ビジネスパーソンであれば誰もが一度は考える「出世」。その階段を誰よりも早く駆け上がる人たちには、一体どのような共通点があるのでしょうか?

本記事では、組織づくりや人材育成に携わる方に向けて、YouTubeチャンネル「エンゲージメントラボ」で行われた対談の内容をもとに、“最速で出世する人”の共通点を5つに整理してお届けします。

今回は、株式会社キープレイヤーズ代表であり、70社以上にエンジェル投資を行い、4000人以上の経営者を支援してきたキャリアコンサルタント・高野英俊氏と、組織開発と人材育成のプロであるバヅクリ株式会社代表の佐藤太一氏をゲストに迎え、「早く出世する人の特徴」について掘り下げました。

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早く出世する人の5つの共通点

対談の中で挙げられた、早く出世する人に共通する重要な要素は、

  • 「上司の期待」に100%応えられる人
  • 全体感が見えている人
  • 最後までやり切る人・すぐやる人
  • 気づく・気配り・先読みできる人
  • 自分の仕事をこなし変革力のある人

の5つでした。
ここからは、5つの共通点ごとの対談内容とポイントについてご紹介していきます。

「上司の期待」に100%応えられる人

高野氏:
「出世している人の共通点は、上司の期待に100%応え続けていることです。多くの方が“会社のために良かれと思ってやったこと”を重視しがちですが、それが上司の意図や期待とズレているケースは少なくありません。」

そのために不可欠なのが、「期待値のすり合わせ」だと高野氏は言います。

高野氏:
「目標設定が曖昧な会社ほど、上司との対話が必要です。『今、何を期待されていますか?』『これで合っていますか?』と主体的に確認できる部下は、評価されやすいです。」

佐藤氏もこの意見に共感し、「期待に応え続けることで“信頼のクレジット”が積み上がる」と表現。信頼の蓄積が新たな挑戦の機会を生み、結果として出世へとつながるのです。

ポイント3つ

・組織においては「自己判断」よりも「上司の期待」に応える姿勢が信頼を生む
・評価される人材は、期待値の“確認”と“実行”を繰り返している
・1on1や報連相で「意図のズレ」を解消する習慣が鍵

全体感が見えている人

佐藤氏:
「出世する人は、目の前の業務だけでなく、全体の業務フローや関係部署の動きを把握している。自分だけのKPIにとどまらず、“全体最適”を見据えて動ける人は、上司から見ても非常に頼りになります。」

高野氏:

「たとえば営業職でも、商品企画・マーケティング・納品フローまで把握している人って、強い。そういう人が“任される側”になるんです。」

“自分の仕事だけできる人”は今や標準ライン。自部門の外のプロセスや影響範囲まで把握し、「組織全体でどう最適化するか」を考えて動いている人材が重宝されるといいます。

ポイント3つ

・出世する人は「自分のKPI」だけでなく「全体の業務構造」を理解している
・他部門との連携意識が高く、結果として“任される人材”になる
・マネジメント候補者には「上流と下流の流れを見通す力」が不可欠

最後までやり切る人・すぐやる人

高野氏:
「多くの経営者が悩んでいるのは、“やり切らない社員”です。プロジェクトが中途半端に終わる、タスクが途中で止まってしまう。この“完遂力”の欠如は致命的です。

出世する人は“すぐやって、やり切る”。たったこれだけで、上司や経営層の信頼を得ています。」

佐藤氏:

「グリット(やり抜く力)ってやっぱり重要で、特に成果が出るまでやる姿勢が評価される。あとは“着手が速い人”も抜擢されやすいですね。」

「今日やるべきことをやらずに帰る」姿勢は、評価以前に信頼を失います。逆に、グリット(やり抜く力)を持つ社員には、「新しい仕事を任せたくなる」と高野氏は語ります。

ポイント3つ

・「途中でやめない」は最大の信頼獲得ポイント
・完了基準を自ら明確にし、やり切るまで動く姿勢が評価される
・若手で差がつきやすいのは「スピード」よりも「最後までやり切れるかどうか」

気づく・気配り・先読みできる人

佐藤氏:
「IT系やメガベンチャーで出世する人の共通点は“気づき力”です。『このやり方、非効率では?』『なぜこんな手順を踏んでるの?』と疑問を持ち、改善提案ができる人は強い。」

「その違和感が“変革”の第一歩。変化を起こせる人材は、組織にとって欠かせない存在になる」

高野氏:

「改善に気づく力って、変革にもつながります。“なぜこうなんだろう?”という問いを持てる人は、常に周囲と違う景色を見てますよね。」

佐藤氏:

 「段取りができる人は、周囲への気配りと事前準備がセットになっている。こうした人は上司からも高く評価され、チームの潤滑油として活躍しています。」

ただ言われたことをやるのではなく、「気づいて」「配慮して」「先回りする」人が組織を支える。現場の細かな改善点、他者の状況への配慮、次の課題への準備。これらはすべて“次のマネージャー候補”に求められる力だと語りました。

ポイント3つ

・「前例通り」「慣習的」に流されない「なぜ?」に気づける感性
・上司や他部門に“先回りして動ける”ことで経営者に重宝される
・「頼られる存在」は肩書きに関係なく影響力を持つ

自分の仕事をこなし変革力のある人

最後に挙がったキーワードは「変革力」。

高野氏:
「自分のルーティン業務は当たり前にこなした上で、『何かを変える』『改善する』という視点を持つ人。100点ではなく、120点のアウトプットを目指す姿勢が、結果的に出世につながります。」

佐藤氏:
「業務改善を“自分ゴト”として捉えられる人は、評価されるスピードも早いです。周囲が驚くような変革って、現場発で生まれることが多いですしね。」

「与えられた業務を100点で終える」ことは前提条件。その上で、業務プロセスそのものを見直したり、周囲を巻き込んで“変化”を起こせる人材が、次世代リーダーに選ばれていきますと語りました。

ポイント3つ

・上司や他部門に“先回りして動ける”ことで業務が円滑になる
・気配り×段取り×行動の掛け算が、信頼のレバレッジを生む
・「頼られる存在」は肩書きに関係なく影響力を持つ

明日から実践できる“出世力”の磨き方

この対談では、多くの「出世する人材」の共通点が明かされました。振り返ると以下のようなキーワードが並びます。

  • 「上司の期待」に100%応えられる人
  • 全体感が見えている人
  • 最後までやり切る人・すぐやる人
  • 気づく・気配り・先読みできる人
  • 自分の仕事をこなし変革力のある人

紹介した5つの特徴は、特別な才能ではなく、日々の仕事の中で「意識して訓練できる」行動特性です。では、どうすればそれを身につけていけるのでしょうか?

佐藤氏:

「まずは“評価されている人”を真似る。これに尽きると思います。なぜその人が評価されているのかを観察して、自分に足りない部分を埋めていく。」

高野氏:

「真似っていうのは“上辺”じゃなくて、“徹底的に”やるんです。スポンジのように吸収できる人は成長が早いですね。むしろ、自分の殻にこもる人は損をしてます。」

佐藤氏も「プライドや経験を一度“アンラーニング”して、自分の固定観念を外すことが大切」と補足しました。

「徹底的に真似る」「学び直す」「ズレを修正する」姿勢が重要と語りました。

評価されている人の行動を観察し、なぜその行動が評価されるのかを内省し、自分の業務に落とし込む──。これを継続できる人が、信頼され、抜擢され、出世していくのです。

おわりに

今回の対談は、「出世とはスキルだけで決まるものではない」という示唆に富んでいます。

組織の中で信頼を積み上げ、視野を広げ、成果を出し続けられる人が評価される──。それは、大企業でもスタートアップでも共通の原理かもしれません。

ぜひ、自身のキャリア形成や社員育成のヒントとしてお役立てください。

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