テレワークになってから、日々のマネジメントがうまくいかなくなったと感じているマネージャーは多いのではないでしょうか?
出社時とテレワークでの勤怠打刻の方法や業務の流れ、社員とのコミュニケーション方法を変えずに運営してしまうと、組織がまわらなくなり業績悪化する可能性が高いです。
今回はテレワーク下でなぜマネジメントの課題を感じるのか解説しつつ、テレワークにあった新しいマネジメント方法やお役立ちツールについてご紹介します。
目次
コロナによってテレワーク実施企業が増えている
新型コロナウイルス感染防止対策のために、テレワークでの就業スタイルが定着してきました。
PCメーカーであるレノボ・ジャパンが、新型コロナウイルスが流行する前後でのテレワーク普及率を調査したところ、コロナ後にはテレワーク実施者数が2.6倍になったことがわかりました。
テレワークを取り入れる頻度は、週1回が7%、週2~3回が14%、週4~5回が13%とばらけた結果になりましたが、全体の約半数がテレワークを導入している結果となっています。
東京商工会議所が2020年9月末から実施した調査でも、テレワークの普及率は53.1%と高水準になっています。
製造業の作業者や、店舗での販売員など、どうしてもテレワークを導入できない業態以外は、テレワークを1度は取り入れているのでは?と受け取れる数値となりました。
テレワークにおけるマネジメントの手法とは?
非常に多くの企業で取り入れられるようになったテレワークですが、テレワークだと雑談が減ってしまったり、社員の様子がつかめなかったりと、さまざまな弊害が出てきます。
テレワークの課題の中でも、今回は「テレワーク下でのマネジメント」について焦点をあて、各企業の課題感や解決方法について掘り下げていきたいと思います。
そもそもマネジメントとは、何をすることなのか?
テレワークでのマネジメントの話に入る前に、そもそもマネジメントとはどのような役割があるのでしょうか?
マネジメントとう言葉を直訳すると、管理・経営という意味を持ちます。
マネジメントとは会社を運営する、組織を管理し人材育成するなど広義の意味を持ちますが、一般的にはピーター・ファーディナンド・ドラッカーが提唱した下記の文言がマネジメントの定義として認知されています。
【ドラッカーによるマネジメントの定義】
・マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
・マネージャー:組織の成果に責任を持つ者
マネジメントとは、組織に成果を上げさせるために用いるツールや組織の仕組み、機関のことであり、組織の成果に対して責任を持つのがマネージャーということになります。
参考:https://www.hito-link.jp/media/column/management
テレワークにおけるマネジメントの課題とは?社員が抱えるテレワークの悩み
テレワークでは、今まで通りのやり方で成果を上げることが難しく、マネジメントの手法を変える必要性があるでしょう。
テレワーク下で、実際にマネージャーや社員たちがどのような悩みを感じているのかまとめてみました。
離れて働く社員の様子が気になってオンラインでコミュニケーションを図るものの、オンラインならではの話しにくさや、1on1の進め方を決めていないなど準備不足で効果が出なかったパターンです。
マネージャーとして部下の行動管理をしっかりしようと取り組んだものの、意図とは大きく外れた結果が出てしまうケースです。
多くの社員は、テレワーク下で監視されることを嫌がります。
出社するときよりも長時間勤務になってしまったのに残業申請がしづらい、家に子どもやペットがいて、仕事を何度も中断しているなど、勤怠面での課題にマネージャーが気付きづらくなっているケースです。
このように、社員や組織そのものの状況把握の難しさ、テレワーク中のコミュニケーションの難しさ、勤怠管理の課題などが多く散見されています。
テレワークで効果的なマネジメントのポイントは?
テレワークでの働き方に効果的な、マネジメントのポイントはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは3つのポイントをご紹介します。
1. 社員の行動を監視せず、スケジュールは主体的に任せる
テレワークで部下の様子がわからないからと言って、無理やり監視をするのは逆効果です。
テレワークでさぼる社員は、オフィスに出社したときも大概さぼっているものです。
一口にテレワークと言っても、家の中に快適なデスクや椅子がある人、家だと家族がいて集中できない人、子育ての関係上で早朝や深夜に分けて予定を入れたい人など様々です。
個々の事情にあわせてルールを作るのは困難なので、基本的には行動予定は各自に任せることがポイントになります。
2. 成果を中心に評価する
テレワークでのマネジメントのポイントは、評価方法を成果中心に変更することです。
先ほどご説明した通り、テレワークでは行動予定は各自に任せる運営方法にしたほうがいいため、それにあわせて評価方法もアウトプットを中心に変えていくとよいでしょう。
3. 雑談を意識的に増やす
先ほど1on1がうまくいかなかった事例をご紹介しましたが、テレワーク中に取り組めるアクティビティやイベントなどを工夫して導入しながら雑談を減らさないよう意識しましょう。
オフィス環境では、偶発的な社員同士の出会いや雑談があるからこそ、社内コミュニケーションが高まり業務がスムーズになっていきます。
テレワーク下でも成果を出すためには、社員同士の気軽な雑談、コミュニケーションは欠かせません。
テレワークでのマネジメント成功事例
テレワークにおけるマネジメント方法で、独自の取り組みを行っている企業例を集めてみました。
事例を参考にしながら、ぜひ自社にも取り入れてみてください。
事例その1:テレワークツールにコストを投資
グループウェアや業務改善サービスの提供を行っているサイボウズでは、テレワーク中のコミュニケーションの質を高めるため、テレワークツールに投資をしています。
コロナ前から月に数回、在宅勤務をすることはあったものの、完全にテレワークに移行するとでリアルな場所でのコミュニケーションがなくなってしまうことに課題を感じていました。
そこで、Web会議ツールは極力遅延がなく通信環境が安定しているツールを選び、「ただつながればいい」という考えを捨てたそうです。
どうしても無料ツールだと品質が悪く、逆にコミュニケーションコストがかかってしまうため、「コミュニケーションの取りやすさ」を重視した有料ツールの選定を行っているそうです。
サイボウズ株式会社 https://seleck.cc/625
事例その2:1on1はタスク管理や相談の場
株式会社Gunosyでは、社員のタスク管理や相談の場として1on1を取り入れています。
ただ1on1を導入するだけだと、どうしても1on1での話題がタスクの進捗管理だけに偏ってしまう課題もありました。
そこで、1on1では「タスク管理とメンタリングを行う」と明確に目的をかかげ、それぞれの目的ごとに分けて運用するように変更しました。
実施する頻度も、社員の様子を見ながら個別に変更しながら、中長期的な目標や個人の理想的な状態についても会話するようにしています。
株式会社Gunosy https://seleck.cc/1258
事例その3:社員の心理的安全性を高める取り組み
リクルートホールディングスでは、社内メールマガジンをGoogleハングアウトでチャット共有しながら、テレワーク下でも社内コミュニケーションを活性化させています。
様々なバックグラウンドを持つ社員が、それぞれの場所でテレワーク就業をすると、どうしても相互理解の場や社風の浸透ができなくなっていきます。
社内コミュニケーションを増やし、リクルートならではのバリューズを社員が感じることで心理的安全性も高まり、EXも高まっていくと考え実施された施策です。
社内メールマガジンに載せる内容は、シンプルな社員インタビューだからこそ、どの企業でもすぐに取り入れられる施策と言えるでしょう。
株式会社リクルートホールディングス https://seleck.cc/1385
テレワークでのマネジメントにおけるお役立ちツールをご紹介
テレワーク中に社員を効率的にマネジメントしていくために欠かせない、お役立ちツールをピクアップしていきます。定番のものから、少しユニークなツールまで幅広く集めてみました。
ツールその1:タスク管理ツール・ビジネスチャットツール
まず最初にタスク管理ツールとビジネスチャットをご紹介します。
テレワーク中に社員の動きと、各自の仕事進捗が明確に分かるタスク管理ツールと、コミュニケーションをスピーディに行えるチャットツールは導入マストと言えるでしょう。
Backlog
チームで複数のプロジェクトを進める際のマネジメントに役立つタスク管理ツールです。
個々のスケジュール管理、進捗管理、チーム全体の動きなどリアルタイムに確認することができ、コメントのやり取りなどすべてBacklog内で完結します。
Slack
開発のスピード感があり、多くのテレワークツールと連携ができるSlackです。
エンジニアやIT系のベンチャー、スタートアップ企業などで導入されることが多いチャットツールです。
チャットワーク
メッセージやり取り・画像共有・タスク管理など機能面がシンプルな点が高評価のチャットツールです。
SlackやLINE WORKSほどスタンプや機能は多くないからこそ、メールの代わりに導入しやすく、中小企業に人気があります。
ツールその2:勤怠管理システム
続いて、テレワーク中の社員のコンディションを体系的に管理できる勤怠管理システムです。
テレワーク中に働きすぎの社員、またはさぼりすぎの社員がいないか、マネージャーがすぐに確認するためには勤怠管理システムでの勤怠管理は必要不可欠でしょう。
最近では、勤怠だけでなく、社員のコンディションや人事評価についても同じツールで管理できるようになっています。
jinjer
勤怠管理、人事管理、経費精算、給与計算、社員のコンディション管理など、テレワーク中に管理したい項目はこれ1つで行えるマルチなツールです。
ジョブカン
導入企業6万社以上、とくに中小企業は導入コストが無料で人気の高い勤怠管理システムです。
タッチオンタイム
勤怠打刻の方法が、ICカードや指認証、モバイル打刻など7つの方法から選べる画期的な勤怠管理システムです。
ツールその3:オンラインイベント・チームビルディングツール
テレワークにおいて成果を出すためには、チームビルディングや社内コミュニケーションが欠かせません。
忙しいマネジメント業務の中でも後回しになりがちな、コミュニケーション活性化ツールや、社員研修ツールをご紹介します。
バヅクリ
テレワーク中でも、効率的にチームビルディングを行い、組織活性化をサポートしてくれるツールです。
日々のマネジメントを行いながら、社員交流やチームビルディングのためのイベントを企画するのは困難ですが、バヅクリを使えば約50種類ものオンライン体験サービスを選ぶことができます。
Schoo
テレワーク中も動画視聴で社員教育、研修ができるツールです。
マネージャーが1人ひとりのカリキュラムを作る必要はないため手離れがよく、マネージャー自身にも役立つテーマの動画が定期配信されています。
まとめ
社員がそれぞれの場所で働くテレワーク環境では、今までとは全く異なるマネジメント方法を検討していかなくてはなりません。
テレワークに合わせた社員の評価方法や管理のしかた、コミュニケーションをとるツールを選び取り、効率的にマネジメントを行っていきましょう。