し、等級ごとに具体的な行動基準を定義。4段階評価(超越・標準・要改善・不十分)で評価します。

最大のポイントは、行動評価を昇格の足切りに設定したこと。全項目3(標準)以上でなければ昇格審査の対象外となり、成果がどんなに高くても行動面に課題があれば昇格できません。さらに、行動評価が「不十分(1)」の項目が1つでもあれば、成果評価に関わらず総合評価はC以下に固定。組織のカルチャーを守る安全弁として機能します。

C. 専門性評価

再現性ある専門知識・技術の蓄積と、組織への還元を評価。本人からの申請制とし、「組織資産化」「職務守備範囲の拡大」の2軸で審査します。承認されると職務給として月額5,000〜15,000円が積み上がる設計で、個人のスキルアップが直接報酬に反映されます。

D. 役職評価

担うミッションの責任の重さを評価し、役職給の調整に連動させます。

③ 報酬制度:「挑戦する人が報われる」をロジックで担保する

報酬は月例給(基本給+役職給+職務給)+賞与(年1回) で構成。成長ドライバーとして特に重視したのが賞与設計です。

賞与は事業部の予算達成状況×個人評価のマトリクスで決定。事業部が予算を100%以上達成し、個人がS評価であれば半期で月例給の2.4ヶ月分を支給する一方、D評価(低迷)の場合は事業部がどれだけ達成しても0円。

この設計の狙いは3つあります。まず、トップ層への還元を最大化すること。次に、個人の頑張りだけでなく事業部の成果にも連動させることで、チームとして勝つ意識を醸成すること。そして、標準(B)評価でも事業部が達成していれば1.2ヶ月分を確保し、真ん中の層のモチベーションを維持すること。

役職給は等級に連動して明確に設定(1等級:0円〜6等級:280,000円/月)。さらに、ミッショングレードとして±2万円の個別調整枠を設け、同じ等級でもポジションの難易度に応じた差をつけられる柔軟性を持たせました。

④ 運用設計:「作って終わり」にしない仕掛け

制度設計と同時に、年間評価サイクルの運用フローも設計しました。

4月の目標設定から始まり、1on1による進捗管理、中間評価、期末評価、評価調整会議、フィードバックまでを一連のサイクルとして設計。特に重視したのは以下の3点です。

目標設定・調整会議の仕組み化:部門内および全事業部合同で目標の「甘辛チェック」を実施。等級間・部署間で目標レベルの整合性を確認し、「目標が甘い人が高評価になる」構造を排除します。

評価調整会議の横断的是正:HR・CEO・CFO・各本部長が参加し、部門を超えた評価の甘辛を是正。特に「評価を下げる」対象には、どんなフィードバックをすべきかまで議論します。

降格を「再挑戦のためのリセット」と定義:降格後も次の半期から再エントリー可能とし、昇格禁止期間を設けない設計に。降格を罰ではなく成長の機会と位置づけることで、降格対象者のモチベーション維持と行動変容を促します。

「成長する会社」のための制度は、きれいさより運用のシンプルさ

本プロジェクトにおいてバヅクリは、制度設計のコンサルティングだけでなく、運用マニュアル(全社員向け・管理職向け)の作成評価者向けの研修設計目標設定の考え方(KPI分解・SMART・禁句集)の整備まで一気通貫で支援しました。

人事制度で最も大事なのは「論理的に正しいかどうか」ではありません。現場の管理職が迷わず運用でき、社員が「次に何をすればいいか」を自分で判断でき、挑戦する人が正しく報われること。その結果として、会社の成長にレバレッジが効く…
それがバヅクリの人事制度設計のアプローチです。

「制度はあるが機能していない」「成長に向けた制度に作り直したい」という課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。

IT会社
業種

IT

導入規模

約400名