昨今では、Z世代と呼ばれる世代が注目を集めています。今後の消費の中心になっていくことや、情報の発信源になること、そして今後新卒として入社してくる世代であることなどがその理由です。
本記事では、そうしたZ世代について、どのような価値観を持っており、どのような付き合い方が良いのかをご紹介します。
目次
Z世代とは
次世代の主役「Z世代」
Z世代とは、1990年代中盤以降に生まれた人たちを意味し、10代半ばから20代半ば程度の世代を対象としています。
Z世代の第一の特徴は、デジタルネイティブであるという点です。様々なデジタル機器が周りにある状況で育っているため、たいていの機器を比較的容易く利用できてしまいます。SNSネイティブでもあり、Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSを利用して自身の意見や体験を発信したり、友達とのコミュニケーション手段となっています。
またそうしたSNSを通じて、世界中の様々な文化や考え方があることを知っているため、価値観や人間関係の多様性を受け入れやすい世代であるとも言えます。
さらにはZ世代はブランドや商品の知名度ではなく、自分にとって価値があるものに対してお金を使う傾向があり、「もの」よりも「体験・経験」に価値を見出すと言われています。
Z世代の仕事に対する価値観
2020年に、アメリカのフロリダ州に本拠地を置くIT企業Citrix Systemsが、日本を含むグローバルな国のデジタル世代(Born Digital)を対象に行った意識調査の結果(Work 2035 The Born Digital Effect)によると、日本のデジタル世代が仕事に求めるものは、仕事への満足度、キャリアの安定性と保証、ワークライフバランス、報酬と福利厚生、上司との良好な関係が上位となりました。
経営層が考えているよりも、キャリアの安全性と保証や、上司との良好な関係、そして報酬と福利厚生を求める傾向にあると言えます。
また、株式会社RASHISAが2022年に実施した「Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査」では、「職場の選択やその先のキャリア形成にあたって、重視したいことは何か」という問への回答として、上位は「やりがい」が69.3%、「成長できる環境」が66.7%、「フラットで風通しのいい社風」が54.7%、「多様な働き方、マイノリティ性が認められる」が52.7%となりました。
「自身のモチベーションや成長に繋がる環境であることに次いで、多様性が認められるフラットな社風を重視する傾向がある」との見解が示されています。
Z世代はダイバーシティを重要視する
さらに「Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査」の結果から、Z世代がダイバーシティを重視していることがわかります。
「D&Iに積極的な企業に対してどう感じるか」という質問に対し、「好感を持てる」が57.3%、「働きたいと思う」が37.3%で、合計94.6%がD&Iに積極的な企業に対してポジティブな印象を抱いていました。
一方で「D&Iに消極的な企業に対してどう感じるか」については、「好感を持てない」が37.3%、「働きたくないと思う」が17.3%と、半数を超える合計54.6%がネガティブな印象を持っているという結果となりました。
さらに興味深い調査として、「『年収350万円でD&Iに消極的なA社』と『年収300万円でD&Iに積極的なB社』のどちらで働きたいか」という質問に対し、「B社」が68.7%、「A社」が23.3%となり、約7割が、年収は低くてもD&Iに積極的な企業で働きたいと考えているという調査結果となりました。
この調査は、Z世代がいかにダイバーシティを重要な要素として捉えているかを表すものと言えるでしょう。
ダイバーシティ推進によるメリット
ダイバーシティ&インクルージョンの推進が企業にもたらすメリットは、
- 人材獲得力の強化
- 顧客ニーズの多様化に対する感応度の向上
- 社員のモチベーション向上
- 離職率低下、定着率向上
などが挙げられます。
組織に多様性が実現すると、様々な考え方や事情を持つ優秀な人材が集まりやすくなります。
異なるカルチャーやパーソナリティを持った人材が組織に混ざることで、従来とは異なる視点からの意見やアイデアが生まれ、事業や組織に対する良い影響が期待できます。
参考:経済産業省 令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業 100 選 100 選プライム/新 100 選 ベストプラクティス集
ここまでお話してきたZ世代が「多様性を重視する」傾向にあることや、ダイバーシティを推進している企業に対して好感を持つといった点から、「人材獲得力の強化」や「社員もモチベーション向上」「離職率低下、定着率向上」などはZ世代に対しても大きな効果を持つでしょう。
新入社員の6割以上が職場にストレスを感じている
ダイバーシティの推進によりZ世代がより働きやすい職場環境に近づいたとしても、現場で働きだすと壁にぶつかり、ストレスは溜まっていくもの。
若手社員の離職率が高まる企業が多く、新入社員のストレスケアやメンタルヘルスケアは企業にとって重要な対策となってきています。
そこでバヅクリHR研究所では、義務化されているストレスチェック制度と併せて、新入社員が抱えるストレスの原因や企業が行うべき新入社員のストレスケア施策のポイントについてまとめました。
下記からダウンロードできますので、新入社員のストレスケア施策にお役立てください。
ダイバーシティ推進のための施策
ダイバーシティを推進するために、企業が取るべき施策についてご説明します。
下記記事でもご説明していますので、よろしければ合わせて御覧ください。
1. 目標を設定する
多様性を確保するために、まずは人材別に採用数や在職者数、離職率などの目標数値を定めることが重要です。
また、誰もが働きやすい職場環境を整え、面談やアンケートなどで人材活用の実態や満足度を把握していきましょう。
2. 評価制度を整える
雇用形態やワークスタイル、その他属性によって有利不利が生まれないように、能力や経験が正しく認められる評価制度を作ることも重要です。適材適所な人材が活躍できる仕組みを構築することで、多様性を許容する組織が生まれます。
3. 柔軟なワークスタイル
家族との時間を大切にしたい、親の介護を行っている、小さな子供がいる、など様々な家庭事情を持つ人が活躍しやすい環境を作るためには、時短勤務やフレックス、リモートワーク、ダブルワークなど柔軟なワークスタイルを許容することが有効です。
4. 休業制度の充実
育児休暇や介護休暇など、各種休業制度の活用を推進していくことも多様性を実現することに貢献します。
ただ制度を作って用意するだけでなく、実際に活用されるように運営していくことが重要です。
5. 研修やセミナーなどで社員の理解を深める
また、ダイバーシティ推進について学ぶことができる研修やセミナーを受けるという方法もあります。
社内の取り組みだけではなかなか浸透させずらい、ダイバーシティにおける考え方などについて学びやすいため、外部研修がオススメです。
バヅクリ株式会社が提供する、オンラインダイバーシティ研修では、多様性を理解して成果を出せる組織をつくるための考え方・コミュニケーション手法・マネジメント手法を学ぶことができます。
人種や性別などを元にした「統計学的多様性」のほか、考え方・捉え方などの違いである「認知的多様性」についても学びます。
また、多様な人材を登用するだけに終わらず、個々の違いを受容しながらひとつの組織としての力を発揮する「ダイバーシティ&インクルージョン」や、意見の相違から目をそらさず、建設的な相互理解を推進する「シナジーコミュニケーション」など、一歩進んだ「ダイバーシティ研修」を提供しています。
まとめ
Z世代は育ってきた環境などの要因から、他の世代と比較してよりダイバーシティを重要視する傾向があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
これからの新卒として入社してくる世代を含め、若者はZ世代に当てはまります。今後、優秀な若手人材を採用するためには、ダイバーシティ推進が重要な要素になっていくのは間違いありません。
採用力の強化や、若手社員の定着率を高めるためにも、ダイバーシティへの取り組みをご検討されてみてはいかがでしょうか。