「タレントマネジメントを導入したいけれど、何から始めればいいかわからない」「他社がどうやって成功させたか知りたい」など、そんな悩みを持つ方に向けて、この記事ではタレントマネジメントの基本から国内企業の具体的な成功事例、導入ステップ、運用のコツまでをわかりやすく解説します。

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タレントマネジメントの基本と注目される理由

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりが持つスキルや経験、キャリア志向などの情報を一元的に管理・活用し、採用・配置・育成・評価までの人事プロセスを戦略的に結びつける人材マネジメント手法です。

「タレント」とは英語で「才能・素質」を意味し、タレントマネジメントにおいては「自社の事業成長に貢献しうる人材」全般を指します。特定の優秀層に限らず、全社員の潜在能力を最大限引き出すことを目的としている点が特徴です。

もともとは1990年代後半にアメリカで注目され始めた概念で、マッキンゼーが提唱した「War for Talent(人材獲得競争)」が広まるきっかけになりました。日本では2010年代以降に本格的に導入企業が増え、近年では人的資本経営の流れとあわせて急速に普及しています。

タレントマネジメントが注目される理由

なぜ今、これほど多くの企業がタレントマネジメントに取り組んでいるのでしょうか。その背景には、大きく4つの変化があります。

労働市場の変化

(参照 : 国土交通白書 2024)

国土交通白書 2024によると、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年に8,726万人(総人口比69.5%)でピークを迎えた後、一貫して減少を続けており、2023年10月時点では7,395万人(総人口比59.5%)まで落ち込んでいます。約30年で1,300万人以上が失われた計算です。

(参照 : 国土交通白書 2024)

もうひとつ深刻なのが、就業者の高齢化です。全産業で55歳以上が31.9%を占める一方、29歳以下はわずか16.7%にとどまっており、今後の大量退職と若年層の減少が重なることで、担い手不足の深刻化が避けられない状況です。

つまり「採用を増やすだけで成長できる」時代は終わり、今いる人材のスキルや潜在能力を最大限引き出すことが企業の成長に直結する時代になっています。これがタレントマネジメントが注目される、大きな理由のひとつです。

経営戦略・法制度の変化

(参照 : 人的資本に関する開示状況の分析(2025年3月期有価証券報告書))

2023年から、証券取引所に上場している企業(約4,000社)は、有価証券報告書に「人材育成の方針」や「女性管理職比率」「男性育休取得率」などを記載することが義務になりました。つまり、人材への取り組みを投資家や社会に対してきちんと説明する義務が生まれたのです。

この義務化は、企業の行動を確実に変えています。PwC Japanグループの人的資本に関する開示状況の分析によると、女性管理職比率について実績と目標の両方を開示している企業の割合は、義務化前の74%から82%へと増加しました。制度が変わることで、企業の人材戦略の「見える化」が着実に進んでいることがわかります。

さらに、2026年3月期以降は「経営戦略と連動した人材戦略」や「給与の決定方針」まで開示が求められる方向で検討が進んでいます。こうした流れのなかで、社員のスキルや育成状況をデータで把握・管理できていない企業は、そもそも開示に必要な情報を集めることすら難しい状況です。タレントマネジメントは、法制度への対応という観点からも、今や避けては通れない取り組みになっています。

テクノロジーとスキルの進化

(参照 : AI 時代のデジタル人材育成)

AIやDXの急速な進展により、企業が社員に求めるスキルが大きく変わりつつあります。独立行政法人 情報処理推進機構のAI 時代のデジタル人材育成によると、DXを推進する人材が「不足している」と答えた日本企業はなんと85.1%にのぼります。米国(23.8%)やドイツ(44.6%)と比べて圧倒的に高く、日本のデジタル人材不足の深刻さが際立っています。

(参照 : AI 時代のデジタル人材育成)

さらに問題なのは、不足を認識しながらも育成に取り組めていない点です。人材育成の施策を「とくに支援していない」と答えた日本企業は36.6%で、米国(1.0%)・ドイツ(1.9%)とは大きな差があります。

この状況はAIの進化によってさらに加速します。世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート2025」は、2030年までに現在の総雇用の22%規模で雇用構造が変化すると予測しており、AIやビッグデータ関連の職種が急成長する一方で、既存スキルの重要性が急速に低下していきます。

つまり「今持っているスキルが数年後も通用する」という前提が崩れつつあるのです。社員が今どんなスキルを持っていて、次に何を学ぶべきか。それを常にアップデートし続ける仕組みが、タレントマネジメントです。

従業員の価値観の変化

(参照 : 「大企業で働く若手・中堅社員のキャリア形成に関する意識調査」)

「一つの会社で定年まで」という働き方への意識が、若い世代を中心に大きく変わってきています。産業雇用安定センターが2024年7月に大企業勤務の26〜35歳の総合職800人を対象に行った、大企業で働く若手・中堅社員のキャリア形成に関する意識調査では、「他社に転職したい」と答えた若手・中堅社員が42.4%にのぼり、「今の会社に定年までいたい」の51.4%と拮抗する結果となりました。約2人に1人が転職を視野に入れているのです。

キャリアへの意識も変化しています。希望する働き方として最も多かったのは「昇進等にこだわらずに働きたい」(49.4%)で、次いで「専門職・スペシャリストとして活躍したい」(28.3%)でした。出世よりも、自分らしいキャリアや専門性を重視する傾向が鮮明です。

社員が「この会社でキャリアを描けない」と感じた瞬間、離職の選択肢がリアルになります。個人のキャリア志向を把握し、成長の機会を提供する仕組みとしてのタレントマネジメントは、いまや優秀な人材を定着させるための重要な手段になっています。

タレントマネジメントによって得られるメリット

組織の生産性が上がる

タレントマネジメントを導入すると、どの部署にどんなスキルを持った人材がいるかが一目でわかるようになります。新規プロジェクトのアサインや部署異動の検討も、これまでの「なんとなくこの人かな」という感覚頼りから、データに基づいた判断へと変わります。ミスマッチが減れば、チーム全体のパフォーマンスは自然と向上し、それが組織全体の生産性アップへとつながるのです。

優秀な人材の離職を防ぐ

優秀な人材が辞める理由に「自分の力が正しく評価されていない」「キャリアの見通しが持てない」という不満があります。タレントマネジメントでは、個人のスキルや実績を客観的なデータで評価し、一人ひとりに合った育成計画やキャリアパスを提示することができます。従業員が「この会社で成長できる」と感じられる環境をつくることで、転職を検討するきっかけそのものが減ります。

次世代リーダーを早期に見つけられる

タレントマネジメントが注目される背景に、後継者不足があります。タレントマネジメントでは、将来のリーダー候補となる「ハイポテンシャル人材」をデータに基づいて早期に特定し、計画的な育成を進めることができます。上司の勘や経験則だけに頼らず、客観的な基準でリーダー候補を発掘・育成できるのは大きなメリットです。

タレントマネジメントの成功事例

タレントマネジメントは、導入の目的や抱える課題によって、取り組み方も成果も大きく異なります。ここでは、業種も規模も異なる5社の事例を紹介します。自社の課題に近い事例を参考に、取り組みのヒントを見つけてみてください。

日産自動車

(画像引用 : 日産自動車ホームページ)

課題:グローバルで活躍できる日本人ビジネスリーダーが育っていない

海外展開を加速させてきた日産自動車では、気づけばグローバルで活躍できる日本人リーダーが不足するという課題が生まれていました。1999年のルノーとのアライアンス開始以降、グローバルでの適材適所を推し進めた結果、海外販売拠点でビジネスを牽引できる日本人リーダーとその後継者が気づけば減少していました。若手から経営層まで一気通貫で育成するプログラムはなく、「まだ早すぎる」と若手の抜擢をためらう社内の風潮も重なり、次世代リーダーの育成は手つかずのままだったのです。

解決策:若手から経営層まで一気通貫で育成する独自プログラムの設計と運用

この課題を解決するために2015年から始まったのが、「JBLP(Japan Business Leadership Development Program)」です。育成コンセプトは「3E Action」と呼ばれる3つの柱で構成されています。

Experience(経験)
常に実力より1〜2レベル高い仕事が与えられ、部門横断のローテーションと海外現場経験が必須
Exposure(経営陣への露出)

他部門の役員がメンターとしてつき、役員会議でも育成の議論を実施

Education(教育)

「上が下を育てる」をコンセプトに、社内勉強会やコミュニティ活動を展開

結果として、JBLP人財は開始当初の約3倍に増加。役員や主要ポストへの登用事例も数多く生まれており、部門を超えて人を送り出し迎え入れる風土と、リーダーがリーダーを育てる文化が社内に定着しつつあります。

キリンホールディングス

(画像引用 : キリンホールディングス)

課題:人材情報が社内に散在し、データに基づいた育成・配置ができていない

キリングループでは、人材情報が複数のシステムや担当者のExcelに点在しており、事業所・部門ごとに把握している情報にばらつきがあるという課題を抱えていました。データが集約されていないため、「どこに、どんなスキルを持った人材がいるか」を全社レベルで把握することが難しい状況だったのです。

解決策:タレントマネジメントシステムの導入で人材情報を一元化

この課題を解決するため、キリンホールディングスはタレントマネジメントシステム「COMPANY Talent Management」を導入。本人のスキル・経験・キャリア志向などの人材情報をまとめて管理・可視化できる体制を整えました。これにより、マネジメント層が従業員の特性やスキルレベルをデータで把握し、より質の高い育成計画が立てられるようになっています。職種ごとに求める人材要件も可視化されたことで、「なんとなく」だった異動・配置の意思決定が、根拠のあるものへと変わりつつあります。

さらにキリンHDでは、「機能軸のタレントマネジメント」という独自の取り組みも推進しています。営業・マーケティング・R&D・デジタルICTなど全12の機能ごとに育成計画と配置を設計し、従業員が自分の意志で専門領域を選び、主体的にキャリアを積めるような仕組みづくりを進めています。

富士通

(画像引用 : 富士通)

課題:育成が人事部門任せで次世代の経営リーダー候補が育っていない

従業員数12万人超を抱える富士通では、将来の経営を担うリーダーをどう育てるかが長年の課題でした。育成は人事部門が主導するものという空気があり、候補者本人にも「あなたは選抜されている」と伝えない運用が続いたのです。自分が候補者だと知らなければ、当然成長への意欲も上がりません。さらに、上位の役職層の育成に注力するあまり、その下の本部長クラスが指示待ちの中間管理職になりつつあるという問題も出てきていました。

解決策:年齢層ごとにリーダー候補を選抜し、実践型の育成プログラムを導入

こうした状況を変えるため、2014年からリーダー育成の仕組みを本格的に整備。2024年からは育成の中心を本部長クラスに移し、20代後半から40代前半まで幅広い年齢層から約300人をリーダー候補として選抜・管理する体制を整えました。また2021年からは候補者本人への選抜通知を開始し、「自分はリーダー候補である」という自覚を持って成長に取り組める環境にしています。

育成の柱は「タフアサインメント」です。経営リーダーに必要な経験を10項目定義し、あえて難しいポジションに配置することで、判断力や問題解決力など、リーダーとして必要なスキルを実際の業務の中で身につけていきます。また経営者自身が候補者の育成に直接関わることで、次世代育成を「人事に任せきりにしない」という意識を組織全体に根づかせています。

ソフトバンク

(画像引用 : ソフトバンク)

課題:事業は急拡大しているのに、人材の育成・配置の仕組みが整っていない

ソフトバンクはPC・ソフトウエア事業から出版、インターネット、モバイル、AIと、時代に合わせて事業を大きく変化させてきた企業です。人材育成には以前から力を入れてきましたが、社員の情報が人事部門の中だけに留まっており、各部門が「この人をこのポジションに」と判断しようとしても、必要な情報を揃えようとするだけでも多大な手間がかかるという状況でした。

解決策:社員が自ら動ける育成文化の構築と、人材情報の全社共有

この課題を解決するために取り組んだのが、2つの施策です。

ひとつは、社員が自ら手を挙げて参加する育成の仕組みづくりです。社内認定講師制度では、スキルを持つ社員が自ら講師として登録し、日常業務に直結した研修を社内で実施します。現在100人以上が登録し、社内研修の約8割をまかなっています。また社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」では、社員が新規事業のアイデアを提案し事業化に挑戦できる仕組みで、累計21件が事業化されました。

もうひとつは、2021年に導入したタレントマネジメントシステム「タレントパレット」です。それまで人事部門の中だけに留まっていた社員情報を、現場の声をもとにボトムアップで整備し、スキル・経験・キャリア目標を全社で共有できる基盤を整えました。導入後は社内の人材情報をもとに国産クラウド開発の担い手を社内公募したところ想定を大きく上回る応募が集まり、100人超がリスキリングを経て新部門へ異動するといった成果も生まれています。

Sansan

(画像引用 : Sansan)

課題:採用ペースが速すぎて、人事管理の仕組みが追いついていない

名刺管理サービスや請求書受領サービス「Bill One」を展開するSansanは、3年で社員数が倍になるほどの勢いで成長してきた企業です。採用は増える一方で、入社した社員にミッションや価値観をきちんと浸透させる仕組みが整っておらず、人事に関するノウハウもデータとして蓄積できていませんでした。また部門ごとにバラバラのシステムを使っていたため、情報の整合性が取れず管理に手間がかかるという問題も抱えていました。

解決策:人事データを一本化し、全社で活用できる基盤をつくる

IT部門と人事部門が共同でプロジェクトを立ち上げ、人事システム「Workday」の本番運用を要件定義から5ヶ月で開始し、採用・入社・異動・退職といった人事イベントのデータをひとつのシステムで管理できるようにしました。これまで手作業だった事務処理の多くが自動化され、業務負担が大きく減少。さらにこのシステムを基点に他のツールと連携させることで、現場のエンジニアが自ら名簿作成や工数管理に活用するなど、人事データが全社で使われる状態になっています。

現在は採用からオンボーディング、育成、エンゲージメントまでをデータでまとめて管理できるようになり、社員一人ひとりの強みに合わせた成長支援が可能に。「強みを活かし、成果を出す」というバリューのもと、社員の強みを言語化・データ化しています。

導入から運用開始までの具体的なステップ

タレントマネジメントを成功させるには、システムを導入するだけでなく、目的の設定からデータの収集・活用までを一連の流れとして設計することが重要です。ここでは、スムーズに運用を立ち上げるための4つのステップを順番に解説します。

目的とゴールを決める

タレントマネジメントで最初に決めるべきことは「何のために導入するか」です。「次世代リーダーを育てたい」「離職率を下げたい」「人材配置の精度を上げたい」など、目的は企業によってさまざまです。

目的が曖昧なまま進めると、データを集めること自体が目的になってしまう「手段の目的化」に陥りがちです。経営戦略や事業課題と照らし合わせながら、タレントマネジメントで解決したい課題を具体的に言語化しましょう。

運用のルールと項目を設計する

何のデータを、どんな基準で集めるかを設計します。スキル・職歴・資格・評価・キャリア志向など、必要な情報の項目を決め、入力や更新のルールを整備します。

ここで重要なのは「使われる仕組みにすること」。項目が多すぎると社員の負担になり、形骸化のリスクが高まります。まずは優先度の高い情報から始め、運用しながら徐々に拡充していくアプローチが現実的です。

データを集めて見える状態にする

設計したルールに基づき、実際にデータを収集・蓄積します。タレントマネジメントシステムを活用すると、散在していた情報をまとめることができ、経営層や管理職が必要な情報にすぐにアクセスできる状態を作れます。

データが「見える状態」になることで、人材配置や育成計画の検討が、感覚ではなくエビデンスに基づいて行えるようになります。

現場で活用し、改善を繰り返す

システムを導入しても、実際に現場で使われなければ意味がありません。人事部門が一方的に管理するだけでなく、管理職や現場社員が日常業務のなかで活用できる場面を増やしていくことが大切です。

運用を続けながらデータの精度を高め、課題が出てきたら柔軟に設計を見直す。このPDCAサイクルを地道に回し続けることが、タレントマネジメントを組織に定着させる鍵になります。

成功させるためのポイント

タレントマネジメントの導入事例を見ると、成果を出している企業には共通した取り組みがあります。システムの選定や機能の充実よりも、「どう運用するか」「どう社員に浸透させるか」が成功を左右する大きな要因です。ここでは、導入を形骸化させずに成果につなげるための重要なポイントを解説します。

導入の目的を明確にし、全社に発信する

タレントマネジメントは人事部門だけで完結するものではなく、経営層・管理職・現場社員すべてが関わる取り組みです。「なぜ導入するのか」「何を変えたいのか」を明確にしたうえで、全社に丁寧に発信することが不可欠です。

目的が共有されていないと、現場は「また新しいシステムが増えた」と捉え、データ入力を義務として感じてしまいます。逆に目的が腹に落ちていれば、自発的な協力を引き出しやすくなります。

現場社員の納得感を引き出す

タレントマネジメントへの現場の抵抗感でよくあるのが「自分の情報が管理・監視されるのでは」という不安です。この不安を解消するには、データが「管理のため」ではなく「個人の成長やキャリア支援のため」に使われることを、言葉と行動の両方で示すことが重要です。

また、制度や仕組みを整える前段階として、まずワークショップなどを通じてメンバー同士がお互いのスキルや強みを知り合う機会をつくることも、現場の納得感を引き出す有効なアプローチです。

おすすめワークショップ : タレントマネジメントワークショップ

タレントマネジメントの導入に向けて、まず社員同士がお互いの強みや経験を知り合うところから始めたい方には、「タレントマネジメントワークショップ」がおすすめです。

本プログラムは自分のやりたいことや役に立っていることを可視化・共有することで、メンバー同士がスキル・経験・興味関心で補完し合える関係をつくります

これまで見えていなかった社員一人ひとりの強みや経験が可視化され、適材適所の配置や社内連携のヒントが得られます。また、お互いの得意を活かし合う補完関係が生まれることで、チームの心理的安全性やエンゲージメントの向上にもつながるプログラムです。

常に最新のデータが集まる仕組みを整える

タレントマネジメントで最も陥りやすい問題の一つが「データが古くなる」ことです。入社時に登録した情報がそのままになっていたり、担当者が変わるたびにデータ管理が途切れたりすると、現状を正確に把握できなくなります。

データの更新ルールを明確にし、人事システムと連動した自動更新の仕組みを整えることが重要です。

運用を改善し続ける

タレントマネジメントに「完成形」はありません。事業環境や組織の状況は変化し続けるため、定期的に運用状況を振り返り、必要に応じてルールや項目を見直すことが重要です。

「やりっぱなし」にならないよう、四半期ごと・半年ごとといったサイクルで振り返りの場を設け、現場からのフィードバックを運用改善に反映する仕組みを作りましょう。

運用をスムーズにするための3つの工夫

タレントマネジメントは、導入後の運用こそが成否を分けます。せっかく仕組みを整えても、現場に定着しなければデータは蓄積されず、活用にもつながりません。ここでは、運用を継続させるために特に効果的な3つの工夫を紹介します。

社員の負担を軽くする

タレントマネジメントが形骸化する最大の原因は「入力が面倒くさい」ことです。項目が多すぎたり、入力インターフェースが使いにくかったりすると、更新が滞り、データの質が落ちていきます。

対策としては以下が効果的です。

  • 入力項目を必要最小限に絞る
  • 既存の人事・給与システムと連携して自動入力にする
  • モバイルからでも更新できる使いやすいUIのシステムを選ぶ

「社員が自然に使いたくなる仕組み」を意識して設計しましょう。

数値化できない情報も収集する

スキルや資格などの定量データだけでなく、「本人が望むキャリア像」「仕事へのモチベーションの変化」「職場の人間関係の満足度」といった定性的な情報も重要な人材データです。

こうした情報は、アンケートやシステムで自動収集できるものではありません。上司との1on1や定期的な面談を通じて、日頃から丁寧に拾い上げていく地道な取り組みが欠かせません。

数字だけで人を判断すると、「評価は高いのになぜか離職した」「異動させたら急にパフォーマンスが落ちた」といったミスマッチが起きがちです。定性情報をデータとして蓄積し、定量情報と組み合わせることで、はじめて「その人らしい」育成支援と配置が実現できるようになります。

フィードバックを行う

タレントマネジメントのデータは、人事部門が閲覧するだけでなく、本人や管理職へのフィードバックに活用してこそ価値が生まれます。

「あなたにはこういう強みがある」「次のキャリアステップとしてこんな選択肢がある」という形で本人に伝えることで、従業員のエンゲージメントが高まり、主体的なキャリア開発につながります。定期的な1on1面談やキャリア面談の場で、タレントマネジメントのデータを活用する習慣を根づかせましょう。

まとめ

タレントマネジメントは、労働市場の変化・経営環境の変化・テクノロジーの進化・従業員の価値観の変化という4つの大きなトレンドを背景に、今や企業の成長に欠かせない人材戦略です。

大切なのは、タレントマネジメントを「人材を管理する手段」としてではなく、「一人ひとりの力を最大限に引き出し、組織と個人が共に成長するための仕組み」として捉えることです。

導入にあたっては完璧な準備を目指す必要はありません。まずは目的とゴールを明確にして、小さく始めてみることをおすすめします。運用を続けながら改善を重ねていくことで、自社に合ったタレントマネジメントの形が見えてきます。

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