近年語られることが増えてきた「レジリエンス」という言葉をご存知でしょうか。企業や組織のパフォーマンスや、人材育成の観点から非常に重要な概念となっています。
特に成長著しい企業においては、環境の変化が激しく、心理的負荷が従業員にかかってしまうことは避けられません。
そうした状況をうまく切り抜ける力として、レジリエンスが注目を集めています。
本記事では、レジリエンスが組織にとっていかに重要であるか、またどのような方法でレジリエンスを高めていくことができるのかについてご紹介します。
目次
レジリエンスとは
レジリエンスは、「回復力」や「弾性」を意味する英単語です。
心理学的には、困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応できる能力」「うまく適応していく過程」を表す言葉として利用されています。
回復する力であるレジリエンスの有無や高低によって、仕事における困難やストレスに直面した際の対処や行動、考え方、そして結果が変わってきます。
レジリエンスが注目を集める背景
レジリエンスへの注目が強まった理由としては、時代の変化のスピードがどんどん早くなっており、仕事を取り巻く環境が変わりやすくなっていることが挙げられます。
次々と新しいシステムが取り入れられたり、一緒に働く人が変わったり、外部環境に変化があったりと、ストレスにさらされる機会が過去に比べて増加しています。
厚生労働省が実施した令和2年労働安全衛生調査では、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は 54.2%となっています。
こうした高まるストレスへの対策として、レジリエンスに着目されるようになりました。
レジリエンスの高い人・低い人
レジリエンスが高い人と低い人の違いについてみていきましょう。
レジリエンスが高い人は、前向きな考え方ができる方が多いです。また、現状を俯瞰して考えられるため、一つ一つの事象に一喜一憂することなく、淡々と事実を受け止めます。
仕事における失敗など、なにかネガティブな出来事があっても気持ちの切り替えを上手に行い、次に失敗しないよう、成功するためにはどうすればよいかを考えることができます。
一方レジリエンスが低い人はその逆で、なにかうまく行かないことがあっても気持ちの切り替えが苦手で、ズルズルと引きずってしまいがちです。また、考え方の柔軟性が乏しく、 同じ事象でもネガティブに受け取ってしまいます。
このようにレジリエンスが高いか低いかによって、同じ事柄に対しても正反対の対応となり、ストレスをうまく溜めずに次へ進めるか、いつまでも前に進めずにストレスをため込んでしまうかが変わってきます。
レジリエンスを高めることによるメリット
それでは、レジリエンスを高めることで、個人と組織それぞれにどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
個人におけるメリット
1. ストレス耐性が身につく
ストレスが過度にかかりすぎると、本来のパフォーマンスが出せず、場合によっては体調不良などを引き起こしてしまいます。
レジリエンスを高めることにより、ストレスに強くなり、ストレス要因が多い環境においてもパフォーマンスを維持することができるようになります。
2. 変化適応力が身につく
特にベンチャー企業やスタートアップ企業などは、成長速度が早く、その分働く環境が目まぐるしく変わりやすい傾向にあります。
レジリエンスが高いと、変化に対しても前向きに受け止め、環境に素早く順応することができます。
3. 目標達成能力が身につく
大きな目標であればあるほど、達成には困難はつきものです。計画どおりに行かず、心が折れそうになることもあるかもしれません。
そうした状況においても、レジリエンスを高めておくことで、途中の失敗や困難を乗り越える方法を探し出し、最終的に目標を達成することができるようになります。
組織におけるメリット
1. 方針転換や想定外の出来事にも臨機応変に対応できる
社員一人ひとりが変化に対して強い状態であるため、組織としても変化に強い組織となります。
経営方針や戦略などの方針転換に対しても瞬時に対応することができる他、予想していなかった外部リスクの発生、問題が生じた際にも対応がスムーズになります。
そうしたことが頻繁に起きやすいベンチャーやスタートアップにとっては大きなメリットとなるでしょう。
2. 離職率・休職率が下がる
社員のストレス耐性が強くなると、メンタルや体調を崩しにくくなります。
厚生労働省が実施する労働安全衛生調査の最新データによると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業、または退職した労働者がいた事業所の割合は9.2%となりました。
社員のレジリエンスが高まることは、そうした離職や休職の原因に対して先回りで対処することとなり、組織全体として離職率や休職率が低下するメリットがあります。
3. 新入社員が会社に定着しやすくなる
社員一人ひとりのレジリエンスが高まると、環境の変化に強くなるため、新しい人が入社する際もその変化をポジティブに捉えるようになります。
新入社員は入社の際は言うまでもなく少なからず緊張や不安をいだきますが、レジリエンスの高い組織では既存社員から歓迎され、受け入れられやすくなるため、組織に馴染めずにすぐに離職といったことが起きにくくなり、結果として定着しやすくなります。
レジリエンスを高める
実際にレジリエンスを高めるためにはどのようなことをすればよいのでしょうか。ここでは、レジリエンスを高める方法についてご紹介します。
レジリエンスを高める方法
1. 思考方法・癖を把握する
人間、物事に対する考え方や捉え方には長年人生で培って来た傾向があります。中には、ストレス耐性やレジリエンスの観点から好ましくないものもあるでしょう。
そうした考え方の癖やパターンを客観的に把握することで、改善方法を導き出すことができ、安定した精神状態を確保しやすくなります。
自分のネガティブな思考をコントロールしていく習慣を付けることで、レジリエンスを高めていくことができます。
2. 周囲とつながりを持ち、支え合う
困難に直面した時、どうしても一人ではポジティブに捉えることができない、乗り越えることが難しいという局面もでてくるかもしれません。
そうした状況でアドバイスをくれるなどサポートしてもらうことができる対象が周囲に存在するだけで、困難を乗り越えやすくなることもあります。
普段から周囲とのつながり、信頼関係の構築を意識的に行っておくことが重要です。
3. レジリエンスを高める研修を受ける
レジリエンスを高めるトレーニングを行う研修を受けるという方法もあります。
上記でご紹介したような事柄を、座学やワークショップを通じて学ぶことができるプログラムが準備されています。
体系化されたプログラムで、より効率的にレジリエンスを高める方法を身につけることができるため、外部研修の受講がオススメです。
おすすめのレジリエンス研修
バヅクリ株式会社が提供する研修サービス「バヅクリ」。アクティブラーニングを採用し、受講者同士のコミュニケーションを実現しながらレジリエンスについて学ぶことができます。
まとめ
レジリエンスを高めることが、個人や組織にとって重要であることをご紹介しました。今後変化のスピードが加速するにつれて、より大事な力になってくるでしょうか。
しかし、個人で努力することによるレジリエンス向上は、一定以上の成果はなかなか現れにくくもあります。
そうした際には研修などを導入し、ワークを通してレジリエンスを高めていくことも検討してみてはいかがでしょうか。