IT社会の進展やグローバル化といった社会の変化に伴い、企業競争力を高めるには従業員一人ひとりの主体性や創造性を引き出すことが不可欠となっています。

しかし従業員の行動変容を促し新たな行動習慣を身につけてもらうには、単に指示を出すだけではなく、習慣化までのサポートが必須です。

本記事では、従業員に対して効果的な「行動変容」を促すためのポイントを解説します。

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行動変容とは

行動変容は、既存の行動パターンを変化させ、新しい望ましい行動を定着させるプロセスを指します。

1980年代、喫煙のからだへの影響が指摘されるようになり「どうすれば禁煙できるのか」という研究が盛んに行われる中で生まれた言葉です。

その後、健康習慣にかかわらず、広く「自らの習慣を変えるためのプロセス」という意味で使われるようになりました。

またビジネスでは「消費者の行動をどう変化させるか」というマーケティングの文脈で「行動変容」という言葉が用いられることもあります。

人間の行動は習慣や環境によって決まることが多く、一度身につけた行動パターンを変えることは容易ではありません。

「行動変容」という言葉が用いられるときは、単なる一時的な変化ではなく、持続可能な行動の変化・定着を指しています。

行動変容が難しいといわれる理由

行動変容は、意識と行動の両面で変化が求められます。

現状の行動パターンに問題があると気づき「行動を変えなければ」と自覚しなければ、実際に行動させるのは非常に難しいです。

さらに、長年の習慣による悪影響は自分では気づきにくいため、無理やり変化させようとすると大きな抵抗を生むことになります。

たとえ意識が変わったとしても、実際に行動を変容させることにも大きなハードルがあります。

一時的な行動変化は可能でも、継続的な自己管理や動機付け、周囲のサポートなどがなければ、元の生活習慣に逆戻りしてしまうことがあります。

そのため行動変容には、本人の強い意志と行動変容をサポートする周りの支援体制が不可欠とされています。

行動変容のステージモデル

行動変容のステージモデルとは、人々が新しい行動を取り入れていく過程を5つのステージに分けて捉えたものです。

「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」の順に進み、最終的に新しい行動を習慣化することを目指します。

ここでは「資格取得のための勉強習慣」を例に、行動変容のステージモデルを紹介します。

無関心期

無関心期の段階は、6か月以内に行動を変えようと思っていない、または行動変容の必要性を感じていない状態です。

「資格取得のための勉強習慣」における例を挙げると、学習する意志や必要性を感じておらず、やる気のない状態です。

無関心期に相手に対して行動変容するよう無理強いをしても、かえって反発を生み、変化から遠ざかってしまいます。

現状の問題点を認識させたり、キャリアアップなど行動を変容させた後のメリットを具体的にイメージしてもらったりすることで、行動変容に興味を持ってもらいましょう。

関心期

関心期の段階は、行動変容の必要性を理解しており、6か月以内に行動を起こす意志があるものの、まだ実行に移していない状態です。

資格の例で言うと、資格取得のメリットや重要性を理解し、「取得したい」と思い始めた段階です。

この時期に、実際に成功したロールモデルの例を見せることで、実行への意欲をさらに高めることができます。

準備期

準備期とは、1か月以内に行動を起こす意志があり、実際に行動を開始する前段階です。

資格の例で言うと、実際に教材を購入したり、スケジュール管理のツールを準備したりする時期です。

この時期は具体的な行動プランを提示し、実行をサポートする支援を行いましょう。

しかし、あまりにもプランの難易度が高すぎると尻込みしてしまう可能性があるので、継続可能なスモールステップを提示するのがおすすめです。

さらに、実際に取り組み始めることを周囲に公言させるのも効果的です。

実行期

実行期は実際に行動を起こしてから6か月未満の状態です。

資格勉強の例で言えば、実際に勉強に取り組んでいるものの継続できるか自信がない状況になります。

この時期はポジティブフィードバックを行い、小さな成功体験を積ませることが重要です。

「自分の行動は間違っていないんだ」と自信を持ってもらうことで、さらに継続へのモチベーションが高まります。

一方、過度な期待は逆効果なので注意しましょう。

維持期

維持期は行動を起こしてから6か月以上経ち、新しい行動が習慣化した状態です。

資格勉強が生活の一部となり、継続的に実行できている段階で、行動変容ができた状態とも言えます。

しかし、環境の変化などで古い習慣に逆戻りする危険性もあるため、行動が定着した後も定期的な支援が必要です。

行動変容を促すポイント

ここでは企業において、従業員に行動変容を促すポイントを解説します。

小さな成功体験を積ませる

行動変容を促すには、自信をつけさせることが重要です。

従業員に対して仕事やタスクなど、達成可能な目標を設定し、成果を出させる機会を作るようにしましょう。

仕事の中で小さな成功体験を積み重ねることで、自己効力感が高まり、より大きな目標に挑戦する意欲が湧いてきます。

一方で最初から過大な目標を課してしまうと、かえって挫折感を与え、行動変容への意欲を失わせてしまう危険性があります。

従業員一人ひとりの能力に応じた適切な目標設定を行いましょう。

GPDCAの設定

GPDCAとはPDCAサイクル(計画:Plan→実行:Do→評価:Check→改善:Action)に加え、最初にゴール(G)を設定する考え方です。

従業員の行動変容を実現するには、単に目の前の行動改善プロセスを回させるだけでなく、従業員自身が行動変容の目標を意識できるよう促すことが大切です。

GPDCAでは、まずゴールを設定し、そこに向けた具体的な行動計画を立てます。

そして実行した結果を評価し、改善点を見つけながらゴールに向かって行動を継続させていきます。

一連のプロセスを通じて、従業員自身が主体的に行動変容を目指すようになるでしょう。

心理的安全性の醸成

従業員の行動変容で大切なのが、一人ひとりが安心して挑戦できる風通しの良い職場環境を整備することです。

「上司や同僚から否定的な評価を受けるのではないか」と不安を抱えていては、新しい行動に踏み出せません。

チームの中で自由に意見を言い合い、失敗を恐れずにチャレンジできる関係性を構築する必要があります。

人間関係におけるコミュニケーションを円滑にし、心理的な安全性を高めることで、従業員一人ひとりが行動変容に前向きに取り組めるようになるでしょう。

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キャリア実現のためのプランの立て方や習慣化のポイント、行動の振り返りの仕方などをワークショップ形式でレクチャーすることで、仕事における様々な苦難や変化に対してポジティブに受け止められるようになります。

さらにワークショップを通じて共に目標達成に向けて頑張る仲間や、頑張りを報告し合う仲間を見つけることができるため、新入社員や若手社員におすすめのプログラムです。

まとめ

従業員の行動変容を促すには、従業員が行動変容のステージモデルのどのステージにいるのか分析し、ステージに合った施策を行うことが重要です。

バヅクリでは、グループワークや自身の行動を振り返り行動変容を促すワークショップを実施しています。

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