地方企業の採用担当者の中には、求人募集をしても応募者が集まらず、採用に苦戦している方が多いのではないでしょうか?

労働人口減少の影響もあり、日本全国で人材獲得競争が起こる中、地方の中小企業における採用難度は年々高まっています。
そのような中で地方採用を成功させるには、採用市場全体を俯瞰した上で戦略的に採用に取り組む必要があります。

本記事では地方採用を成功させる上で必要な知識や、おすすめの採用手法、地方採用で成果を出すためのポイントを解説します。

地方採用の現状

地方の都市

ここでは地方採用の現状について解説します。
地方採用が厳しさを増している背景として「地方における労働人口の減少」と「有効求人倍率の増加」が挙げられます。
地方採用を取り巻く状況を改めて確認しましょう。

地方の労働人口が減少している

近年は、進学や就職をきっかけに地元を離れる若者が増加しています。

住民基本台帳人口移動報告
出典:2021年(令和3年)住民基本台帳人口移動報告

総務省が調査した住民基本台帳人口移動報告によると、2020年は首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)と大阪府・福岡県など一部の大都市圏でのみ転入超過が発生し、それ以外の県では人口が減少する結果となりました。

首都圏を中心とする都市部に人口が集中していることが、地方採用に苦戦する原因となっています。

有効求人倍率の増加

地方採用が厳しさを増している背景の一つに、有効求人倍率の高まりがあります。
厚生労働省の発表によると、令和4年(2022年)平均の有効求人倍率は1.28倍。
平成26年(2014年)以降の有効求人倍率(年間の平均)は常に1倍を超えており、長期的な人手不足が長年解決していないことがわかります。

有効求人倍率が高まっている理由として、少子高齢化で労働人口自体が少なくなっていることがあります。

求職者の数に対して求人の数が多く、求職者が仕事を選べる「売り手市場」の状況が続いているため、条件面での優位性を出しにくい地方の企業は採用に苦戦しやすくなっています。

地方企業の採用課題とは

地方企業の採用課題

そもそも地域の労働人口が少ない地方企業の採用は、都市部の企業以上に採用のやり方に工夫が必要です。
ここでは地方企業が抱えがちな採用課題を紹介します。
それぞれの課題の解決策も紹介しますので、同じ課題を抱えている企業は参考にしてみてください。

1. 全国の人材にアピールができていない

地方で採用を行うとき、もうすでにその地域に住んでいる人材や学生にターゲットを絞ってアプローチする企業は多いです。
しかし、「今は都市部で働いているが、将来的には地元に帰りたい」「忙しない都市部を離れて、地方でライフワークバランスをとりながら生活したい」など、潜在的に地方で働きたいニーズを持っている人もいます。
そんな中で、地元の求職者に絞って募集をするのは非常にもったいないことです。

「U/Iターン希望者」「地方移住希望者」など、全国にいる人材にも広くアピールすることで、採用の間口を広げることができます。

2. 自社の採用課題が定まっていない

採用がうまくいかない原因は、大きく外的要因と内的要因に分けられます。

「そもそも地方企業に就職したい人材が少ない」「首都圏の企業より高い給与を払えない」など、採用担当者の力ではどうにもできない問題は外的要因になります。
一方で、「自社の強みを言語化できていない」「分析不足で、採用競合がどこかわからない」など、採用課題に対して解決策が考えられるものは内的要因に分類できます。

外的要因を変えるのは難しいため、採用を成功させるには、採用課題を外的要因と内的要因に分類した上で、内的要因の解決に注力する必要があります。
外的要因を織り込んだ上で、内的要因を解決することで、適切な採用戦略や採用ターゲットが定まります。

3. 採用母集団が小さい

前述したように、労働人口そのものが減少していたり、地方圏から都市部への人口流出が進んでいたりすることもあり、地方採用では採用戦略を策定して適切に採用活動を進めても、採用母集団が小さくなってしまいがちです。

さらに人手不足に悩む地方企業では、「あれもやってほしい」「これもできてほしい」など、人材に求めるものが増える傾向にあります。
ただでさえ母集団が小さいのに加えて、採用要件のハードルが高まってしまうと、なかなか希望の人材が集まらず内定まで繋がりません。

そこで重要なのは、採用ターゲットを明確にする際に自社にとって必要な人材要件を見極めることです。
採用を通して自社のどんな課題を解決したいのか、またその課題を解決するのに必要なスキルは何かを定めることで、採用したい人材の要件がクリアになります。

地方採用を成功させる方法

成功した地方採用

ここでは地方採用を成功させるために注目するべきポイントを解説します。

1. 採用ターゲット像を明確にする

地方採用を行う際には、求める人材の性格や経験・スキル・希望年収など、ターゲットとなる人の人物像を具体的に設定しましょう。

自社が求める採用ターゲット像をあいまいにした状態で採用活動を始めると、アプローチの方向性が定まらず、求職者に自社の魅力が伝わりにくくなってしまいます。
例えば「U/Iターン希望者」という採用ターゲット像を設定した場合は、採用フローにオンライン面接を導入することで、応募のハードルを下げることができます。

このように、採用ターゲットを具体的に設定することで、採用のメッセージや打ち手も明確になり、地方採用を有利に進めることができます。

2. 地方企業で働くことの魅力を分析・発信する

「地方に住み、地方で働くこと」は、求職者にとって強力な魅力づけにもなり得ます。
一方で、地方で働く良さを明確に認識できていない求職者も少なくないため、地方企業が主体となって働く魅力を発信する必要があります。

そのために、まずは3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用し、競合他社と比較した自社の魅力を客観的な視点で明らかにしましょう。

近年はSNSなど、採用担当者が手軽に情報発信できるツールがたくさんあります。
採用ターゲットとマッチするSNSを選定した上で、自社の魅力を発信し続けるのがおすすめです。

3. U/Iターン人材にアプローチする

地方企業にぜひ検討して欲しいのが、U/Iターン人材へのアプローチになります。
U/I人材への訴求のために必要なのが、「移住支援」と「オンライン対応」です。

自治体の制度などもうまく活用しながら移住に関する金銭面での負担をサポートする、webサイトなどのオンラインでの情報発信をうまく行うなど、U/I人材のニーズにマッチした施策を実施することで、人材を効率的に集めることができます。

4. WEB面接を導入し、求職者の負担を減らす

WEB面接の利用はU/Iターン希望者だけではなく、地元で働く人材を採用したいときにも有効な手法です。
対面での面接と比較して、移動時間や準備の時間が少なくて済むため、求職者の応募のハードルを下げることができます。
web面接を導入するための通信環境の整備、ツールの導入なども視野に入れて、求職者ファーストの採用を行いましょう。

内定を出してからが本当の勝負!内定辞退が増加傾向に

2022にかけて、オンライン採用の普及により複数内定を持つ学生が増加傾向にあるため、内定辞退率は上昇傾向にあり、内定者フォローを強化する企業が増えていますが、効果的な施策がわからない担当者も多いかと思います。

学生が内定通知を受けた企業に対して、何に不安を感じ、内定辞退に至るのか、アンケート調査を行い企業に対する不満点をまとめました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、内定者フォロー施策の参考にしてみてください。

オススメの採用手法とは

地方採用の手法

ここでは地方採用でおすすめの手法を解説します。

1. リファラル採用

リファラル採用とは、社員から自社にマッチした候補者を紹介してもらう採用手法のこと。
社員から紹介を受けた後、採用試験や面接などを行った上で採用するのが従来の縁故採用とは異なる点です。

リファラル採用のメリットとして、下記のものがあります。

  • 紹介者から候補者の能力や性格などを事前にヒアリングできるため、ミスマッチが起こりにくい
  • 社員の人脈を通じてアプローチするため、採用競争に巻き込まれにくい
  • 求人サイトや人材紹介サービスなどの有料サービスを介さないので、採用コストを抑えられる

リファラル採用を成功させる上で重要なのが、社員の協力です。
候補者を紹介してくれた社員にインセンティブを与える、友人に自社の紹介を気軽にできるように資料やツールを用意するなど、採用担当者の方から働きかけて社員を巻き込んでいきましょう。

2. 採用広報

近年、求職者が転職面接を受ける際には事前に会社HPや会社のSNSをチェックすることがほとんどです。
それらのwebページで自社の魅力を的確にアピールすることで、求職者の集客強化ができます。

採用広報を行うメリットには下記があります。

  • 自社でHPやSNSを運用すれば、費用をかけずに集客ができる
  • SNSは転職を検討する前の潜在層にもアプローチできる
  • 地元の地域だけではなく、全国の人材へのアプローチも容易におこなえる

3. ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、候補者にスカウトメールを送ることで直接アプローチする採用手法のこと。

求人を掲載して応募を待つ求人広告や人材紹介などの従来の採用手法とは異なり、ダイレクトリクルーティングは自社が求める人材に直接アプローチできます。

求める要件を満たす人材の母数がそもそも少なかったり、従来の採用手法ではなかなか出会えない場合は、ダイレクトリクルーティングを用いた攻めの採用を行うのがおすすめです。

4. 地方に特化した求人サイト

近年は、ある一定の地域に特化したローカル求人サイトなどが多く生まれています。
それらのサイトは地元ならではの情報を発信していることも多く、地元人材のリーチを効率的に集められることから注目されています。

地元密着型のビジネスを営んでいたり、地元志向の強い人材を採用したい場合は、そのようなサイトを活用するのも有効です。

5. 地方の大学を訪問(新卒の場合)

地元の大学生を新卒で採用したい場合に有効な手法が、自社の活動エリア内にある大学への訪問です。

地方の大学に通う学生であれば、もうすでにそのエリアに住んでいる可能性も高いため、地方企業で働くことへのハードルは低いでしょう。
地元の優秀な若手人材を採用することで、将来の幹部候補を育成することも可能です。

大学生にアプローチするためには、大学での合同説明会への参加や個別説明会の開催など、大学の就職担当者へ打診するのも一つの手です。
また理系学生や技術職の人材を採用したい場合は、研究室の教授とつながることも考えてみましょう。

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出典:バヅクリ

中途採用とは異なり、新卒採用は内定出しから実際に働きはじめてもらうまで期間が空いています。
せっかく力を入れて新卒採用を行う場合は、働きはじめる前に内定辞退をされてしまうリスクに備えることが重要です。

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まとめ

本記事では地方企業の採用活動の課題や現状、成功させる方法について解説しました。
地方採用を成功させるには、候補者への認知獲得から内定、そして実際に働き始めるまでのきめ細かいフォローが重要です。
本記事をきっかけに、バヅクリの内定者フォロー研修をご検討してみてはいかがでしょうか?