従業員のエンゲージメントやモチベーションを向上させ、退職を防ぐための取り組みとして「ウェルビーイングマネジメント」が注目されています。
今回はウェルビーイングマネジメントの定義と注目される背景、企業に取り入れる方法を解説します。
目次
ウェルビーイングマネジメントとは
そもそもウェルビーイング(well-being)とは、身体的、精神的、そして社会的に健康な状態にあること。
単に病気やストレスのない状態であるだけではなく、心身ともに満たされ、生活全般においてポジティブな感情や充実感を持っている状態を指し、日本では「幸福感」「快適」などと訳されることもあります。
そして「ウェルビーイングマネジメント」とは、従業員や株主、一般消費者なども含めた全てのステークホルダーが幸福な状態を実現させるマネジメント方針のこと。
特に従業員のウェルビーイングに対しては、健康状態を改善するだけでなく、目的意識をもって主体的に業務に取り組めるような環境を構築するマネジメントを指します。
ウェルビーイングマネジメントが注目される背景
ここではビジネスシーンにおいてウェルビーイングマネジメントが注目される背景を解説します。
SDGsへの機運の高まり
18世紀の産業革命以降、世界全体で急速に技術革新が進行しました。
産業革命により社会は大きな発展を遂げ、生活水準は向上しましたが、その発展と引き換えに、地球温暖化や資源の枯渇など、さまざまな地球規模の社会問題をもたらしています。
国際社会では地球全体で持続可能な社会を構築するために、2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)」、気候変動に関する「パリ協定」が採択されました。
この意識は国だけでなく組織や企業にも広まり、自社の利益のみを追求するのではなく、社会の持続可能な成長を意識した取り組みを行うべきという考えが主流となりつつあります。
働き方改革
政府が旗振り役となり「働き方改革」というキーワードが浸透すると、企業は長時間労働の是正や多様な働き方の導入など、従業員が安心して働ける環境を整えることが求められるようになりました。
働き方改革を実践し、従業員の心身の健康とワークライフバランスを実現するための方針としてウェルビーイングという考え方が注目されています。
ウェルビーイングマネジメントを行うメリット
世界的な流れの中で取り組みが求められるようになっているウェルビーイングマネジメント。
ここではウェルビーイングマネジメントを実践することで、具体的にどんなメリットがあるか解説します。
従業員のモチベーション向上
従業員の幸福度を高める環境づくりを意識することで、職場の人間関係や労働環境が改善されます。
従業員は満足度が高い状態で仕事に取り組むようになるため、主体性やモチベーションの向上、ひいては生産性の向上にもつながります。
離職率の低下
企業がウェルビーイングマネジメントを推進し、職場の人間関係や労働環境が改善されることで、離職率の低下が期待できます。
さらにウェルビーイングマネジメントが組織全体に定着すると、マネジメント層は従業員の微細な心身の変化にも気付けるようになり、体調不良やメンタルヘルスの不調による退職を防止できます。
このようにウェルビーイングマネジメントの実践は、人材の定着率を高めることに貢献するのです。
医療費の削減
従業員が体調を崩して人員が減ると、チーム全体の生産性が下がり、事業の機会損失につながるほか、残った従業員のウェルビーングにも悪影響を与えます。
また労働災害が発生すると、企業が医療費を負担することにもなります。
従業員が心身ともに健康な状態で働ける環境を作ることで、思わぬ事故や病気を防ぐことができます。
ウェルビーイングを高める4つの方法
ここでは大分大学教授の岩野卓氏らが提唱する「ウェルビーイング促進行動目録」をもとに、従業員のウェルビーイングを高める4つの方法を解説します。
対人援助行動
お互いに相談し、助け合いができる環境(対人援助行動)は、ウェルビーイングの向上に貢献します。
「1on1チームミーティングなどで従業員の相談に乗る」「定期的に声をかけ、悩みや不安を聞ける関係性を作る」など、信頼関係を構築するためのアクションを行いましょう。
きちんと信頼関係が構築され、心理的安全性の高い組織を実現できれば、イノベーションや業務改善の議論が活性化し、組織全体の生産性向上にもつながります。
課題遂行行動
「予定通りにタスクや業務が終わる」「主体的に勉強する時間を設けることができる」など、計画した通りに物事を遂行できること(課題遂行行動)は、ウェルビーイング向上において重要な要素です。
従業員を無理やり残業させないようにするのはもちろんのこと、業務の手順説明やフィードバックの際にはわかりやすい説明を心掛け、無理のない締切を設定するなどの配慮が必要です。
自己決定行動
人は、他人にやらされていることよりも、自分が「やる」と決めてやっていることに対してより幸福感や充実感を感じます。
そのため業務の中でも「自分の考えで物事を決めた」「自分らしさ、自分の主張を大切にできた」という自己決定のプロセスを取り入れることで、モチベーションとウェルビーイングの向上が期待できます。
「何事もトップダウンで決めず、メンバーの意見を聞いて判断する」「業務を依頼する際に、やり方やスケジュールは本人に考えて提示してもらう」など、本人の意見や考えを引き出す機会を作りましょう。
挑戦行動
「今までできなかったことができるようになる」という経験もまた、達成感や充実感をもたらし、ウェルビーイングの向上につながることが知られています。
実際に、本人にとってあまりにも簡単な仕事をやらせたり、変化のない業務に従事させ続けたりしていると、退屈さやマンネリ感を感じてモチベーションが下がってしまいます。
そのような状況に陥らないためにも、本人のキャリアや特性を鑑みながら、未経験の仕事や課題に取り組ませましょう。
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バヅクリの「ウェルビーイング研修〜良好な人間関係と組織の心理的安全性を育む〜」は、幅広い世代に対応したウェルビーイング研修を提供しています。
ウェルビーイングな環境を作るための豊富なワークを用意しており、実践的な内容も多いため、研修を受けた後に学びを活かしやすいのが特徴です。
またアイスブレイクや対話ワークショップを多く用いており、職場で良好な人間関係を築きやすく、ウェルビーイングを醸成する基盤となる「心理的安全性」を高めることができます。
まとめ
今回は、ウェルビーイングマネジメントについてご紹介しました。
SDGsの推進や働き方改革の影響で企業は業績だけでなく従業員の心身の健康状態を良好に保つことが求められるようになっています。
バヅクリでは、ウェルビーイングマネジメントについて詳しく解説した研修をご用意しております。
ぜひこの記事を参考に受講を検討されてみてはいかがでしょうか。