新卒採用では、就活生の内定承諾から入社までに数か月の空白期間が生じます。

入社前研修は、この期間を埋める内定者フォローの一環として行われますが、新入社員が会社の文化や業務を理解し、早期に職場に適応するための手段として重要な役割を担っています。

この記事では、入社前研修の時期や目的、手法を含む方法をご紹介します。

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入社前研修とは

入社前研修の内容

入社前研修とは、新卒採用において、内定者フォローの一環として行われる研修です。

その内容は多岐に渡り、企業の沿革や理念の説明からビジネススキルの講習、内定者同士の交流など幅広いテーマが行われます。

この研修を通じて、基本的なスキルやチームとの協力方法を学び、学生から社会人へとレベルアップすることが期待されます。

入社前研修の実施状況

入社前研修(内定者研修)を実施している企業は全体の約40%とされており、企業規模が大きいほど実施率が高い傾向にあります。内定者にとっては入社前に職場環境や同期と接点を持てる貴重な機会であり、企業側にとっては内定辞退防止や早期定着につながる重要な施策と位置づけられています。

入社前研修の開催時期

入社前研修において、実施時期に明確な決まりはありません。しかし、開催する時期に応じて内容を変えることで、研修をより効果的なものにすることができます。

春から夏:同期や先輩社員との交流をメインとした内容

秋から冬:ビジネスマナー研修

入社直前:業務に必要なスキルの講習

あくまで一例ですが、初めは社会人への不安を払拭し、自身が就職する企業の空気に慣れるような内容を実施し、入社が近づくにつれマナーやスキルなどより具体的な内容を実施するとよいでしょう。

初回は社会人への不安を払拭し企業の空気に慣れる内容を中心とし、入社が近づくにつれてマナーや業務スキルなど具体的な内容へと段階的に移行するのが効果的です。

なお、内定式は10月に設定する企業が多く、その前後に第1回目の研修を実施するケースが一般的です。

実施回数の目安

実施回数は企業規模や内定者数によって異なりますが、内定から入社までの期間に2〜4回に分けて実施する企業が多い傾向にあります。1回あたりの時間は2〜4時間程度が目安です。内定者の学業や就職活動が落ち着いた時期を見計らいながら、無理のないスケジュールを設計することが大切です。

入社前研修の目的

入社前研修を行う目的は様々ですが、ここでは5つ紹介します。

以下に挙げているものを参考に、研修ごとに目的を明確にして実施するとよいでしょう。

内定辞退防止

入社までの期間で内定辞退者が出てしまうと、場合によっては採用を一からやり直す必要が出てきます。

リクルート「就職白書2020」によると、2019年度の一人当たりの新卒採用コストは93.6万円となっており、年々増加傾向にあります。せっかく内定を出しても、辞退者が増えればそれだけ費用も無駄になってしまいます。

そのため、研修を通じ内定者の入社意志やモチベ―ジョンを保つことが非常に重要です。

早期離職を防ぐ

早期離職が起こる原因として、仕事をする環境のギャップ、入社前に描いていた働く姿とのギャップが挙げられます。

入社前研修の場で企業内の雰囲気を共有したり、企業理解や仕事内容の理解を促すことにより、入社前後でのギャップをできるだけ小さくすることが出来ます。

入社前研修をしっかり実施することは、早期離職を防ぐことに繋がります。

同期とのコミュニケーションの場を設ける

内定者にとって同期とは、不安を分かち合えたり支えあったりすることのできる貴重な関係です。

入社前に内定者間で良好な関係を築けているかどうかは、内定辞退だけでなく、新入社員の入社後のエンゲージメントにも大きく関わってきます。

同期との連帯を強め、コミュニケーションを促進することも入社前研修の重要な目的です。

社会人スキルや知識の習得

社会人スキルや知識の習得は、言うまでもなく入社前研修の最も重要な目的。

入社前にある程度のビジネスマナーを習得してもらうことで、実務に入るまでの時間を大幅に短縮することができます。

・ビジネスマナー

・文章作成スキル

・コミュニケーションスキル

・OAスキル

上記のスキルは、特に内定者や新人に不足しがちです。

入社前にこのスキルをどこまで伸ばせるかが、今後の活躍のカギとなります。

社会人としての意識づくり

内定者にとって、学生と社会人の違いを理解し、自立して働くための心構えを持つことは非常に重要です。

学生時代は自己成長が中心でしたが、社会人になると組織の一員として責任を持ち、成果を求められます。

働くにあたって、自分が目指す像を描くことで、組織への帰属意識や働くことへのモチベーションを高めることができます。

企業理解の促進と入社後ギャップの解消

入社前研修は、内定者が企業の理念・文化・事業内容への理解を深める機会でもあります。事前に組織の価値観や働き方のルールに触れておくことで、「思っていた会社と違う」という入社後のギャップを軽減できます。

特に昨今は、Z世代の内定者が入社前から「この会社で成長できるか」「価値観が合うか」を見極める傾向が強まっています。企業理解を深める機会を丁寧に設けることが、エンゲージメント形成の第一歩になります。

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入社前研修のプログラム・コンテンツ例

入社前研修で扱うテーマは、企業の方針や内定者の属性によって異なります。以下に代表的なカテゴリーと具体的な内容を示します。

ビジネスマナー研修

挨拶・敬語・電話応対・名刺交換・ビジネスメールの書き方といった、社会人としての基本動作を身につけるカテゴリーです。入社直後から現場で求められるスキルであるため、優先度が高く、多くの企業が入社前研修の柱として位置づけています。ロールプレイングを取り入れることで、座学だけでは定着しにくい動作・言葉遣いを実践的に習得できます。

コミュニケーション研修

グループワーク・自己紹介ワーク・傾聴トレーニング・報連相の実践など、職場での対人関係を円滑にするスキルを扱います。内定者同士が協力して課題に取り組むプログラムにすることで、スキル習得と同期の関係構築を同時に進められる点が大きな特徴です。入社後の心理的安全性やチームワーク形成にも直結するため、早い段階から取り組む価値があります。

企業・業務理解研修

会社概要や企業理念の説明、先輩社員との座談会、業界・競合分析といった内容を通じて、内定者が「どんな会社に入社するのか」を具体的にイメージできるようにします。事前に企業文化や事業への理解を深めることで、入社後の業務イメージが具体化するため、OJT開始直後のつまずきを減らせます。

ITスキル研修

Excel・Word・PowerPointの基礎操作から、社内システムの操作研修まで幅広くカバーします。業種・職種を問わず入社初日から必要になるスキルであるにもかかわらず、習熟度には個人差が出やすい領域です。eラーニングで事前に基礎を習得させ、入社後のOJTで応用に集中できる設計にすると、現場への負担を減らせます。

マインドセット研修

社会人としての心構えの醸成、目標設定ワーク、キャリアビジョンの策定などを通じて、「学生」から「社会人」への意識転換を促します。知識やスキルと違い、一度のインプットで身につくものではないため、入社前から複数回にわたって継続的に扱うことが効果的です。自分がこの会社でどう活躍したいかを言語化させることで、入社後のモチベーション維持にもつながります。

コンプライアンス研修

ハラスメント防止・情報セキュリティ・個人情報保護の基礎など、社会人として守るべきルールと倫理観を学ぶカテゴリーです。違反が発生した場合の影響は個人だけでなく企業全体に及ぶため、入社前の段階から意識を植え付けることが重要です。eラーニング形式で自習させたうえで確認テストを設けると、理解度の担保と記録の両立が図れます。

研修の目的(スキル習得・関係構築・企業理解)に応じてテーマを組み合わせ、1回の研修に詰め込みすぎないよう設計することが大切です。

入社前研修のポイント

適切な研修方法を選ぶ

企業によっては、全国に内定者がいる場合もあります。研修のためだけに一つの会場に内定者を集めるのは、内定者は勿論のこと、企業側にも大きな負担となってしまいます。

対面での実施にもメリットは多くありますが、コスト削減・効率化の観点から、座学など体系的に学べる研修についてはeラーニングを、リアルタイムでコミュニケーションを行う必要がある交流イベントにはオンライン会議ツールを利用するなど工夫して実施すると良いでしょう。

内定辞退防止くんでは、入社前研修で活用できるプログラムを200種類以上ご用意しています。

内定者の特徴を掴む

内定者がどのようなキャリア志向を持っているのか、またどのようなことに苦手意識を持っているのかなど、内定者の特徴を把握することで、接し方や教育方法が見えてきます。

例として、入社に対する期待度を測るアンケートを実施したり、研修後に成功度を測るフィードバックセクションを設けるという方法もあります。

内定者の特徴を掴むことは、研修内容のテーマ設定やOJT担当者の決定に役立ちます。

内定者の能力を把握する

内定者がどのようなスキルを持っているのか、何を得意とし苦手とするのかは、採用の段階ですべてを見抜くことは困難です。

入社前研修のグループワークなど、コミュニケーションの場でどのような役割を自然に引き受けるかを見ることで、チームでの働き方や適性を判断できます。

研修を通じて内定者の能力を掴むことで、より深く理解できるだけでなく、入社後のマネジメントにも非常に役立ちます。

おすすめサービス 内定辞退防止くん

内定者フォローをすべて社内で行う場合、計画立案からコンテンツ作成、個別対応まで多くの時間と工数が必要になります。ノウハウがない状態で進めると、対応が属人化しやすく、効果が見えづらいという課題も生まれがちです。

こうした負担を軽減し、内定者との関係構築を確実に進めたい場合は、外部サービスの活用が有効です。

内定辞退防止くんは、企業と内定者のコミュニケーションを最適化し、辞退リスクを減らすための内定者フォローサービスです。内定者が抱えやすい不安や疑問を適切にケアできるよう設計されており、定期的な接点づくりや心理的フォローを仕組みとして実現します。

専門チームが設計から運用まで伴走するため、企業側の工数を最小限に抑えながら、内定者との信頼関係づくりを効果的に促進できます。内定辞退の不安を抱える企業にとって、スムーズで継続的なフォローを実現する心強いサービスです。

内定者目線のニーズを取り入れる

研修を設計する際は、企業が「身につけさせたいスキル」だけでなく、内定者が「学びたいこと・知りたいこと」も反映しましょう。

たとえば内定者は資格取得やITリテラシーの向上に高い関心を持つ傾向がある一方、企業側はコミュニケーション研修に重点を置きがちです。この認識のズレを事前アンケートで把握し、プログラムに反映することで、内定者の主体的な参加意欲を引き出せます。

フィードバックの仕組みを設ける

研修後に内定者へ短いアンケートを実施し、「理解度」「満足度」「不安に感じたこと」を定量的に把握する仕組みを設けましょう。蓄積されたフィードバックデータは次年度の研修改善にも活用でき、研修の質を継続的に高める土台となります。

入社前研修の手法

座学研修

内定者を集めて行う座学での研修は、入社前研修の最もスタンダードな方法です。

ビジネスマナー研修やOAスキル研修、企業理解を目的とした研修に効果的ですが、受動的な学習になりがちなので、受講者の集中力を維持できるよう注意する必要があります。

eラーニング

インターネットを利用したオンライン学習であるeラーニングは、実技の研修には向いていないというデメリットがあるものの、ほとんどの座学研修の内容はカバーでき、内定者を集めずに行うことができます。

また、学習の場所や時間を選ばないことで、内定者に対する教育の効率を高められることも大きなメリットです。

ビジネスマナーやPCスキルなど基礎的な研修から、コンプライアンス、簿記や経理、法律に関するものなど、体系的に学べる分野の研修に適しています。

内定者インターン

内定者インターンは、内定者が社内の雰囲気や仕事内容を体感する貴重な機会となります。

内定者は、入社後のイメージが湧きやすくなるとともに、入社後のミスマッチによる早期離職を軽減することができます。

しかし、あくまでアルバイトとしての立場となるため、強い負担のある仕事は避けるよう配慮し、経験に重きを置くようにすることに留意する必要があります。

オンライン研修

zoomなどを活用したオンライン研修は、旅費や宿泊費などのコストもかからず手軽にスキルや知識の習得ができるというメリットがあります。

また、会場をセッティングする必要がないため、ファシリテーションが大幅に楽になるという魅力もあります。

一方、オンライン研修であると内定者同士のつながりが作りにくいというデメリットもあることから、内定式で交流の機会を設け、研修はオンラインで行う、というように使い分けを行っている企業も多数あります。

ハイブリッド型の活用

近年は対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型が主流になりつつあります。たとえば「知識インプットはeラーニングで自習 → グループワークや懇親会は対面で実施」という形にすることで、コスト効率と関係構築を両立できます。

内定者の居住地が全国に分散している企業では特に有効な手法です。

入社前研修の注意点

入社前研修の義務化と賃金について

内定者は雇用契約の効力がまだ発生していない状態であることから、会社から強制的に研修の受講・参加を命じることはできず、内定者の同意を得てから研修を行う必要があります。

内定者に強制的な研修を課すことは、企業と内定者の関係に緊張に繋がり、モチベーションや信頼関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。

会社の指揮命令で行うもの、参加が強制されるもの、一定の場所に一定の時間拘束されるようなものなどの条件がある場合は労働時間とみなされ、内定者に対し賃金の支払いが必要となります。

入社前研修を強制しているにも関わらず、賃金を払っていないと会社自体に罰則が科される可能性があります。細心の注意を払い研修を実施するようにしましょう。

なお、研修が「自由参加」かつ「不参加でも不利益がない」形式であれば、原則として賃金支払い義務は生じません。参加案内の文書に「任意参加」である旨を明記し、出欠確認は行っても評価に影響しないことを伝えることが、トラブル防止につながります。

研修の場所と時間の配慮

研修の実施場所や時間帯について、参加者の通勤距離や生活リズムなどを考慮に入れる必要があります。

長時間にわたる研修や遠方での研修は、参加者にとって負担となる可能性があるため、事前に配慮が必要です。

事前に参加者にアンケートを取り、方針を決定するのも一つの手です。

入社後研修との連携

多くの企業では、新卒入社後に新人研修が行われます。そのため、入社前研修で基礎的な研修を行い、新人研修でより具体的な内容の研修を行う、といった手法が効果的です。

研修設計時には、内容の重複や不足がないように入社後の研修担当と連携すると、入社前後両方の研修がより良いものになるでしょう。

内定者には、入社前研修を受ける際研修内容を入社後どう活かすかについて、明確なイメージを持たせることが重要です。

まとめ

入社前研修は、内定者がスムーズに企業に適応し、即戦力として活躍するための重要なプロセスです。

内定者は、企業文化や業務知識を事前に学ぶことで不安を軽減し、自信をもって新しいスタートを切ることができます。

また企業側にとっても、内定者との信頼関係を深め早期に戦力化するための貴重な機会です。

研修の目的・内容・手法・時期を体系的に設計し、内定者の視点も取り入れながら柔軟に運用することが、入社前研修を成功させるカギです。入社後研修と連動した一貫した育成計画として位置づけることで、より高い効果が期待できます。

ぜひ自社に合った入社前研修の導入・改善を検討してみてください。

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