「内定式を終え、ひと安心…」と思っていた矢先、突然の内定辞退の連絡。
企業は、慌てて欠員を補充したり再度募集をかけたりなど、大忙し。
このような経験のある人事の方もいらっしゃるかと思います。
では、なぜ内定者は直前になって内定を辞退するのでしょうか。
本記事では、10月以降の内定辞退の原因や、それを防ぐ効果的な手法についてご紹介します。
目次
内定承諾後の内定辞退について
近年、内定辞退率は全体として上昇傾向にあり、リクルートの調査では2024年卒の内定辞退率は6割を超えるとされています。
オンライン面接の普及により採用活動の効率が向上し、複数の内定を得る学生が増えたことなどが主な要因と考えられます。
この結果、内定辞退数の増加により採用計画通りに人員を確保できない企業が増えており、その影響で採用担当者の業務の負担も大きくなっています。
入社2週間前までなら法的に問題ない
民法第627条1項に「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と明記されています。
つまり、内定者は内定承諾後であっても、入社2週間前まで内定を辞退する権利があります。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
企業は、内定者から内定辞退の申し出があった場合、それを受け入れ相手の意思を尊重するようにしましょう。
間違っても「一度承諾したのだから」などと高圧的な姿勢を示してはいけません。
内定承諾後の辞退の理由
なぜ一度承諾したにも関わらず、内定を辞退するのでしょうか。
代表的な理由を以下で紹介します。
より魅力的な企業から内定をもらった
就職活動中、学生が複数の企業から内定をもらうことは珍しくありません。内定承諾後でも、のちに他社から内定通知が届くことがあり、その企業が給与や福利厚生、社内の雰囲気などの点でより魅力的だと感じることがあります。
また、企業のブランドや将来性が強く感じられる場合、選択を見直す動機となります。
さらに、キャリアの方向性や興味関心に合致した企業であると判断することで、優先順位が変わることもあります。
企業からの連絡が少なく、モチベーションが下がってしまった
内定承諾後、企業とのコミュニケーションが途切れがちになると、入社に対するモチベーションが低下することがあります。
例えば、内定後のフォローが少ない、説明会や研修の案内がない、担当者からの連絡が形式的であるなどの場合、企業への期待感が薄れる原因となります。特に他の内定先が内定者向けの交流会や個別フォローなどを積極的に行っている場合、自社のモチベーションが相対的に低下する可能性があります。
同期・先輩社員とそりが合わないと感じた
内定後のイベントや交流会で、同期や先輩社員と接する機会が増える中で、価値観やコミュニケーションスタイルの違いを感じ、入社後の人間関係に不安を抱くことがあります。
例えば、先輩社員の雰囲気が堅苦しいと感じたり、同期同士の競争が激しそうだと判断したりするケースが挙げられます。
また、働く環境の雰囲気が自分に合わないと感じた場合、無理に入社しても長く働けないと考え、辞退を選ぶことがあります。
入社後のキャリアパスが不明確だった
内定辞退の一因として、入社後のキャリアパスが不明確であることが挙げられます。学生が入社後のキャリアを想像できないと、将来に対する漠然とした不安が募り、最悪の場合内定辞退につながる可能性があります。
企業は、入社後のキャリア形成やスキルアップの機会について説明し、内定者が自身の将来像をイメージできるようにすることが重要です。具体的には、先輩社員のロールモデルを示すことが効果的でしょう。
社会人になることへの漠然とした不安
内定承諾後でも、就職自体に漠然と不安を感じることがあります。この状態は「内定ブルー」と呼ばれますが、学生生活の終わりや、職場での新しい責任や人間関係に対する想像が負担に感じられることが主な原因です。
また、周囲との比較や「この選択で本当に良いのか」という自己疑念が不安を増幅させる場合もあります。
内定ブルーに関して、詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。
10月以降の内定辞退を防ぐポイント
では、10月以降に内定辞退が起きないためには、どのような対策が有効なのでしょうか。
ここでは、企業がとるべき具体的な対策4つを詳しく解説いたします。
企業からこまめに連絡をする
内定者と企業の関係を強化するためには、定期的な連絡が欠かせません。10月の内定式までに内定者とある程度の関係性を築くことがカギとなるため、内定を出してから内定フォローの連絡をするまでになるべく期間を空けないようにしましょう。
内定者が自分が大切にされていると感じられるよう、メールや電話で近況確認や企業の最新情報を共有することが効果的です。
また、単なる情報伝達だけでなく、個別の相談に応じたり、質問に答えたりすることで、企業への安心感と信頼感を高めることができます。さらに、連絡内容に温かみや配慮を持たせることで、内定者が企業文化に対するポジティブな印象を持ちやすくなります。
タイミングを逃さず、内定者が不安を抱える前に先回りした連絡を心がけましょう。
内定者フォローイベントを適切な頻度で開く
内定者同士や先輩社員とつながる場を提供することで、内定者の孤立感を防ぎ、企業への親近感を高めることができます。イベントでは、企業の雰囲気を感じてもらう工夫を行うと効果的です。
内定者が企業の理念や方針を肌で感じる機会を提供することで、入社後のイメージを明確にし、不安を減らすことができます。
また、イベントは適切な頻度で開催し、内定者の負担になり過ぎないバランスを取ることもポイントです。
入社前研修で、負担の大きい研修を避ける
入社前研修は、内定者に企業や業務内容について学んでもらう重要な機会ですが、負荷が大きすぎる内容は避けましょう。
過剰な課題や長時間の拘束は、内定者のストレスを増やし、辞退の原因になりかねません。
代わりに、企業や業界について基礎的な知識を得られる軽めの内容や、内定者の興味を引く工夫を取り入れると良いでしょう。
例えば、ゲーム形式で学べる研修や、グループディスカッションを中心とした研修など、楽しみながら学べるプログラムが効果的です。
また、個々のペースに合わせて学べるオンライン研修を活用することで、内定者が無理なく参加できる環境を整えることも大切です。
内定者インターンで、自社理解を深めてもらう
入社前のインターンシップは、内定者に自社の業務や文化を深く理解してもらう絶好の機会です。短期間の簡単な業務体験を通じて、職場の雰囲気や仕事内容に触れることで、仕事に対する不安を和らげることができます。
特に10月までの時期は、内定を複数持っている学生も多いため、他社にはない自社の魅力を内定者に伝え、差別化を図ると良いでしょう。
またインターンでは、先輩社員との交流を増やし、実際の職場でのサポート体制を感じてもらうことが重要です。
先輩社員から定期的にフィードバックを行い、内定者の成長を実感できる環境を提供することで、入社意欲をさらに高めることが可能です。
内定者フォローに有効なバヅクリの施策
バヅクリの研修 / ワークショップは、「対話」を中心としたプログラムで、学びの内容を取り入れつつ、内定者の企業や同期とのコミュニケーションを促進します。その中で内定辞退防止に効果的なプログラムをいくつかご紹介させていただきます。
人狼座談会
概要:内定者の中に紛れ込んだ先輩社員を当て、正体を明かした先輩社員と語り合う
活用シーン:意識の高い学生を早期に囲い込み、内定承諾率を向上
おえかきコミュニケーションワークショップ
概要:絵を通して言葉では伝えられないお互いの考え・価値観を共有
活用シーン:初対面時のイベントや懇親会前のアイスブレイクとして
チーム対抗会社クイズ王決定戦
概要:チーム対抗クイズを通して、会社や事業の未来についてディスカッションする機会を創出
活用シーン:カジュアルに会社について理解
内定辞退率を30%改善する研修 / ワークショップ「バヅクリ」
バヅクリでは、内定辞退防止に効果的なプログラムなど200種類以上の研修 / ワークショップをご用意しています。
ぜひ貴社の内定者フォロー施策にお役立てください。
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まとめ
今回は、10月以降の内定辞退の原因と防止策についてご紹介いたしました。
内定辞退を防ぐためには、内定者同士 / 先輩社員とのコミュニケーションの場を設け、安心して入社を迎えられる環境を整えることが求められます。
丁寧なフォローや適切なイベントの実施を通じて、内定者が「この企業で働きたい」と感じられる取り組みを行いましょう。
今回ご紹介した内容が来年度の採用活動のお役に少しでも立てれば幸いです。