エンゲージメント(従業員の満足度やロイヤルティ)は、組織の成功において不可欠な要素です。従業員が仕事に対して熱心に取り組み、自らの力を最大限に発揮することは、企業の成果や生産性向上に直結します。そのため、従業員のエンゲージメントを向上させることは、組織にとって重要な課題となっています。

こうした背景から、多くの企業がeNPS(Employee Net Promoter Score)を導入しています。eNPSは、従業員の満足度やロイヤルティを測定するための指標であり、簡単なアンケートによって得られるスコアから、従業員エンゲージメントの現状を把握することができます。

この記事ではそんなeNPSについて解説します。エンゲージメント向上のためにeNPSを活用することで、組織のパフォーマンス向上や従業員の満足度向上につながる手段を探っていきましょう。

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eNPSとは

ここでは、eNPSの定義や計算方法、似た指標であるNPS・ESとの違いについて詳しく解説します。

eNPSの定義

eNPS(Employee Net Promoter Score)は、従業員の満足度やロイヤルティを測定するための指標です。これは従業員エンゲージメントの測定方法の一つであり、企業や組織が従業員の幸福感や組織への愛着を評価するために利用されます。

読み方は「イーエヌピーエス」で、「Employee(従業員)」のEを冠した、従業員版のNPS指標です。

eNPSは、顧客ロイヤルティを測定するために使われるNPS(Net Promoter Score)という指標を、従業員エンゲージメントの測定に適用したものです。NPSは、顧客が商品やサービスをどれだけ積極的に推薦するかを尋ねる簡単な質問に基づいて計算されます。一方、eNPSは従業員に対して、「あなたの現在の職場を10段階で評価してください。」「この職場を家族や友人に推薦する可能性はありますか?」といったような質問を含むアンケートを行い、その結果から導き出されます。

従業員は、0から10のスケールで評価し、その評価に基づいて3つのグループに分類されます。

プロモーター(Promoters)9または10の評価をつけた従業員。組織にロイヤルティがあり、積極的に推薦する可能性が高い人々です。
パッシブ(Passives)7または8の評価をつけた従業員。組織に満足しているが、特に積極的には推薦しない人々です。
デトラクター(Detractors)0から6の評価をつけた従業員。組織に対して不満を持ち、ネガティブな意見を持つ可能性が高い人々です。

eNPSは、プロモーターの割合からデトラクターの割合を引いた値で示されます。その結果、プロモーターが多ければ多いほど、従業員の満足度とロイヤルティが高いとされます。eNPSの結果を定期的に追跡・分析することで、組織は従業員エンゲージメントの向上に向けた戦略や改善点を特定することができます。

eNPSの計算方法

eNPSのスコアは、以下のシンプルな計算式で算出されます。

eNPS = プロモーター(推奨者)の割合(%) ー デトラクター(批判者)の割合(%)

【計算例】回答者が100名のうち、プロモーターが20名(20%)、パッシブが30名(30%)、デトラクターが50名(50%)だった場合:

eNPS = 20(%) ー 50(%) = −30

スコアは −100〜+100 の範囲で変動し、0以上であれば良好とされています。ただし、日本企業のeNPSは全体的にマイナス傾向が強く、「マイナスでも改善傾向にある」ことを重視する見方が一般的です。

なお、パッシブ(中立者)はスコアの計算には含まれませんが、わずかなきっかけでプロモーターにも批判者にも転じる層であるため、定性的なフォローが重要です。

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NPSとの違い

NPSとはNet Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤルティを数値化した指標を表します。

顧客が企業や製品、ブランドに対して感じている信頼や愛着の度合いを測ることができます。対してeNPSは、従業員ロイヤルティを数値化したものとなります。

以下の表にNPSとeNPSの違いをまとめました。

NPSeNPS
調査対象顧客従業員
測定対象製品・サービスへの推奨度職場への推奨度
主な活用目的顧客ロイヤルティの向上・サービス改善従業員エンゲージメントの可視化・組織改善

ESとの違い

ESとはEmployee Satisfactionの略で、従業員満足度を表します。従業員の働きがいや満足度を測るための指標です。

ESは基本的に業務、企業理念、上司との関係性、職場環境、待遇など社内に対する満足度だけを見る指標ですが、eNPSはESの内容に加え、自社を対外的にもすすめられるかどうかを聞くものとなっています。つまりESに比べて、より離職率が低く生産性が高い従業員を可視化できるため、従業員満足度の指標として注目を集めています。

以下の表にESとeNPSの主な違いをまとめました。

ES(従業員満足度)eNPS
質問数多い(複数の評価軸)少ない(最低1〜2問)
本音の引き出しやすさやや低い(漠然とした質問になりやすい)高い(推薦という具体的指標)
対象範囲社内の満足度のみ社内満足度+対外的な推奨意欲
離職予測との相関やや低い高い(業績・離職率との相関が強い)

eNPSを導入するメリット

eNPS(Employee Net Promoter Score)の導入によるメリットを紹介します。

離職率の低下

eNPSの回答結果から得られるスコアが低い場合、従業員の離職リスクが高いと考えられます。スコアが低い原因を分析し、課題を特定して職場環境の改善に取り組むことで、離職リスクを回避することができます。

実際に、批判者(0〜6点)は推奨者・中立者と比べて離職率が約2倍に達するという調査結果もあります。定期的にeNPSを測定することで、離職予備軍を早期に発見し、手を打つことが可能になります。

リファラル採用の促進

eNPSのスコアが高い従業員は、自社を友人や知人に紹介したいという気持ちが強くなります。これにより、リファラル採用が促進され、自社の従業員による新たな人材の紹介が増えます。採用活動が活発化し、採用経費の削減に繋がります。

生産性の向上

eNPSが高い従業員は、企業を自分ごととして捉えるようになります。自分と企業の成長を共有し、積極的に行動する傾向が強まります。主体性を持った従業員が増えることで、チームや企業全体の生産性が向上し、成果を上げることができます。

業績・収益率の向上

eNPSが高い企業は、収益率が高い傾向にあることが研究で示されています。従業員の主体性が高まることで顧客対応の質が向上し、顧客満足度や売上の改善にも波及効果をもたらします。

これらのメリットを通じて、eNPSは従業員エンゲージメントの向上や組織の成長に寄与する重要なツールとなっています。

【業界別】eNPSの平均スコア

株式会社アスマーが全国の会社員を対象に実施した、仕事や働き方に関する調査『「将来像が描きやすい」企業ほどeNPSが高い傾向~特徴・業界別eNPSランキング~』の結果における業界別eNPSランキングをご紹介します。

1位 鉄道・軌道・水運・航空業 -56.7

2位 通信・インターネット関連業 -60.9

3位 教育関連業 -61.4

4位 地方・国家公務、政治経済団体 -62.8

5位 電気・ガス・水道業 -64.8

6位 電気機械器具製造業 -66.

7位 ソフトウェア・情報処理関連業 -67.1

8位 銀行業 -68.9

9位 化学工業(医薬品、石油製品など) -69.6

10位 土木・建築・建設関連業 -70.6

(2021年アスマークによる調査結果)

なお、株式会社ビービットが2017年に実施した「eNPSは何によって上がるのか 16業界eNPS調査結果」においても、全体の平均eNPSは−61.1という結果でした。業種別では官公庁・自治体・公共団体が−41.3でトップ、最も低かったのは出版・印刷関連産業、サービス業、運輸・運送業という順でした。

調査の年や対象は異なりますが、どの調査においても全業界でスコアがマイナスという傾向は共通しています。これは「友人・知人に自社への入社を勧める」という問いに対して、満足していても高い点数をつけにくいという日本特有の心理的傾向が影響しているとされています。

自社のeNPSを評価する際は単独のスコアで判断するのではなく、同業界の平均と比較することが重要です。業界平均を大きく下回っている場合は、職場環境・評価制度・コミュニケーション施策の見直しが優先課題となります。

eNPS測定の一連の流れ

eNPS(Employee Net Promoter Score)測定の一連の流れは以下の通りです。

実施概要を決める

eNPS調査を実施するために、企画やスケジュールの調整、役員への働きかけ、予算獲得などについて話し合います。また、調査に携わるプロジェクトチームを発足させることで、スムーズに進めることができます。

調査の実施

主な質問は「自分の会社を親しい人にどのくらい勧められるか」などです。従業員に点数をつけてもらうだけでなく、その点数をつけた理由が分かる質問項目を設定します。たとえば、「労働時間に対する印象」「報酬に対する思い」「会社の方針に対する共感度」「仕事のやりがい」など、労働環境に関する質問を設計することで、組織単位の改善点が見えるようになります。

質問項目の具体例

  • (必須)「あなたは現在の職場を、親しい友人や家族にどの程度勧めたいですか?」(0〜10点)
  • (追加)「その点数をつけた最大の理由を教えてください」(自由記述)
  • (追加)「労働時間・業務量について:適切だと思いますか?」(5段階)
  • (追加)「報酬・待遇は仕事の内容に見合っていると思いますか?」(5段階)
  • (追加)「会社のビジョン・方針に共感できますか?」(5段階)

追加質問は多くなりすぎると回答率が下がるため、3〜5項目程度に絞ることを推奨します。

調査結果の分析

調査結果から現状の課題を把握します。自社のeNPSスコアと業界別の平均値と比較し、同業界の平均値より著しくスコアが低い場合は、追加で詳細な調査と分析を検討する必要があります。スコアを確認するだけで終わらず、問題点を把握することを心掛けます。

分析の際は「プロモーター・パッシブ・批判者それぞれの割合の変化」と「自由記述コメントの定性分析」を組み合わせることが重要です。スコアの数値だけでなく、「なぜそのスコアなのか」という背景を読み取ることが、実効性の高い改善策立案につながります。

施策の検討・実行

分析結果を基に、課題点から改善に向けた施策を策定します。施策を実行に移すだけでなく、習慣化するために周知させることも重要です。一定期間以上施策を継続したら、改めて調査を実施し指標の変化を確認し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Actサイクル)を回して持続的な改善を図ります。

これらの流れを通じて、eNPSを導入することで従業員エンゲージメントの向上や組織の改善に繋げることができます。

eNPSを高めるには

eNPSを高めるための方法について、下記に例を挙げます。

風通しをよくする

年齢や役職関係なく意見を交換できる環境を整えることで、従業員の主体性を促すことができます。従業員が自ら積極的に仕事に取り組む姿勢が増え、結果としてeNPSも向上します。

チームビルディングイベントや1on1面談の定期実施、部署横断のコミュニケーション機会の創出など、心理的安全性を高める取り組みがeNPS向上に直接寄与します。

現場の従業員とコミュニケーションをとる

eNPSは従業員エンゲージメントと密接に関連しています。従業員とのコミュニケーションを重視し、彼らの声を聞くことで、従業員エンゲージメントの改善にも繋がります。調査結果を分析する際に、従業員とのコミュニケーションを活かすことが重要です。

特に「批判者」に分類された従業員に対しては、個別フォロー・上司との対話の場を設けることが離職防止と改善の鍵になります。調査結果を一方的に集計して終わりにするのではなく、「調査後にどう動いたか」を組織全体に示すことが従業員の信頼獲得につながります。

会社ビジョンの共有

eNPSの向上には、従業員が会社に貢献したいと思えるような、会社の明確な目的やビジョンの共有が必要です。会社が取り組む事業の目的や結果に向けたビジョンを明確にし、従業員に共有することで、従業員の会社への愛着心ややりがいが高まります。

給与・評価制度の改善

eNPSスコアと「正当な報酬を得ていると感じているか」には高い相関があるとされています。評価基準の透明化や、貢献に見合った報酬体系の整備は、批判者をプロモーターに転換させるうえで特に効果的です。

これらの要点を考慮し、eNPSを高める取り組みを行うことで、従業員の満足度やロイヤルティを向上させ、組織の成果やパフォーマンスを向上させることが期待できます。

エンゲージメントサーベイへの従業員の意識調査

HR研究所では実際にエンゲージメントサーベイへの回答をしたことがある会社員2,200名に対して独自にアンケート調査を行ったところ、「無駄」や「何に活かされているのか分からない」などエンゲージメントサーベイに対しての不満が明らかになりました。

エンゲージメントサーベイに関する従業員の本音を調査した調査結果も、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

eNPSを実施することで、従業員の職場環境や会社に対する本心について知ることができます。離職率の高さや採用面で悩みを抱えている方は、ぜひ一度eNPSを導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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