近年、Z世代の若者が社会に出て、職場で活躍し始めています。
彼らは今後の日本を担う主翼となっていく世代である一方、価値観や働き方において従来の世代とは異なる考え方をする側面もあり、これまでの教育・指導方法では十分に対応できない場合もあります。
本記事では、Z世代の特徴や価値観を踏まえ、従来とは異なる効果的な教育法・育成法についてご紹介します。
目次
Z世代とは?
Z世代の定義
Z世代(GenerationZ)とは、アメリカで生まれた言葉で、1990年代後半から2010年代序盤に生まれた世代を指します。細かい年号の定義はありませんが、現在10代〜20代後半がこの世代に該当します。
Z世代の特徴
デジタルネイティブ
Z世代は、デジタルネイティブと呼ばれ、幼少期からインターネットやスマートフォンに慣れ親しんできた最初の世代です。
Youtube、Instagram、TikTokなど様々なSNSを目的に応じて使い分け、自分の意見や感情を発信することにも慣れています。
一方で、初めて持ったデジタルデバイスがスマートフォンという人も多く、情報収集はスマートフォン1つで完結するため、Z世代以降では急速にマスメディア離れが進んでいます。
多様性を受け入れる
幼少期からインターネットやSNSを通じて世界中の情報に触れ、様々な価値観を学んでいるため、ジェンダーやLGBTQ+など社会的問題に対しても寛容で、個々の違いや選択を尊重する傾向にあります。
さらに、Z世代は”自分らしさ”を重視し、SNSを通じて日常的に自己表現を行うことが一般的です。そのため、互いの価値観を認め合える文化が形成されています。
現実主義的な面がある
Z世代は、低成長の時代に育ち、激しい競争の時代を経験していないため、現実主義的な一面を持っています。そのため、消費に対して保守的で、「たくさん稼いで多くのものを所有したい」という願望よりも、友人や同僚、家族との時間を大切にし、精神的豊かさを重視する傾向にあります。
Z世代の価値観
仕事に対する価値観
Z世代の仕事に対する価値観は、従来の世代と比べて大きく異なります。
「働くこと=自己実現、社会に対する貢献」としての意識が強く、収入や地位の向上だけを目的とせず、自分の価値観に合った仕事を選び、自己成長や充実感を求める傾向があります。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2024年7月に発表したアンケート調査によると、新入社員にとって仕事をするうえで重視するポイントは次の通りです。
第1位「成長」32.2%
第2位「貢献」23.1%
この結果から、多くの新入社員は、仕事を通じて自分自身のスキルや知識を高めることや、社会に対して貢献することが、働く上での重要な動機となっていることがわかります。
一方で、「競争」を重視する割合は2.6%と最も低く、競争よりも協力やチームワークを重視する傾向が強いことが読み取れます。
参考:https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001280/
職場環境に対する価値観
Z世代は、職場環境に対する価値観も従来のものとは大きく異なり、柔軟性と多様性が尊重され、協力的なコミュニケーションが取れる職場環境を求めます。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの2024年の調査によると、「理想の職場」について尋ねた項目のうち、2014年から2024年の10年間で特に増加が顕著だった項目は以下の通りです。
- 「お互いに個性を尊重する」 12.7pt up
- 「お互いに助け合う」 11.4pt up
- 「遠慮せずに意見を言い合える」 9.8pt up
Z世代は、柔軟な働き方を重視しており、特に、コロナ禍以降普及したリモートワークやフレックスタイムなど、ワーク・ライフ・バランスを保てる環境を求める傾向があります。
また、Z世代はオープンで透明性のあるコミュニケーションを重視する傾向にあります。上司や同僚とのフラットな関係を好み、年齢や経験に関わらず意見を言い合える職場環境を理想としています。従来の縦割り型のヒエラルキーよりも、チーム全体が協力し合い、共に問題解決に向けて動く姿勢が重要です。
参考:https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001280/
Z世代を育成する際のポイント
個性を尊重
Z世代は多様性に対して非常に寛容で、互いの違いや選択を尊重し合う価値観を持っています。このため、関わる際には一人一人の意見を尊重し、個性を認める姿勢が求められます。
簡潔で要点を押さえた伝え方
Z世代はデジタルネイティブであり、インターネットやSNSに慣れ親しんで育ったため、情報を素早く収集し、短時間で判断を下す傾向があります。コミュニケーションを円滑に進めるためには、簡潔で要点を押さえた伝え方を意識し、短時間で話を終わらせると効果的です。
また、説明や指導は視覚的なコンテンツやデジタルツールを活用して行うと、さらに理解させやすくなります。
意見交換、フィードバック
従来の一方的な講義形式よりも、双方向のやり取りができる場を設け、フィードバックをすぐに得られる仕組みを提供することが重要です。フィードバックを迅速に得られる仕組みを導入することで、彼らの学びや成長を効率的にサポートし、モチベーションの向上にもつながります。
仕事の価値・重要性を共有
Z世代は自己実現や社会貢献に強い関心を持っている人も多いです。
単なる指示やルールに従うだけでなく、なぜその活動が重要なのか、どのように社会や自分自身にとって価値があるのかを明確にすることで、彼らのモチベーションを引き出すことができます。
バヅクリでは、Z世代向けの研修 / ワークショップも数多く取り揃えております。
中でも「ビジネスマインド研修」では、Z世代がスムーズに業務を行い、「主体的に動く」ことができるようになるためのプログラムです。自発的に動くことが学べるだけでなくディスカッションの時間などを通し、受講者同士が人となりやお互いの価値観を知り、相互理解を深めることも可能です。
主体的な行動を促す
Z世代は、情報収集や問題解決において、自己主導的に動く傾向があります。そのため、指導者が一方的に教えるのではなく、質問を通じて彼らに考えさせ、自分で答えを見つけるサポートをすることが有効です。
例えば、「この課題に対してどう思うか」や、「このプロジェクトをどのように進めたいか」といったオープンな質問を投げかけることで、Z世代は自ら思考を深め、主体的に行動できるようになります。
メンター制度を活用
Z世代は指導者や上司とのフラットな関係を好むため、上からの指示に従うだけでなく、共に学び、成長するパートナーとしてメンター制度を活用する手法も効果的です。メンターは彼らの経験やスキルを伸ばすために伴走し、彼らの成長をサポートする役割を果たします。
個別のフィードバックや対話を通じて、彼らの進捗に合わせて指導内容を調整し、二人三脚でゴールに向かう姿勢を取ることが、信頼関係の構築と持続的な成長に繋がります。
Z世代育成の企業事例
味の素株式会社
味の素株式会社は、Z世代を中心とする若手の育成に力を入れている企業の一つです。
2021年3月、Z世代事業創造部を設立しました。この部門は、Z世代のための新事業専門チームで、チームメンバーの多くがZ世代で構成されています。
調味料事業が中心である味の素社では、Z世代など若年層への認知度に課題を抱えています。
そのためZ世代事業創造部は、Z世代の社員が中心となり、同年代の価値観に寄り添いながら商品開発を進めることで若年層への認知度を向上させることを目的としています。
また、2023年春には、Z世代の社員が新商品説明会の進行役に抜擢されました。
このように、社内で若手を積極的に登用する流れをつくることで、若手社員全体のモチベーションも上昇し、自ら育つ環境を醸成することができます。
参考:https://story.ajinomoto.co.jp/report/042.html
株式会社リクルート
株式会社リクルートには、リクルートグループ会社の従業員を対象にした「Ring」という新規事業提案制度があります。
この制度では、年齢や役職は不問、テーマはリクルートの既存領域に限らずあらゆる領域が対象で、入社1年目から挑戦することができます。
提案の検討プロセスでは、「Ringサポーター」と呼ばれる仕組みがあり、提案者は全社員の中から新規事業提案を共に創り上げる人を募ることができます。
特にZ世代の社員にとっては、先輩社員とプロジェクトを共に進めることで、自己成長や仕事への意欲を高める良い機会となっています。
参考:https://ring.recruit.co.jp/
サントリーホールディングス株式会社
サントリーグループの人事では、「全社員型タレントマネジメント」と「ダイバーシティ経営」を基本方針としています。
年に1回行われる「キャリアビジョン」面談では、10年後の自分の姿をデザインした「キャリアデザインシート」をもとに上司と面談を実施し、長期的な「なりたい姿」とその実現に向けた取り組みについてプランを計画します。
また、年に3回、上司部下間で個々の業務について話し合う面接を実施し、業務計画の立案から結果までを話し合います。上司は個別のフィードバックや対話を通じて、部下の進捗に合わせて指導内容を調整し、二人三脚でゴールに向かうことができます。
参考:https://www.suntory.co.jp/recruit/fresh/career/system/
まとめ
Z世代は、これまでとは異なる価値観を持っている側面もあり、個々の特性に合わせた柔軟なアプローチ方法で多様性を尊重していく必要があります。
これからも企業が成長していくためには若手の戦力化が必須である現在、バヅクリの研修でZ世代への適切な研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。