近年、若者の間で「タイパ」という言葉が広く浸透しています。
就職活動においても例外ではなく、長時間にわたる説明会や煩雑な応募手順を避け、短時間で成果をあげられる方法を求める若者の動きが顕著です。
では、この「タイパ就活」の流れに対し、企業はどのような施策を講じれば良いのでしょうか。
本記事では、若者の意識や価値観の変化を踏まえながら、「タイパ就活」について、その影響や企業が取るべき対策について詳しく解説します。
目次
タイパとは
「タイパ」とは、「タイムパフォーマンス」の略で、かけた時間に対する成果や満足度を指す言葉です。短時間で効率的に結果を得ることを「タイパがいい」と表現しますが、この概念はZ世代を中心に特に浸透しています。
Z世代はデジタルネイティブであり、膨大な情報の中から必要なものを迅速に選び取る必要があるため、タイパを重視する傾向にあります。
例えば、動画を倍速で視聴したり、ショートコンテンツを利用したりする行動が一般的です。また、SNSでの検索やオンラインでのコミュニケーションといった、隙間時間を有効に使うことも特徴的です。
就職活動におけるタイパとは
株式会社学情が2024年に実施した調査によると、約7割の学生が就職活動準備でタイパを意識していると回答しています。
この結果から、多くの学生が限られた時間の中で効率的かつ効果的に活動を進めたいと考えていることがわかります。
参考:https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2024/08/240826-navienq.pdf
例えば、紙のエントリーシートや対面での面接・会社説明会といった従来の採用活動は、オンラインで完結するプロセスに比べ負担が多く、タイパを意識する学生は非効率であると感じている可能性が高いです。
また、SNSで就職活動情報が多く出回っていることも、タイパ意識を加速させる一因となっています。InstagramやX、TikTokをはじめとするプラットフォームを通じて、企業情報や選考対策が共有されることで、情報収集の効率が向上しました。
就活でタイパを意識する理由
では、なぜ学生は以前よりもタイパを意識するようになったのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
SNS・インターネットの普及
Z世代と呼ばれる若い世代は、幼少期からスマートフォンやインターネットを使いこなしてきた「デジタルネイティブ」として育っており、膨大な情報を瞬時に検索し、取捨選択する能力に長けています。
そのため、従来の長時間の説明会や企業パンフレットよりも、SNSやインターネット経由で簡潔に情報を得ることが当たり前となっています。このような背景から、時間効率を重視する「タイパ」を重視する姿勢が自然と形成されているのです。
Z世代について、詳しくはこちらをご覧ください。
新しい就活スタイルの定着
コロナ禍以降、企業の採用活動にも大きな変化が生まれました。従来の対面形式に代わり、オンラインでの企業説明会やZoomを活用した面接、さらにはエントリーシートのデジタル化などが一般的になっています。
これにより、学生は移動時間や宿泊費を節約できるだけでなく、短時間で複数の企業を比較・検討することが可能となりました。
オンライン形式の就活は情報量が多いため、学生は効率よく情報を収集し、自分に最適な企業を選び出すスキルを求められるようになりました。
また、就活サイトやアプリも発達し、AIによる企業推薦機能や効率的な応募管理ツールが提供されています。
こういった要因により、学生は必要な情報を迅速に得て、自分にとって最適な選択を短時間で行おうとする傾向が強まりました。
就活の早期化
就職活動の時期が年々早まる中、学生は就活以外にも学業やアルバイト、サークル活動、さらにはインターンシップやプライベートな予定といった多くのタスクを並行してこなす必要があります。特に大学3年生の後半からは、これらのタスクが重なり、時間管理の重要性が一層高まります。
このような状況下で、就活に費やす時間を効率化し、他の活動とのバランスを保つために「タイパ」を意識する動きが加速しています。
例えば、エントリーする企業数を絞り込む、志望業界の情報を短時間でリサーチするさらには選考対策として効率の良い方法を選ぶといった行動が挙げられます。
企業がとるべき対策
タイパを意識した採用活動を展開することで、学生の共感を得やすくなり、人材を効率的に採用することが可能です。
以下では、企業がとるべき具体的な対策について詳しく解説します。
効率的な情報共有
学生が効率的に企業情報を得られることが重要です。
オンライン説明会やオンデマンド形式の動画コンテンツの導入はその1つですが、これにより学生は自分のスケジュールに合わせて企業情報を閲覧でき、移動や拘束時間を省くことができます。
特にオンデマンド形式では、動画の視聴回数や途中で離脱したタイミングを分析することで、学生の関心を詳細に把握し、次のアプローチに活用することも可能です。
また、学生が日常的に利用するSNS(Instagram、TikTok、Xなど)を活用し、親しみやすいフォーマットで自社をアピールすることも効果的です。短尺の動画やビジュアル中心の投稿で、「タイパ」志向の学生に効率よく情報を届けることができます。
選考基準の明確化
学生が効率よく選考準備を進められるよう、企業側が求める人材のイメージや必要なスキルを具体的に提示することが重要です。
選考プロセスごとに求める評価基準を明確化し、公式サイトや求人サイト、募集要項に記載するとよいでしょう。
「第一次選考ではコミュニケーション能力を重視します」
「最終面接では自己分析とキャリアビジョンが評価基準です」
といった具体的な情報を提供することで、学生は効率的に対策を立てることができます。
さらに、サンプル問題や模擬面接の提供など、選考準備のサポートも効果的です。これにより、学生の不安を軽減し、自社への応募意欲を高めることが期待されます。
以上のように、選考の透明性を高めることで、タイパ志向の学生の興味を引くことができます。
タイパ志向を逆手に取った会社の魅力づけ
学生のタイパ志向に応えるため、説明会やオンラインイベントで自社が「効率的な働き方」を重視していることをアピールするのも有効です。
具体的には、リモートワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方を取り入れたり、成果主義を採用し、これを強調するという方法があります。
また、短期間で成長できる環境や、働き方に関するサポート体制を具体的に示すことで、学生に「この企業は自分の価値観に合っている」と感じてもらいやすくなります。
インタラクティブな採用活動
学生との双方向のコミュニケーションを重視したインタラクティブな採用活動も、タイパ志向の学生には効果的です。
一方的な情報ではなく、質疑応答の時間を十分に設けた説明会や、SNS上での質問コーナー、オンラインでのカジュアル面接などを取り入れることで、効率よく学生の関心や疑問に応えることができます。特に、SNSなどを活用した企業の社員が直接参加するライブ配信は、学生にとって身近で参加しやすい形式です。
このような取り組みは、学生に企業の雰囲気や働く環境をより具体的にイメージさせる効果があります。
学生の成長を支援するプログラムの提供
学生の成長意欲に応える施策も、タイパ志向に対応した魅力的な戦略です。
例えば、インターンシップを通じて短期間で実践的なスキルを学べる機会を提供したり、選考プロセスの一環としてスキルアップ講座を組み込むことが考えられます。
「当社の選考プロセスを通じて、業界や職種について深く学べます」といったメッセージを伝えることで、選考そのものが学生にとって価値ある体験となり、自社に対する好印象を与えることができます。
タイパ志向の学生に有効な早期囲い込み
前のセクションでは、企業が学生の「タイパ志向」に対応するためのさまざまな施策について述べましたが、ここでは前述しなかった非常に有効な対応策「早期囲い込み」についてご紹介いたします。
早期囲い込みの重要性
先にも述べた通り、学生は「タイパ」を意識することで、就職活動を早期に終わらせる「就活の早期化」が進んでいます。
このため、企業は優秀な人材を獲得するため、早い段階で学生を囲い込むことが重要となっています。
一方で、このような状況を他の企業も同様に認識しているため、人材確保の競争が激化している昨今、早期囲い込みを行わない企業は、学生を他の企業に取られるリスクが高まります。
したがって、早期囲い込みを実施することにより、学生との信頼感を形成することができ、他社よりも優位に採用活動を進めることができます。学生との接点をいかに早く、効率的に作るかが成功のカギとなっています。
早期囲い込みにおける「交流」
内定者の早期囲い込みを成功させるためには、内定者同士や社員との交流を深める取り組みが非常に重要です。交流の場を設けることで、内定者に「この企業で働きたい」という安心感や帰属意識を高めてもらうことができます。
特に内定者同士の交流は、同じ境遇にある仲間と知り合うことで、孤立感を解消し、心理的な安心感を得る場となります。特に、オンラインが主流となる昨今では、定期的な交流イベントの活用が有効です。
また、懇親会や座談会で社員とも交流することで、企業文化や職場の雰囲気を肌で感じてもらうことで、内定者が入社後を具体的にイメージしやすくなります。
早期囲い込みに有効なバヅクリの施策
ここでは、早期囲い込みに非常に有効なバヅクリの施策をご紹介いたします。
バヅクリは、心理的安全性に基づいたエンゲージメントサーベイや研修、社内イベントなどのプログラムを通じて、行動変容や組織改善を促すサービスです。
内定者同士や社員との対話を促進する200種類以上の研修 / ワークショップのなかでも、内定者の早期囲い込みに最適なプログラムをいくつかご紹介いたします。
人狼座談会
・Z世代に人気の高いゲーム性を取り入れ、楽しく職場と社員の理解を促進させる
・ユニークな方法での座談会を実施し、内定承諾率向上を狙う
内定者座談会では、先輩社員が内定者のフリをして参加し、「採用試験を受けた理由」や「不安なこと」などのテーマで対話を楽しみます。
内定者視点に近い意見を共有することで、働くイメージをリアルに感じ、入社後のギャップを軽減できます。後半では先輩社員が正体を明かし、ざっくばらんなトークを通じて親睦を深めます。
プロのMCによる進行で盛り上がるイベントとなり、参加者の相互理解と企業理解を促進し、内定辞退を防ぎます。
おえかきコミュニケーションワークショップ
・描くこと・言語化することで内製してお互いの価値観を認識する
・絵の対話を通じて、相互理解のある関係性を構築する
非日常の「おえかき」体験を通して、参加者同士の相互理解とチームの一体感を深めるワークショップです。
絵のうまい下手は関係なく、抽象的な表現で感情を可視化し、言葉では伝えにくい本音を引き出します。アイスブレイクの短いおえかきに続き、感情表現、そして「理想の社会人」等のテーマに基づいた対話ドローイングを行います。絵の共有と対話を通して、自己理解と他者理解を深め、深いつながりを感じられるプログラムです。
部署間の垣根を超えたコミュニケーション活性化にも効果的で、目的に合わせた進行が可能です。また、ワークショップ後の会話のきっかけとなり、持続的な関係構築を促進します。
オンライン謎解き脱出ゲーム
・謎解きにチームで挑戦することで、チームワークを醸成する
・ひらめき力・分析力・観察力といった、ビジネスにも使える力を楽しく身につけられる
バヅクリの脱出ゲームは、没入感あふれる世界観の中で楽しめるプログラムで、非日常の設定が役職や立場を超えた自然な会話を促します。
参加者は、洞窟に閉じ込められる設定の下、謎を解き、仲間と協力して脱出を目指します。全員が参加しやすい工夫が施されており、初心者でも安心して楽しめます、
謎解きを通じてチームの相互理解や一体感を深めることができ、より良いチーム作りを支援します。特にチームビルディングやコミュニケーションを強化したいチームに最適です。
まとめ
今回の記事では、「タイパ就活」についてご紹介いたしました。
効率を重視する学生が増加しているため、一度の交流で効率よく情報を伝え、信頼を構築できる懇親会が求められています。
タイパを重視する学生を囲い込むために、ぜひ一度バヅクリのプログラムを導入してみてはいかがでしょうか。