2020年の厚生労働省のデータによると、2019年における大卒の新卒社員の入社3年以内離職率は32.8%であることがわかりました。
終身雇用制が崩壊し、転職という選択肢が当たり前のものとなっている現在、社員の離職率に悩む会社が増えています。

社員の離職を防止するには、職場のコミュニケーションを整え、人間関係を良好にすることが重要です。
本記事では離職防止におけるコミュニケーションの重要性や、企業による離職防止施策の成功事例を紹介します。

離職防止にはコミュニケーションが大事

離職防止に大切なコミュニケーション

離職防止施策を行うには、まず離職のメカニズムを理解することが肝要です。
ここでは離職の主な原因と、離職防止におけるコミュニケーションの重要性を紹介します。

離職の主な原因

離職をする人が抱えがちな不満や悩みとはどのようなものでしょうか。
ここでは株式会社リクルートが2007年に行った調査「転職理由と退職理由の本音ランキング」をもとに、離職の主な原因を解説します。

1. 人間関係に悩みを抱えている

同調査によると、退職理由の本音ランキング1位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)」、3位は「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)」でした。
人間関係の悩みが離職の引き金になることがわかります。

2. 労働環境や待遇面での不満

また同ランキングでは「労働時間・環境が不満だった(14%)」が2位、「給与が低かった(12%)」が4位にランクイン。
働きやすい環境や待遇面での不満をきっかけに転職に踏み切る人もいるようです。

3. 会社や事業の将来性に対する不安

また「会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)」「キャリアアップしたかった(6%)」など、現在の会社や事業の将来性に期待が持てず、転職をする人が一定数いることがわかりました。

コミュニケーションの重要性

人間関係の悩みによる離職を食い止めるには、職場のコミュニケーションを円滑にする必要があります。
実際に、待遇面や事業の将来性に関して不安を持っていても「一緒に働く人たちが好き」など人間関係が良好なことが理由で離職を思いとどまる人もいます。

また頻繁にコミュニケーションを取り、普段から気軽にキャリアについて相談できる関係を構築することで、社員が突然辞める「びっくり退職」を防ぐことができます。

離職防止に役立つコミュニケーション

離職防止のために活性されるコミュニケーション

業務上のやりとりだけでは、離職に歯止めをかけるコミュニケーションは生まれにくいものです。
ここでは離職防止に役立つコミュニケーションのコツを紹介します。

1. 取り止めのない会話や、相互理解を深める対話の機会を作る

コミュニケーションにはルールや結論がない「会話」、正しい判断や結論を導き出す「討論」、互いの相互理解を深める「対話」の3種類があります。
この3種類の中でも雑談を含む「会話」には関係性を構築したりほぐしたりする役割、「対話」には相互理解を深めることで新たな気づきをもたらす効果があります。

職種や立場に関わらず、社員同士が会話や対話をする機会を作ることで、社員の状態を把握したり、人間関係を構築したりできるようになります。

2. 意見を言いやすい、フラットな環境を整える

心理的安全性とは、どんな立場の社員がどのような発言をしたとしても、他の社員から避難や拒絶をされる不安がなく、安心して自分の意見や考えを言える状態のこと。
社員の心理的安全性を確保することで、離職防止につながるだけではなく、チームの生産性が改善することがわかっています。

フラットな職場を実現するために、一人ひとりの価値観・多様性を認める組織文化を構築するとともに、人事評価のあり方を見直してみましょう。

3. 社員のWillによりそった業務アサイン、キャリア設計をする

社員が仕事や会社に求めることは、人によって異なります。
一人ひとりの要望に耳を傾け、配置転換や業務内容の変更、働き方の変更など、要望に対して柔軟に対応することで、職場の不満を解消し離職を防ぐことができます。

上司・部下との間で定期的な1on1を開催し、対話の中で本人のWillを引き出しましょう。

コミュニケーションの促進には研修が役立つ

コミュニケーションの促進をしている組織

職場でより良いコミュニケーションを促進する方法のひとつに、コミュニケーション研修の導入があります。
コミュニケーション研修とは、会話や対話などのコミュニケーションに必要なコミュニケーションルールの基礎を学ぶ研修です。
研修によってはグループワークなど、実際に学んだコミュニケーションを実践する場を設けることもあります。

コミュニケーション研修に取り組みたいけれど、その施策を実施する工数が足りない、やり方がわからないという場合には、外部研修サービスの活用もおすすめです。

研修を外注することは、人事担当者の工数が削減できる、研修の質が担保されている、プロによる実践的なノウハウが得られる、などメリットがあります。

コミュニケーション研修にはバヅクリがおすすめ

バヅクリはバヅクリ株式会社が運営する、オンラインチームビルディングサービスです。
工作や、マインドフルネスなど様々な講座があり、講師は全てプロが行います。

コミュニケーション研修の企画を考えるのが難しい場合は、このようなサービスを利用し、プロの手を借りてみるのもいいでしょう。

バヅクリおすすめのコミュニケーション研修プログラム

1. 相談力向上ワークショップ

相談力向上ワークショップ
出典:バヅクリ

【人数】50人程度
【時間】1.5時間程度
【内容】
まだ仕事に慣れていない若手社員にとって、コミュニケーションの中でも特に「相談」は重要です。
しかし実際には、部下は上司へ相談することに躊躇いがあったり、適切な相談の仕方が分からずに、コミュニケーションロスが発生するケースが散見されます。

このプログラムは、不明点の質問や問題の解消、調整や提案といった相談のケースを実際に体験し、現場でも生かせる相談テクニックを身に付けることをゴールとしています。
新人・若手社員の研修におすすめのプログラムです。

2. 不安解消マインドフルネス

不安解消マインドフルネス
出典:バヅクリ

【人数】50人程度
【時間】1.5時間程度
【内容】
マインドフルネスとは、仏教の瞑想をもとにマサチューセッツ工科大学が宗教的要素を除いて開発したストレス軽減法のこと。
ストレス軽減、集中力アップ、チームワークの改善にも効果が認められ、Google、Apple、Facebookでも採用されています。
バヅクリのマインドフルネスプログラムでは、マインドフルネスの基礎的な瞑想方法を学習するとともに、内省・共有・対話を通して、お互いの心の不安を整理し合う相互理解ワークショップを行います。

その他の離職防止の施策

離職防止の施策

人事担当者ができる、離職防止に役立つ施策とはどんなものなのでしょうか。

1. 働きやすい労働環境の整備

長時間労働の常態化やテレワークができないなど、労働環境の不満が離職を引き起こすケースがあります。
最近は企業口コミサイトが一般的なものとなっているため、労働環境が悪い状態を放置していると口コミを介して企業のイメージが悪くなり、人材採用が難しくなることもあります。
労働環境の現状を確認し、適切な改善を行いましょう。

2. 人事評価制度の見直し

評価基準が明確で公平な人事評価制度が運用されることで、社員は「頑張れば正当に評価される会社なんだ」と実感でき、モチベーションが向上します。
もしも評価に不透明さがあり、社員の納得感を得られていない場合には、人事評価制度を見直すのも一つの手です。

3. 面談を通じてキャリアプランを立てる

離職につながる不満として、今取り組んでいる業務内容に意義ややりがいを感じられないことがあります。
そこで1on1などの面談を通じて業務にまつわる不安や本人が望むキャリアプランを立ててもらうと、社員は仕事に目的意識を持てるようになります。
また会社としてキャリアステップを示すことで、将来像が明確になり離職防止につながります。

3. 離職防止ツールを活用して問題を早期発見する

定期的に社員のコンディションをモニタリングできる離職防止ツールを導入しましょう。
コンディションが悪化した社員には面談を行うなどの対話の場を設けることで、問題の早期発見につながり、突然の退職を防ぐことができます。

離職防止に成功した企業事例

離職防止に成功した企業

ここではコミュニケーションの活性化や職場改善を通して離職率を低下させた企業の事例を紹介します。

1. リコージャパン

光学機器などの製造メーカーであるリコージャパンでは、コロナ禍にリモートワークを導入しました。
業務上のコミュニケーションに問題はなかったものの、インフォーマルなコミュニケーションの不足と、家にこもりきりなことによる従業員のストレス増加が課題になっていました。

そこで同社はバヅクリのプログラム「オンラインクイズ大会」を実施。
社員同士がコミュニケーションとチームビルディングが実現できる場を設けました。

イベントによりコミュニケーションが活発化し、情報共有や相談がしやすい環境が生まれ、仕事がよりスムーズに回るようになりました。

バヅクリの離職防止につながる企業事例はこちら

2. サイボウズ

IT業界の大手であるサイボウズでは、どんな人も気持ちよく働ける職場を目指し人事制度の拡充を行いました。
在宅勤務や副業制度などを整備し、それぞれの社員がニーズやライフスタイルの変化に合わせて働き方を選択できる「選択型人事制度」を導入。
多様な働き方を自分で主体的に選べるようにしました。
これらの取り組みにより一時期28%あった離職率は4%まで改善しました。

参考:ワークスタイル

サイボウズ株式会社

3. グッドパッチ

「退職を決意する前に問題を察知し、対処することが重要だ」という考えから、デザイン会社のグッドパッチでは、入社から1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の段階でインタビューを行う「1・3・6インタビュー」を実施。
相互理解を深めるとともに、入社したての社員が抱えがちな業務やコミュニケーション上の不安を聞き、コミュニケーション改善や相手に寄り添ったフィードバックに取り組みました。
1・3・6インタビューを行うことで、社員が抱える入社前後の違和感やズレを把握し、軌道修正や組織改善を図れるようになりました。

参考:グッドパッチの離職率改善を支えた施策「1・3・6インタビュー」

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4. 株式会社D2C

広告運用などを手掛けるD2Cでは、急速に従業員規模が拡大し、従来の組織・制度では社員の状況を把握しづらくなったという課題を抱えていました。
そこで社員のコンディションを把握するサーベイツールを導入。
人事担当者が社員の声を拾い上げることで課題の早期発見につなげています。

参考:「従業員の声と経営の意思決定をつなぐ架け橋に」戦略人事のGeppo活用法

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まとめ

本記事では離職防止におけるコミュニケーションの重要性や離職防止施策の取り組み事例を紹介しました。

普段から密なコミュニケーションを取ることによって、職場での人間関係の悩みは解消されていきます。
離職の最も大きな原因のひとつである人間関係を良好にするために、普段からコミュニケーションを促進するような環境の整備や研修の導入を検討しましょう。