次世代リーダーの育成は、企業の存続を左右する重要課題です。しかし、多くの企業が「優秀な若手を選んだはずなのに、リーダーになると成果が出ない」という壁にぶつかっています。

本記事では、現場で機能する次世代リーダーの定義から具体的な育成プロセスまでを徹底解説します。

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次世代リーダーの定義・ミッションと求められる背景

次世代リーダーの定義と役割

次世代リーダーとは、現在の役職や部門の枠組みを超えて、数年後の会社全体の経営責任を担う候補者のことです。彼らの主な役割は、単に決められた目標を達成することではなく、市場環境の変化に合わせて事業の方向性を定め、組織全体を動かすことにあります。

具体的には、会社の経営理念を具体的な事業戦略へと落とし込み、それを全社員に納得感のある形で伝える役割を担います。また、既存の業務プロセスや組織構造が時代に合わなくなった際、それを抜本的に見直し、新しい仕組みへと作り変える実行力も欠かせません。現場の課題解決に留まらず、全社的な視点で意思決定を行うことが、次世代リーダーの本来の役割です。

期待されるミッション

次世代リーダーに課せられるミッションは、大きく分けて三つあります。

  • 新事業の創出

既存事業の維持だけでは競争力を保てないため、自社の強みを活かした新しいビジネスモデルを構築する責任があります。

  • 組織体制の構築

予期せぬ市場の変化やトラブルが発生した際に、迅速に状況を判断して的確な指示を出し、組織の混乱を最小限に抑えることが求められます。

  • リーダー育成

組織が永続的に発展するためには、自分自身の後継者を計画的に育て上げ、リーダーシップを途切れさせない仕組みを作ることが重要な任務となります。

次世代リーダー育成が求められる理由

(参考 : HR総研:人事の課題とキャリアに関する調査 結果報告【人事の課題編】)

HR総研の人事の課題とキャリアに関する調査 結果報告【人事の課題編】によると、企業の人材育成における現在の課題として「次世代リーダー育成」が最多の56%を占め、「最重要課題」としても28%でトップに挙げられています。

(参考 : HR総研:人事の課題とキャリアに関する調査 結果報告【人事の課題編】)

また、3〜5年後の将来課題でも「次世代リーダー育成」が50%で首位を維持しており、他の項目に比べて突出して高い数値となっています。

今、多くの企業が次世代リーダーの育成を急いでいる最大の理由は、ビジネスの変化するスピードが極めて速くなっているからです。過去の成功体験に基づく判断が通用しなくなっているため、常に新しい情報を取り入れて経営判断を下せる人材を複数育てておく必要があります。

また、外部からの採用が困難になっていることも大きな要因です。労働人口の減少により、経営層としての素養を持つ人材を中途採用で確保するコストは高騰しています。そのため、自社の文化や事業内容に精通した内部の人材を、若いうちから選抜して経営の経験を積ませる方が、長期的には確実で効率的な投資となります。経営体制の若返りを図り、組織の活力を維持するためにも、計画的なリーダー育成は避けて通れない経営課題といえます。

次世代リーダーに求められる「3つの資質とスキル」

次世代リーダーを育成・選抜する際、その基準は大きく分けて「マインドセット」「思考スキル」「実行・対人スキル」の3点が挙げられます。これらがバランスよく備わっていることが、組織を牽引するリーダーとしての前提条件となります。ここでは、その3つのスキルについて詳しく解説します。

マインドセット・人間力

リーダーとして重要となるのは、強い当事者意識です。自分に与えられた職務の範囲を超えて、会社全体の利益や将来のあり方に対して責任を持つ姿勢が求められます。この意識があることで、困難な状況に直面しても途中で投げ出さず、最後までやり遂げる力が生まれます。

さらに、誠実さと倫理観も不可欠な要素です。多くの社員に影響を与える立場として、自身の言動が組織の信頼に直結することを自覚し、常に公正な判断を下す姿勢が問われます。さらに、これまでの成功に固執せず、新しい知識や異なる意見を柔軟に取り入れる学習意欲も、変化の激しい現代においては重要です。

思考スキル

次世代リーダーには、複雑な情報を整理し、論理的に最適解を導き出す力が必要です。具体的には、目先の課題を解決するだけでなく、数年後の市場動向や自社のリソースを分析し、中長期的な戦略を組み立てる力です。主観的な思い込みではなく、客観的なデータに基づいて現状を把握し、課題の本質を特定する力を養うことが大切です。

同時に、全体最適の視点を持つことも重要です。自分の部門だけの利益を優先するのではなく、会社全体にとって何が最善であるかを常に問い、優先順位を判断しなければなりません。抽象的な構想を具体的な行動計画に落とし込み、誰が読んでも納得できる論理的なストーリーとして組み立てる力が、組織を動かす土台となります。

実行・対人スキル

優れた戦略を立てたとしても、それを実行に移し、結果を出さなければリーダーとしての役割を果たしたとは言えません。実行にあたっては、立場の異なるステークホルダーと交渉し、合意を形成する高いコミュニケーション能力が不可欠です。自分の考えを明確な言葉で伝え、周囲の協力を引き出しながら、組織全体を目標達成に向けて動かしていく力も押さえておきたいポイントです。

また、意思決定の速さと精度も重要なスキルです。情報が不十分な状況であっても、一定の根拠を持って自らの責任で決断を下し、行動を開始しなければなりません。実行の過程で生じる対立や摩擦を適切にマネジメントし、問題が発生した際には迅速に軌道修正を行う対応力が、最終的な成果に大きく影響します。

次世代リーダー育成時に失敗しやすいポイント

多くの企業が次世代リーダーの育成に取り組みながらも、期待通りの成果を得られないのは、育成プロセスにおける誤解にあります。選抜から実践に至る各段階で、陥りやすい具体的な失敗の傾向を理解しておくことが、施策の実効性を高める鍵となります。ここではよくある失敗をフェーズ別にご紹介します。

【選抜時】「現在の成果」だけで選抜する

最も多い失敗は、現在の職務で高い業績を上げている人物をそのままリーダー候補に選んでしまうことです。現在の業務で成果を出す力と、経営的な視点で組織を動かす力は、求められる能力の性質が根本的に異なります。実務に精通しているという理由だけで選抜すると、候補者が自らの過去の成功体験に固執し、新しい環境や変化に対応できなくなるリスクが生じます。選抜の際には、現在の業務成績だけでなく、未知の課題に対する適応力や、組織全体を俯瞰して判断を下す資質を客観的に評価しなければなりません。

【育成時】「スキルの詰め込み」に終始する

選抜の次につまずきやすいのが、育成の中身です。知識の習得や手法の学習だけに偏ってしまうと、実際の経営判断には役立ちません。財務分析や戦略立案のフレームワークをどれほど習得しても、それを自社の複雑な状況に合わせて使いこなす判断力が伴わなければ、形式的な学習で終わってしまいます。重要なのは知識を得ることではなく、それを使って実際に判断し、課題を解決する経験を積むことです。目的をスキルの習得のみに据えると、リーダーとしての自覚や責任感を育む機会を損なうことに繋がりかねません。

【実践時の失敗】現場に戻った途端に「孤立」する

研修で新しい視座やスキルを身につけた候補者が、本来の職場に戻った際に周囲の理解を得られず、学びを活かしきれないケースも少なくありません。育成対象者本人だけが変化しても、それを受け入れる上司や周囲の組織環境が変わっていなければ、新しい提案や行動は既存のルールによって打ち消されてしまいます。このような状況では、候補者が意欲を失うだけでなく、組織への失望から離職に至る可能性もあります。リーダー育成は対象者一人で完結するものではなく、経営層がその活動を公に支持し、現場が新しい試みを受け入れる体制を整えるまでを、一連の施策として設計する必要があります。

次世代リーダーの4つの育成プロセス

次世代リーダーの育成は、適切な人材を見極め、必要な能力をサポートし、実務での経験を通じて定着させるという一連の流れで構成されます。このプロセスを疎かにすると、現場との間にズレが生じたり、本人の意欲が持続しなかったりといった問題が発生します。ここでは具体的な次世代リーダー育成の4つのプロセスを紹介します。


【フェーズ1】候補者選抜のポイント

選抜の目的は、単に優秀な社員を集めることではなく、会社の将来を託すに値する資質を持った人物を特定することにあります。そのためには、主観的な印象や過去の実績だけに頼らない、多角的な評価基準が欠かせません。

経営戦略と直結した「目指すべきリーダー像」を定義する

選抜に際してまず行うべきは、自社の経営戦略に基づいた具体的なリーダー像の定義です。たとえば、今後5年で新規事業を柱にする戦略であれば、既存事業の効率化に長けた人材よりも、不確実な状況下で意思決定を下せる人材が求められます。一方で、グローバル展開を加速させる局面であれば、異なる文化背景を持つ組織を統合し、共通の目標に向かわせる調整力が最優先の要件となります。このように、会社が将来どのような状態を目指しているのかという事業計画から逆算して、行動特性を具体的に定義することが選抜の第一歩となります。

業績評価とは異なる「概念化能力(ポテンシャル)」の測定する

候補者の選定において、現在の業務での売上目標達成度や処理スピードといった業績評価のみを基準にすることは避けるべきです。現在の成果はあくまで「特定の条件下での実務能力」を示すものであり、経営に必要な「概念化能力」を保証するものではないからです。概念化能力とは、一見無関係に見える複数の事象から共通の課題を見出し、物事の本質を構造的に捉える力を指します。このポテンシャルを測定するためには、通常の業務評価とは別に、360度評価や適性検査、あるいは正解のない経営課題に対する論述試験など、思考のプロセスが見える手法を用意する必要があります。

候補者が抱く「リーダー職への不安と拒絶」への対策

選抜された候補者が、必ずしも意欲的にリーダー職を引き受けるとは限りません。責任の重さや、現在の良好な人間関係が崩れることへの懸念、あるいはワークライフバランスへの不安から、候補者が育成プログラムへの参加を躊躇したり、拒絶したりするケースは少なくありません。

この問題に対処するためには、会社側が一方的に指名するだけでなく、選抜された理由や期待される役割を個別に丁寧に説明する場を設けましょう。また、育成期間中や昇進後のサポート体制を明確に示し、リーダーになることが本人にとってもキャリア上の価値があることを、本人の価値観に寄り添って提示することが、心理的なハードルを下げる上で重要となります。

【フェーズ2】リーダー着任前の必須アクション

リーダー候補者が新しい役割に対して主体的に取り組むためには、会社から与えられた目標を遂行するだけの状態から脱却し、自らの意思で組織を動かす準備を整えなければなりません。形だけのリーダーで終わらせないために、着任前に押さえておきたいポイントは以下の4つです。

パーパスの個人化

経営理念やパーパスを、自分自身の価値観と結びつけて考えさせてみましょう。組織の目指す方向と、自分が人生や仕事において大切にしている信念が重なる部分を明確にすることで、リーダーの発言に深みが出ます。会社から与えられた言葉ではなく、自らの価値観に基づいた言葉で語ることで、周囲の社員からの信頼が得やすくなり、困難な局面でも揺るがない意思決定ができるようになります。

内発的動機の顕在化

自分がリーダーとして何を実現したいのか、社会にどんな影響を与えたいのかという動機をあらかじめ言葉にしておくことが大切です。外部からの報酬だけを動機にしていると、トラブルや停滞に直面したときに踏ん張りがきかなくなるからです。この内発的な動機が明確なリーダーは、外部環境の変化に左右されにくく、粘り強く組織を引っ張り続けることができます。

脆弱性(弱さ)の活用

自分にできないことや知識が不足している分野を正直に認め、周囲に頼る姿勢を着任前から持っておくことが重要です。「リーダーは常に完璧でなければならない」という思い込みは、組織の風通しを悪くし、不都合な情報が隠されやすくなります。自分の弱さや限界をオープンにすることで、メンバーは自分の強みを活かしてリーダーを支えようとする意欲が生まれ、組織全体の協力体制が強まります。

未来への適応

過去の成功体験に基づくやり方をいったんリセットし、新しい役割に合わせて自分をアップデートする準備が必要です。現在のポジションで高く評価されている行動が、一段上のリーダー職でも通用するとは限りません。これまでの仕事の進め方や判断基準を客観的に見直し、新しい役職で直面するであろう課題に対してどんな思考やスキルが必要かを予測しておきましょう。変化を素直に受け入れる姿勢が、早期にリーダーとして定着するための鍵になります。

【フェーズ3】リーダー着任後のアクション

リーダーとしての活動が始まると、現場の課題に追われ、自己の成長が後回しになりがちです。組織としては、着任したリーダーが目指すべき水準に到達できるよう、計画的な学習と実践の機会を継続的に提供しましょう。

理想のリーダー像と現状の乖離(Gap)を特定する

自分の強みと弱みを客観的に把握するところから始めましょう。選抜時に定義した「目指すべきリーダー像」と現在の自分を比較し、そのギャップを明確にします。上司からの評価だけでなく、部下や同僚からのフィードバックも集めることで、自分では気づきにくい行動のクセや課題も見えてきます。何を重点的に伸ばすべきかが明確になることで、成長に向けた具体的な行動計画が立てやすくなります。

経営知識の習得と視座を高める「Off-JT」を実施する

経営判断に必要な知識を集中的に学ぶために、職場を離れて行う研修(Off-JT)を実施することが有効です。財務諸表の読み方や管理会計、中長期的な戦略立案、組織心理学など、実務経験だけでは身につきにくい知識をまとめて習得します。目的は単に詳しくなることではなく、現場視点から経営視点へと判断の基準を引き上げることです。理論という共通言語を持つことで、経営層とのコミュニケーションがスムーズになり、全社的な視点で意思決定できる土台が整います。

実践力を磨く「タフ・アサインメント(修羅場経験)」を与える

座学で得た知識を実際の能力に変えるために、責任が重く解決が困難な業務を意図的に割り当ててみましょう。これを「タフ・アサインメント」と呼び、既存事業の立て直しや新規プロジェクトの立ち上げ、部門間の複雑な利害調整などがこれにあたります。正解のない状況で自ら情報を集め、決断し、組織を動かして結果を出す経験が、リーダーとしての地力を育てます。この際、会社は本人を放置するのではなく、必要に応じて助言しながら最終的な責任は会社が負う姿勢を示すことで、本人が思い切って挑戦できる環境を整えます。

現場の変革を主導する「アクションラーニング」を導入する

実際の経営課題をテーマとして取り上げ、解決に向けた具体的な行動をとりながら学習を進める「アクションラーニング」も効果的です。候補者がチームを組み、社長や役員に対して自社の課題解決策を提案し、承認を得た上で実際にその施策を遂行します。単なる提言で終わらせず、実行の過程で生じる抵抗や予期せぬトラブルを乗り越える経験を積むことで、変革を主導する力が身につきます。実行後には必ず振り返りを行い、何が成功の要因で、何が課題だったのかを言語化することで、経験を他の場面でも使える学びへと変えていきます。

【フェーズ4】持続可能なリーダー育成のために

リーダーに選抜され、一定の成果を出した段階で育成プログラムを終了させてしまうと、その後の環境変化に対応できなくなるリスクがあります。変化の激しいビジネス環境においては、一度身につけたスキルを常に更新し、自分自身のあり方を問い直すプロセスを標準化することが重要です。

「内省とフィードバック」の場を設ける

リーダーが自身の行動を客観的に振り返り、改善点を見出すために、定期的な内省の機会を設けましょうが必要です。日々の業務に追われていると、意思決定の根拠や自身の振る舞いが適切であったかを検証する時間が不足します。そこで、コーチングやメンタリングを活用し、第三者との対話を通じて自分の思考プロセスを言語化する場を設けます。同時に、部下や周囲のメンバーからの率直なフィードバックを継続的に受けることで、自己評価と他者評価のズレを修正し、独りよがりな判断に陥るのを防ぎます。

おすすめ研修 : 管理職向け 内省研修

リーダーがこうした内省を習慣化し、実践に活かすための具体的な手段として、「管理職向け 内省研修」がおすすめです。

この研修では、管理職が陥りやすい具体的な悪癖や葛藤のパターンを自己診断チェックリストによって可視化し、自身の強みや課題を正しく認識することから始めます。参加者同士で経験を共有し、相互にアドバイスを行うプロセスを通じて、自分一人では気づけない思考の偏りを修正できる点が大きな特徴です。

最終的に、現場で即座に実践できる具体的なアクションプランを策定し、継続的な内省を習慣化させることで、学びを一時的なものに終わらせず、確実な行動変容へと繋げることが可能になります。

「アンラーニング」を継続する

過去の成功パターンをいったん手放し、新しい状況に合わせて学び直す「アンラーニング」を続けることが大切です。実績のあるリーダーほど、かつての手法を新しい課題にも当てはめようとしがちですが、役割や環境が変われば、かつての正解が現在の障害になることも少なくありません。自分の知識や経験がすでに古くなっていないかを常に疑い、新しい情報や異なる意見を積極的に取り入れる習慣が、組織の停滞を防ぐことにつながります。

「オーセンティック」な姿勢の確立させる

オーセンティックとは「自分らしく、本物であること」を意味し、リーダーシップにおいては、自分の価値観や信念に基づき、偽りのない誠実な態度で組織を導く姿勢を指します。持続可能なリーダーシップを発揮するためには、他人の模倣ではない、自分自身の軸に基づいたこの姿勢を確立することが大切です。自分が何を大切にし、どのような信念を持って決断を下しているのかを明確にし、それを周囲に開示します。自身の考えと行動が一貫しているリーダーは、周囲からの信頼を得やすく、組織全体の心理的安全性を高める効果があります。表面的なスキルに頼るのではなく、一人の人間としての誠実さを示すことが、長期的な影響力を維持するための基盤となります。

おすすめ研修 : オーセンティックリーダーシップ研修

オーセンティックなリーダーとしての土台を作るためには、「オーセンティックリーダーシップ研修」がおすすめです。

この研修では、自分の人生経験や価値観を振り返ることから始まり、「自分が何を大切にしているか」を言語化していきます。その上で、他者との対話や自己開示を通じて、信頼を築く影響力のあり方を体験的に学びます。型にはまったリーダー像を押しつけるのではなく、内面からにじみ出るリーダー性を引き出すことに重点を置いた設計が特徴です。

この研修を通じて、自分らしい言葉で人を動かす力が身につき、「言っていることとやっていることが一致している」とメンバーから感じてもらえるリーダーに近づくことができます。また、心理的安全性を意識した対話中心の進行により、普段は話しにくい自分の迷いや葛藤も安心して出せる場になっています。

「フォロワーシップ」を醸成する

フォロワーシップとは、リーダーの指示を待って従うのではなく、組織の目標達成に向けてメンバーが主体的に関わり、リーダーを支えたり、時には建設的な提言を行ったりする能力のことです。リーダーの役割は自分一人が成果を出すことではなく、周囲の人間が自発的に動く環境を作ることです。そのためには、メンバーがリーダーに対して主体的に意見を述べ、協力し合える環境を組織全体で育む必要があります。リーダー自身が周囲のサポートを積極的に受け入れ、メンバーの貢献を正当に評価する姿勢を示すことで、上下関係を超えた協力体制が構築されます。リーダーとフォロワーが相互に高め合う関係性が確立されることで、組織全体の実行力が向上し、持続的な成長が可能になります。

おすすめ研修 : フォロワーシップ研修

フォロワーシップ研修」は、メンバーが主体的にリーダーを支え、チーム全体で成果を出す力を育てるのにおすすめの研修です。

本研修では、フォロワーシップを「支える役割」にとどめず、組織やチームの中で自ら動く協働力として捉え直すことから始まります。自分の強みやスタンスを言語化し、周囲の状況を踏まえた上でどう関わるかを具体的な行動レベルで設計していきます。業務場面に即したケースを使ったグループワークを中心に進むため、研修で得た気づきをそのまま職場での行動に落とし込みやすい構成になっています。

この研修を通じて、指示を待つだけでなく自分から動けるメンバーが増え、リーダー一人に依存しない、チーム全体の推進力が高まります。「支える力」ではなく「動かす力」としてフォロワーシップを身につけることで、変化への対応力と組織全体の実行力の底上げにつながります。

次世代リーダー育成を形骸化させないポイント

育成施策が形骸化する最大の原因は、育成が「現場の業務」から切り離された「教育イベント」になってしまうことにあります。選抜された人材が自らの成長を確信し、組織に貢献し続けるために、経営層の関与と実務への連動を組み込みましょう。

経営層が「育成の当事者」として期待を伝え続ける

育成プログラムの成功は、経営層がどれだけ本気で関わっているかに左右されます。人事部門に運営を任せきりにするのではなく、経営層自らが候補者に対して、なぜ彼らを選抜したのか、そして将来どのような役割を期待しているのかを、粘り強く伝え続けましょう。経営のトップから期待をかけられているという実感が、候補者の当事者意識を高め、学習に対する意欲を持続させます。経営層が定期的に候補者と対話し、自身の経験や視座を共有する場を持つことで、育成を単なる研修ではなく、重要な経営戦略として位置づけること土台ができます。

研修の学びを「実務の権限委譲」とセットで提供する

研修などで得た知識は、実際の業務で活用する機会がなければすぐに風化してしまいます。育成の効果を最大化させるためには、研修での学びに合わせ、相応の責任と裁量を持った業務をセットで提供することが大切です。たとえば、通常業務の範囲を超えた判断が求められるプロジェクトのリーダーを任せるなど、実際に自分で決める場面を意図的に作りましょう。学んだことをすぐに実務で試せる環境があることで、知識が経験と結びつき、使えるスキルとして定着していきます。

答えを教えすぎない「思考の余白」を意図的に設計する

良かれと思って上司が正解を提示しすぎてしまうと、候補者の思考力は育ちません。次世代リーダーに求められるのは、正解のない問いに対して自ら仮説を立て、判断を下す力です。そのため、育成のプロセスにおいては、あえて指示を具体的にせず、候補者が自分で考え、悩み、答えを出せる「思考の余白」を意図的に残しておきましょう。支援する側の役割は答えを教えることではなく、問いを投げかけて視点を広げること。候補者が自分の頭で考えて決める経験を、しっかり積ませていきましょう。

短期業績だけでなく「変革へのプロセス」を正当に評価する

新しいことに挑戦する次世代リーダーの活動は、必ずしも短期間で目に見える数字に結びつくとは限りません。短期的な数値目標のみで評価を下してしまうと、候補者は失敗を恐れて無難な行動に走るようになり、本来目指すべき変革が進まなくなります。評価の軸には、目先の業績だけでなく、組織文化の変化や新しいビジネスモデルの構築といった変革に向けた取り組みや、周囲への影響度も含めておきましょう。中長期的な挑戦をきちんと評価する仕組みがあってこそ、リーダーは目先の数字に振り回されず、本質的な課題に向き合えるようになります。

失敗を許容し、心理的安全性が担保された「挑戦環境」を作る

変革にはリスクが伴い、時には失敗することも避けられません。失敗したことが原因でキャリアに傷がつくと感じさせてしまう環境では、誰もリーダーシップを発揮しようとはしなくなります。組織として大切なのは、挑戦に伴う失敗を学習の機会として捉え、再挑戦を促す文化を醸成することです。経営層が「この範囲内であれば失敗しても責任を取る」という境界線を明確にし、心理的安全性を担保することで、候補者は萎縮することなく大胆な施策を打ち出すことができます。失敗から何を学び、次にどう活かすかを議論できる環境こそが、リーダーを強く成長させます。

まとめ

次世代リーダーの育成は、単なるスキルアップの取り組みではなく、企業の未来を担保するための投資そのものです。現在の成果にとらわれない適切な選抜、自らの軸を定めるマインド醸成、そして修羅場を通じた実践経験の提供という一連のプロセスを、経営層のコミットメントのもとで実行することが成功の絶対条件となります。組織の文化そのものを「挑戦を尊ぶもの」へと変えていく姿勢こそが、優秀な次世代リーダーが自然と育ち、定着する環境を作り上げます。

今回の内容を踏まえ、自社のリーダー定義を具体化するためのワークショップ設計など、次の一歩を検討してみてはいかがでしょうか。