内定者が抱えている不安や要望とはどのようなものか?

内定者が抱えている不安や要望

内定者は、学生から初めて社会人になることに対しての不安や、本当にこの会社が自分に合っているのか?といった不安を抱えています。
内定者研修の場で、これらの心配事をしっかり取り除いてあげることが必要です。

マイナビ学生職業モニター調査によると、内定承諾後に「本当にこの会社でいいのか」と不安になった学生の割合は、2013年卒は39.4%だったのに対して2018年卒は54.9%と増加しています。
学生が感じているこの不安は、分解すること次の3つの要素に分類できます。

  1. 会社への不安…本当にこの会社で平気かな?と、会社の将来を不安に思う気持ち
  2. 仲間に対する不安…先輩や同期と馴染めるかどうか不安に思う気持ち
  3. 自分に対する不安…社会人として自分は成果を出せるだろうか、学生のうちにやっておくべきことはあるかな?と不安に思う気持ち

内定承諾をしてから入社するまで、長い方だと1年近く間が空いてしまいます。
最終面接のときは「この会社が1番自分に合っている!」と思って選んだとしても、時間が経つにつれ「本当にここで良かったのか」と不安になってしまうものです。

そのため、会社選びが初めての学生に対して丁寧にフォローを行い、彼らが感じているさまざまなネガティブな感情を汲み取ってサポートすることが重要なのです。

内定辞退率は上昇傾向!内定企業への不満とは?

2022にかけて、オンライン採用の普及により複数内定を持つ学生が増加傾向にあるため、内定辞退率は上昇傾向にあり、内定者フォローを強化する企業が増えていますが、効果的な施策がわからない担当者も多いかと思います。

学生が内定通知を受けた企業に対して、何に不安を感じ、内定辞退に至るのか、アンケート調査を行い企業に対する不満点をまとめました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、内定者フォロー施策の参考にしてみてください。

人事担当者が内定者研修を実施する際の課題や不安視していることとは?

内定者研修を実施する際の課題

一方、人事担当者は「学生に内定辞退をされたらどうしよう」「入社後すぐに離職されないか」という不安を感じている方が多いでしょう。

2020年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、2019年卒、2020年卒の「内定辞退率が3割以上」となった企業は、全体の53.1%となっています。
選考途中での辞退率は全体の1割程度の企業が多いため、内定(または内々定)を出した後に、多くの学生が辞退している点が課題として受け取ることができます。

内定辞退者がいなかった企業の割合は全体の17.0%にとどまっており、ほぼ全業種で同等割合の学生が内定辞退をしているため、内定者フォローは全企業が頭を悩ませていることなのです。

また、内定辞退せずに入社してくれたとしても、新卒社員の入社後3年以内の離職率は長年3割をキープしています。

これらのことから、内定辞退や早期離職を防ぐというテーマは、多くの人事担当者が避けて通れない重大な課題といえるでしょう。

内定者研修の重要性を理解し研修目的をしっかり定めよう

内定者研修の重要性

内定者研修は、学生の不安を「入社への期待」へ変えることや、早期即戦力となってもらうための知識の習得、内定辞退を防ぐことなど、企業にとって重要な課題に対する取り組みであることが分かりました。

9割の企業が学生に内定承諾書の提出を義務付けており、ほとんどの企業が内定者懇親会や内定式をはじめとした、さまざまな内定者研修・取り組みを実施しています。

ただし、企業が内定を出した時期や内定者の人数によって、どのくらいの時間を内定者研修に費やせるかが変わってきます。
それぞれが自社の採用状況を鑑みて、内定者研修の目的・目標設定を行いながら、内定者研修のプログラムを決めていくことが重要です。

内定者研修の目標例

内定者研修の目標を設定するのが初めての方は、次に挙げる内定者研修の目標例を参考にしてみてください。

学生から社会人への意識の切り替え

学生と社会人はどのように異なるのか、自立のしかたや組織の在り方、社会人としてのマインドを学びます。
入社後の新卒研修で同様の研修を行っても良いですが、入社式のタイミングで全員が学生気分を脱却できていると、その後の育成がスムーズに進むでしょう。

チームビルディングを行い、社員同士のチームワークを醸成

学校のゼミやサークルと違う、ビジネスパーソンとしてのチームワークとは何かを学び、理解することが目標です。
チームビルディング研修を通して、内定者や先輩とのコミュニケーションをとることができれば、学生の感じている「どんな人と一緒に働くのだろう」という不安を解消できます。

ビジネスマナーの習得

社会人としての報連相のマナー、メールや文書の作成、挨拶のしかたやOAスキルなどを身に付けることが目標です。
入社後の新入社員研修では、より実践的な名刺交換や電話応対といったビジネスマナーを研修することが多いですが、内定者研修ではもう少し簡単で取り組みやすいテーマを扱ってもいいでしょう。

パソコンスキルやメール作成などの基礎を少しでも教育しておくことで、入社後スムーズに業務につくことが期待できます。

内定者研修でおさえておきたいコンテンツ

内定者研修でおさえておきたいコンテンツ

ここからは、多くの企業が取り入れている内定者研修のコンテンツについてご紹介します。

グループワーク

内定者同士で集まってグループワークやグループディスカッションを行う研修です。
選考として行うグループディスカッションとは異なり、内定をもらったあとのグループワークのほうがリラックスして楽しみながら参加してもらえるでしょう。

懇親会と同様に、同期や先輩社員とグループワークを行うことでコミュニケーションをとることができ、「どんな人と働くのかな」という人に対する不安を解消することができます。

つながり作りのグループワークなら「バヅクリ」

アソビを通して対面/オンラインで本音で交流できる内定者フォローサービス「バヅクリ」
「お絵描き」や「演劇」、「筋トレ」などを通して内定辞退や早期離職を防ぐ目的で活用できます。

詳しくはこちら

 講師派遣型の研修や公開セミナーの実施

ビジネスマナー研修、チームビルディング研修、学生から社会人への意識改革など好きなテーマを選択して、講師派遣や研修会社の実施する集合研修や公開セミナーを活用する方法です。
社内で研修を企画する時間がなく、研修講師役を務める社員もいない場合は、外部の講師を有効活用すると効率的です。

外部研修は、コロナをきっかけにオンラインで実施している研修会社も増えてきました。
選択肢が多く、気軽に取り入れられる点が講師派遣や公開セミナーのメリットといえます。

好きな時間に取り組めるe-learning

新入社員が全国各地にいたり、どうしても出社する時間帯が合わない場合は、内定者それぞれが自分のペースで取り組めるe-learning研修がおすすめです。

ただしe-learningは内定者個人の学習計画や進捗状況が本人任せになってしまう点が懸念です。
LMS(Learning Management System)などを導入して、しっかり個別の学習計画を管理するよう気を付けましょう。

先輩社員との座談会や懇親会

内定者は、一緒に働く同期や先輩社員、上司とうまく馴染めるか不安を抱えています。
そのため、内定者研修の一環として、先輩社員や同期とコミュニケーションがとれる座談会や懇親会を取り入れると良いでしょう。

全体の72.4%の企業が内定者懇親会を実施しており、42.7%が先輩社員との懇親会を実施しているというデータもあります。

人事と1対1の面談を取り入れるよりも、内定者や先輩社員を集めておしゃべりをするだけでも、充分な研修として成り立つことが分かります。

職場見学

内定辞退や新入社員の早期離職の理由として「自分のやりたい仕事と違った」や、「労働時間・休日休暇の条件が良くなかったため」という点が挙げられます。
内定者がやりたい仕事と実際の業務内容は合っているのか、普段どのくらい忙しく働いていて何時ごろに帰宅できるのか、などリアルな情報を伝えるために、職場見学は有効的な研修です。

人事担当者から「普段はこのくらい仕事量がありますよ」と伝えるよりも、実際の現場を見て、社員の表情や行動から学ぶほうが、認識のずれが起きにくいです。
仕事や社風に対するイメージギャップをなくすためにも、職場見学は取り入れるべき研修でしょう。

内定者研修の計画の立て方、接触頻度は?

内定者研修の計画の立て方

内定者研修のスケジュールは、内定出しの時期や内定者人数、対応する人事担当者の人数によって異なってきます。
どの程度の頻度で内定者研修を行えばいいか、計画の立て方について解説します。

内定者のスキルや特徴を可視化する

まず、内定者研修を計画する前に、内定者のスキルや特徴・人柄などをまとめて可視化しましょう。
今年の内定者はだいたいこういう傾向がある、と中途半端に捉えるのではなく、

・内定者の出身校データ
・内定者の得意、不得意なこと
・内定者の希望するキャリアパス
・性格、人柄、志向性 

など、情報を整理して言語化することをおすすめします。
内定者のSPI結果や選考での感触を参考にするだけでなく、再度アンケートをとって確認するのも良いでしょう。
内定者のことを詳しく把握することで、より効果的な研修計画を立てることができます。

内定者研修の目的や期間、実施頻度を定める

次に、内定者研修の目的や期間、研修を実施する頻度を決めていきます。
内定者研修の目的を決めるとき、あれもこれもスキルを身に付けてもらおうと欲張るのは禁物です。
学生によっては、授業やゼミ、サークルが忙しい場合があります。
そのため、入社前に習得してもらうスキルや知見は必要最小限に絞り込むことがポイントです。

内定者研修の期間や実施頻度についても同様で、毎週のように研修課題を出すのはあまりおすすめできません。
月に1度行う、または夏季休暇や冬休み・春休みの期間に集中して1週間だけ行うなど、学生の負担のないように設計することが重要です。

関係者に研修スケジュールを周知する

中小企業で人手不足の場合、内定者研修をすべて人事担当者だけで実施するのは困難でしょう。
年次の近い先輩社員だけでなく、社歴の長いベテラン社員や子育て中の社員、役員や社長などを巻き込んでいけることが理想です。

それぞれの立場で、繁閑期や年間スケジュールが異なるため、なるべく早い段階で社内の関係者に研修スケジュールを共有しておくことが重要です。

内定者も残りの学生生活があるので、内定承諾をもらったタイミングですぐに、入社までの内定者研修スケジュールを広報するように心がけましょう。

内定者研修実践のポイント

内定者研修実践のポイント

内定者研修を実施する上での注意ポイントについてご紹介します。

ポイント1 強制参加・押しつけがましいものにしない

繰り返しになりますが、内定承諾をしたとしても卒業するまでは学業が最優先となります。
授業やゼミが残っているか、研究室への出席や卒業論文の有無、サークルや部活動、学生最後の旅行など、スケジュールには個人差があります。

内定者研修は強制参加にしたい人事担当者もいると思いますが、あまりに押しつけがましく強要してしまうと「この会社に入ると今後も研修や仕事で忙しくなるのでは」と不安をあおってしまう可能性もあります。

内定者によっては、どんどん内定者インターンや研修に参加したい!と意欲を持っている方もいるかもしれないため、それぞれの希望や性格を見極めて判断していくと良いでしょう。

ポイント2 オンラインでできる研修か

2021年卒の新卒採用は、新型コロナをきっかけにオンラインに切り替える企業も多くありました。
働き方改革や人口減少も後押しし、テレワークを導入する企業は増えるでしょう。
この状況に合わせて、内定者研修もオンラインで対応できるプログラムを用意しておくと良いでしょう。

ただし学生によっては、内定者と直接顔を合わせて話すことで安心したいという方も少なからずいます。
必ずオンラインで内定者研修を行うべきだと決めつけるのではなく、臨機応変にオンライン研修を取り入れるのがポイントといえます。

ポイント3 内定者研修中の給与の有無

インターンや内定者研修中に給与を出すかどうか注意しましょう。
内定者懇親会や、簡単なグループワークであれば問題ないですが、実際に作業をして労務提供をする場合は賃金支払いが必要になります。

参加が強制されているか、研修内容が実務知識の習得であるかなど、内容によっては内定者研修が労働時間と判断される場合があります。

事前に社会保険労務士や研修会社の専門コンサルタントなどに確認をしておくと安心です。

内定者研修の他社事例

内定者研修の他社事例

内定者研修の他社事例についてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

内定者研修における企業の好事例

クックパッド株式会社「ワークスタイルトランプ」

ワークスタイルトランプとは、働き方に関するキーワードが書かれた52枚のトランプから、もっとも大事だと思う10枚を選んで、選んだ理由を発表し合う簡単なグループワークです。
クックパッド社では、内定者同士がお互いのことを知るきっかけとなり、カジュアルで気軽に取り組める点からこの研修を導入しました。
内定者それぞれが働き方に対する自分の考え、価値観を言語化する練習にもなりますし、話のきっかけにもなるワークです。

https://heart-quake.com/game/workstyletrump.php

株式会社ネスレ「通信教育、e-learning」

ネスレでは内定者の主体的なキャリア形成を支援するために、独自の研修制度を設計しています。
ネスレ社員が使用している通信教育やe-learningプログラムを内定者にも提供し、学業やアルバイト、留学など学生らしい取り組みを交えながら主体的にキャリア形成をしていくことを後押しします。

https://www.nestle.co.jp/recruit/newgraduates/associate

サイボウズ株式会社「社内イベントへの参加」

普通の内定者懇親会だけではく、内定者の家族向けの会社参観日を設けている点が特徴です。

https://www.wantedly.com/companies/cybozu/post_articles/65627

オンラインでの内定者研修における事例

株式会社みずほフィナンシャルグループ「つながりを意識したオンライン内定者懇親会」

アソビを通して心を開きコミュニケーションをとることで同期同士のつながりを創り、入社前に抱いている漠然とした不安を解消することを目的とし、チームビルディングサービス「バヅクリ」を導入しました。
対面での懇親会よりも運営面が効率化され、例年以上に内定者どうしが触れ合う機会を多く設けることができました。

https://buzzkuri.com/cases/4

GMOペパボ株式会社「オンライン内定者懇親会」

オンラインでも一体感や歓迎されていることを実感してもらうために、内定者の自宅へ懇親会の日に一緒に食べるお菓子やジュースを郵送しました。
その他にも、会社のノベルティを送ることで社員の一員になったことを感じてもらえる好事例です。

https://hr.pepabo.com/report/2020/10/30/4661

大手IT会社(従業員数1400名)「オンラインの集合研修」

内々定者の60名中46名が参加した大型の集合研修をオンラインで実施しました。
研修会社が実施するオンライン研修のプログラムを利用したことで、講師・当日のオペレーター・研修の事務局対応すべてを任せることができ、リアルな集合研修と変わらない質を担保することができたそうです。

https://satomasaki.com/column/customervoice/6420/

東京エリア某社(内定者10名)「Zoomによるオンライン内定者懇親会」

毎年の夏、内定者懇親会としてBBQを行っていた企業ですが、コロナの影響でZoomでの開催に移行しました。
自己紹介スライドを内定者それぞれに用意してもらって発表を行った後、約2時間かけてチーム対抗のオンライン運動会を実施して交流を深めました。

https://www.careermart.co.jp/blog/blog/archives/15140

内定者研修のグループワークに役立つサービスを紹介

出典:バヅクリ

内定者研修として役立つ「バヅクリ」をご紹介します。

バヅクリは、対面/オンライン問わずさまざまなオリジナルの体験イベントを提供するチームビルディングサービスです。
プログラムは150種類以上あり、内定辞退や早期離職を防ぐ目的で活用できます。

株式会社みずほフィナンシャルグループを始めとする700社以上が導入しています。

内定者懇親会はバヅクリを活用するのがおすすめです!

まとめ

内定者研修は、内定者の就職に対するさまざまな不安を解消したり、内定辞退を防ぐために重要なテーマです。
新卒採用を行う企業の半数が、3割以上の学生から内定辞退を受けている事実を受け止め、必ず内定者研修やフォローを取り入れるようにしましょう。

今後も新型コロナによって、新卒採用を取り巻く状況は変化していきます。
状況や効率を考慮し、オンラインでの内定者研修も検討してみてはいかがでしょうか。