少子化に伴う採用難度の高まりや、新卒採用の長期化、通年化などの影響もあり、新卒採用に多くの時間やコストがかかるようになっています。
採用担当者の負担を減らし、より効率的な採用活動を行う観点からも、新卒採用における工数削減に取り組みたい企業が増えています。
本記事では新卒採用にかかる工数や、工数の削減方法を解説します。

採用工数とは

かかる採用工数

採用工数とは、企業が採用活動をおこなう上で必要となる総作業時間や仕事量のことを指します。

採用活動を行う上では求人広告の掲載やダイレクトリクルーティングサービス、エージェントサービス(人材紹介)など様々な金銭的コストがかかります。
一方で、人材を採用するには採用担当者の行動にかかる時間(コスト)も非常に重要です。

採用コストを見積もる際には、金銭的なコストだけではなく、採用担当者の採用工数もコストとして考える必要があります。

採用までにかかる工数

採用工数の具体的な例として、下記の実施にかかる工数が挙げられます。

  • 面接や書類選考
  • 求人情報の原稿作成
  • (広告を出す場合)広告担当者との打合せ
  • 応募者の問い合わせ対応
  • 内定通知後の内定者フォロー

採用を成功させるためには、求職者に対して採用担当者がきめ細やかにフォローすることが欠かせません。
そのため、採用手法の幅を広げたり、採用プロセスを緻密に設計すればするほど、採用工数が増え、採用担当者の負担増につながります。

採用工数は増えているのに内定辞退率は上昇傾向

2022にかけて、オンライン採用の普及により複数内定を持つ学生が増加傾向にあるため、内定辞退率は上昇傾向にあり、内定者フォローを強化する企業が増えていますが、効果的な施策がわからない担当者も多いかと思います。

学生が内定通知を受けた企業に対して、何に不安を感じ、内定辞退に至るのか、アンケート調査を行い企業に対する不満点をまとめました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、内定者フォロー施策の参考にしてみてください。

採用工数の削減が注目されている背景

採用工数の削減

ここでは採用工数の削減が注目されている背景を解説します。

1. 採用競争の激化

少子高齢化が進行する日本国内では、人材を集めたい企業が多いのにも関わらず、求職者の応募数が足りない「売り手市場」の状態になっています。

このように限られた人材を他社と奪い合う状況では、他社よりもスムーズに採用活動を行うことが欠かせません。

円滑な採用活動を行うことで、求職者への対応スピードも早くなり、他社へ人材が流れてしまうのを防ぐことができます。

2. 採用活動の変化(長期化・通年化)

人材の獲得競争が激化する中、早期から採用活動を行ったり、通年採用に取り組む企業が増えています。

新卒採用では、大学4年生・修士2年生向けの採用活動を行いながら、次年度の学生向けの採用活動としてインターンシップを開催するなどといったことも珍しくありません。
採用活動が長期化・通年化する中で、採用工程そのものを見直すことで効率化を目指そうという流れが生まれています。

3. 採用コストの削減

採用競争の激化や採用活動の長期化・通年化の影響で、企業の採用コストは膨らむ傾向にあります。

例えば採用競争で勝利するためには、求職者にさまざまな形で企業をアピールし、人材獲得に繋げる「採用チャネル」を拡大する必要があります。
採用チャネルを拡大すると採用コストが嵩みますが、優秀な人材を取りこぼすことは企業にとっても大きな損失のため、なかなか採用チャネルの削減に踏み切れない企業も多いのが現状です。

そこで、採用チャネルを減らすのではなく、採用工数を削減し採用活動を最適化することで業務の効率化とコスト削減を目指すことが求められているようになっています。

採用工数を削減するポイント

採用工数のためのミーティング

採用活動のプロセス全体のうち、工数を見直せるポイントはどこになるのでしょうか?
ここでは採用工数を削減するポイントを解説します。

1. 採用イベントの開催

企業説明会やインターンシップ、合同企業説明会などの採用イベントは、応募者と企業の接点が生まれるきっかけとなる貴重な場です。
しかし、企画や準備・社内調整などに時間がかかりやすく、実施するときも複数人が長時間拘束されることになるため、工数が多くかかる施策の一つです。
しかし、母集団が形成されるきっかけの1つでもあるため、工数を抑えながらも自社の魅力を伝えるための工夫が必要になります。

2. 母集団の見直し

「せっかく苦労して応募者を集めたのに連絡が取れない」「面接辞退や内定辞退が多い」などといった課題を抱えている企業は、母集団形成の段階で志望度が低い応募者を集めている可能性があります。

志望度が低い母集団のまま選考を進めると、選考を進めるうちに採用予定人数を下回る可能性があり、本来予定になかった追加募集を行わなければならなくなるといった採用工数がかかります。
優良な母集団の形成は、採用活動の成功と採用工数の削減における重要なポイントです。

3. 応募者への対応

応募者へのメール返信や会場のアテンド、質問に対する回答など、応募者対応は工数のかかる業務の一つです。
しかし工数を削減したいからといって、機械的に対応したり、対応スピードが遅くなったりすると、応募者の入社意欲が下がってしまう危険性もあります。
丁寧な対応が必要なため、必然的に工数がかかってしまう業務ではありますが、工夫次第で効率化ができるポイントです。

4. 内定者フォロー

内定出しを行ったとしても、実際にその人が入社してくれるという保証はありません。
就職活動を続け、最終的に他社から内定をもらって入社辞退をする応募者は少なからずいます。

内定通知を出してから辞退されないためには、内定者の負担にならない程度に継続的なコミュニケーションを取ることが大切です。
このように内定者のフォローを行うことで、内定辞退を減らすことができ、結果的に工数の削減に繋がります。

内定者フォローのやり方はいくつかありますが、その一つに研修があります。
研修をおこなうことで内定者の考えていることやチームビルディングを形成することができます。

内定者フォローならバヅクリ 

バヅクリ
出典:バヅクリ

バヅクリとは、チームの成長と社員の行動変容にコミットする研修サービスです。
同社が提供する内定者向けの研修プログラムの中には、ビジネスパーソンとしての自覚を促すとともに、内定者同士で交流を深められるものを用意しています。
また、企画から当日の研修運営まで、内定者フォローに関連するあらゆる業務を研修のプロが引き受けてくれるため、採用工数を大幅に削減できます。
新卒採用の内定辞退率に課題を抱える方は検討してみてはいかがでしょうか。

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採用工数を削減するには

採用工数の取り組み

ここでは採用工数を削減する具体的な方法を解説します。
自社の予算や採用課題に合わせて、適切な手法を試してみてください。

1. システムの導入

近年、採用管理システム(ATS:Applicant tracking system)と呼ばれる採用に特化したシステムを提供する企業が増えています。

各採用チャネルとの連携も可能で、応募者の管理や面接の日程調整、採用活動のKPI設計などをこのシステム上で一括管理できます。
また、各採用活動のKPI管理やチャネル別の応募効果分析もシステム上でできるため、採用プロセスのどこに課題があるのかを可視化することも可能です。

システムを導入すると、採用活動のどこに課題や無駄があるのかを明らかにできるので、効率的に改善を進められます。

2. アウトソーシングの活用

アウトソーシングとは、専門の事業者に採用業務を委託することを指します。
採用に特化したアウトソーシングは主に下記の2種類に分かれます。

① 事務対応を代行するアウトソーシング

採用活動における求人広告の作成や応募者とのコミュニケーションを代行する形式です。
採用設計自体は自社で行いたいが、担当者の人数が少なく、事務作業に十分な時間が取れないという企業に合っているアウトソーシングの形式です。

② 採用コンサルを行うアウトソーシング

様々な企業の採用活動に携わってきたプロが、採用の要件定義や採用基準の明確化などを含めた採用設計のコンサルティングをおこないます。
採用コンサルティングを取り入れるメリットは、採用のノウハウがない企業でもしっかりと採用活動が進められることです。
プロの知見を取り入れることで、無駄のない適切な採用活動ができるようになります。

自社の採用状況やリソースに合わせて、適切にアウトソーシングサービスを選びましょう。

3. オンラインで採用する

「応募者からの問合せ対応や連絡を電話や郵送で行っている」「説明会や選考をオフラインで行っている」という企業であれば、採用のオンライン化は採用工数の改善に効果的です。

メールやチャットツール・web会議サービスを積極的に活用することで、採用工数だけではなく、通信費や交通費・会場確保にかかるコストも削減できます。

またオンライン化を進めると、遠方の人も説明会や選考に参加しやすくなるため、より良質な母集団を集めることも可能になります。

4. 採用チャネルを厳選する

採用チャネルの絞り込みも、採用工数の改善につながります。
採用チャネルを広げることで、より幅広い層からの認知を獲得することにつながります。
しかし採用チャネルが増えるとチャネルごとに担当者とのコミュニケーション、求人票や応募者の管理が発生し、採用工数が膨らむことにもつながります。
チャネルごとにかかる工数と得られる効果は異なるため、より効果が得られる、自社に合ったチャネルに絞り込み、集中的に工数を投下したほうが採用効率が高まることもあります。

まとめ

本記事では新卒採用にかかる工数や、工数の削減方法を解説しました。
インターンシップや通年採用など、新卒採用のスタイルは年々変化しています。
採用予算や担当者の人数など、限られたリソースの中で採用を成功させるためには、その変化を捉えた上で、より効果的な採用戦略を練る必要があるでしょう。
採用活動で疲弊しないためにも、一度採用にかかる工数を見直してみてはいかがでしょうか。