「研修の効果って、結局どうなの?」多くの人事担当者や経営者が、一度は抱える問いではないでしょうか。
「受けて終わり」で、現場は変わらない。そんな研修に、これまでどれだけの時間とコストが投じられてきたでしょうか。
では、人が本当に“動く”研修とは、どんなものか。形だけで終わらず、受講者の感情に火を灯し、気づきを促し、現場での行動を変える――
そんな研修を実現するには、「講師の力」が決定的に重要です。
「他とはまったく違う」「ここまで受講者に寄り添ってくれるのか」そう評価されるのが、バヅクリ株式会社の研修サービス「ムキアイ」。
今回は、バヅクリ唯一の社員講師であり、講師チームのリーダーを務める笹木純子にインタビュー。
“行動変容”を生む研修の裏側にある、講師の技術と人間力に迫ります。

バヅクリ株式会社 企画運営チーム リーダー講師。
医療関連の営業、道路情報のアナウンサー、IT企業でのHR業務(新卒採用、労務など)、専門学校講師、フリーランスのウェディングMCなど、多彩なキャリアを持つ。コロナ禍でバヅクリのチームビルディングサービスに出会い、その可能性に共感。業務委託講師を経て、現在は唯一の社員講師として、講師育成や研修品質の向上を牽引する。
笹木純子 プロフィール
多様なキャリアが生んだ「人間力」。バヅクリ講師としての原点
まずはこれまでのキャリアを教えていただけますか?

その後、結婚を機に近所にあったIT企業に軽い気持ちで入社したのですが、そこでHR領域に携わることになり、新卒採用などを担当しました。
自社の強みや社員のキャリアパスを学生に語り、彼らが自社に魅力を感じて入社を決意してくれるよう働きかけるという経験は、相手の視点に立って想いを伝え、心を動かすことの難しさとやりがいを肌で感じた点で、後の講師としてのコミュニケーションスタイルを形作る上で非常に大きなものでしたね。
その後、子どもの小学校入学を機に退職し、専門学校の講師やフリーランスのウェディングMCとして活動していました。
そこからどのようにバヅクリにジョインされたのでしょうか?

それまでの経験で「対話」の重要性は認識していましたが、バヅクリのサービスは、まさにそれを体現していたのです。
業務委託講師として関わる中で代表の佐藤から声をかけてもらい、現在は唯一の社員講師として、他の業務委託講師の皆さんが活躍できる環境を整える役割を担っています。
「受講者が主役」――バヅクリ講師が最も大切にするスタンス
バヅクリの講師として、特に大切にしているスタンスはありますか?

これが非常に重要なのは、研修の学びを本当に血肉にし、その後の行動変容に繋げるためには、受講者自身が「自分ごと」として深く考え、主体的に気づきを得るプロセスが不可欠だからです。
講師が一方的に知識や「正解」を伝達するだけでは、受講者は受け身になりがちで、本当の意味での理解や納得、そして自発的な変化には至りにくいのです。
「自分の話を聞いてほしい」というタイプの講師は意外と多いんです。そうなると、主役は講師になってしまい、せっかくの研修が受講者の主体的な学びの機会ではなく、講師の知識披露の場で終わってしまうことになりかねません。
「受講者が主役」というスタンスは、どのように研修に反映されているのでしょうか?

受講者の皆さん自身が持つ経験や考えを引き出し、それを元に学びを深めていくことを最も重視しています。
つまり、研修で取り上げるテーマや課題に対して、まず受講者の皆さんの声に耳を傾け、そこから出てくる言葉やエピソード、疑問などを研修の進行の中心に据えていくのです。
具体的にはどのような手法を取られているのでしょうか?

今日のテーマに関連して、嬉しかったこと、逆に困ったり嫌だったりした実体験を最初に共有していただきます。
これは、単なるアイスブレイクではなく、皆さんのリアルな体験こそがその日の学びの「出発点」であり、講師が提供する知識や理論よりも優先されるべき「生きた教材」になるという考え方に基づいています。
講師は、その体験を深掘りする問いを投げかけたり、他の参加者の意見と繋いだりするファシリテーターの役割に徹します。
このように、受講者の皆さんの言葉や感情が研修の議論をドライブし、そこから気づきや学びが生まれていく。だからこそ、受講者一人ひとりが研修の当事者、つまり「主役」として主体的に関わることができるのです。
そして、ご自身の体験を掘り起こし、それと紐づけて学ぶことで、研修内容がより自分事として深く結びつくんですね。
「受講者が主役」というスタンスは、研修内容を自分事として結びつける他に、どのような効果があるのでしょうか?

自分を理解してもらうだけでなく、他者を理解すること。それが、私たちが重視する組織エンゲージメントの向上に繋がると考えています。
「講師がしゃべるより、いかに受講者に喋ってもらうか」そして、そこから気づきを得て次の行動に活かしてもらう。それが私たちの役割です。
他研修会社との決定的な違いは「笑い」と「本音を引き出す力」
他社の研修とバヅクリの研修、一番の違いは何だと思われますか?

研修というと「真面目に受けなければ」と思いがちですが、私たちはそう思わなくていいと考えています。
「笑い」や「冗談を言っていい雰囲気」が、研修においてなぜ重要なのでしょうか?

研修で真面目な顔ばかりしていては、本当の気持ちや自由な発想はなかなか出てきませんよね。心理的な壁を取り払い、どんなことでも発言しやすい空気を作ることで、学びの効果も格段に上がると考えています。
具体的なエピソードがあれば教えてください。

業務上のエピソードを期待していたのですが、ある参加者が「ライオンキングを観に行って、オスライオンがかっこよかったことです」と、明らかにボケてきたんです(笑)。
ある種、研修に対しての抵抗とも捉えることができます。
私はそれを否定せず、「いいですね!」と肯定しました。
映画の内容は知らなかったのですが、彼が伝えたかったのは「家族を守るオスライオンの姿」でした。
研修が進む中で、その「ライオンキング」の話を伏線として使ったんです。「皆さん、さっきのライオンの話を覚えていますか?家族を守るために危険を冒す。皆さんもそうですよね?」と。ご本人はまさかここで回収されるとは思っていなかったでしょうね。
このように、一見関係ないような発言や、時には抵抗とも取れる言葉も全て受け止め、学びへと転換していく。
これは、心理的安全性が確保された「何でも言える」場だからこそ生まれるダイナミズムであり、バヅクリ講師が得意とするところです。どんな素材もまるっと一つの料理にしてしまうような、アンテナの高い講師が多いですね。
受講者の本音や、内に秘めた気持ちを引き出すためには、どのような工夫をされていますか?

「すごく嫌だったんです」という発言に対して、「そうなんですね、なぜですか?」とすぐに理由を問うのではなく、「嫌だったんですね」と一度返す。
そうすることで、ご本人は「自分の発言が正しく伝わった」と安心し、改めて「そう、自分は嫌だったんだ」と自分の感情を受け止めることができます。
感情を受け止めた後、どのように本音にアプローチしていくのでしょうか?

「なぜ?」と詰問調になるのではなく、その時の情景や感情をありありと思い出してもらう。
そうすることで、表層的ではない、より深い本音や、本人も気づいていなかった「本当はどうだったら良かったのか」という答えに辿り着きやすくなります。
さらに重要なのは、その人との1対1のコミュニケーションに終始しないこと。
話を聞きながらも、常に周囲の受講者の反応を見ています。「今、〇〇さんはすごく頷きましたね。何か共感することがありましたか?」と繋げることで、一人の発言が他の誰かの気づきを生み、それぞれの存在価値を高めることにも繋がると考えています。
どんな参加者も取り残さない。でも「言いたくないことは言わなくていい」
研修に抵抗感を示したりする方もいらっしゃるかと思います。そういった場面では、どのように対応されるのでしょうか?

無理強いはしません。その方のタイミングを待ちます。気持ちが向いていないのに無理やり変えようとしても、うまくいきませんから。
ただ、グループワークなどで発言がない場合、進行が難しくなることもあるかと思います。その場合はどうされるのですか?

たとえ研修に対して否定的な方でも、仕事に関して「ここだけは頑張りたい」「これには貢献したい」という想いがきっとあるはず。
ふとした瞬間に見せる頷きや表情の変化を見逃さず、「今の〇〇さんの話、共感できますか?」と少しずつ対話のきっかけを作っていくことを大切にしています。
誰一人として置いてけぼりにしない。それが私たちのスタンスです。
オンライン研修の場合、各グループの状況把握が難しいという声も聞きますが、バヅクリではどのように対応されていますか?

また、講師だけでなく運営サポートのスタッフも各グループを巡回し、状況を講師に共有してくれるので、連携を取りながらワークが円滑に進むようサポートしています。
「辞めようと思っていた会社で、もう一度頑張ろうと思えた」―講師としての忘れられない瞬間
講師をやっていて良かったと感じる瞬間はどんな時ですか?

研修の最後に「今日の研修でモチベーションが上がりました!」と言ってくれた受講者さんが、後日、私のインスタを見つけてDMをくれたんです。
「実は会社を辞めようと思っていた。今の仕事は本当にやりたいことではないかもしれないけれど、今日の研修を通して、もう一度お客様と向き合ってみようという気持ちになれた。」と。
それは素晴らしいエピソードですね。何がその受講者さんの心に響いたのだと思われますか?

私が研修中にお話しした、自分自身の過去の失敗談やそれをどう乗り越えてきたかというリアルな話が、彼女にとって「元気をもらいました」という言葉に繋がったのかもしれません。
自分を包み隠さず話すことが、結果的に誰かの力になれたのだとしたら、それは本当に嬉しいことです。
その他にも、研修を通じて寄せられる感想や、特に嬉しいお言葉などがあれば教えていただけますか?

「今までの研修で一番良かった」と言われるのは、何が評価されているのでしょうか?

同じプログラムでも、講師の伝え方や話の広げ方、受講者への寄り添い方で研修の質は全く変わってきます。
だからこそバヅクリでは、例えば「俺が私が」という自己中心的なタイプの方や、組織で働いた経験がない方、机上の空論だけで課題解決のイメージが湧きにくい講師の方は採用していません。
私たちが講師に求めるのは、受講者の皆さんが抱える課題や喜びを自分のことのように理解し、深く共感できること。
そして、一人ひとりの価値観を尊重しながら、その方たちがどうすればもっと輝けるのか、どうすればチームとしてより良い方向に進めるのかを真剣に考え、具体的な行動変容や気づきを促すことができる「人間力」です。
こうした講師の受講者一人ひとりに真摯に向き合う姿勢や、本音を引き出し共に考える伴走力、そして場を温かく包み込むような人柄そのものが、結果として「この研修が一番良かった」という受講者の皆様からの言葉に繋がっているのではないでしょうか。
つまり、プログラムの良さに加え、それを届ける「人」の魅力が掛け合わさった時に、最高の評価をいただけるのだと考えています。
「自分ごと化」を促す徹底した準備と、その場に応じたプラスアルファ
研修を行うにあたって、準備で重視していることはありますか?

それによって、研修中の例え話の出し方などが変わってきます。
なぜそこまで徹底的にクライアントの理解を深める必要があるのでしょうか?

ニュースや記事もチェックし、「先日、〇〇業界のこんな記事が出ていましたが、読まれた方いますか?」といった問いかけから話を広げることもあります。
よくある研修会社のように、台本通りに話すのではなく、お客様が今置かれている状況を深く理解し、その場に応じたプラスアルファを提供すること。
そうでなければ、ライブで研修を行う意味がないと考えています。
バヅクリの研修は、ある程度の「余白」を残し、クライアントに寄り添った内容でお話しすることを多くの講師が意識しています。
人事・経営層へ伝えたい、バヅクリ研修「ムキアイ」の真価
最後に、人事担当者や経営層の方々へメッセージをお願いします。

バヅクリの研修は、「あなたたちが今日の主役なんですよ」ということを折に触れて感じてもらえるよう、皆さんの発言や考えを聞くことを重視する「アクティブラーニング」の形式を取っています。
私たちは、受講者の皆さんの内発的動機を見つけに行くお手伝いをしているのだと思っています。
ただ受講するだけなら、弊社でなくても良いかもしれません。
しかし、「社員にもっと主体的に仕事に向き合ってほしい」という期待をお持ちなのであれば、バヅクリにご依頼いただく意味があるはずです。その期待を超える研修をお約束します。
バヅクリ流・研修効果を最大化する講師の技術まとめ
- 受講者を“主役”にするファシリテーション
講師が話すよりも受講者に「語ってもらう」。経験や感情の言語化を促し、研修を“自分ごと化”する構成と進行を設計。講師は知識を教えるのではなく、問いかけと共感で学びを引き出すナビゲーターとなる。 - 本音と気づきを引き出す「対話設計力」
バックトラッキングや「どんな映像が浮かびましたか?」といった問いを用いて、表層的な言葉の奥にある本質的な感情・価値観にアクセス。さらにその発言を他者に広げていくことで、場全体の学びを深めていく。 - 一人の声を“場の資源”に変えるリアルタイム編集力
たとえ冗談や抵抗に見える発言でも否定せず受け止め、場のストーリーに組み込み直すことで、参加者の自己開示と関与を加速させる。瞬間的な「拾い」「つなぎ」「伏線回収」によって、場に一体感と意味づけが生まれる。
講師の力が、行動変容を生み出す。
同じ研修テーマでも、講師によって「結果」はまったく違います。
バヅクリ講師の役割は、知識を一方的に伝えることではなく、受講者の感情に火をつけ、気づきを促し、“本気”を引き出すこと。
だからこそ、「現場で変化が起きる」研修になります。
バヅクリの研修「ムキアイ」は、設計の質はもちろん、研修効果を最大化できる“講師力”にこだわり抜いています。
社員の変化に、本気で向き合う研修を探している方へ。
バヅクリの研修サービス「ムキアイ」の資料は、以下からダウンロードいただけます。