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近年、企業の成長にとって、従業員のエンゲージメント向上が重要な課題として注目されています。 しかし、テレワークの普及や働き方の多様化など、従来のコミュニケーション手法が通用しにくくなっているのも事実です。
本記事では、企業の人事担当者様に向けて、従業員エンゲージメントの基礎知識から、社内コミュニケーションの現状と課題、そして具体的な改善策までをわかりやすく解説いたします。
目次
エンゲージメント向上のためのコミュニケーションの重要性
エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、従業員が会社や仕事に対して、どの程度愛着や思い入れ、熱意を持って取り組んでいるかを示す概念です。
高いエンゲージメントを持つ従業員は、
- 会社の目標達成に貢献したいという意欲が高い
- 自分の仕事に誇りや責任感を持っている
- 会社や同僚との良好な関係性を築けている
といった特徴があります。
エンゲージメントについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
エンゲージメントとは?企業における意味や重要性・向上ポイント・他社事例などを解説
エンゲージメントを高めるメリット
エンゲージメントが高い状態は、従業員個人だけでなく、会社全体にも多くのメリットをもたらします。
生産性の向上
高いモチベーションと集中力で業務に取り組むため、生産性や品質が向上します。
エンゲージメントと業績や生産性に相関はあるのか? データに基づく関係性と効果的な施策を紹介
離職率の低下
会社や仕事への愛着が強いため、離職率が低下し、優秀な人材を確保しやすくなります。
エンゲージメントと離職率に相関はあるのか? データに基づく関係性と効果的な施策、企業事例を紹介
企業イメージの向上
顧客に対しても熱意や誠意をもって接するため、企業イメージの向上に繋がります。
イノベーションの創出
自由な発想や意見交換が活発化し、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。
エンゲージメントを高めることは、企業の成長に欠かせない要素と言えるでしょう。
エンゲージメントとコミュニケーションの関係性
では、従業員エンゲージメントを高めるためには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか?
最も重要な要素の一つが、社内コミュニケーションです。
風通しの良いオープンなコミュニケーションは、従業員同士の信頼関係を築き、一体感を醸成します。 また、会社の方針やビジョン、各部署の状況などを共有することで、従業員一人ひとりが自分の仕事に対する意義や目標を明確に理解し、より積極的に業務に取り組めるようになるでしょう。
2024年のHR総研の調査結果でも、「社内コミュニケーションに課題がない企業群」ではエンゲージメントが高い従業員が50%を超え、「課題がある企業群」ではエンゲージメントが高い従業員は22%と低い結果となっています。
社内コミュニケーションが上手くいっている企業は、従業員エンゲージメントが顕著に高い傾向があることが分かりました。
(参考:「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024 結果報告)
社内コミュニケーションが上手く行かない主な原因
では、従業員エンゲージメントが低い企業では、社内コミュニケーションにどのような課題を抱えているのでしょうか。また、現代のビジネス環境の変化に伴い、社内コミュニケーションは以前にも増して複雑化しています。
ここでは、コミュニケーションを阻害する主な原因について解説していきます。
1.部署間の連携や社内の情報共有が不足
組織が大きくなるにつれて、部署間の壁ができ、情報共有がスムーズにいかなくなるケースは少なくありません。
部署の壁に阻まれ、必要な情報が共有されない
他部署の状況や課題意識を共有する機会が少ないため、連携が生まれず、協力体制を築くのが難しい。
情報共有が一方通行で、双方向のコミュニケーションが不足
トップダウン型の情報伝達が多く、現場からの意見やアイデアが吸い上げられないため、従業員の当事者意識が育ちにくい。
情報共有ツールが乱立し、必要な情報にアクセスしにくい
ツールを使いこなせていない、あるいは情報が分散しているため、従業員が必要な情報を探し出すことに時間と労力を費やしている。
このような状況では、従業員は自分の仕事が会社全体にどう貢献しているのかを理解しづらく、会社への帰属意識やモチベーションを高めることができません。
2.気軽に質問・相談ができない
心理的安全性が低い職場では、質問や相談が阻害され、コミュニケーション不足に陥りやすくなります。
上司や先輩、同僚に相談しにくい雰囲気
失敗を恐れて質問や相談ができなかったり、報連相が不足し、孤立してしまう。
心理的安全性が低く、本音を言いづらい
意見やアイデアを発言しづらい雰囲気があり、上司や同僚とのコミュニケーションが希薄になりがち。
このような環境では、従業員は不安や疑問を抱えたまま仕事に取り組まなければならず、ストレスを感じやすくなるだけでなく、ミスやトラブル発生のリスクも高まります。
3.対面コミュニケーションの減少
テレワークの普及やオフィス分散化などにより、従業員同士が顔を合わせる機会が減っています。
雑談やちょっとした会話の減少
業務以外のコミュニケーションが減ることで、人間関係構築が難しくなり、気軽に相談できる雰囲気も生まれにくい。
非言語コミュニケーションの不足
オンラインでのコミュニケーションでは、表情や声のトーンなどの非言語情報が伝わりにくいため、誤解や認識の齟齬が生じやすい。
従来のオフィスワーク中心の環境では、自然発生的に雑談が生まれ、それが信頼関係構築や円滑な情報共有に繋がっていました。しかし、対面コミュニケーションの機会が減ったことで、意識的にコミュニケーションを創出する必要性が高まっています。
4.働き方の多様化(リモートワークやフレックスなど)
フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方が広がる一方で、コミュニケーションの難しさも顕在化しています。
勤務時間のずれによるコミュニケーションロス
勤務時間や場所が異なることで、リアルタイムでの情報共有や意思決定が難しく、スムーズな連携が取りにくい。
情報共有の機会の減少
オフィスに出社する人とリモートワークの人の間で、情報格差が生じやすくなる。
多様な働き方を許容しつつ、時間や場所にとらわれずに円滑にコミュニケーションを図るためには、適切なツールや制度の導入が不可欠です。
5.管理職のコミュニケーション力不足
時代の変化に伴い、管理職には、従来の指示命令型ではなく、部下との対話を重視したコミュニケーションスタイルが求められています。
部下への傾聴不足
自分の意見を一方的に伝えるだけで、部下の意見を聞かなかったり、気持ちを汲み取ろうとしないため、部下は不満や不安を抱え込んでしまう。
フィードバックの質の低さ
具体的な行動や成果に基づいたフィードバックではなく、抽象的な評価や人格を否定するような発言をしてしまうため、部下のモチベーションが低下する。
心理的安全性の確保ができていない
上司が自分の意見を押し付けてきたり、失敗を責めるような雰囲気を出してしまうため、部下は萎縮してしまい、本音を言いづらい環境になってしまう。
管理職のコミュニケーション力不足は、部下のモチベーションやエンゲージメントを著しく低下させるだけでなく、チーム全体の生産性や創造性を阻害する要因にもなりかねません。
6.会社の目指す方向性が不明瞭
企業理念やビジョン、事業戦略などが従業員に十分に共有されておらず、会社がどこを目指しているのか、自分たちの仕事がどのように貢献しているのかがわからない状態です。
経営層の考えやビジョンが伝わってこない
経営層が何を考え、どのような未来を描いているのかが不明瞭なため、従業員は自分の仕事に対する目標設定やキャリアプランを描きにくい。
部署やチームごとの目標と、会社全体の目標との関連性が不明確
自分の仕事が会社全体の目標達成にどのように貢献しているのかがわからず、モチベーションや責任感を感じにくい。
このような状況下では、従業員は「自分は会社にとって本当に必要な存在なのだろうか?」と不安を抱き、エンゲージメントの低下に繋がってしまうのです。
上記のような原因を踏まえ、次章では、エンゲージメント向上のための具体的なコミュニケーション施策をご紹介していきます。
エンゲージメント向上のためのコミュニケーション施策例
従業員エンゲージメント向上には、一方通行な情報伝達ではなく、従業員同士、そして従業員と会社との双方向なコミュニケーションを促進することが重要です。
今回は、大きく4つのカテゴリーに分けて具体的なコミュニケーション施策例をご紹介します。
1. 情報共有・透明性の向上: 会社の「今」を共有し、一体感を醸成
従業員が会社の方針や状況を理解し、安心して仕事に取り組めるよう、積極的に情報公開を行いましょう。
施策例 | ポイント |
社内報やイントラネットの活用 | ・会社のビジョン、戦略、目標をわかりやすく伝え、従業員の共感を高める・各部署の取り組みや成果を共有し、横の繋がりを強化 ・社員インタビューやコラムなど、親しみやすいコンテンツを増やし、読み手のエンゲージメントを高める |
社内SNSの活用 | ・ハッシュタグやグループ機能を活用し、テーマに沿った情報共有や意見交換を促進経営層も積極的に参加することで、距離を縮め、オープンなコミュニケーションを促進 ・写真や動画を積極的に活用し、視覚的にわかりやすく情報を共有 |
タウンホールミーティング | ・経営層から、会社のビジョンや戦略、業績などを共有し、従業員からの質問を受け付ける時間を設ける ・オンライン参加も可能にし、時間や場所にとらわれず参加しやすい環境を作る |
2. 積極的な対話機会の創出: 風通しの良い関係性を築き、本音を語り合える場作り
日常的に意見交換や相談がしやすい関係性を構築することで、課題解決や業務改善を促進します。
施策例 | ポイント |
定期的なチームミーティング | ・業務進捗報告だけでなく、チームの課題や改善策、メンバーの成長について話し合う時間を設ける ・チームビルディングに繋がるようなアクティビティを取り入れる |
プロジェクト横断型のチーム編成 | ・部署の垣根を超えた交流を生み出し、多様な視点を取り入れたアイデア創出や問題解決を促進 ・新しい知識やスキルを習得する機会を提供 |
1on1ミーティングの実施 | ・上司と部下が定期的に面談を行い、業務の進捗確認だけでなく、キャリアプランや課題、不安などを共有 ・相互理解を深め、信頼関係を構築 |
3. 従業員の声を活かす仕組みづくり: 意見やアイデアを吸い上げ、会社づくりに参画
従業員の意見を積極的に吸い上げ、反映することで、会社へのエンゲージメントを高めます。
施策例 | ポイント |
エンゲージメントサーベイ・従業員満足度調査 | ・匿名性を担保し、本音を聞き取りやすい環境を作る ・結果はフィードバックとして共有し、具体的な改善策につなげる |
アイデア募集制度 | ・テーマを設けたり、自由な発想を募集することで、従業員の創造性を刺激 ・優秀なアイデアは表彰したり、実際に事業に反映することで、従業員のモチベーション向上に繋げる |
4. 楽しく交流できるイベント・制度: 仕事以外の繋がりを作り、帰属意識を高める
オンオフのメリハリをつけ、従業員同士がリフレッシュできる機会を提供することで、コミュニケーションを活性化させます。
施策例 | ポイント |
社内イベント | ・懇親会やレクリエーションなどを通して、部署や役職を超えた交流を促進 ・オンラインイベントも取り入れ、リモートワークでも参加しやすいように配慮 |
表彰制度 | ・チームや個人の功績を称え、モチベーション向上と一体感を醸成 ・公平性・透明性の高い評価基準を設ける |
社内サークル活動の支援 | ・従業員の自主的な活動を支援することで、共通の趣味を持つ仲間を見つけやすくし、コミュニティ形成を促進 |
これらの施策はあくまでも一例ですので、自社の課題や従業員のニーズに合わせて、最適な施策を組み合わせることが重要です。
心理的安全性を高めエンゲージメントを向上させる対話手法
エンゲージメントを向上させるためには、ただ施策を実行すれば良い、というわけではありません。コミュニケーションにおいて、相手との相互理解を深め、信頼関係を構築できる質の高い対話が重要です。
ここでは、管理職が意識すべき効果的な対話手法を4つご紹介します。
1. アクティブリスニング「 相手の言葉に耳を傾け、理解に努める」
相手の言葉に集中し、真摯に耳を傾ける姿勢を示すことが重要です。 相づちや頷き、復唱などを交えながら、相手が安心して話せる雰囲気を作りましょう。
アクティブリスニングのポイント
- 話を遮らずに最後まで聞き、相手の気持ちを汲み取るように努めましょう。
- 「つまり、〇〇ということですね」と要約したり、「〇〇について、もう少し詳しく教えてください」と具体的に質問することで、相手は自分の言葉が受け止められていると感じ、より深い対話に繋がりやすくなります。
2. ポジティブフィードバック「 具体的な行動や成果を挙げて感謝や称賛を伝える」
漠然とした言葉ではなく、「SBI」を用いると、より具体的で行動に繋がるフィードバックを伝えることができます。
SBIとは
Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の頭文字
「昨日の新規顧客へのプレゼン(Situation)は、準備していた資料構成がわかりやすく、顧客の質問にも的確に答えられていましたね(Behavior)。そのおかげで、契約に繋がったと思います。素晴らしいです!(Impact)」
ポジティブフィードバックのポイント
- 感情的な言葉ではなく、具体的な行動や成果を挙げて伝えましょう。
- ネガティブなフィードバックをする場合は、改善策や期待する行動を具体的に示すことで、相手を成長に導きます。
3. オープンクエスチョン「相手の思考や感情を引き出す」
「はい」や「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンではなく、「なぜ」「どのように」「どう思うか」といったオープンクエスチョンを意識することで、相手は自分の考えや気持ちを整理し、より深く掘り下げて話すことができます。
オープンクエスチョンのポイント
- 相手の意見や考えを尊重する姿勢を見せましょう。
- 相手の答えを急がず、ゆっくりと考えることができる時間をとりましょう。
4. エンパシー:「相手の立場に立って物事を考える」
頭で理解するだけでなく、相手の感情や立場を理解しようと努めることが大切です。
エンパシーのポイント
- 相手の言葉の裏にある感情を想像してみましょう。
- 自分の意見を押し付けるのではなく、「もし自分が〇〇の立場だったら」と相手の視点に立って考えてみましょう。
これらの対話手法を意識することで、従業員とのエンゲージメントを高めるだけでなく、 職場全体のコミュニケーションを活性化し、より良い人間関係を築くことができるでしょう。
エンゲージメントを高めるコミュニケーションが学べる研修/ワークショップサービス「バヅクリ」
バヅクリでは、エンゲージメントを高めるコミュニケーションが学べる研修を含め200種類以上のプログラムをご用意しています。ぜひ貴社のエンゲージメント向上施策にお役立てください。
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エンゲージメントの測定と継続的な改善へ
エンゲージメント向上のためには、まず現状を把握することが重要です。感覚値ではなく、客観的なデータに基づいて課題を明確化し、適切な対策を講じる必要があります。
そこで有効なのが、「エンゲージメントサーベイ」です。
エンゲージメントサーベイとは
エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントレベルを測定するためのアンケート調査です。
従業員の仕事に対する意識や会社への思いを把握することで、エンゲージメントを阻害する要因を分析し、改善策につなげることができます。
エンゲージメントサーベイの実施手順
効果的なエンゲージメントサーベイを実施するには、以下の手順を踏むことが重要です。
1.従業員への説明と理解を得る
2.エンゲージメントサーベイを実施する
3.回答結果を分析する
4.分析結果をもとにした施策を検討する
5.調査結果を従業員にフィードバックする
6.施策を実行する
7.エンゲージメントサーベイでの調査を繰り返し行う
エンゲージメントサーベイは、単発で終わらせるのではなく、定期的に実施し、継続的に改善を図っていくことが重要です。
サーベイ結果を従業員にフィードバックする際に効果的なコミュニケーション手法とは?
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エンゲージメントサーベイとエンゲージメントの改善PDACサイクルについて詳しく知りたい方は下記も併せてご覧ください。
エンゲージメントサーベイとは?サーベイのメリットや注意点などをご紹介
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エンゲージメントにあまり詳しくない人事担当者や現場管理者にもやさしい設計になっています。
シンプルで簡潔な分析
簡潔なサーベイで組織状態を把握できます。設問数が24問で網羅されており、現場に負担がかかりません。明解な数値によるシンプルな分析によって組織課題を抽出できます。
明確な課題抽出が可能
直感的に分かりやすいスコアで、様々な切り口で分析が可能です。現場の担当者にとっても分かりやすく、簡単に課題を発見できます。
エンゲージメント向上の施策をご提案
数々のサーベイ結果の改善実績を持つバヅクリのプログラムを用いることで、エンゲージメント向上の施策遂行を後押しします。サーベイ結果をもとに200種類以上のプログラムの中から、最適な施策を提案します。
バヅクリエンゲージメントがどのようにエンゲージメント向上につながるのか、詳しく知りたい方は以下のフォームから資料をダウンロードしてみてください。
まとめ
従業員エンゲージメントは、単なる一時的なモチベーションアップとは違います。会社と従業員が共に成長し、より良い未来を創造していくための、重要な鍵となるのです。
本記事では、エンゲージメントを高めるためのコミュニケーションの重要性を、具体的な施策例や対話手法を交えながら解説してまいりました。
しかし、最も大切なことは、自社の課題や従業員のニーズをしっかりと把握し、最適な取り組みを行うことです。
そして、効果検証をしながら、継続的に改善していくことが、真のエンゲージメント向上へと繋がっていくのではないでしょうか。