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従業員エンゲージメントを高めるメリットとして「業績や生産性の向上」がよく挙げられますが、それは本当なのでしょうか。

本記事では、従業員エンゲージメントと業績の関係性について、 最新の調査データを交えながら解説していきます。

さらに、エンゲージメントを高めるための効果的な施策もご紹介します。

エンゲージメントとは

エンゲージメントの定義

エンゲージメントを一言で表すと、「従業員の会社に対する愛着心や貢献意欲」です。

従業員が、

  • 会社のビジョンや理念に共感し、
  • 自分の仕事に誇りとやりがいを感じ、
  • 会社の成長のために積極的に貢献したい

と考えている状態を指します。

エンゲージメントについてもっと知りたい方はこちらをご覧ください。
エンゲージメントとは?企業における意味や重要性・向上ポイント・他社事例などを解説

従業員満足度との違い

エンゲージメントと混同されがちな言葉に「従業員満足度」があります。どちらも従業員の意識を表すものですが、両者には明確な違いがあります。

従業員満足度

給与や福利厚生、労働時間など、従業員が会社から受ける待遇に対する満足度

エンゲージメント

会社への貢献意欲や愛着心など、従業員が会社に 対してどのように貢献したいかという能動的な姿勢

従業員満足度が高い状態は、あくまでも「会社に満足している状態」であり、そこから会社への貢献意欲や愛着に繋がるとは限りません。

エンゲージメントが高い状態は、従業員が自発的に会社に貢献しようとする姿勢を生み出し、企業の成長を力強く後押しします。

従業員満足度についてもっと知りたい方はこちらをご覧ください。
従業員満足度(ES)とは?なぜ高めるのか、その方法まで解説

エンゲージメントを高めるメリット

では従業員のエンゲージメントを高めることで、企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。大きくは以下の5つです。

業績や生産性の向上

従業員のモチベーションや生産性向上に繋がり、企業の業績向上に貢献します。

離職率の低下

会社への愛着や帰属意識が高まり、従業員の定着率向上に繋がります。

エンゲージメントと離職率に相関はあるのか? データに基づく関係性と効果的な施策、企業事例を紹介

顧客満足度の向上

従業員一人ひとりの顧客に対するサービスの質が向上し、顧客満足度向上に繋がります。

企業ブランドの向上

魅力的な職場環境として認知され、企業ブランドの向上に貢献します。

イノベーションの創出

従業員の自由な発想やチャレンジを促進し、イノベーションが生まれやすい環境を構築します。

日本企業はエンゲージメントが低い

実は、日本企業の従業員エンゲージメントは、世界的に見ても低い水準と言われています。

 日本のエンゲージメントは世界最低 ギャラップ社エンゲージメント調査結果

ギャラップ社の最新のレポートによると、2023年の日本の従業員エンゲージメントは前年から1ポイントアップしたものの、わずか6%(世界平均23%)で、調査対象の139カ国中137位と、エジプト(6%)、香港(6%)と並び世界で最下位となっています。

またギャラップ社のレポートでは、エンゲージメントを高めると離職率や生産性、収益性が向上すると述べられており、これからの日本企業を救う鍵はエンゲージメントにあると言えるかもしれません。

(参考:State of the Global Workplace: 2024 Report.

エンゲージメント向上は業績や生産性の向上と相関関係があるのか

エンゲージメントを高めるメリットとして、よく言われているのが「企業の業績や生産性の向上」ですが、果たしてそれは本当なのでしょうか。

エンゲージメントと企業業績の関係性については、数多くの調査機関や企業が分析を行っています。ここでは、エンゲージメントと業績の関連性を示す具体的な調査結果をいくつかご紹介します。

株式会社リンクアンドモチベーションによる調査結果

株式会社リンクアンドモチベーションは慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室と共同で「エンゲージメントと企業業績」に関する調査を行いました。

その調査の結果、

  • エンゲージメントスコア向上は売上/純利益向上に効果的である
  • エンゲージメントスコアが低い企業は業績が安定しない傾向があり、逆にエンゲージメントスコアが高い企業は、その高さが安定した業績を支えている

以上、2つの可能性が示されました。

エンゲージメントスコア1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」こと、つまり、「エンゲージメント」は営業利益率にプラスの影響をもたらすということです。

また、2024年の公開された「企業価値評価における従業員エンゲージメントデータの活用可能性」においては、

  • エンゲージメントスコアとROE(自己資本比率)には正の相関関連がみられ、エンゲージメントスコアが継続的に高い企業はROEも高い傾向にある

ということが分かったそうです。

分析の結果「ROEがエンゲージメントに影響を与える」という逆説的な可能性についても否定する示唆が得られたそうです。

エンゲージメントを高めることで業績の向上が期待できる調査結果となっています。

(参考:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開/「企業価値評価における従業員エンゲージメントデータの活用可能性」に関する分析結果を公開

ウイリス・タワーズワトソンによる調査結果

持続可能なエンゲージメントがもたらす業績への効果 現ウイリスタワーズワトソン調査結果

コンサルティグファームのウイリス・タワーズワトソンの調査によると、従業員エンゲージメントが高い企業は、低い企業に比べて1年後の営業利益率の伸びが大きいことが分かりました。

特に「持続可能なエンゲージメント」の高さを継続的に維持している企業は、そうでない企業に比べて営業利益率が約3倍高いという結果が出ています。

(参考:タワーズワトソン(現ウイリス・タワーズワトソン)プレスリリース

厚生労働省による調査結果

エンゲージメントと生産性の関係については、厚生労働省も令和元年の「労働経済の分析」でレポートを出しています。

ワークエンゲージメントと企業の労働生産性

(出典:厚生労働省:令和元年 労働経済の分析:ワーク・エンゲイジメントと企業の労働生産性について

調査の結果によると、ワークエンゲージメントスコアが高い企業ほど「3年前と比較し、労働生産性(時間あたりの成果)が向上している」と感じている傾向があることが分かりました。

ワークエンゲージメントと企業の労働生産性には、統計的優位に正の相関があることが確認され、1単位のワークエンゲージメントのスコア上昇は、企業の労働生産性を1〜2%ほど上昇させる可能性が示唆されています。

ワークエンゲージメントと個人の労働生産性

また、ワークエンゲージメントを向上させることは、企業の労働生産性だけではなく、

個人の労働生産性向上に繋がる可能性も示唆されています。

(出典:厚生労働省:令和元年 労働経済の分析:ワーク・エンゲイジメントと個人の労働生産性について

エンゲージメントと業績の相関について、いくつかの調査結果を見てきましたが、 従業員エンゲージメントは、企業の業績向上に大きく寄与する可能性があると言えるでしょう。

エンゲージメントが高まるとなぜ業績や生産性が上がるのか

ではなぜ、エンゲージメントが高まると企業の業績や生産性が向上するのでしょうか。

その理由について、1994年にへスケット教授とサッサー教授が提唱した「サービスプロフィットチェーン(ServiceProfitChain)」を用いて解説いたします。

サービスプロフィットチェーンで業績が上がる理由を考える

サービス・プロフィット・チェーンとは、従業員満足度やエンゲージメントの向上が、顧客満足度やロイヤルティ、ひいては企業収益の増加に繋がるという、一連の関係性を示した経営モデルです。

本来のサービスプロフィットチェーンには従業員満足度が使われていますが、今回はエンゲージメントに置き換えて説明いたします。

エンゲージメントが高まるとなぜ業績が上がるのか サービスプロフィットチェーン

1.従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントが高まると、従業員は自らの仕事にやりがいや誇りを感じ、より積極的に行動するようになります。 例えば、顧客に対してより質の高いサービスを提供しようと努めたり、業務改善のアイデアを積極的に提案したりするようになります。

2.顧客満足度の向上

意欲的で熱意のある従業員は、顧客に対して質の高いサービスや製品を提供しようとします。顧客は、従業員の熱意や丁寧な対応に満足し、企業に対して好印象を抱くようになります。その結果、顧客満足度が向上し、リピーター獲得や口コミによる新規顧客獲得に繋がります。

3.企業業績の向上

顧客満足度の向上は、売上増加や顧客単価の向上に繋がり、企業の収益増加に直結します。また、従業員の定着率向上により、採用やトレーニングにかかるコストを削減できる効果も期待できます。

この流れから分かるように、企業の業績向上や持続的な発展を目指すためには、従業員のエンゲージメントを高めることがとても重要になってきます。

エンゲージメントを高めるための施策例

エンゲージメントを高めるための施策例

従業員エンゲージメントを高めるためには、企業は戦略的に取り組む必要があります。 ここでは、代表的なエンゲージメント向上の施策を4つのカテゴリーに分けてご紹介します。

1.働きがいのある環境づくり

「この会社で働いていて良かった」と実感できるような、魅力的な職場環境を作ることは、エンゲージメント向上に欠かせません。

施策例ポイント
適切な人事評価制度の導入公平性・透明性の高い評価制度を構築することで、従業員のモチベーションを維持・向上できます。納得感のある評価は、更なる貢献意欲へと繋がります。
キャリアパス設計・人材育成従業員一人ひとりのキャリアプランを明確化し、スキルアップやキャリアアップを支援することで、成長を実感できる機会を提供します。
ワークライフバランスの推進仕事とプライベートの調和が取れる環境を作ることで、従業員のストレス軽減や集中力向上を促し、より高いパフォーマンスを引き出します。
労働時間の適正化無駄な残業を減らし、従業員が限られた時間で最大限の成果を出せるよう、業務効率化を推進します。
オフィス環境の改善快適で働きやすいオフィス環境は、従業員の集中力や創造性を高め、業務へのモチベーション向上に繋がります。

2.コミュニケーションの活性化

オープンで活発なコミュニケーションは、エンゲージメントを高める上で重要な要素です。

施策例ポイント
風通しの良い組織文化の醸成上司や同僚と本音で話し合える雰囲気を作ることで、問題意識を共有しやすくなり、組織全体の結束力が高まります。
従業員の声を聴く仕組みづくり従業員の意見や要望を吸い上げ、改善に活かすことで、会社への信頼感や愛着を育みます。
社内イベントの実施部署や立場を超えた交流を生み出すことで、親睦を深め、一体感を醸成することができます。
労働時間の適正化無駄な残業を減らし、従業員が限られた時間で最大限の成果を出せるよう、業務効率化を推進します。

エンゲージメント向上に繋がる社内コミュニケーションとは?心理的安全性を高める対話手法もご紹介

3. 企業理念への共感と主体性を育む

従業員が会社に貢献したいという気持ちを持てるかどうかは、エンゲージメントレベルに大きく影響します。

施策例ポイント
企業理念・ビジョンの共有企業の目指す方向性を従業員に明確に示し、共感を得ることで、従業員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、目標達成に向けて積極的に行動するようになります。
従業員のアイデアを活かす仕組み従業員の意見やアイデアを積極的に採用し、実現することで、会社への貢献を実感させ、更なる意欲を引き出します。
社会貢献活動への参加促進社会貢献活動への参加を通じて、社会に役立っている実感を与えるとともに、企業理念への共感を深め、エンゲージメントを高めます。

4.適切な評価とフィードバック

従業員の頑張りを適切に評価し、フィードバックすることは、モチベーション維持に繋がり、エンゲージメント向上に大きく貢献します。

施策例ポイント
成果に基づいた評価達成すべき目標や期待される成果は、上司と部下でしっかりとコミュニケーションを取り、合意形成を図りながら事前に明確化し、その達成度に基づいて評価を行う。
定期的なフィードバックの実施定期的なフィードバックは、従業員の成長を促し、パフォーマンス向上に繋がるだけでなく、上司との信頼関係構築にも役立ちます。
1on1ミーティングの実施1on1ミーティングを通して、従業員の状況を把握し、個別に課題解決やキャリア支援を行うことで、より深く寄り添った関係性を築き、エンゲージメントを高めます。

これらの施策は、あくまで一例であり、企業の規模や業種、課題や状況によって、最適な施策は異なります。 重要なのは、自社の課題を把握し、従業員の声に耳を傾けながら、効果的な施策を継続的に実行していくことです。

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バヅクリでは、エンゲージメントを高める研修を含め200種類以上のプログラムをご用意しています。ぜひ貴社のエンゲージメント向上施策にお役立てください。

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まとめ

今回は、従業員エンゲージメントと企業業績の関係について、様々なデータを交えながら解説してきました。

結論として、「エンゲージメントを向上させることは、企業の業績を大きく向上させるために有効な投資の一つ」 と言えるでしょう。

従業員エンゲージメント向上への取り組みは、単なる一時的な投資ではなく、 企業の未来を左右する重要な経営戦略です。

本記事が、企業の成長、そして従業員一人ひとりの幸せに繋がる、より良い職場環境の実現に貢献できれば幸いです。