昨今、ビジネスでイノベーションを起こすための思考法として「ラテラルシンキング」が注目を集めています。
しかし、ロジカルシンキングなどと違い、あまり聞き慣れない、意味は正確にわからないといった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、経営者や企業の人事担当者の方等に向けて、ラテラルシンキングはどんなものか解説し、どのような思考法なのか、どのようにして鍛えるのかという点についてご紹介します。
目次
ラテラルシンキングとは
ラテラルとは、「側面の」「水平の」といった意味で、ラテラルシンキングとは、問題を解決するために固定観念や既存の論理にとらわれず、「物事を多角的に考察する」「新しい発想を生み出す」ための思考法のことです。
直感的な発想で、偶然を何かのチャンスにできないか考えるといった特徴があり、日本では水平思考とも呼ばれています。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングと合わせてトリプルシンキングとも呼ばれることもあります。
1960年代、マルタの医師であり、心理学者・発明家・コンサルタント・作家など複数の
肩書きを持つエドワード・デボノ博士が提唱しました。
ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
ロジカルシンキングは、「一貫しているか」「筋道が通っているか」を客観的に分析し、
本当に正しいのかを判断する思考法です。既成概念を基に筋道を立てて深く掘り下げて考えていくため、垂直的な思考とされています。
一方ラテラルシンキングは、発想を横に広げるイメージで、既成概念に囚われず、多角的な視点と自由な発想で創造的な問題解決を図ります。結論は1つとは限りません。
ロジカルシンキングが主に課題解決を目指す場面で活用される思考法であるのに対し、ラテラルシンキングは主に新たなイノベーションをうみだす場面で活用されます。
クリティカルシンキング(批判的思考)との違い
クリティカルシンキングは批判的思考と呼ばれ、思考する前提や過程、論理に渡って「本当にそうだろうか?」と問い続けながら思考する思考法です。
クリティカルシンキングは、主に課題自体の正誤を問う場面で活用することができる思考法です。
ラテラルシンキングのメリット
では続いて、ラテラルシンキングの長所、メリットについてご紹介します。
新たな視点で結論を導ける
まず第一に、固定観念や既成概念などに縛られず思考するため、常識にとらわれない斬新な発想が出るといった点が挙げられます。
新たな商品やサービスの考案や、行き詰まっていた課題解決の打開策を検討する際などにその長所を活かすことができるでしょう。
結論に辿り着くのが早い
また、結論にたどり着くまでが早いという点も挙げられます。
ラテラルシンキングは、結論までの過程を問題にするのではなく、出た結論が問題解決に値するかどうかを重視します。
直感的な発想で提案されたアイデアを吟味し、直面している課題解決を図れるかを判断していくため、結論を導くのが早く、物事を迅速にすすめることができます。
ラテラルシンキングの手法
ラテラルシンキングをどのように実施していくのか、手法についてご紹介します。
現状の見直し
ラテラルシンキングは思考する際に前提を持たないという特徴があります。
まずは、現状の課題や議題の前提に対してクリティカルシンキングの手法を応用し、「ほんとうにそうだろうか?」という視点を持ちましょう。
もしくは、前提条件となっているものを一度すべて度外視し、思考の制約となっているもの、なり得るものをなくします。
多角的な視点を持つ
続いて、多角的な視点を持ち、課題について考えていきます。
ラテラルシンキングでは現状の考え方にはなかった視点を持つ必要がありますが、そこで役立つのがアレックス・F・オズボーンが提唱したチェックリストです。
これは、下記9つの多角的な視点から新しいアイデアを出しやすくする手法です。
- 転用:他に使いみちがないか
- 代用:既存のものから代用できるものがあるかを思考する
- 応用:参考にできるものがあるか、同様のものがないか、過去のアイディアから借りられるか
- 変更:一部を変更できる部分がないか検討する。
- 拡大:考えるものに対して「大きくしたらどうなるか」を検討する。
- 縮小:考えるものに対して「小さくしたらどうなるか」を検討する。
- 置換:位置や工程、要素の入れ替えができるか検討する。
- 逆転:上下、左右、前後、立場などを逆転してみたらどうなるかを検討する。
- 結合:要素やアイディア、目的を組み合わせたらどうなるかを考える
このような観点から、課題について新しい視点での発想を取り入れていきます。
ラテラルシンキングの身につけ方・鍛え方
それでは、ラテラルシンキングはどのように身に付けることができるのでしょうか。一例をご紹介します。
3つの視点をもつ
まずは、日常から下記3つの視点を持つように心がけることから始めましょう。
- 自分の視点
- 相手の視点
- 第三者の視点
同じ事象に対しても、見る立場や視点が変われば全くことなる捉え方となり得ます。そうした立場の違いを意識的に思考に取り入れることによって、固定概念の縛りから解放され、視野が広くなり、思考・発想が柔軟になるといった効果が期待できます。
前提を疑う習慣をつける
続いて、前提を疑う習慣をつけるということが考えられます。
ラテラルシンキングは常識やルールにとらわれない思考法です。前提条件を疑う習慣をつけることで、自由な発想をしやすくなったり、新しいアイデアを思いつくことができるようになります。
ラテラルシンキングを身に付けるならバヅクリ!
研修サービス「バヅクリ」のラテラルシンキング研修では、アイデアを出す際にロジカルシンキングだけでは出てこないような、思考の枠を拡げてアイデアを出す方法を学習します。
グループワークにおいてお互いのアイデアに刺激を受けながらアイデア出しをすることにより、多様なアイデアを出す方法を体感できるようなプログラムになっています。
特に、新入社員から若手社員の方、柔軟で幅広くアイデアを考える力を身に付けたい方におすすめの研修です。
まとめ
ラテラルシンキングを身につけることで、視野が広くなり、変化の激しい現代に順応できる体勢が整えられたり、新たなビジネスの創出を生み出したりとビジネスにおける可能性が広がります。
この機会に、自社社員のラテラルシンキング力向上を検討してみてはいかがでしょうか。