せっかく時間、費用をかけて採用したにもかかわらず、入社後すぐに離職されてしまった苦い経験はありませんか?
新卒採用、中途採用ともに採用活動には数十万円~数百万円の費用がかかります。
社員の離職が続くと、採用後の育成費や時間も無駄になりますし、既存社員にも悪影響をおよぼしてしまいますよね。
そこで今回は、社員の離職原因を改めて整理し、離職防止の対応策を複数ご紹介します。
今すぐ使える便利なツールや、離職率を下げた他社事例もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
社員が離職する主な理由
まずは、社員が会社を辞めてしまう理由を改めて確認していきましょう。
今回は厚生労働省の雇用動向調査をもとに、転職者が前職を辞めた理由について解説していきます。
給与等の収入が少なかった
転職理由でもっとも多かったのが「定年・契約期間の満了」でしたが、雇用期間以外の理由の中では「給与等収入が少なかった」という回答が1番多く集まりました。
男性の10.2%、女性の8.8%が給与に不満をもって離職しており、年代別に見ると男性は30~34歳の17.1%、25~29歳の16.3%がもっとも多くなっています。
一方、女性も25~39歳までの離職理由として、「給与が低かったため転職した」と答えていることがわかりました。
労働時間、休日等の労働条件が悪かった
給与の低さに次いで離職理由となったのは、「労働時時間・休日などの労働条件が悪かった」という点です。
労働条件については、男性よりも女性が気にする傾向にあります。
労働条件を気にして離職した女性は、なんと全体の13.4%を占めており、女性の転職理由ナンバー1となりました。
職場の人間関係が好ましくなかった
次に離職につながりやすい要素として「職場の人間関係が好ましくなかった」があげられます。
仕事において人間関係はシビアに気にするところで、男性の7.7%、女性の11.8%が離職理由として回答しています。
男性よりも女性はとくに、職場での人間関係に悩んで離職していることがわかります。
一方、男性は職場の人間関係と同じくらい「会社の将来性」を気にして離職していることもわかりました。
会社の将来に不安を感じて辞めた男性は、全体の7.6%となり、職場の人間関係を気にした人の割合7.7%とほぼ同ランクとなっています。
離職防止のための具体的な施策
給与への不満、働き方・残業などの不満、職場の人間関係へのストレスが原因で、多くの人が転職をしている現状がわかりました。
ここからは具体的な離職防止の施策について、まとめていきます。
労働条件の改善(労働時間・有給取得の促進)
離職防止対策として、まずは職場の労働条件を見直すことからはじめます。
労働条件の中でも、①日々の労働時間と残業時間、②年次有給休暇や特別休暇の取得日数を中心に、改善計画を立ててみましょう。
取組のステップは以下のとおりです。
- 現状把握
- 課題抽出
- 目標設定(短期目標と中長期目標)
- 施策の検討と実施
いきなりすべての労働条件を変えましょうと言うわけではありません。
なにより大切なのは、最初のステップの「現状把握」から逃げず、正確な情報を可視化することです。
人手不足が顕著な中小企業では「どうせ残業は減らない」と諦めてしまい、労働環境が悪化している現状から目を背けがちです。
自社の課題を見つめるのは大変なことですが、まずは社員一人ひとりの勤怠を把握して、有給休暇か特別休暇などを年間でどのくらい取得しているかデータを収集していきましょう。
そのうえで、労働環境のどこに課題があるか列挙していきます。
その後、項目ごとに「すぐ達成できそうな短期目標」をかかげて、少しずつ取り組んでいきましょう。
コミュニケーションを活性化する
続いて、職場環境の改善をして、人間関係による離職を防止していきましょう。
人間関係を良好に保つためには、社内コミュニケーションの活性化が欠かせません。
同僚や同期との横のつながり、先輩や上司との縦のつながり、他部署や関連会社などとのななめのつながりを意識して、横断的にコミュニケーションをはかりましょう。
社内ブログや社内SNSは、どんな企業でも気軽に取り組めるのでおすすめです。
対面でのコミュニケーションが難しい昨今だからこそ、オンラインで気軽につながることのできる、社内向けSNSをはじめてみるのはいかがでしょうか。
また、特定の社員同士で強いつながりを持たせるために、メンター・メンティー制度を導入する方法もおすすめです。
社内に「安心して相談できる相手が明確にいる」ことで、心理的安全性が高まり、帰属意識の向上にもつながります。
成長実感をもたせる(人材教育・能力開発)
先の厚生労働省の調査によると「能力・個性・資格を生かせなかった」ことを理由に離職している人も多くいることがわかりました。
この課題を解消させるためには、社内の教育制度や人材能力開発に注力して、社員に成長実感や組織への貢献実感を持たせることが重要です。
具体的には、四半期~1か月に一度など定期的な評価面談を丁寧に実施し、継続的にタレントマネジメントに取り組むのがおすすめです。
面談では、社員がどんなスキルを保有しているのか、これから何にチャレンジしたいのか、何を克服したいのかを整理して一緒に目標を立てていきます。
丁寧な評価、フィードバックを繰り返すことで「自分の能力を生かせないから辞めよう」というネガティブ離職を未然に防ぐことが可能です。
仕事内容を変更する(配置転換・副業)
厚生労働省の調査によると「仕事の内容に興味を持てなかった」という離職理由も多いです。
「仕事に興味がないなんて他責じゃないか」と思う人事担当者もいるかもしれませんが、調査結果を見ていくと、40代や50代の中堅層も仕事内容への関心が低く離職したと答えています。
そのため、常にフレッシュな気持ちで仕事に取り組めるように、仕組みでカバーすることが重要です。
代表的な取り組みとしては、配置転換・ジョブローテーション制度の導入や、社外副業を認めるなどがあるでしょう。
離職率を低下させた各社の事例
独自の取り組みで、離職質を低下させた企業の事例をご紹介します。
参考にしながら、ぜひ自社でも試してみてください。
株式会社サイボウズ
サイボウズ社は、離職率を28%から4%へ大幅に下げた実績を持ちます。
「社員の定着を目指す制度=社員を甘やかす制度」にならないよう意識しながら、個々のライフスタイルにあわせて自由に働ける選択型人事制度を導入しました。
具体的には、家で働きたい希望にこたえる在宅勤務制度はもちろん、思いっきり働きたい人向けのウルトラワーク制度など、ユニークかつ個別の「働き方への希望」を考慮した制度を充実させています。
その結果、多様なワークライフバランスのニーズにこたえることで離職防止につなげています。
https://careerhack.en-japan.com/report/detail/215
株式会社テイルウィンドシステム
立川市のIT企業、テイルウィンドシステムでは、育児支援の継続と長時間労働の抑制、休暇取得の推進を柱にした取り組みを実施しました。
離職防止策としてはスタンダードな項目ですが、きっちり愚直に取り組んだことで、離職率は15%代から7%代へ激減しています。
- 時間外労働の監視を強化しノー残業デーを導入
- 男性管理職の育休取得の実施
- バースデーホリデーという新たな休暇制度の導入
- 勤続10年表彰
など
シンプルかつ、ベーシックな取り組みを継続することが、離職防止に直結することがわかります。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/hatarakikata/lwb/ikiiki/10_tail.pdf
株式会社ビースタイル
人材サービス業のビースタイル社は、離職率20%以上から8%へ改善した実績を持ちます。
同社の取り組みもいたってシンプル、かつスタンダードな施策内容でした。
具体的には、ビジョンの見直しを行い会社の方向性を明示すること、行動指針の策定、そして社員コミュニケーションの強化でした。
社員コミュニケーションの強化のために、全社日報の導入、1on1の実施、感謝の気持ちをあらわす独自の「バリューズアワード」など全方位で対策を実施しています。
離職防止におすすめのツール5選
離職防止の施策を1から考え、準備するのはなかなか大変なことです。
そこで、簡単に利用できる離職防止におすすめのお役立ちツールを5つご紹介します。
1. バヅクリ
離職防止策の中でも、社内コミュニケーションの活性化、チームビルディングに注力したい企業におすすめのツールです。
多くの企業の社内研修、オンボーディング、チームビルディング施策のためのツールとして活用されています。
日常業務で忙しい人事担当者にとって、オンライン飲み会や雑談会以外の交流イベントを企画するのは一苦労です。
バヅクリには、斬新で社員が関心を持ちやすいテーマのプログラムがそろっています。
企画や当日の司会進行も丸投げできるので手離れがよく、効率的に社内コミュニケーションを活性化させます。
2. Unipos
社員同士で評価しあい、報酬を送るピアボーナスを簡単に取り入れられるツールです。
企業から社員へ評価するのではなく、一緒に働いているメンバー同士で賞賛しあい、リアルタイムで感謝を伝えることでコミュニケーション活性化をうながします。
3. jinjerワークバイタル
「今日は雨」「今日の仕事ぶりは晴れ!」と、視覚的にわかりやすい表示で、社員のモチベーションを確認できるコンディション管理ツールです。
社員数が増えると、一人ひとりの日々のコンディションチェックが難しいですが、jinjerワークバイタルを使えばメンバーのモチベーション変化をグラフで追うことができます。
アラート機能もそなわっているので、今どの部署の状況が良くないのか、リアルタイムで気付きやすいのでおすすめです。
4. カオナビ
人材管理システムを導入し、社員のモチベーションや人事評価、人事情報をワンストップで管理する方法です。
パルスサーベイと呼ばれる社員向けの定期アンケートで情報を収集し、分析結果をダッシュボードでスムーズに確認できるのが魅力です。
https://www.kaonavi.jp/scene/04/
5. payme
給与に関する不満を減らすために、給与前払いサービスを導入するのはいかがでしょうか?
とくに新しい会社に入社した直後は、初めての給与振込日までにタイムラグが発生したり、転職タイミングによっては賞与が受け取れない場合があります。
paymeを使えば、社員が働いた日数分の給与を前払いできるので、企業負担なく、給与への不安を解消できます。
まとめ
今回は、人々の転職理由をヒントにしながら、離職防止策についてご紹介しました。
今回ご紹介した施策以外にも、オンボーディングの強化や、社内研修などさまざまなアプローチ方法があります。
とくに社内の人間関係の改善や、チーム力アップに注力したい企業様は、ぜひ「バヅクリ」を試してみてくださいね。