現代の組織において、従業員のエンゲージメント(関与度)は極めて重要な要素となっています。従業員の満足度やモチベーションの向上は、生産性や組織の成果に直結し、企業の成功に大いに貢献します。エンゲージメントサーベイは、組織が従業員のエンゲージメントを評価し、改善策を導くための貴重なツールとなっています。
本記事では、エンゲージメントサーベイの基本的な概念や目的について詳しく解説します。また、エンゲージメントサーベイでよく用いられる質問項目(Q12やeNPSなど)についてもご紹介します。さらに、エンゲージメントサーベイを実施する際に役立つおすすめのサービスもご紹介いたします。
従業員のエンゲージメントを高め、組織の成果を最大化するための一歩を踏み出すために、ぜひ本記事をご覧ください。
目次
エンゲージメントサーベイとは
エンゲージメントサーベイ(Engagement Survey)は、組織や企業内の従業員の関与度(エンゲージメント)や満足度を測定するために実施される調査です。従業員のエンゲージメントは、組織に対してどれだけ情熱や意欲を持って取り組んでいるか、仕事に対してどれだけの意義を見出しているかなどを示します。通常、質問形式のアンケートを使用し、従業員が匿名で回答することが一般的です。
エンゲージメントサーベイの目的は、組織や企業が従業員の意見やニーズを把握し、組織のパフォーマンスや生産性を向上させるための具体的な改善策を見つけることです。サーベイの結果は、組織のリーダーや人事部門などの関係者が、必要な改善策を実施するために利用します。
エンゲージメントサーベイは、組織の文化や労働環境の改善、従業員のモチベーションの向上、離職率の低下など、さまざまな利益をもたらすことが期待されています。
エンゲージメントサーベイとは?サーベイのメリットや注意点などをご紹介
エンゲージメントサーベイの実施目的
エンゲージメントサーベイの実施目的には以下のようなものがあります。
従業員のエンゲージメントの測定
エンゲージメントサーベイは、組織内の従業員がどれだけ仕事に関与しているかを測定するために使用されます。従業員のエンゲージメントが高いほど、組織に対してより情熱的で意欲的に取り組み、成果やパフォーマンスを向上させる傾向があります。
従業員の満足度の評価
またエンゲージメントサーベイは、従業員の組織への満足度や幸福度を評価するためにも使用されます。従業員が組織の目標や文化に共感し、自身の仕事に満足しているかどうかを把握することができます。
組織の強みと改善の特定
サーベイ結果を分析することで、組織の強みや改善が必要な領域を特定することができます。従業員が特に満足している側面や組織が成功している要素を把握し、同時に改善の必要性がある領域や問題点を特定することができます。
従業員の声を収集
さらにエンゲージメントサーベイは、従業員の意見やフィードバックを収集するための貴重な手段となります。従業員は匿名で意見を述べることができるため、本音を聞くことができます。組織はこれらの声を活用して、従業員のニーズや要望に応え、より良い労働環境や組織文化を構築するための具体的な施策を打つことができます。
バヅクリエンゲージメントでは、最新の設問設計により、短い設問で回答者の本音を引き出すことができます。よろしければこちらのサービス資料をご覧ください。
エンゲージメントサーベイを実施するメリット
エンゲージメントサーベイを実施することには、以下のようなメリットがあります。
モチベーションの向上
エンゲージメントサーベイを行うことで従業員のコンディションの変化を察知できるようになり、それに応じた適切なフォローを行うことで仕事へのモチベーションを維持・向上させることができます。
組織課題の早期発見
上司のセクバラやパワハラなど、相談しにくい内容のトラブルも匿名のアンケート等を行うことで悩みを発信しやすい環境を作り、トラブルの火種を早期発見できるような環境を構築することができます。
人材育成・組織の活性化
エンゲージメントサーベイにより人的課題が明確化され、従業員が働きやすい環境が構築されるため、人材の育成や組織の活性化につながります。また従業員のエンゲージメントが高まることで知人に自社を紹介するリファラル採用の促進にもつながります。
エンゲージメントサーベイの質問項目の重要性
ここではエンゲージメントサーベイの質問項目の重要性を解説します。
エンゲージメントサーベイ成功の鍵は質問の質
エンゲージメントサーベイを組織改善に活かせるか否かは、質問項目の適切さが重要になってきます。
質問の内容によっては、従業員満足度の測定に留まってしまいエンゲージメントが測定できない可能性があるので注意が必要です。
エンゲージメントを正確に測定するためには、エンゲージメントサーベイの目的を明確にしたうえで、自社の課題に沿った質問項目を設定することが重要です。
また、
・設問数は多すぎないか
・シンプルで分かりやすい質問か
・点数化や「はい」「いいえ」など簡単に答えられる質問か
・深堀りしたい質問にはフリーアンサーを入れる
など、回答者にもあまり負荷がかからず、効果的に分析ができる適切な質問を設定するようにしましょう。
エンゲージメントを測る質問項目のカテゴリ
では、適切にエンゲージメントを計測するためには、どのようなカテゴリの質問を入れれば良いのでしょうか。
エンゲージメントを測るための質問のカテゴリ例を紹介いたしますので、質問を設定する際に参考にしてみてください。
会社の方針や理念への共感
会社の方針や理念への共感の度合いを測る指標となります。
仕事内容ややりがい
自分の仕事にやりがいや誇りをもってモチベーション高く働けているかを測る指標となります。
人間関係や職場環境
上司、部下、同僚とお互いを尊重し合った良好な人間関係を築きコミュニケーションが活発に行われ連携がスムーズに行われているかを測る指標となります。
評価制度やキャリア
人事評価や報酬制度、キャリア形成への期待度や満足度を測るための指標となります。
その他、仕事やプライベートが両立できる環境であるか、働きやすい設備が整った環境であるか、などがあります。
エンゲージメントサーベイの代表的な調査方法・設問例
エンゲージメントサーベイの質問項目を自社で作成せずとも、すでに多くの企業で使われている代表的な調査方法と設問例がありますのでご紹介いたします。
Q12(キュートゥエルブ)
Q12(キュートゥエルブ)はアメリカの調査会社「ギャラップ社」が長年の研究によって導き出したエンゲージメントを測定するための12個の質問です。
Q1.職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2.仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3.職場で最も得意なことをする機会が毎日与えられている
Q4.この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5.上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだQ6.職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7.職場で自分の意見が尊重されるようだ
Q8.会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9.職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10.職場に親友がいる
Q11.この6ヵ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12.この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
選択肢は5つで、配点は次のようになっています。
完全に当てはまる(5点)
やや当てはまる(4点)
どちらともいえない(3点)
やや当てはまらない(2点)
完全に当てはまらない(1点)
ギャラップ社の調査によると、点数が高いほど企業の業績も比例して上がることが分かっているそうです。
eNPS(イーエヌピーエス)
eNPS(イーエヌピース)とは「Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称です。
eNPSの調査は「あなたは自分の働いている会社を親しい友人や家族に、自社への入社をどのぐらい勧めますか」というたった一つの質問で構成されていて、0~10の11段階で回答し、職場への愛着心や推奨度を測ることができます。
9~10点を推奨者、7~8点を中立者、0~6点を批判者として分類し、推奨者の割合から批判者の割合の値がeNSPのスコアとなります。
eNPSのスコアはあくまで総合的なエンゲージメントの指標となるため、これに加え、自社に合わせた質問を組み合わせてエンゲージメントを測るのが一般的です。
詳しくはこちらをご覧ください。
eNPSとは?NPSやESとの違い、調査方法について紹介
経済産業省が公開している質問項目例
経済産業省が主催した「経営力強化に向けた人材マネジメント研究会」の資料の中で、エンゲージメントサーベイの質問項目例が公開されています。
エンゲージメントサーベイの質問例
- 私は、自分の会社全体としての目的・目標・戦略をよく理解できている
- 経営陣は、事業の方向性について健全な意思決定をしている
- 自分の会社はよい職場だと他の人にも勧めたい
- 自分の会社で働くことに誇りを持っている
- 自分の仕事について、給与や福利厚生など公正に報酬を得ていると思う
終身雇用、年功序列といったものに代表される日本型人材マネジメントは終焉を迎え、多様性が重視される昨今では、今までのやり方では「勝ち筋」は見えない。つまり、企業に合ったエンゲージメントの施策が重要。という説明がされています。
組織課題を明確に抽出するバヅクリエンゲージメント
バヅクリエンゲージメントの質問項目は、エンゲージメント/モチベーション理論を基に組織コンサル専門家、産業医による監修のもと、組織課題の抽出に必要かつ効率的な項目を設計しています。
理論をベースに最新概念を追加し、会社・組織・個人の課題をたったの24問で抽出できるので、従業員にも回答の負荷をかけません。
高機能でわかりやすい分析が月額300円/人で利用可能
現場の声から生まれた、本当に必要な機能を備えた後発のエンゲージメントサーベイです。
属性/推移/クロス/要因分析がオプションなしの低価格ですべて利用可能です。
スコア低下の原因と対策がわかる要因分析機能つき
簡単に回答できる24問の設問でありながら、網羅的・効率的な設計により本質的なデータが取得可能。
サーベイ後の追加ヒアリング不要で、スコア低下の原因と最適な対策方法までわかります。
エンゲージメント向上に特化した改善施策を提供
エンゲージメント向上に特化した研修/対話型ワークショップの実行までフルサポート。
サーベイの結果をもとに、離職防止・コミュニケーション活性化・心理的安全性の醸成につなげます。
エンゲージメントサーベイ実施の注意点
ここでは、エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点をご紹介します。
従業員の理解を得る
エンゲージメントサーベイを実施する前に、従業員に調査の目的や意義を説明し、協力を得ることが重要です。従業員が調査の目的や意義を理解していない場合、調査結果が反映されない可能性があります。
また、調査結果を従業員にフィードバックすることで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながることがあります。
従業員の不利益や負担にならないようにする
エンゲージメントサーベイを実施する際には、従業員が不利益や負担を感じることがないようにすることが大切です。例えば、調査時間が長すぎたり、個人情報が漏洩する可能性がある質問が含まれていたりすると、従業員の不信感を招くことがあります。従業員が信頼できる調査であることを示すことが重要です。
調査するだけではエンゲージメントは低下する
エンゲージメントサーベイを実施することは重要ですが、それだけでは意味がありません。調査結果を分析し、問題点や改善点を把握した上で、改善策を実施することが必要です。サーベイツールを導入するだけでは社員のエンゲージメントが低下することがアンケートによって明らかになりました。
サーベイの導入が社員の不満につながる理由はどういったものなのでしょうか。
調査結果は下記からダウンロードできますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
エンゲージメントサーベイを実施しても、目的をうまく伝えられていなかったり、その後のフィードバックが無いと、従業員は業務に加えてサーベイへの回答が負担としてのしかかるだけになってしまい、結果として「エンゲージメントサーベイは無駄なもの」になってしまいます。エンゲージメントサーベイを実施する際には、このような前後の対策が欠かせません。
エンゲージメントサーベイは無駄?「意味がない」と言われるその原因や効果的な活用方法とは
まとめ
エンゲージメントサーベイを行うことで組織内の人的課題を明確化し、トラブル防止や組織活性化につなげることができます。
実施の際は自社に合った質問項目を設け、最適な施策を講じる必要があり、また実施した結果を具体的な施策につなげることも重要です。
本記事を参考に、是非エンゲージメントサーベイの実施を検討されてみてはいかがでしょうか。