社員の自己実現とダイバーシティ推進のためのエンゲージメント向上施策
持続可能な企業成長のためのサステナビリティ人材育成
- 縦割りの組織構造により事業部同士のつながりが希薄になっており、柔軟なアイデアが生まれにくいことに危機感を持っている。
- サステナビリティ推進における、環境改善やダイバーシティの実現に向けた意識付けを行う研修を開発・実施したい。
- サステナビリティへの意識付けと、自由な発想でアイデアを生み出す機会を提供できた。
- サステナビリティ推進における”社員の自己実現とダイバーシティ”という重要課題に沿って、多様性を受け入れるためのマインドセットを醸成できた。
事業が持続可能であり続けるためにサステナビリティ推進体制を強化
まずは自己紹介をお願いします。
経営戦略本部サステナビリティ推進室、室長の奥野です。
全社的に持続可能な企業であり続けるための施策の考案、実行を行っています。
社内の人事や総務、知財など、さまざまな部門の皆さんと協力しながら、サステナブルな活動を推進するための施策運営や人材教育を担っております。
今年度は、サステナビリティ人材教育(※)として、グループ会社を含めた180名の社員を選抜したサステナビリティの教育と、自由参加型のワークショップの開催を行っています。
(※)パスコが社会に与える価値を理解し、経済、社会、環境に与える影響を理解しながら中長期的に持続可能な事業を構想できる人材の育成
サステナビリティ推進を始めた背景を教えてください。
パスコの事業は、インフラ設備の高寿命化や、森林保全・地球環境保全など、公共性の高い事業です。そのため専門の技術者がプロフェッショナルとして活躍していくような社風がありました。
ただ、この変化の大きな時代を乗り切るためには、社員の柔軟な意見を出し合える雰囲気を醸成し、そこから新しいアイデアや事業を生み出していくことを活発に行う組織にしていくべきだと感じていました。
そうした中で専門外のことに意見を述べたり、より柔軟な発想で変化にチャレンジすることに対し、専門性ということが逆に足かせになってしまっているのではないか、という危機感がありました。
こうした課題感や危機感を解決するために、サステナビリティ推進の取り組みをスタートをしています。
具体的にはどのようにサステナビリティ推進に取り組まれていますか?
パスコの事業が持続可能であり続けるために、3つのポイントでサステナビリティ推進体制を強化しています。
1つ目は、推進体制の整備です。サステナビリティ推進委員会を立ち上げ、全社的なサステナビリティを推進する専門組織を設置しました。この推進体制の整備には将来、次世代のパスコを担っていくサステナビリティ人材を育成するという大きなミッションも抱えています。
2つ目は、重要課題(マテリアリティ)の特定と推進です。パスコが持続可能であり続けるために取り組むべき重要課題の特定と、その重要課題の解決に向けた取り組みを推進しています。
3点目は、サステナビリティ活動の発信です。
今年からサステナビリティレポートの刊行を通して対外発信を強化しています。
そういった発信を行うことで、地域コミュニティ、株主、パートナーをはじめとするさまざまなステークホルダーとの関係強化を図っています。
取り組みの中で抱えている課題はありましたか?
パスコの事業は、公共性が高く社会貢献度の高い事業のため、従業員は社会の役に立つ仕事をしているという使命感を非常に強く持っています。
そういったモチベーションや、やる気といった部分を引き出していくのが重要と考えています。しかし、そのような思いを言語化する機会が少なく、意見がなかなか表に出てこない状態でした。
理由の一つは組織の構造が挙げられます。
パスコは事業部制となっており、同じ事業部に属している社員の間ではコミュニケーションが活発にありますが、事業部をまたいだコミュニケーションが生まれにくいという状態がありました。
さらに、在宅勤務が増えて、ますます社員の横のつながりが希薄になっていきました。
そういった環境で、新たなビジネスを創発していくことや、持続可能であり、中長期的な目線で事業を成長させていく視点で考えた時に、社員の意見が硬直的になってきて、新しいアイデアが生まれづらいという課題がありました。
社内コミュニケーションを創出する場を作っていかなければ、なかなか新しいアイデアが生まれないと考え、サステナビリティ人材教育を行ったり、社員が自由に参加できるワークショップの場を提供しています。
社員の多様なニーズに合わせたワークショップを実施
バヅクリを知ったきっかけを教えてください。
さまざまなスタートアップの企業がサービスのプレゼンテーションを行うピッチイベントで知りました。バヅクリのプレゼンを見て面白いコンテンツを備えている会社だと感じました。
他にはどんな印象を持ちましたか?
非常にエネルギッシュな会社だなというのが第一印象でした。
他社の事例として紹介いただいた社員の皆さんがオンラインでカレーを作るというイベントが印象に残っています。
オンラインであれだけ場を盛り上げ、参加者同士の一体感を生み出せるのが素晴らしいと感じたのと、参加者の皆さんの笑顔が非常に印象的でした。
また、非常に個性のある講師が揃っていて、それぞれが面白いと感じています。同じプログラムでも講師が違うと、良い意味で違った印象を持ちました。
導入する決め手となったポイントを教えてください。
バヅクリのワークショップやコンサルティングサービスが現状のニーズにマッチしていたことが最大のポイントです。
サステナビリティ人材教育を進めるにあたり、選抜した社員に対して上半期と下半期に1回ずつ研修を実施することと、社員自由参加型で在宅勤務の課題を解決していくようなワークショップを実行を実施すること、この2つの軸で取り組みを考えていました。
多様なニーズに合ったさまざまなワークショップのラインナップがあり、研修メニューを一緒に作っていけるパートナーとやっていきたいという思いがありました。
内製ではなく外部のパートナーを探したのはなぜでしょうか?
元々専門性の高い事業を展開していることもあり、専門の知見を持った方の力を借りていくという雰囲気が社内に根付いているためです。
マインドフルネスやグラフィックレコーディングなどのユニークなワークショップを内製で取り組むとなると、企画やファシリテーションの専門的な知見を持った方がおらず、満足度の高い取り組みが実現できないので。
実施プログラムの一覧
・多様性・相互理解ワークショップ
・ビジネスボイストレーニング「モテ声」基本編
・家事時短ワークショップ
・お坊さんが教えるマインドフルネス
・パパとママのための育児対話ワークショップ
・カーボンニュートラル未来予想ワークショップ
・親子で一緒に学べる防災ワークショップ
・さっと描くビジネスグラレコ講座
・プロMCが教えるヒアリングワークショップ
・MBAホルダーの漫画家が教える心を動かすPowerpoint講座
・お坊さんと体験する不安解消マインドフルネス
・心理カウンセラー監修 深層心理で自分と他者を理解する心理学チームビルディング
昨年度、実施した3種類のワークショップはどのように選びましたか?
サステナビリティ推進における”社員の自己実現とダイバーシティ”という重要課題に沿って、まず多様性を受け入れるためにどういったマインドセットが必要なのかの基本を理解するために『多様性・相互理解ワークショップ』を実施しました。
それとは別に、社員の横のつながりを増やしていき、在宅勤務ならではの社員が抱えている課題を解消するためのワークショップをやっていこうということで、社員のニーズが高いと思われる2つのテーマのワークショップを実施しました。
それが、『家事時短ワークショップ』と『ボイストレーニング』だったんですね。
仕事にダイレクトにつながるような知識やスキルではないですが、現代社会における新しい課題なのかなと思っています。在宅勤務をする中で、オンラインの会議が増えてきて、より相手に伝わりやすい発声をしたい、また、家事時短を実現してワークライフバランスを充実させたい、というニーズが非常に強いんだということがわかりました。
ご自身も参加されましたがいかがでしたか?
家事時短ワークショップでは、非常に実践的な内容が多く、自宅でも取り入れたりしました。
また、他の社員のアイデアが聞けたというのが大きかったと思っています。プライベートの過ごし方を話す機会がなかなかないので、そういった場を作れるというのは非常に重要だと感じました。
今年度の実施内容はどのように決めましたか?
昨年度の成果を踏まえて、今年度はサステナビリティ人材教育として10回のワークショップを実施する事にしました。
ワークショップのラインナップについては、バヅクリの豊富なプログラムの中から、私たちスタッフで社員のニーズを確認しました。「こういうワークショップを受けてみたい」「こういうワークショップだったら参加する」という意見をいただいて、それを参考にプログラムの選定をしました。
『カーボンニュートラル未来予想ワークショップ』は、御社向けに新たに開発させていただきましたが、どのような目的があったのでしょうか?
サステナビリティ人材教育研修として、前半と後半に3時間ずつ分けて実施をしました。前半は私たちサステナビリティ推進室のスタッフからパスコがなぜサステナビリティに取り組まなければいけないのか。また、社会的な背景も含めた説明や、中長期的にパスコがどんな企業価値を目指していくのかなどの話を中心に進行しました。
後半では、バヅクリさんにもご協力いただき『カーボンニュートラル未来予想ワークショップ』を実施しました。
我々が掲げている重要課題の中では、脱炭素循環型社会の実現を目指していくという大きなテーマを掲げています。
そのテーマに沿って、カーボンニュートラルというキーワードをもとに、パスコの事業に即したアイデアソンを実施したいというニーズがありました。
そのニーズに対してはバヅクリさんとも、何度も協議を重ねて、パスコの事業に照らし合わせた内容にカスタマイズをしました。
パスコの事業とは切り離して、脱炭素の視点でどんな事業があったらいいのかという非常に自由な発想で社員に考えてもらいました。
参加者の視野を広げるきっかけとなる研修に
参加者の反応はいかがでしたか?
『カーボンニュートラル未来予想ワークショップ』では、審査員として役員も参加したのですが、反応はとても良く、こんなに自由な発想でアイデアが出てくるんだということがまず第一声にありました。
そして、参加した役員の皆さんも脱炭素というテーマでとても面白い勉強ができた、有意義な時間を過ごせたとおっしゃっていました。
参加者の社員にとったアンケートでは、「また次も受けてみたい」「環境について身近なテーマで考えるきっかけとなった」と非常に好意的な反応をいただきました。
ほかのワークショップの反応はどうでしたか?
『多様性・相互理解ワークショップ』は自由参加で参加者を募り、社員99名に参加をいただきまして、アンケートは非常に好評でした。
自分と違う価値観の方と話し合うことで、「業務や話し方のヒントが得られた」「多様性を理解し合える企業風土をつくっていければ」という非常に前向きな答えをいただきました。
社員のニーズに応えられるパートナーと一緒に持続可能な社会の実現を目指す
導入後どんなメリットがありましたか?
参加者のアンケートを分析し、レポートを出してくれるので、これまで気付けなかったインサイトが可視化されたことにメリットを感じています。
内省の時にもアンケートはとっていたんですが、他業務で忙しいこともありきちんと分析ができていませんでした。
そういった部分を丸投げできるのもバヅクリに依頼する価値があったと感じています。
今後、どのようにバヅクリを活用していきますか?
まずは自由参加型のワークショップを実施し、社員の反応や声を確かめるというステップからスタートしました。
次のステップとして持続可能な社会の実現に向けたワークショップであったり、その会社ごとに抱えている課題に取り組む研修メニューにステップアップしていくことが重要と考えています。
ワークショップ後のアンケート結果では、参加者の9割以上が「また参加したい」再参加の意向を持っています。こうした声をスパイラルのように高めていきながら、次の研修に繋げて、活用することができると感じています。
最後に、これから組織改善に取り組む企業様へメッセージをお願いします。
サステナビリティ推進室として、社員の多様なニーズを汲み取っていくことが大切だと思っています。
そうした中で、マインドフルネスや家事時短ワークショップ、ボイストレーニングやグラフィックレコーディング、カレー作りなど、多様性のある社員のエンゲージメントを高める選択肢が豊富にあった方がいいと思っています。
それぞれの会社の社風であったり、事業課題によっても取り組むべきテーマが変わってくると思うので、そういった意味でバヅクリの豊富なプログラムの中から、自社に合うワークショップを選んで、自社のカスタマイズをしていく。そういうステップを踏むことが重要ではないかなと思っています。
いずれにしてもエンゲージメントを高めるということは、これからの企業にとって大切なことだと思いますので、そういう支援をいただけるパートナーと一緒に取り組んでいくのは重要なことだと考えています。
東京都目黒区に本社を置く、航空測量、空間情報事業および建設コンサルタント事業を行う大手企業
https://www.pasco.co.jp/
国内外の空間情報の収集や加工、空間情報サービス事業