無料お役立ち資料:いまさら聞けない「心理的安全性」

生産性の高いチームは心理的安全性がある

心理的安全性の高い生産性のあるチーム

グーグル社が行なった「効果的なチームの条件とは何か」のリサーチによると、効果的であるチーム = 生産性の高いチームは、心理的安全性が高いという結果がでています。
逆に言えば、心理的安全性を高めれば、チームの生産性が向上するということです。

エイミー・エドモンドソン教授が作り出した「心理的安全性」という言葉は、このリサーチにより広く世間に知られるようになりました。

まず、心理的安全性を高め生産性を向上させる方法などの本題に入る前に、今回のキーワードである「心理的安全性」と「生産性」の意味や定義をご紹介します。

参考:「効果的なチームとは何か」を知る

Google Re:Work

そもそも心理的安全性とは?

まずは心理的安全性についてご紹介していきます。

心理的安全性とは、他者からの反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことができる状態のことを指します。

「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われてもこのチームメンバーなら大丈夫である」と思え、メンバーに自分のありのままを見せることができるかがポイントです。
そのような環境を作ることで物怖じせず意見を言えたり、助けを求めることができたり、自分の過ちを認めることができたりします。

「効果的なチームの条件とは何か」について調査したグーグル社のチサーチチームは「誰がチームのメンバーであるかよりも、チームがどのように協力しているかが重要である」としています。

心理的安全性を測る方法

心理的安全性は以下の7つの質問をすることで測ることができます。

  1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

1,3,5の質問の度合いが低く、2,4,6,7の質問の度合いが高いと、心理的安全性は高いと言えます。

心理的安全性について詳しくはこちら

心理的安全性が低いとパフォーマンスが低下する

コロナ渦によるリモートワークが増えたことでコミュニケーション量が減少し、上司や同僚に不安を感じる、つまり心理的安全性が低い状態の会社員が多い中、2023年5月からは出社に切り替わった企業も多いかと思います。

しかし、対面の業務になったからと言って、すぐに心理的安全性が高まるというよう単純な問題ではありません。

心理的安全性が低いとパフォーマンスにどの程度影響を及ぼすのか、また不安が解消されることでどのような効果が期待されるかについて検証しました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、心理的安全性向上の施策にぜひお役立てください。

生産性が高いチームとは?

生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いである」というのが、生産性の代表的な定義で、ヨーロッパ生産性本部(EPA)が提唱しているものです。
これをさらに噛み砕いて説明をすると、何かを生み出すにあたり、労力や時間という生産諸要素がどれだけ効率的に使われたかを指し、効率が良いことを生産性が高いと言います。

つまり、生産性の高いチームとは少ない労力や時間で、良いものを生み出せるチームのことを指すのです。

グーグル社が行なった調査の結果をまとめるのであれば、心理的安全性が高いチームは、時間や労力などを効率的に使い、モノやコトを生み出せるということになります。
このチームの姿は、多くの企業が目指している形と言えるでしょう。

参考:生産性とは

公共財団法人 日本生産性本部

心理的安全性のメリット

心理的安全性から得るメリット

それでは、どうして心理的安全性が高いと生産性が向上するのでしょうか?
心理的安全性が高いことによりもたらされるメリットをご紹介しながら、その理由を紐解いていきましょう。

エンゲージメントの向上

心理的安全性が高い組織では、組織に対するエンゲージメントが向上します。

心理的安全性が高いことでメンバーは意見を言いやすく、自分の意見が取り入れられたり、そのことによりイノベーションが起こったりする確率が高くなるためです。
また、質問や助けを求めることもしやすいため、働きやすい職場であるという認識を持ちます。

また、ミスなどによる罰則や叱責のプレッシャーがないことから、隠蔽や改ざんなどの発生の可能性が低下するとも言われています。

エンゲージメントが向上することで、仕事に対する積極性やモチベーションがアップし、
離職率の低下にも繋がります。

エンゲージメントと、従業員満足度の違いとは?

パフォーマンスの向上

人間関係に対して無駄なプレッシャーやストレス、不安がなく、リラックスして業務に取り組むことができるためパフォーマンスも向上します。
また、不安や不明点があった時に、1人で抱え込むのではなく周りに助けや意見を求めやすいという点も大きく影響するでしょう。

パフォーマンスが向上するということは、メンバー1人あたりの生産性が高くなるということですから、おのずとチームの生産性の向上にも繋がります。

情報の共有が盛んになる

ありのままでいられ、発言や質問がしやすい心理的安全性の高いチームでは、情報の共有や、アイディアの披露が盛んになります。
いかに発言やアイディアの共有のハードルを下げるかがポイントです。

情報やアイディアの共有のハードルと下げ、それが盛んになると、イノベーションが起こりやすくなったり、重要な意見を得らえる機会の損失を防ぐことができます。
また、問題の早期発見、解決にもなります。

心理的安全性を高める方法と注意点

心理的安全性を高める方法

それでは、心理的安全性を高める方法を

  • リーダー
  • メンバー

それぞれの視点からご紹介していきます。
また、注意すべき点もご紹介します。

リーダーがやるべきこと

積極的な参加と率直な発言の姿勢を示す

心理的安全性を高めるということは「このチームメンバーならどのような発言をしても受け止めてくれる」という認識をメンバーが持つことが重要となります。
リーダーがありのままの意見を言ってくれないチームでは、メンバーも思ったままを話すことが難しいもの。
まずはリーダー自らが、ありのままの姿を見せることが大切です。

コーチングと心理的安全性の関係の調査では、メンバーの話を聞くというリーダーの行動よりも、良かった点や改善点をフィードバックする「成長支援」や、気づきが生まれる質問をするという行動の方がメンバーの心理的安全性が向上するという結果が出ました。

人間は見えないものやわからないことに不安を抱くものです。
改善点やフィードバックなどの他、チームビジョンの伝達や、方向性を明確にメンバーに伝えることも心理的安全性の向上に繋がります。

参考:第3回 心理的安全性を高めるリーダーシップとは

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率直な発言をサポートする

人の意見を否定したり、重苦しい雰囲気を作ったりすることのないようにしましょう。
場の雰囲気や、意見を求める順番などを工夫するのもいいでしょう。

またチーム編成を決める際、年齢や性別、バックボーンなどの観点から発言がしやすいチームなのか考慮するといいでしょう。

メンバーがやるべきこと

質問の内容や方法に気をつける

「質問をする」という形をとり、相手を否定したり、追い詰めたりしていませんか?
質問の内容や、方法、聞き方などには注意をしてください。

質問された側が、物怖じせずありのままを話せるよう高圧的な態度は取らないようにしましょう。

熱心に耳を傾ける

誰も話を聞いてないと感じる場合や、否定的な雰囲気の中ではありのままの気持ちを発言しようという気持ちはなくなってしまいます。
メンバーが発言するときは、体を発言しているメンバーの方に向け、相槌を打つなど話を受け止めていることを伝え、真摯に話に耳を傾けましょう。

しかし、反対意見を言えない・言わないのは「心理的安全性が高く、生産性も高いチーム」とは言えません。
1度相手の意見を受け止め、疑問に思うことや反対に思うことも相手に伝えるようにしてください。

相互理解を深める

心理的安全性を高めるためには、相互理解を深めることが重要です。
メンバーのパーソナルな部分、バックボーン、価値観を知ることで、どうのような思考で、行動、発言をしているかが理解できるようになります。

相互理解が深めることで「どうしてこの人はこんなことを言うのだろう」「どうしてこんな行動をするのだろう」という不信感を抱くことが少なくなります。
全て理解することは難しくても、その人のパーソナルな部分を、まずは受け入れることが大切です。

相互理解を深めるためには、日頃の何気ないコミュニケーションが大切になってくるのはもちろん、ゲームや研修などを用いるものおすすめです。

心理的安全性を高める研修についてはこちら

注意すること

馴れ合いの関係にしない

先ほども話したように、「仲がいい」「反対の意見が出ない」というのが心理的安全性が高いということではありません。

生産性を高めるためには、反対意見を言わなければいけない場面や、ディスカッションをしなければいけない場面もでてきます。
人の意見を否定せず一旦受け入れることと、反対意見を言わないことは違うのです。

心理的安全性の高いチームでは、後腐れなく異論も唱えることができるのです。

上司としての役割を大切にする

「メンバーがありのままを受け入れてくれるチーム」と思うと、リーダーもメンバーと距離が近く、メンバーに寄り添っているチームを想像するでしょう。
メンバーのパーソナリティーを理解し、発言を受け止めることはもちろん大切ですが、生産性の高いチームを目指すためには、時には上司・リーダーが異論を唱えたり、イノベーションを自ら起こさなくてはならない場合もあります。

ただ仲のいいチームにならないためには、リーダーがチームのバランスや現状をしっかり見極める必要があります。

まとめ

チームの生産性を高めるためには、心理的安全性は必要不可欠なものです。
しかし心理的安全性が高いということは「馴れ合いの関係」「ぬるま湯」ではないことを覚えておいてください。

心理的安全性を高めるために

  • リーダー自らが素直な発言を心がけサポートする
  • 質問の方法や話を聞く姿勢に気をつける
  • 相互理解を深める

ということなどに気をつけ、生産性の高いチームを作り上げてください。