近年、従業員エンゲージメントの重要性はますます高まっています。従業員エンゲージメントの向上は、組織のパフォーマンス向上や従業員の満足度向上に繋がるとされています。

組織が成功を収めるためには、従業員が単なる業務の遂行者ではなく、組織の一員として主体的に行動し、関与することが必要です。

本記事では、そんな従業員のエンゲージメントを高め、組織の成果を最大化するための具体的な施策やそのメリットをご紹介します。

エンゲージメントとは

ビジネス・HR領域におけるエンゲージメントとは、モチベーションやロイヤルティを含む、従業員の全体的な関与度合いを表します。

従業員エンゲージメントは、従業員が組織の目標や価値観に共感し、自発的に取り組もうとする状態を指します。
エンゲージメントが高い状態の従業員は、組織に対して積極的に貢献し、生産性が高くなる傾向にあります。

モチベーションとの違い

モチベーションは、個人が目標達成や成果向上に向けて行動するための内在的な力です。モチベーションは、個人が興味や達成感、成長の機会などから得ることができます。
従業員のモチベーションが高まると、生産性や仕事の質が向上する傾向があります。

モチベーションはエンゲージメントの一部ですが、エンゲージメントは、モチベーションだけでなく、他の要素も含んでいます。

ロイヤルティとの違い

ロイヤルティは、従業員が組織に対して忠誠心や帰属意識を持ち、長期的な関係を築こうとする意欲を表します。
ロイヤルティの高い従業員は、組織の目標達成や成功に積極的に貢献しようとします。また通常、組織に長く所属し、組織の利益を最優先に考える傾向があります。

エンゲージメントはロイヤルティの一部ですが、ロイヤルティはエンゲージメントのより特定の側面を指します。

エンゲージメント向上が注目されている背景

エンゲージメント向上が注目されている背景には、以下のような要素が関与しています。

終身雇用制度や年功序列の見直し

従来の終身雇用制度や年功序列の下では、従業員のモチベーションや成長の機会が制約されることがありました。
しかし、近年では多様な働き方やキャリアパスの模索が進んでおり、個々の能力や貢献に基づく評価や報酬体系が求められています。

従業員エンゲージメントの向上は、組織が従業員の能力を最大限に活用し、成果を上げるために必要な要素となっています。

高齢化社会による人手不足

日本を含む多くの国や地域では、高齢化社会に直面しています。
このような状況下では、労働力の不足が顕著になります。従業員の離職によって知識や経験が失われることも懸念されます。

エンゲージメント向上の取り組みは、従業員の意欲や生産性を維持し、組織が人材確保や才能の育成に努めることで、人手不足への対応を支援する役割を果たします。

技術の進歩と新たな働き方の登場

デジタル化やテクノロジーの進歩により、従業員は従来とは異なる働き方や職務内容に直面しています。
柔軟な労働環境やリモートワークの普及など、働き方の多様化が進んでいます。
エンゲージメント向上は、従業員が自身の能力やニーズに合わせて働き方を選択し、意欲的に取り組むことを支援する役割を果たします。

変化のスピードと競争環境の激化

世界のビジネス環境は急速に変化し、競争が激化しています。組織は迅速に対応し、イノベーションや柔軟性を持ってビジネスを展開する必要があります。

エンゲージメント向上は、従業員の意欲や創造力を引き出し、組織全体のイノベーション力や競争力を向上させるために重要です。

エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めることには、以下のようなメリットがあります。

離職率の高まりを防ぐ

エンゲージメントの高い従業員は、組織に対する忠誠心や組織に貢献したいという意欲を持っており、その結果、離職率が低くなる傾向があります。
従業員の定着率が高まることで、採用や教育にかかるコストやリソースを節約することができます。

顧客満足度の向上

また、エンゲージメントが高い状態の従業員は、顧客に対して積極的かつ質の高いサービスを提供する傾向があります。
結果、顧客満足度が向上し、口コミによる新規顧客の獲得や既存顧客の定着が促進されます。

職場の活性化

さらには、エンゲージメントが高い従業員は、問題解決やプロセス改善に対して積極的な姿勢を持つ傾向にあります。
そのため、組織全体のイノベーション力や生産性が向上し、職場の活性化が図られます。

また、エンゲージメントの高い職場では、協力やチームワークが促進され、従業員間のコミュニケーションや連携がスムーズに行われます。

エンゲージメントを向上させるための施策

従業員エンゲージメントを向上させるためには、以下のような施策が効果的です。

社内コミュニケーションの活性化

コミュニケーションはエンゲージメントの重要な要素です。組織内の情報共有や意見交換が円滑に行われる環境を整えることが重要です。

定期的な会議やチームビルディングの機会を設けるだけでなく、コミュニケーションツールの活用やオープンなコミュニケーション文化の醸成など、コミュニケーションの促進に取り組むことが重要です。

ワークライフバランスの向上

従業員が仕事とプライベートの両方を充実させることができるワークライフバランスは、エンゲージメントを高める上で重要な要素です。

柔軟な勤務時間やリモートワークの導入、休暇や休憩時間の充実など、働く人々が仕事と生活の調和を図りやすい環境を提供することが求められます。

キャリア支援

従業員が自身のスキルやキャリアの成長を実現できる環境を整えることも重要です。
キャリア開発プログラムや研修制度、評価とフィードバックの仕組みの充実など、従業員が自己成長を追求し、将来のキャリアパスについて具体的な目標を持てるような支援を行いましょう。

従業員の参加と意見の尊重

従業員が組織の意思決定に参加し、自身の意見やアイデアが尊重されることは、エンゲージメントを高める重要な要素です。

意見交換やフィードバックの機会を設け、従業員の声に耳を傾けることで、組織に対するエンゲージメントがより向上しやすくなります。

エンゲージメント向上の成功事例

Sansan株式会社

Sansan株式会社では、ワーク・エンゲージメントの測定システムの導入やチーム単位での測定により、従業員のエンゲージメントを評価し始めました。その結果、生産性向上を目指し、特別な休暇制度である「チャージ休暇」を導入しました。
この制度では、連続3日間の休暇を取得できるようになり、取得率は90%以上となりました。従業員にとってのメリットとして、休息やリフレッシュの機会を提供することで、ワーク・エンゲージメントを高める効果がありました。

参考:https://business.rizap.jp/column/251/#Toc-5-4

リクルートホールディングス

リクルートホールディングスでは、「高度専門人材の確保と定着」を目的としてエンゲージメントの強化に取り組んでいます。
その取り組みの一環として、社外から積極的に高度専門人材を採用しています。

同時に、同社のバリューが希薄にならないように職場環境を整備し、バリューの浸透を図ることに注力しています。
これにより、採用した高度専門人材が組織の目標や価値観に共感し、自発的に取り組む状態を生み出すことができます。

これらの取り組みにより、リクルートホールディングスは高度専門人材を確保し、定着させることに成功しています。

参照:経済産業省:企業の戦略的人事機能の強化に関する調査 137~142ページ

エンゲージメントに効果的な打ち手とは

3つの要素で理解するエンゲージメント向上に効果的な打ち手とは

HR研究所では、従業員エンゲージメント向上に関して役立つ情報を資料にまとめて無料でご提供しています。
エンゲージメント向上に課題をお持ちの経営者や人事担当者の方は、ぜひご覧ください。

エンゲージメント向上に役立つワークショッププログラム

DE&Iワークショップ
DE&Iワークショップ 〜無意識の思い込みに気づき多様な視点を持つ〜

このワークショップは、多様性についての基礎知識やさまざまな問題について学び、参加者同士の共有や議論を通して多様性とは何かを理解し、相互理解を深めることを目的としています。

ワークを通して、受講者の中にある固定概念や思い込みを取り除き、自分とは異なる価値観への理解を深めて行けるカリキュラム内容となっています。

仕事のやりがい実感ワークショップ
仕事のやりがい実感ワークショップ 〜世界は仕事の連鎖で動いている〜

日々仕事をしていると「何のために仕事をしているのだろう」とネガティブな気持ちになることも少なくありません。
このプログラムは、受講を通し仕事のやりがいを改めて感じてもらうことで、モチベーションや組織へのエンゲージメント向上が期待できるワークショップです。

新入社員や若手社員、仕事へのモチベーションを失いかけている社員におすすめです。

オンライン焚き火
初対面でも本音が聞けちゃう!お互いを知れるオンライン焚き火

画面に焚き火の映像を映し、それを見ながら

  • 10年後どんなことをやっていたい?
  • 今年一番よかった出来事は?
  • 子供の頃の夢ってなんだった?
  • 実はわたしこんなことできるんです(好きなんです)

など、参加者の価値観や本音、意外な一面を知ることができるトピックについて語り合い、組織における心理的安全性を高めるプログラムです。

まとめ

エンゲージメントの向上の施策を行うことで、従業員個人に関わらず組織全体の改善にも
繋がります。
離職率の高さや満足度に悩まれていましたら、ぜひ一度施策の見直しをしてみてはいかがでしょうか。