アンガーマネジメントとは、怒りの感情を上手にコントロールするスキルのこと。
ハラスメント防止や職場のコミュニケーション改善に役立つとして、近年はアンガーマネジメント研修が注目を集めています。
しかし、「多岐にわたる研修サービスの中からどれを選べばよいか分からない」という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、アンガーマネジメント研修の基礎知識と、研修タイプ別の選び方を解説します。
アンガーマネジメント研修とは

アンガーマネジメント研修は、「怒りをなくす」スキルではなく、「怒りと上手に付き合う」スキルの獲得を目指す研修です。
怒りが発生するメカニズムを分析・理解し、適切にコントロールするスキルを習得します。
アンガーマネジメント研修の目的
アンガーマネジメント研修の目的は、職場で怒りの感情をコントロールし、適切な形で表現・対処するスキルを身につけることにあります。
従業員一人ひとりがアンガーマネジメントを身につけると、怒りの感情にも冷静に対処できるため、人間関係の改善やパワハラのリスク低下など、職場にポジティブな影響が多くあります。
今なぜアンガーマネジメントが注目されているのか
アンガーマネジメント研修が注目されている背景には、いくつかの社会的変化があります。
「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「過去3年間にパワハラを受けた」と答えた労働者は19.3%と、職場のパワハラが深刻な社会問題となっています。
そうした社会の流れを受けてパワハラ防止法が施行され、2022年4月以降、中小企業でも職場におけるパワハラ防止措置の実施が義務となりました。
その中でアンガーマネジメント研修の実施が、ハラスメントを未然に防ぐための「望ましい取組」として厚生労働省からも推奨されています。
また近年は、リモートワーク普及によってコミュニケーションのすれ違いが増加しています。
さらに、心理的安全性への関心も高まっており、それに伴って自分の意見を適切に伝えるスキルの重要性が増しています。
その中で、自分の感情をコントロールし、コミュニケーションを円滑にするスキルとして、アンガーマネジメントの注目度が高まっています。
アンガーマネジメント研修が企業にもたらす効果

ここではアンガーマネジメント研修が企業にもたらす効果を解説します。
ハラスメント防止・リスク低減
「部下を感情的に怒鳴りつける」といったパワハラ行為が社内で行われることは、当事者や周囲の人だけではなく企業にとっても大きなリスクです。
管理職に対してアンガーマネジメント研修を実施することで、部下に対して怒りの感情が高まったときにも、適切にコントロールできるようになります。
職場のコミュニケーション改善
職場での感情的な衝突が減ることで、職場のコミュニケーションが改善されるのも大きなメリットです。
チームの中で建設的な対話が生まれやすくなるほか、部下は「怒られるかもしれない」と恐れることなく上司に相談・報告できるようになり、情報共有がスムーズになります。
社員のメンタルヘルス向上
怒りを溜め込んでしまう従業員にとっても、アンガーマネジメントは有効です。
感情を適切に表現する方法を学ぶことで、ストレスが蓄積しにくくなり、メンタルヘルスの改善につながります。
顧客対応品質の向上
クレーム対応時、お客様からの言葉に感情的に反応してしまったり、メンタルヘルスを悪化させてしまったりすることも、企業においてはリスクです。
アンガーマネジメントのスキルを身につけると、顧客から理不尽なことを言われても冷静に対処できるようになり、顧客満足度の向上・精神的消耗の防止につながります。
アンガーマネジメント研修の3つのタイプ

研修会社を選ぶ際には、研修の形式の違いやメリットを理解することが大切です。
自社の課題や目的に合った研修のタイプを選ぶことで、研修の効果を最大化できます。
ここではアンガーマネジメント研修の3つのタイプを紹介します。
実践重視・体験型
参加者同士の対話やワークショップを中心に、実践的にスキルを身につけるタイプの研修です。
座学だけでなく、自分の怒りのパターンを振り返ったり、グループで議論したりするため、行動変容につながりやすいのが特徴です。
「座学だけでは物足りない、行動変容を重視したい」「受講者同士の対話・交流も促進したい」「パワハラ防止だけでなく、職場のコミュニケーション改善も目指したい」といった企業におすすめです。
専門資格・体系的理論型
アンガーマネジメントの専門機関や資格団体が提供する、体系化されたアンガーマネジメントの理論を学習できるタイプの研修です。
アンガーマネジメントを理論的な裏付けに基づいて学びたい人や、社内でアンガーマネジメントを教えられる講師を育成したい企業に向いています。
「体系的・専門的な知識を習得させたい」「社内でアンガーマネジメントを教えられる人材を育成したい」「資格取得と連動した研修を実施したい」といった企業におすすめです。
低コスト・eラーニング型
動画やオンライン教材で、時間・場所を選ばず受講できるタイプの研修です。
1名あたりのコストが低く、全社員に広く受講させる場合に適しています。
「全社員に基礎知識を広く届けたい」「費用を抑えながら研修を実施したい」「各自のペースで学習させたい」といった企業におすすめです。
自社に最適なアンガーマネジメント研修の選び方3つのポイント

では、実際にアンガーマネジメント研修を選ぶ際には、どのようなポイントに注目すればよいでしょうか。
研修の「目的」を明確にする
「パワハラ防止のため」と「職場のコミュニケーション改善のため」では、最適な研修内容が異なります。
また受講者の対象が管理職だけか、全社員なのかによっても、適した形式や内容が変わります。
まずはどのような課題を解決したいのか、目的を明確にしましょう。
研修の「形式・内容」を確認する
座学中心、ワークショップ形式、eラーニングなど、形式によって得られる研修の効果は大きく異なります。
職場での行動変容を目的にする場合は、「実践的なワーク」が含まれている研修プログラムが望ましいです。
自分の怒りを分析するワークや、ケーススタディが含まれる研修のほうが、アンガーマネジメントを自分ごととして捉えられるようになり、職場での行動変容につながりやすくなります。
研修会社の「実績や講師の専門性」を確認する
日本アンガーマネジメント協会認定の「アンガーマネジメントファシリテーター」など、講師がアンガーマネジメントの資格を持っているかどうかも、研修品質の目安になります。
また、自社と同規模・同業種での導入実績があると、より現場の課題に即した研修が期待できるでしょう。
アンガーマネジメント研修サービス 比較一覧

アンガーマネジメント研修サービスを提供する会社を一覧で紹介します。
自社の目的や望む研修形式に合わせて最適なものを選びましょう。
【比較表】おすすめ研修会社 一覧早見表
| 会社名 | タイプ | オンライン対応 | カスタマイズ |
| バヅクリ | 実践・体験型 | ○ | ○ |
| インソース | 実践・体験型 | ○ | ○ |
| リスキル | 実践・体験型 | ○ | ○ |
| アルー | 実践・体験型 | ○ | ○ |
| 日本アンガーマネジメント協会 | 専門資格・理論型 | ○ | △ |
| 日本能率協会マネジメントセンター | 専門資格・理論型 | ○ | ○ |
| リクルートマネジメントソリューションズ | 専門資格・理論型 | ○ | ○ |
| Schoo for Business | eラーニング型 | ○ | △ |
| ALL DIFFERENT | eラーニング型 | ○ | △ |
| かんき出版の社員研修 | 実践・体験型 | ○ | ○ |
実践重視・体験型のおすすめ研修会社

ここでは参加者同士の対話やワークを通じて、実践的にスキルを習得できる研修会社を紹介します。
バヅクリ株式会社

特徴
- 対話型・ワークショップ形式で「やってみる」「話し合う」を重視
- オンライン完結で全国どこからでも受講可能
- 200種類以上のプログラムからカスタマイズ可能
| アンガーマネジメント関連プログラム | リーダーのためのアンガーマネジメント研修 〜怒りのマネジメントを学び部下の心を掴む〜 |
| 講師陣の特徴・強み | 受講者同士のつながりを作りながら学びを促進するファシリテーション能力を重視。アクティブラーニングによる学習定着率91%を実現。 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 1回あたり300,000円〜(要問い合わせ) |
こんな企業におすすめ
- 座学だけでなく、対話を通じて気づきを得る研修にしたい
- パワハラ防止とコミュニケーション改善を同時に実現したい
- オンラインでも質の高い体験型研修を実施したい
インソース

特徴
- 年間87万人に社会人教育を提供
- 業界や企業固有の課題に合わせた柔軟なカスタマイズが可能
- 研修後フォローなど、研修前後のサポートオプションや関連サービスが豊富
| アンガーマネジメント関連プログラム | 怒りのマネジメント研修 |
| 講師陣の特徴・強み | 年間2,000名以上の応募の中から採用試験を突破した選りすぐりの講師を採用。 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- 業種や規模に関わらず、幅広い階層の社員に受講させたい
- 様々な研修方式の中から選びたい
リスキル

特徴
- すべての研修を「料金一律」で提供
- 研修当日の運用だけではなく、研修準備のサポートも受けられる
- 研修の実施履歴やアンケート結果を管理できる研修管理システムを無料提供
| アンガーマネジメント関連プログラム | アンガーマネジメント研修 |
| 講師陣の特徴・強み | 多数の登壇経験とビジネスの経験を併せ持った講師が講義を担当。 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- コストを明確にしたうえで導入を判断したい
- 研修の準備時間を減らしながらも良質な研修を受けたい
- 研修管理システムで研修の状況を管理したい
アルー

特徴
- 多様な人材育成の課題解決を支援できるサービスラインナップ
- パッケージ研修からeラーニング、オーダーメイド型研修まで幅広く対応
- 研修フォローサービス「compath」で受講者に合った最適な学習支援を提供
| アンガーマネジメント関連プログラム | レジリエンス研修 |
| 講師陣の特徴・強み | 経験豊富な講師が、人材育成・研修に関する悩みに対応 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- 多様な研修プログラム内容や形式の中から研修を検討したい
- いくつかの研修形式を組み合わせたい
- 研修後の職場での実践フォローを効率化したい
かんき出版の社員研修

特徴
- ビジネストレンドを発信し続けている出版社による法人向け研修サービス
- 著者ネットワークを活かしたオリジナルプログラムを提案
- 事業開始以来の累計取引件数約10,000件
| アンガーマネジメント関連プログラム | 怒りの感情とうまく付き合い、円滑なコミュニケーションを実現「アンガーマネジメント研修」 |
| 講師陣の特徴・強み | 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 フェロー戸田 久実氏が講師 |
| 研修形式 | 対面 |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- アンガーマネジメント業界の著名人から直接教えてほしい
- 書籍と連動した体系的なプログラムを学習させたい
専門資格・体系的理論型のおすすめ研修会社

ここではアンガーマネジメントの体系的な理論に基づいた、専門性の高い研修を提供する会社を紹介します。
日本アンガーマネジメント協会

特徴
- 日本におけるアンガーマネジメントの第一人者が監修
- 社内でアンガーマネジメントを教えられる講師を育成する「ファシリテーター養成」プログラムも提供
- 資格取得後も継続学習をサポート
| アンガーマネジメント関連プログラム | アンガーマネジメント研修プログラム |
| 講師陣の特徴・強み | 日本アンガーマネジメント協会の公認講師が講座を担当。 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- アンガーマネジメント専門機関のプログラムを受講させたい
- 将来的に社内講師を育成したい
- 社内にアンガーマネジメントの文化を根付かせたい
日本能率協会マネジメントセンター

特徴
- マネジメントテーマを源流に、80年以上の人材育成支援実績を誇る老舗機関
- 経営戦略と人材戦略を連動させた支援
- 独自の成長支援メソッドで育成計画から実行、定着までを強力にサポート
| アンガーマネジメント関連プログラム | アンガーマネジメント基本コース |
| 講師陣の特徴・強み | 250人を超える講師が在籍し、独自の認定制度や教育制度で講師の品質管理を実施。 |
| 研修形式 | 対面・オンライン |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- 長年の実績と信頼性のある機関で研修を受けさせたい
- 人的資本経営を意識した支援を受けたい
リクルートマネジメントソリューションズ

特徴
- リクルートグループの人材開発ノウハウを活かした研修プログラム
- トレーナーが受講者の思いや考えを引き出す支援を実施
- 受講者の相互学習とトレーナーの関わりの中で学びが得られる
| アンガーマネジメント関連プログラム | アンガーマネジメント~感情をマネジメントするスキルを身につけ、良好な対人関係を築く~ |
| 講師陣の特徴・強み | 1年間の養成期間を経て厳正な基準により数十倍の倍率を通過した専属トレーナー。 |
| 研修形式 | 対面 |
| 料金目安 | 要問い合わせ |
こんな企業におすすめ
- リクルートグループの知見を活かしたプログラムを受講させたい
- 講義やサーベイを単体で提供するのではなく、課題を解決するソリューションを提案してほしい
低コスト・eラーニング型のおすすめ研修会社

動画やオンライン教材を活用し、費用を抑えながら多くの社員に受講させたい企業におすすめの研修会社です。
Schoo for Business

特徴
- 9,000本以上のオンライン授業コンテンツを提供する国内最大級のeラーニングサービス
- 人事担当者が受講状況を一元管理できる受講管理・進捗管理機能
- オプションサービスで講師派遣型ワークショップあり
| アンガーマネジメント関連プログラム | 怒りをコントロールするための「アンガーマネジメント」入門 |
| 講師陣の特徴・強み | 各業界の最先端で活躍する現役のビジネスパーソンが講師を担当。 |
| 研修形式 | オンライン(eラーニング) |
| 料金目安 | 月額1,650円/ID〜 |
こんな企業におすすめ
- 全社員にコストを抑えてアンガーマネジメントの基礎知識を届けたい
- 自己啓発としても活用できるサービスを探している
- アンガーマネジメントだけでなく、幅広いテーマの研修を一括して提供したい
ALL DIFFERENT(旧ラーニングエージェンシー)

特徴
- 定額制オンライン研修「Biz CAMPUS Online」を提供
- 階層や職種ごとに体系化された150種以上の研修
- 受講後に知識確認テストで理解度アップ
| アンガーマネジメント関連プログラム | 伝え方研修~相手に理解・納得してもらうための伝え方~ |
| 講師陣の特徴・強み | 実務経験が豊富な講師が営業・コンサル・講師を一気通貫で行う「一人三役」スタイル。 |
| 研修形式 | オンライン(eラーニング) |
| 料金目安 | 月額100,000円〜 |
こんな企業におすすめ
- 動画でありながら実際に集合研修に参加しているような内容をフォローしたい
- コストを気にすることなく受講させたい
- 新人から経営幹部までニーズに合わせた研修を選びたい
アンガーマネジメント研修の導入効果を高める3つのポイント

研修を単に導入するだけでは効果は限定的です。
ここではアンガーマネジメント研修の導入効果を高めるポイントを紹介します。
1. 研修前に目的や期待を共有する
研修前に、受講者に「なぜこの研修を受けるのか」を伝えましょう。
目的意識を共有せずに研修を実施すると、受講者は受け身な姿勢になりがちです。
会社として何を期待しているか、受講者自身にとってどんなメリットがあるかを、上司からのメッセージとともに事前に共有しておきましょう。
2. 研修後の実践機会とフォローアップ
研修で学んだスキルも、日常業務で使わなければ定着しません。
研修後に1on1ミーティングで内容を振り返ったり、「今週から意識してほしい行動」を確認したりしながら、実践のための意識づけを行うことが大切です。
3. ハラスメント防止施策との連携
アンガーマネジメント研修を単体で実施するだけでなく、ハラスメント防止研修やハラスメント相談窓口の整備など、他の施策と組み合わせることで相乗効果が生まれます。
ハラスメント防止研修でハラスメントに関する定義やルールの周知を行い、並行してアンガーマネジメント研修で感情コントロールスキルの習得を進めることで、ハラスメントを多様な視点から防止できます。
アンガーマネジメント研修の導入事例

ここでは実際にアンガーマネジメント研修を導入した企業の事例を紹介します。
管理職のパワハラ防止につながった成功事例
パワハラが問題となっていた大手オフィス機器メーカーでは、その行為者の多くが再発防止のために自分の態度をどう改善すべきか、再発防止策を知らないことを課題に感じていました。
そこで経営層・管理職向けのアンガーマネジメント研修の導入を実施。
怒りが発生するメカニズムや感情との向き合い方、パワーハラスメントにならないコミュニケーション方法を学ばせました。
その結果「怒りを逃す」「I メッセージ(アイメッセージ)」などが会社の共通言語になり、相談窓口への相談件数も減少傾向にあります。
バヅクリのアンガーマネジメント研修

「リーダーのためのアンガーマネジメント研修」では、感情の中でも扱うのが難しいとされる「怒り」のマネジメントを学ぶ対話型・実践型研修です。
怒りのメカニズムを理解するとともに、リアルなケーススタディやグループワークを盛り込んでおり、心理的安全性の高い場づくりで本音の対話を促進し、個人だけでなくチームや組織全体に意識・行動変容をもたらします。
まとめ
アンガーマネジメント研修は、参加者同士の対話やワークを重視した「実践・体験型」、体系的な理論を深く学ぶ「専門資格・理論型」、費用を抑えて広く展開できる「eラーニング型」の3つのタイプがあります。
自社の目的・予算・受講人数に合わせて選ぶことが大切です。
本記事で紹介した10社の研修サービスと選び方のポイントを参考に、自社に最適なアンガーマネジメント研修の導入を進めてみてください。
