多くの組織で導入されはじめたオンラインでの社内イベント。
新入社員を迎え入れる入社式も、オンラインでの開催にシフトされはじめている社内イベントの1つです。
しかし、オンラインでの実施が検討され始めたのはつい最近で、どの組織もノウハウが十分に蓄積されていないもの。
そこで、この記事ではオンラインで入社式を実施する手順や、注意すべきポイント、オンライン入社式を行なった企業のコンテンツ事例などをご紹介します。
目次
そもそもなぜ入社式を行うのか
そもそもどうして入社式を行うのでしょうか?
オンラインで行う場合も、オフラインで行う場合も、入社式の意味や意義をしっかりと理解し、意味のある入社式を行うようにしましょう。
新入社員に社会人としての自覚を抱かせる
入社式を行う目的としてまず挙げられるのが、新入社員に社会人になったという自覚を持ってもらうこことでしょう。
入社式は、人生の節目となるイベントの1つです。
人生で1度きりのイベントでもあり、思い出に残り、社会人になった数年後、思い返した時に身の締まるような時間にしたいものです。
新入社員同士の繋がりを作る
新入社員同士の繋がり作りや、同期内で一体感を持たせるといった意味もあります。
入社時に感じた繋がりや一体感は、ここから始まる新人研修や、その後の社会人生活を行なっていく上で重要な役割を持ちます。
社会のビジョンやカルチャーを浸透させる
入社式は、会社のビジョンやカルチャーを新入社員に浸透させる機会でもあります。
内定式や、内定者フォロー、入社式後の新入社員研修もその機会と言えるでしょう。
ビジョンやカルチャーは簡単に浸透させることのできるものではありません。
1つ1つの機会を有効に使い、企業と新入社員の相互理解を深めてください。
社員のモチベーションをあげる
入社式は新入社員だけでなく、既存の社員にとっても意味のあるものと言えます。
新たな年度の始まりや、後輩ができたとを認識することで、気持ちを新たにし仕事に対するモチベーションを上げるきっかけになります。
新入社員が入社式に求めていることとは?
それでは、新入社員が入社式に求めていることはなんでしょう。
新入社員が入社式に求めることも知り、組織だけがメリットを感じるのではなく、お互いに意義のある式を作りましょう。
新入社員同士のコミュニケーション
新入社員同士の交流や、コミュニケーションを取れる機会を求める新入社員が多いようです。
入社式後から始まる新人研修や、その後の社会人生活をスムーズに進めるために、同期との結束を強くしたいと考えるためです。
社員とのコミュニケーション
同期同士だけでなく、先輩社員とも交流を求める新入社員も多くみられます。
就職活動中や、内定式、内定者フォロー時などだけでは、十分にコミュニケーションが取れていない場合も多くあります。
また、新人研修後の業務をスムーズに進めるために、既存の社員の中にも新入社員との交流を求める人が多いでしょう。
心を新たにするきっかけ
人生の節目の1つである入社式。
新入社員は、心を新たにする式にしたいと思っています。
また、しっかりと祝福をしてくれる会社だなと感じることで、組織に対するエンゲージメントも高まるでしょう。
コロナで変化した入社式の在り方
新入社員にとっても、企業側や既存の社員にとっても、大切な意味を持つイベントである入社式ですが、新型コロナウイルスの流行をきっかけによりその在り方が大きく変わりました。
日本CHO協会が2020年3月に行なった、『入社式および新入社員研修に関する緊急アンケート』では、多くの会社がオフラインで入社式を実施すると答えたものの、72社中8社はオフラインとオンラインの両方で、5社はオンラインのみで実施すると答えています。
これは2020年4月に発令された緊急事態宣言前のアンケートの数値。2021年4月、例年とは異なりオンライン入社式を行う企業はさらに多くなったのではないかと予想されます。
また、テレワークや、その他にもオンラインでの社内イベントを実施していく中で、様々なメリットに気づきこれからも引き続きオンラインでの入社式の実施を選択していく企業も多くあるでしょう。
そこで、ここからはオンラインでの入社式のメリット・デメリットや、開催する際に注意すべきポイント、オンライン内定式を行なった企業の事例などをご紹介していきます。
オンライン入社式のメリット・デメリット
オンライン入社式のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
良い部分と悪い部分の両方を知り、オンラインの特性を活かした入社式を実施しましょう。
オンライン入社式のメリット
どこからでも参加できる
どこからでも参加できることは、オンラインで行うイベントの大きなメリットです。
自宅から参加できることで人との接触や、3密を避けることができ、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えることができます。
自宅から参加することで入社式の開催時だけでなく、移動中の感染リスクを防ぐことにもなります。
さまざまなコストがかからない
自宅からの参加で移動時間の他にも、会場費などのコストも削減できます。
大人数になればなるほど会場費はかさむものです。
会場を抑えていても、新型コロナウイルスの流行状況で開催の有無が左右される場合があります。
はじめからオンラインでの入社式を予定しておくとさまざまなリスクを取る必要がなくなります。
オンライン入社式のデメリット
双方向のコミュニケーションが取りづらい
内容や方法を工夫しないと、動画を視聴しているような一方的なコミュニケーションのみの入社式になってしまいます。
双方向でのコミュニケーションが取りづらいのは、オンラインで行うイベントのデメリットの1つです。
しかし、やり方を少し工夫すれば改善することができます。
意義や格式が薄れる
気軽に参加できるオンラインイベントですが、そのイベントの意義や格式が薄れてしまう可能性もあります。
入社式は、心を新たにし、社会人になったという自覚を持ってもらうことが目的の1つ。組織のカルチャーや雰囲気にもよりますが、スーツで参加してもらうなど工夫をし、カジュアルな場になりすぎないように気をつけましょう。
通信環境を整える必要がある
スムーズにオンライン入社式を行うためには、通信環境を整える必要があります。
満足度の高いオンライン入社式を行うには、企業側も、新入社員側も通信環境を一定のレベルまで整えなくてはいけません。
オンラインで入社式を行う上で注意すべきポイント
それではオンラインでの入社式のメリット・デメリットを踏まえた上で、オンライン入社式を行う際に注意するべきポイントをチェックしていきましょう。
準備段階で注意すべきポイント
通信環境を整える
スムーズに配信を行えるように通信環境を整えましょう。
企業側の通信環境だけでなく、新入社員側の通信環境を整える必要もあります。
入社式までに、セットアップを行い新入社員の自宅にパソコンを郵送する企業もあります。
また、配信中に不具合が起きないか、本番前に一度テストをすることをおすすめします。
詳細に情報を共有する
開催の日時だけなど簡単な共有だけでなく、服装、入室可能時間、必要なもの、カメラや音声はオンにするかオフにするかなど、詳細に情報を共有しましょう。
企業側だけでなく、新入社員もオンラインでの社内イベントはわからないことだらけです。
細かく情報を共有することで新入社員の不安を取り除くことができます。
企画内容で注意すべきポイント
新入社員同士がコミュニケーションを取れるようにする
新入社員同士がコミュニケーションを取れるような企画を用意しましょう。
例えば、入社式後に座談会を行う、懇親会を行うなどです。
そのほか、新入社員が作った動画を流す組織もあります。
入社式前から、打ち合わせや作業を進める上でコミュニケーションを取る必要があり、力を合わせて1つのものを作ることで、同期同士の一体感が増します。
社員とコミュニケーションを取れるようにする
同期以外にも、社員とコミュニケーションを取れる企画を考えましょう。
座談会に社員に参加してもらってもいいでしょう。
社員と交流する時間があることで、どんな社員がいるかを知れたり、社内の雰囲気やカルチャーを知れたりすることができ、仕事が始まった後スムーズに業務に入ることができるでしょう。
また、座談会や懇親会は、数人で通話ができる機能を使い4〜5人程度で行うことをおすすめします。
運営で注意すべきポイント
チャットツールを上手に利用する
チャットツールを上手に利用することで、オンラインでも十分にコミュニケーションを取ることができます。
音声の不具合を回避するため発言者以外のマイクをオフにしていると、発言者は周りの反応がよくわからず不安に思ったりするものです。
チャットツールで、コメントやスタンプなどを送りコミュニケーションをこまめに取るようにしましょう。
コメントやスタンプを送ってもいいと、開始前のアナウンスも必要になります。
オンラインイベントに詳しいファシリテーターが必要
オンライン入社式など、オンラインイベントを成功させるためには、オンラインイベントの進行に詳しいファシリテーターがいると安心です。
社内で人材を育ててもいいですし、ノウハウが蓄積されていない中ではじめから自分たちで運営するのが不安な場合、イベントの運営サービスを行なっている会社に依頼しプロの手を借りてもいいでしょう。
フィードバックをとる
オンライン入社式後は、参加者にアンケートを取るなどしてフィードバックをとるようにし、自社のオンラインイベントのノウハウを培うようにしましょう。
せっかくオンラインで入社式を行うのであれば、反省点やよかった点を、次回に活かせるようにするべきです。
オンライン入社式のコンテンツ事例
それでは、実際に企業はどのようなオンライン内定式を実施しているのかをみていきましょう。
マネしてほしいポイントも合わせてご紹介していきます。
実際にオンライン内定式を行う際、企画などの参考にしてみてください。
株式会社アイトリガー
運用型広告の運用サービスやインハウス支援を行なっている、株式会社アイトリガーは、社長、副社長、管理部と出社していた2名のみがオフィスから、それ以外のメンバーは自宅からオンライン入社式に参加しました。
利用したツールは、Comment Screen。Comment Screenは、ニコニコ動画のように送信したコメントが匿名で画面に流れるツールです。
カジュアルな雰囲気が作れ、コメントもしやすくイベントが盛り上がります。
辞令は社長が読み上げ、カメラの向こうにいる写真が受け取ることによって、実際に手渡ししているような演出に。
あたたかさの感じられる入社式だったと、新入社員から好評な式であったそうです。
・Comment Screenというコメントが送りやすいツールを使う
【参考】2020年度新卒社員が入社しました!オンライン入社式だからできたこと。楽しめたこと。
株式会社アイトリガー Wandetly
株式会社LIG
Webサイト制作、オフショア開発、コンテンツ制作、Webクリエイタースクール、コワーキングスペース、ゲストハウス運営など、様々な事業を展開する株式会社LIGは、Google Hangouts Meetを利用し、新卒と役員とで会話をするトーク形式の入社式を行なっています。
細かい内容は、自己紹介、初めて仕事が楽しいと思った瞬間、仕事をするうえで大切にしていること、どんな社会人になりたいか、LIGをどんな会社にしていきたいか、などのテーマについてディスカッションを行いました。
・社員や役員と交流ができる企画を用意する
【参考】【2020年新卒】LIGオンライン入社式を行いました!
株式会社LIG
サイボウズ株式会社
グループウェアやクラウドサービスを提供するサイボウズ株式会社。
この企業では10年前からテレワークに積極的に取り組んでいます。
4月1日に行なったオンライン入社式の実施が決まったのは3月25日。
多部署とも連携し、急遽PCのセットアップなどを行い、新入社員の自宅にPCを郵送しました。
利用したツールはZoom。
雇用契約書などの書類もkintoneを使いオンラインでやり取りを行いました。
入社式の最初に10分程度「ウェルカムタイム」という、写真が誰でも入室できる時間を設けました。
250名もの社員が参加し、部署ごとに新入社員に向け祝福の言葉をかけました。
・社員と交流ができる時間を設ける
・PCを郵送するなど通信環境面でもサポートする
【参考】オンライン入社式やってみてどうでした?サイボウズ担当者に訊いてみた
Digital Workstyle College
株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードは、個人向け・法人向けに金融系のウェブサービスを提供している企業です。
ツールはZoomを利用し、45名の新入社員が参加しました。
PCのセットアップを入社式の前までに終わらせる必要があり、新入社員も入社式サポートの写真も協力しあって完了させることができました。
Slackなどで綿密にやり取りができ、問題が可視化できるようにするといいでしょう。
・チャットでセッティングなどの不明点を質問しやすい仕組みを作る
【参考】マネーフォワード初!総勢45人のオンライン入社式の裏側を聞いてきました
Jun Osaki note
住友商事株式会社
総勢155人が参加した、住友商事株式会社のオンライン入社式では、社長講話と配属発表を行いました。
辞令交付の代わりに、115人、1人1人に対しそれぞれ異なる激励の言葉を投げかけられ、これらかの社会人生活に向けモチベーションの上がる時間となりました。
・1人1人に向けたコミュニケーションなど、オンラインならではの取り組みを行う
住友商事
まとめ
コミュニケーションが取りづらかったり、意義が薄れそうと思われたりする、オンラインでの入社式などの社内イベントですが、少しの工夫でその特性を活かした、オフラインにはない時間を作ることができます。
オンラインで入社式を行う際は、
- 同期同士や先輩社員とコミュニケーションを取れるようにする
- 通信環境をしっかり整える
などに注意し、不具合が起きないか一度テストを行なってから実施するようにしましょう。