オープンディスカッションは、参加者が自由に意見を交換し、問題解決や意思決定を行う手法です。この記事では、オープンディスカッションとは何か、ブレストやディベートとの違い、ルール、成功させるポイントについて解説します。
目次
オープンディスカッションとは
「ディスカッション(discussion)」は英語で、「議論」「討論」のことを指しています。
1つのテーマに対して参加者で意見を出し合い、解決策を導き出していく手法です。
オープンディスカッションは、参加者が自由に議題を提示し、意見やアイデアを出し合うことで問題解決や意思決定を行います。
立場や役職にかかわらず自由に意見を出していくため新たなアイデアや気づきを得られます。
ブレストやディベートとの違い
ブレストとは
ブレストはブレインストーミング(brainstorming)の略で、参加者が1つのテーマに対してアイデアを自由に出し合う会議手法です。
固定概念や先入観にとらわれずに自由に意見を出していくためアイデアの質や妥当性は問いません。お互いの発想から新たなアイデアを生み出したり、考えを整理する際にも活用します。
アイデアに対しての批判や評価は行わず、できるだけ多くのアイデアを生み出すことを重視します。
ディベート
ディベートは設定したテーマに対して賛成・反対の立場に分かれて議論を行う手法です。
ディベートはルールに則って進行され、制限時間つきで交互に発言の機会があります。
議題に関する意見や論拠を明確に発言し、聴衆や審査員を説得・納得させることを目的にしています。
オープンディスカッションは、これらの手法とは異なり、意見の多様性を重視しつつ、自由な議論を通じて問題解決や意思決定を行う点が特徴です。
オープンディスカッションのメリット
オープンディスカッションのメリットには、以下のようなポイントがあります。
- 情報共有と意識の統一
- 問題解決と意思決定のスピード感
- 創造性の促進
- チームビルディングと関係強化
- モチベーションの向上
情報共有と意識の統一
参加者が自由に意見を交換することで、情報や考えが全員に共有され、組織全体の意識が統一されます。
これにより、目標や方針に向けた取り組みがブレなく一貫して行えるようになります。
問題解決と意思決定のスピード感
オープンディスカッションによって、問題解決や意思決定のプロセスが迅速化されます。多くの参加者が異なる視点から意見を出し合うことで、より早い段階で適切な解決策や意思決定が行われる場合があります。
創造性の促進
異なるバックグラウンドや視点を持つ参加者が自由な議論を行うことで、新たなアイデアや発見が生まれやすくなります。オープンディスカッションは、創造性を促進する場にもなります。
チームビルディングと関係強化
参加者が意見を出し合うことで、チーム全体の結束力が高まります。
相互理解や信頼関係の構築にも役立ち、チームの関係強化につながります。
モチベーションの向上
参加者が積極的に議論に参加することで、従業員自身が事業やプロジェクトに積極的に関与し、自らの意見やアイデアを反映させる機会が増えます。
これにより、従業員は仕事を自分ごと化でき、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上します。
オープンディスカッションを活用する場面
新規プロジェクトの立ち上げ
新しいプロジェクトの立ち上げ時に、参加者が意見を出し合いながら方針や戦略を決定するのに活用できます。
異なる視点やアイデアが求められる場面で特に有効です。
職場環境の課題や問題の解決
職場内での課題や問題が発生した際に、関係者が集まって議論を行い、解決策を模索するのに活用できます。
従業員が自らの意見を出し合うことで、より具体的で効果的な解決方法が見つかる場合があります。
製品やサービスの改善
企業が製品やサービスの改善を行う際に、関連するチームや部署で改善策を立てるのに活用できます。顧客のフィードバックや市場の動向に基づいて、新たなアイデアや改善案を出し合い、製品やサービスの品質向上につなげます。
チームビルディングや従業員のモチベーション向上
チーム内のコミュニケーションや関係性を強化し、従業員のモチベーションを高めるためにも活用できます。従業員が自由に意見交換を行うことで、相互理解や信頼関係が築かれ、チーム全体の結束力が向上します。
オープンディスカッションの実践方法
ここでは、オープンディスカッションを行う際の流れについて解説します。
役割の設定
オープンディスカッションを円滑に進行させるために、ファシリテーターやタイムキーパーなどを決定します。
・ファシリテーター(進行役)
ディスカッションの進行を管理し、議論の流れをコントロールします。参加者が話しやすいよう発言を促したり、質問をするなどをしてテーマにフォーカスした議論を促進します。
また、時間管理や話し合いのルールの遵守を確保します。
・タイムキーパー
決められた時間内で議論が進行するように管理します。議論が進行する際に、残り時間を通知したり、議論の時間を割り当てたりします。
タイムキーパーを設定することで、議論の焦点が絞られ効率的に結論に向かうことができます。
・議事録係
議論の内容や重要なポイントを記録し、議事録を作成します。議論の要点や意思決定の結果をまとめることで、後で参照するための文書を作成します。
メンバーが少なく役割の設定が難しい場合には無料の議事録AIなどを活用してみると良いでしょう。
・参加者
ディスカッションの主要な参加者であり、意見やアイデアを提供し、議論に積極的に参加します。参加者は、自身の立場や経験に基づいて情報や意見を発言し、他の参加者との対話を通じて議題に関する理解を深めます。
テーマとゴールの設定
オープンディスカッションの目的や議題を明確にし、参加者が議論する内容をある程度限定します。また、議論のゴールや期待される成果を明確にすることで、議論の方向性を定めます。
時間の設定
議論の時間枠を設定し、段階ごとに時間を割り当てます。
時間制限を設けることで、議論の焦点を絞り進行することができます。
アイデアを出し合う
参加者が自由に意見やアイデアを出し合います。
ファシリテーターの指示のもと、順番に参加者が発言し、アイデアを共有します。
この際、批判や評価は行わず、できるだけ多くのアイデアを出すことが重要です。
結論を出す
アイデアを出し尽くした後に、議論のまとめや結論を出します。
ファシリテーターが議論の要点を振り返り、共通の理解を確認すると良いでしょう。
最終的な結論やアクションプランを策定し、次のステップにつなげます。
オープンディスカッションを行う際のルール
オープンディスカッションを円滑に進行するためには、以下のようなルールを設定することをおすすめします。
- 発言時間を決める
- ほかの参加者の意見を否定・非難しない
- テーマと関係のない発言は控える
- 全員が議論に協力する
- ファシリテーターを決める
発言時間を決める
各参加者に一定の発言時間を割り当て、発言が長引かないようにしましょう。
全員が適切な時間内で発言することで、議論をスムーズに進行できます。
ほかの参加者の意見を否定・非難しない
参加者は他者の意見やアイデアを尊重し、否定や非難を行わないようにしましょう。
異なる視点や意見を尊重し、建設的な議論を行うことが重要です。
テーマと関係のない発言は控える
テーマと関係のない発言や、議論を逸らすような話題は控えるようにしましょう。
テーマに関連する内容に絞って発言し、議論の焦点を保つことが重要です。
全員が議論に協力する
参加者は全員が議論に積極的に参加し、協力して議題に取り組みましょう。
個々の発言が議論の質を向上させ、共通の目標・ゴールに向かって進むことが重要です。
ファシリテーターを決める
ファシリテーターを設定し、議論の進行やルールの遵守を管理します。
円滑な進行のために、ファシリテーターは議論が逸れたり、発言が偏ることを防ぎましょう。
ファシリテーションを成功させるポイントを知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
オープンディスカッションを成功させるポイント
オープンディスカッションを効果的に行うためにはポイントを取り入れると良いでしょう。
- 参加者にオープンディスカッションの目的を説明する
- ルールの明確化
- 参加者の積極的な参加を促す
- アクティブなファシリテーション
参加者にオープンディスカッションの目的を説明する
参加者にオープンディスカッションの目的や意義を説明します。
議論のゴールや期待される成果を共有することで、参加者が議論に集中し、効果的な結果を得ることができます。
オープンディスカッションを行う会議の冒頭に説明すると良いでしょう。
ルールの明確化
オープンディスカッションに参加する全員に対して、議論のルールを明確に伝えます。
1つ前の項目で紹介したルールを参考に設定をすると良いでしょう。
参加者の積極的な参加を促す
参加者がリラックスし、積極的に議論に参加する雰囲気を作りましょう。
例えば、オープンディスカッションの前にアイスブレイクを挟む、ファシリテーターが発言の機会を均等に作るなどして、全参加者が発言しやすい環境を作り出します。
アクティブなファシリテーション
ファシリテーターがアクティブに議論を促進し、参加者の発言を引き出す役割を果たします。議論の進行やルールの遵守を管理し、議論が焦点を失わず効果的に進むようにサポートします。また、参加者間のコミュニケーションを円滑にし、意見交換やフィードバックを促進します。
これらのポイントを適切に実行することで効果的なオープンディスカッションを行うことができます。
とはいえ、チーム内の関係値やファシリテーションのスキルによって難易度が変化するため、導入後すぐに効果的なオープンディスカッションをするのは難しいケースもあります。
円滑で有意義なディスカッションができるバヅクリ
バヅクリは、人材開発・組織開発に活用できる研修/ワークショップを提供しているサービスです。
従業員同士の相互理解を促すプログラムや、職場環境についてより良くするためにディスカッションを行うプログラムなども提供しています。
ファシリテーター/講師には、人材育成・コミュニケーション・ストレスケアなどさまざまな領域のプロが在籍しています。
ファシリテーション能力の高い講師のみを採用し、参加者の対話・交流を促進します。
提供プログラムの例
職場環境アイデアソン 〜職場をもっと過ごしやすくする方法を考えよう〜
このプログラムは職場環境への意識を高めるワークショップで、
- 誰もが気持ちよく働ける職場環境にするにはどうしたらいいかを考える
- 職場環境を良くするために何をすべきか、アクションプランに落とし込む
この2つがワークショップの目的・ゴールであり、参加者が自らそのアイデアを考えます。
グループ内でアイデアをシェアするディスカッションが中心の内容となっています。
ディスカッションをあまりやったことのない組織が、やり方を覚えるために実施する場合にもご活用いただけます。
みんなのアサーティブコミュニケーション研修 〜相手を尊重しながら自分の意見を言えるスキルを身につける〜
このプログラムは相手を尊重しつつ自分の意見を伝えられるコミュニケーションスキルを学ぶ研修です。
ディスカッションを行う際に、発言が少ない・自分の意見を押し通そうとする・発言する人が偏っている、といった場合は、まずは発言の仕方を学ぶ必要がある可能性があります。
グループワークや対話形式で実践的にアサーティブコミュニケーションを学べます。
社内のコミュニケーション活性化や、心理的安全性の醸成にもご活用いただけます。
オンラインファシリテーション研修(基礎編) 〜生産性の高いオンライン会議を行う〜
このプログラムは、ファシリテーターが会議中に行うことから、事前準備、参加者に行ってもらうことなど、オンライン会議などでのコミュニケーションをスムーズかつ、活発にする方法・コツを学びます。
普段の会議やディスカッションの質を上げるためにご活用いただけます。
まとめ
オープンディスカッションは、参加者の自由な意見交換によって問題解決や意思決定を行う手法です。効果的なオープンディスカッションを実施するには、適切なルールやファシリテーションが重要です。
また、参加者が目的を理解し、ルールを守りながら積極的に議論に参加することで、有益な成果を得ることができます。
問題解決の新たな方法やアイデア創造の場として、またチームビルディングや従業員の相互理解の促進など、さまざまな場面で活用できます。
是非この記事を参考にオープンディスカッションの実施を検討されてみてはいかがでしょうか。