日本全国に570店以上もの店舗を構えるスシロー。
「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」をモットーに人気店を経営する、株式会社スシローグローバルホールディングスで社員採用課の課長を務め、年間300人もの人材を採用している伊藤さんにコロナ禍での採用方法や、研修についてお話をお伺いしました。

心からいいと思えるものをお客さんに提供している企業です

まずはスシローに入社した理由や、前職について教えてください

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伊藤さん
わたしがスシローに入社したのは約10年前。
それまでは不動産業界で仕事をしていました。
前職でも人事関連の業務を担当し、年間1,000人近い人数を採用していました。

リーマンショックが起こり不動産業界が大きく揺れ動く中で、今後の働き方について考える機会があり、「食」というのは今後ニーズがなくなりにくいジャンルであると考えました。
様々な会社に出会う中、スシローは心からいいと思えるものをお客様に提供し、喜んでもらうということを本気で行なっている会社だなと感じました。
前職では、他の企業の商品の方が優れているとわかっていても、売り込まなくてはいけないシーンも多く、心からいいと思えるものを提供できる環境はとても魅力的に感じました。

スシローではどのような業務を担当してらっしゃいますか?

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伊藤さん
株式会社スシローグローバルホールディングスの傘下にある株式会社あきんどスシローの、営業部メンバーの採用を主な仕事としています。

採用方法としては大卒の採用のほかに、中途、高卒、アルバイトからの正社員登用があり、年間300人弱を採用しています。

コロナ禍の採用で大切になった「ご縁」

コロナ禍で採用の方法は変わりましたか?

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伊藤さん
飲食の仕事はきつい、危険、汚いの「3K」の仕事であるというイメージがあり、採用が難しい業界です。
新卒採用で言うと、希望者が全体の1%いるかいないかと言われています。
ネットで求人募集を掲載しても、なかなかクリックしてもらえないのが実情です。

コロナ流行以前の採用の戦略としては、説明会を行い希望者と直接コミュニケーションを取ることでスシローの良さを理解してもらい、この企業で働きたいと思ってもらうというものでした。
しかし、コロナになってオフラインイベントが行えなくなり、直接のコミュニケーションという最大の武器が使えなくなったわけです。

そこで、スカウト型の採用や、学生に向けて開催しているインターンシップからの採用を強化するなど今年は新しい取り組みを行いました。

インターンシップからの採用はどのように強化されたのですか?

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伊藤さん
インターンシップは数年前から行なっていましたが、今年はさらに力を入れました。
2019年度は10月〜、2020年度は8月〜インターンシップをスタートしています。

毎年、インターンシップの参加学生は増加傾向にありました。
その理由としては2つあると思っています。
1つ目はインターンシップ市場への学生の流入が多くなったこと。
2つ目は、学生との接触回数を増やすために合同説明会の参加に注力したことです。
今年注力したインターンシップからは、例年に比べ2〜3倍の学生の流入を得ることができました。

年明けから新型コロナウイルスが大流行し、直接学生と会うことができる説明会は3月以降軒並み開催できなくなりましたが、インターンシップからできた縁からの、内定・内定承諾を獲得できました。
夏頃という早い時期から作り始めた縁が結果に繋がった年だなという印象です。

「ご縁作り」を大切にするとなると、学生に対する細やかなフォローが大切になってきそうですね。
ところで、スシローさんは何人で人事を担当しているんですか?

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伊藤さん
人事は2チームあり、東京にいる東日本チームと、 大阪にいる西日本チームに各5人ずつのメンバーがいます。
メンバー同士は、オンラインでミーティングを行なったりしています。

オンラインや動画を使った研修でもさらに深い企業理解を

新型コロナウイルスの流行でリアルでの内定者フォローは難しいですよね?オンラインならではの内定者フォローは何か行いましたか?

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伊藤さん
弊社は実店舗を持つ企業ですので、例年、内定者フォローの中で、店舗で行う仕事の魅力を訴求をしています。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、実際に店舗に来てもらうなどしてオフラインで行っていた内定者フォローを実施するのは難しい時期が長くありました。

そこで今年は店舗をオンラインで繋ぎ、実際に働く社員の解説を聞きながらお店のバックヤードを見学してもらうツアーを行ないました。
その他、店長が出演し、学生たちと自由にトークができるオンラインでの座談会を行ないました。

各回、あまり大人数だと会話の成立が難しくなったり、発言の機会が減ったりするので最大でも5人程度で実施しました。
オンラインだからこそ、さらに密なコミュニケーションを取れるように配慮したことで、例年よりも現場の様子を詳細に学生に伝えられたと思います。

内定者フォローの研修を経て、晴れて入社ですね。続いて、入社後に行われる新卒研修について教えてください

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伊藤さん
2020年4月入社の新入社員は全てオンラインで研修を行いました。
その際、オフラインで行う研修よりも深く会社を知ってもらうことを目標に、オンラインだからこそできる研修を実施することを心がけました。

今期のあきんどスシローの方針として、「もっと、うまいすしを!」というキーワードがあるのですが、そこに結びつくような動画を作成しました。
例えば、お店に毎日食材を届けてくれる業者さんの働きや、食材が届くまでの流れを映像にし、扱っている食材はどのような想いで作られているのか、どんな苦労があって出来上がっているのかなどを、動画を通して知ってもらいました。
食材が毎朝店舗に届くことは当たり前ではなく、想いがこもった食材を、どのようにお客様にリレーしていくのかを考えるきっかけになったのではないでしょうか?

入社後のアンケートでも、その動画を見て仕事に対するモチベーションが上がったという回答を得られました。

その他、現場に入った時の最低限の知識を習得できる動画も、各部署のスタッフに協力してもらい作成しました。
最終的には、レポートを提出してもらい理解度を確認しています。

入社後の研修はどのように行なっていますか?

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伊藤さん
スシローでは、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月のタイミングで定期的に研修を行なっています。
基本的に映像を使って研修を行い、全国の社員が一堂に会するのではなく部単位で集まって研修を行ないました。

映像を使い研修を行うことのメリットは2つ挙げられます。
今まで、各部署の担当者や責任者に研修会場まで足を運んでもらうことは難しく、採用担当者がそれぞれの部署にまつわる話をしていました。
しかし、映像を作ることで、各部署の担当者のリアルな声や熱い想いを映像という形で届けることができ、さらに深い企業理解へ繋げられたことです。
2つ目は、1度動画を作ることで来年もその動画を使えたり、研修内容のアップデートをしやすかったりするのもメリットと言えると思います。

ただ、動画学習は人によって理解度に差がでるので、一概にこの方法が正しいとは言えませんが、コロナ禍での新しい研修の在り方を探すのには、動画研修はいい試みだったのではないでしょうか。

スシローはアツい想いや理念を社員の細胞レベルまで落とし込めている企業

動画作りについて苦労された点はありましたか?

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伊藤さん
すでに社長、副社長の中に明確に伝えたいことがあったので、広報担当とすり合わせをしながらそれを動画という形に落とし込みました。
特に苦労はなかったですね…(笑)

新型コロナウイルスが流行している最中という難しい状況でしたが、社内のさまざまな協力があり形にすることができました。

新入社員の帰属意識や、新卒同士の仲間意識の形成どのように行なっていますか?

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伊藤さん
新入社員は、全てのポジションの仕事を覚えることからスタートします。
その中で、どうしてこの手順で行うのか、どうしてこの食材を使っているのかなど、1つ1つの仕事や会社のポリシーへの理解度が深まるにつれて、企業への愛着や帰属意識が高くなっていくと思います。

また、入社後の定期的な研修でも仲間意識の形成ができていると思います。

最後にスシローの職場環境に関することや、セールスポイントなど、一言よろしくお願いします

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伊藤さん
私自身、スシローに入社できてよかったと思っています。
これまで、人事担当としていろんな会社を見てきましたが、全ての部署が、「これはお客様のためになるのか」ということを第一に考え仕事に取り組んでいて、この会社ほどお客様に真摯に向かい合っている会社はないと感じます。
お客様に喜んでもらえる仕事がしたい人は納得できる環境です。
もちろん社員の幸せも考えられていて、利益に関して言うと、お客様はもちろん社員にも還元され、お客様、従業員、みんなが幸せになることを目指しています。

あきんどスシローの企業理念に「うまいすしを、腹一杯。 うまいすしで、心も一杯。」というものがありますが、それを社員の細胞レベルまで落とし込めている企業です。ちょっと言い過ぎかもしれませんが(笑)
ここまで徹底できている企業は珍しいのではないでしょうか。