近年、インターンシップの開催をオンラインに切り替える企業が増えてきています。
しかし、オンラインでインターンシップを行うノウハウがまだ少ない企業が多いのも事実です。
この記事ではどうすれば、学生の満足度が高いインターンシップをオンラインで行えるのか、ポイントや事例をご紹介していきます。

コロナで大きく変わったインターンシップのオンライン化

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、インターンシップのあり方が大きく変わりました。

インターンシップとは就職活動の前に、企業と学生のミスマッチを防ぐことを目的とし、学生の業界や企業の理解を深めてもらうために行われているものです。

エン・ジャパン株式会社が22年卒の学生700人を対象にし行なったアンケートでは、88%の学生が、オンラインでのインターンシップに参加したことがあると回答しました。
このアンケートから、コロナ禍でさまざまな企業がオンラインでのインターンシップを実施したことがわかります。

また、オンラインでの実施は様々なメリットがあることから、コロナウイルス収束後もオンラインでのインターンシップ実施を検討している企業も多くあります。

オンラインインターンの実施状況

オンラインインターンの実施状況

それではここから、オンラインでどのような内容のインターンシップが行われているか、学生へのアンケートをもとにご紹介していきます。

どのうような企画が多い?

「オンラインインターンシップ」実態調査
出典:22卒学生700名に聞く「オンラインインターンシップ」実態調査

オンラインでのインターンシップは、上記のようなコンテンツ内容が多く実施されています。
それぞれ詳しくご紹介していきます。

講義形式

オンラインでのインターンシップに参加した学生の中で、92%の学生が講義形式のインターンシップを経験したと回答しました。
業界についての説明や企業の理念、実際に働く社員の話を聞くなど、配信を視聴する形で行います。
チャットツールを使い、リアルタイムで質問を受け付けることも可能です。

グループワーク

講義形式の企画に続き、多くなったのはグループワークです。
Zoomなどのツールにある数人で通話ができる機能を使い、グループワークを行う企業が多いです。
オンラインでのグループワークは、発言のタイミングが難しかったり、オフラインでのグループワークよりも空気感が掴みづらかったりと、リアルの時とは勝手が違う場合が多く工夫が必要になってきます。

社員との交流

オンラインインターンシップで、社員との交流の時間を設ける企業も多いようです。
また、オフィスの雰囲気を感じ取ってもらうため、オフィスの様子を画面に映し、オフィスツアーを行う企業も。
企業と学生の相互理解を深めるために、このように実際に働いている環境を見てもらう時間が重要になってきます。

オンラインインターンシップを開催した人事の声

インターンシップをオンラインで行なった企業の人事担当者の声としては、想像していた通り、課題が多かったとの声もあがっています。

オフラインの際と異なり、一人一人時間をとっての発言となるため予想よりも時間がかかったり、発言するタイミングを逃し取り残されてしまう学生が見受けられたりします。
しっかり予測と準備をしておかないと、学生達が満足するインターンシップは行えないでしょう。

学生はどのようなインターンシップを求めているのか

学生はどのようなインターンシップを求めているのか

それでは、学生はどのようなインターンシップを行うと高い満足度を感じるのでしょうか?

オンラインでのインターンシップのメリット・デメリットを踏まえた上で、学生に高い満足度を感じてもらうためのポイントをご紹介します。

インターンシップのオンライン化によるメリット

どこにいても参加できる

オンラインでのインターンシップのメリットとして、どこにいてもインターンシップに参加できるというメリットがあります。
地方に住む学生や、海外に留学中の学生も、移動にかかる時間や費用を気にすることなく参加できます。

また、ゼミやアルバイトなどで多忙な学生も多いので、日程を合わせやすいように同じ内容のインターンシップを数回開催するといいでしょう。
スケジュールが合わないからという理由で、優秀な学生を逃すリスクが低くなります。

ポイント

・場所を選ばないので参加しやすい
・開催日程も数日間用意するといい

地方の学生とも交流ができる

どこからでもインターンシップに参加できることで、多種多様な学生が集まります。
学生からは、オンラインのインターンシップは普段接することのできない学生と交流ができるのが嬉しいという声も。

地域による就活事情の違いを知たり、知見を広められたり、企業側からだけでなく同じインターンシップに参加した学生からも話を聞けるのは、学生にとって1つのメリットと言えます。

ポイント

・学生同士も交流できる時間を作る

アーカイブに残すことができる

講義型のコンテンツなどは、アーカイブに残し後日参加者に配布することもできます。
聞き逃してしまった部分や、理解ができなかった部分を再度視聴できるので、深い企業理解に繋がります。

ポイント

・アーカイブを残し繰り返し視聴できるようにすることで復習ができ、企業への理解を深めることができる

海外支店の社員などの話を聞ける

普段はなかなか話を聞けない、海外や遠方の支店で働く社員の話が聞けるのは、学生にとって大きなメリットとなります。
インターンシップを通して知見を広めたい学生にとっては、企業や業界に関する話だけでなく、優秀な社員がどのようなマインドで働いているかなど、働き方に関する話をきけると さらに満足度が高くなるでしょう。

ポイント

・普段なかなか話を聞けない人の話を聞ける機会を与える

インターンシップのオンライン化によるデメリット

進行が難しい

オフラインのインターンシップと違い、発言と発言の間に時間ができるなどの理由から、想像よりも時間がかかったり、進行が難しいと感じたりするでしょう。
1回の開催につき何名の定員にするかも、時間内にインターンシップを終了させるためには重要なポイントです。

そのほか、間延びを感じさない進行や、余裕を持たせたスケジュールを組むなど、オンラインのインターンシップならではの配慮・スキルが必要となります。

ポイント

・タイムキーパーや進行役がしっかり時間の管理をする
・バッファを持たせてスケジュールを組む

講義型のコンテンツだけでマンネリ化しがち

講義型のコンテンツはオンラインで実施しやすいですが、講義型のコンテンツばかりのインターンシップになると、学生が受け身になってしまい、結果的に満足度の低いインターンシップになってしまう可能性があります。

講義の最後に感想を求めるなど発言の機会を設けるだけでも、学生が自発的に行動しているという意識を持たせることができます。

ポイント

・講義型以外のコンテンツも用意する
・学生に発言・行動・考えさせる機会を作る

五感を使った企画やグループワークは行いにくい

また、オンラインで行うコンテンツのデメリットとして、五感を使ったワークは行いにくいという点があります。また、発言のタイミングを掴みづらいなどの理由で、グループワークも、オフラインの場合よりも行いにくいでしょう。

ただ、全く行えないというわけではなく、工夫次第で有意義な時間にすることができます。

ポイント

・体験型のワークは工夫を

スムーズに運営を行えないと満足度が下がる

進行がスムーズでないオンラインでのインターンシップは、学生の満足度を下げます。

進行スムーズでないと満足度が下がるのは、オフラインでのインターンシップも同じことが言えるかもしれませんが、オンラインでのインターンシップ開催は、どの企業もノウハウがまだ蓄積されていない分、準備を念入りに行う必要があるでしょう。

ポイント

・スムーズな進行を。本番に近い環境で予行練習を行う

学生に何を感じ取って欲しいか?

メリット・デメリットを踏まえた上で、企業側は学生にインターンシップを通し、何を感じ取り持ち帰って欲しいかを明確にしてからコンテンツを企画しましょう。

企業のことを理解して欲しい場合と、その業界で働く上で軸となる考え方を理解して欲しい場合とでは、必要となるワークやコンテンツはことなってきます。

オンラインインターンを成功させるポイント

オンラインインターンを成功させるポイント

企画・準備段階で気をつけること

環境は整っているか

ネット環境は整っているか、機材は揃っているかなど環境面をチェックしましょう。
これは企業側だけでなく、学生側もオンラインでインターンシップを受けられるだけの環境が整っているか配慮をする必要があります。
回線が重く配信が途切れてしまうなどのアクシデントは、学生の集中力が途切れてしまい、ストレスを感じさせてしまうこともあります。

オンラインでインターンシップを受けるために必要な機材はもちろん、社員との交流会の際に食べるお菓子も学生の家に郵送する企業もあります。

服装や入室時間など詳細まで共有を

服装はどういったものが望ましいか、開始時間の何分前に入室すればいいかなど、学生がスムーズにインターンシップに参加できるよう、詳細に物事を決定しておくといいでしょう。
また、どのような内容でインターンシップが進んでいくのか、スケジュールも共有しておいた方が親切です。

実施の前に説明会や相談会を

企業側だけでなく、学生側もオンラインでのインターンシップはわからないことばかり。
機材の接続方法や使い方など、任意参加でインターンシップ開催の前に説明会を行うと、スムーズに開始できるだけでなく、親切な企業であるというイメージも持ってもらえます。

さまざまなタイプのワークを用意

講義型のコンテンツだけでなく、プレゼンやグループワークなど学生が主体となって動くワークも用意しましょう。
話したり、考えたり、行動することで学生は受け身ではなく、当事者意識を持ってインターンシップに取り組むことができます。

実施する上で気をつけること

進行をスムーズに

進行をスムーズに行うことは、とても重要なポイントです。
スライドのページがスムーズに次に送れるか、音声は問題なく聞こえるかなど、本番の前に一度チェックを行うようにしましょう。

実際に一度、本番と同じような環境でシミュレーションすることで、思わぬアクシデントが格段に抑えられます。

休憩を入れる

数時間に及ぶインターンシップの場合、間に必ず休憩を入れるようにしましょう。
学生の集中力を持続させ、メリハリのあるインターンシップを行うためには、大切なポイントとなります。

メンターをつける

参加者の人数にもよりますが1グループにつき、1名程度のメンターをつけましょう。
細かにフォローすることで、学生側も安心してインターンシップに参加することができ、満足度も高くなります。

そのあとのフォローで気をつけること

時間内に答えられなかった質問にも対応を

多くの学生が参加するオンラインインターンの場合、チャットで質問を募集したとしても多くの質問が集まり、流れてしまう場合があります。
可能であればインターンシップのあと、回答できなかった質問に対応できるといいでしょう。

お互いにフィードバックを

インターンシップを開催しそれで終わりではなく、学生にフィードバックを行うようにしましょう。
また、学生側からも企業に対してフィードバックをもらうようにし、次回の開催に繋げてください。

オンラインインターンの他社事例

オンラインインターンの他社事例

オンラインでインターンシップを行なった会社の事例をご紹介します。
実際には企業がどのようなインターンシップを行なっているのか、ぜひ参考にしてみてください。

京セラ株式会社

京セラ株式会社では、3日間に分かれたプログラムでオンラインのインターンシップが開催されました。

1日目にガイダンス、アイスブレイクなどを含めてグループワークの説明と課題発表をし、2日目に中間報告会と相談会、そして、3日目に発表とフィードバックという内容です。
1グループに1名のメンターをつけ、細かにフォローができる体制を取っています。

株式会社みちのく銀行

地方銀行の株式会社みちのく銀行は、コンサルティング業務体験をオンラインインターンシップで行っています。
ロールプレイングをしながら、コンサルティング業務がどんなものなのかを学びます。

企業がある青森ではオフラインで行われる予定ですが、オンラインでも開催されWEBで開催される会では1回15人定員です。
終了後1人1人に向けて、フィードバックが行われます。

株式会社本山製作所

最先端の流体制御技術を誇る本山製作所では2日間にわたり、オンラインでインターンシップが開催されます。

1日目は「企業を知る」とテーマにグループディスカッションなどのワーク、2日目は「仕事・人を知る」をテーマに社員の話を聞く講義型のコンテンツや交流会などが予定されています。
最後には社員からのフィードバックや、学生同士が学びをシェアする時間が設けられています。

まとめ

学生が高い満足度を感じるインターンシップをオンラインで開催するには、十分な準備が必要です。
他社の事例や、この記事でご紹介したオンラインでのインターンシップを成功させるポイントなどを踏まえ、学生に伝えたいことをしっかりと届けられるインターンシップを開催してください。