管理職には、経営層の思いや事業目標を組織のメンバーに噛み砕いて伝え、部下を育成しながら導いていく役割があります。
自分1人の業績目標だけでなく、組織や企業のためにも力発揮を求められる管理職は、目標設定力や人材育成力、マネジメント力などを包括的に身に付けなければなりません。

今回は、管理職が楽しみながら学びを得られるビジネスゲーム研修を取り上げます。
堅苦しくない雰囲気の中で、管理職に必要なスキルを実践的に習得できるのがビジネスゲームのメリットです。
管理職研修におすすめのビジネスゲームを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

管理職に必要な能力とは

管理職に必要な能力

管理職とは、組織やチームのメンバーに指示を出し、業務進捗や目標管理を行う主任以上の役職者を指します。
管理職は経営層と組織の一般社員の橋渡し役として、幅広い能力を身に付けなければなりません。
ここでは、管理職に必要な代表的スキルを3つ取り上げ、解説します。

1. 経営視点と伝達力

管理職は、社長や取締役などの経営ラインと頻繫にコミュニケーションをとり、事業方針や達成目標、社会へ提供する価値やビジョンについて理解を深めなければなりません。
経営層から降りてきた話を分かりやすくかみ砕き、自組織やメンバーに対して適切な場面で伝達する役割も持ちます。
経営視点や「人・モノ・金・情報」の動きを深く理解し、自組織などの目標に落とし込む能力が求められます。

2. 目標設定・管理力

経営層から日々送られてくるメッセージを咀嚼し、各事業部や組織に役割をふり、目標設定して管理していく力も重要です。
管理職クラスになると、目標は与えられるものでなく、自ら設定する必要があります。
自身に与えられている責任と権限の範囲内で、適切な納期と目標を立て、組織や部下をマネジメントする力が求められます。

3. メンバーとのコミュニケーションと育成力

管理職は自分に任せられた組織やメンバーの管理責任を負います。
メンバー1人ひとりの個性や特徴、強み弱み、モチベーションなどを把握し、コミュニケーションをとりながら関係構築に務めます。
また、管理するメンバーの育成責任も負うため、ティーチングスキル・コーチングスキルなど人材育成能力も必要不可欠となります。

ここで挙げた3つ以外にも、人材育成とセットで人材評価をする能力や、組織のチームビルディングを強化するスキルなど、管理職は多方面に能力を伸ばすことが求められるのです。

ゲーム型研修を導入するメリット

ゲーム型研修を導入した組織

管理職は対応する業務範囲や責任も大きく、新入社員時代のように丸1日を座学研修に費やすことは難しいものです。
そこで、忙しい管理職におすすめしたいのがゲーム型の研修です。

ゲーム型の管理職研修は、業務の合間に数時間で行えるものも多く、アウトプット型研修のため実践スキルが効率的に身に付きます。
また、管理職の自覚が比較的浅い受け身タイプの方でも、ゲーム型研修であれば自然に主体性が発揮できるメリットもあります。

学ぶべき範囲が広く、多忙な管理職こそ、楽しみながらスキルアップできるゲーム型の研修がおすすめなのです。

管理職研修におすすめのゲーム18選

管理職研修にゲームを実施する組織

管理職研修におすすめのゲーム型研修を18個集めました。
準備物が少なく気軽に取り入れられる研修もあるため、気になったものはぜひ導入してみてください。

1. NASAゲーム

NASAゲームとは、月面着陸を試みている宇宙飛行士という設定のもと、さまざまな話し合いとコンセンサス(合意)をとるビジネスゲームです。
月面に不時着するトラブルの後、母船に戻るには15個のアイテムを使うことができます。
4~5名のチームで協議を重ね、コンセンサスをとり、目的達成した後、チーム毎に15個のアイテムにどのような優先順位をつけたか発表をします。

所要時間は1時間~1時間半ほどです。

参考:グループワークで使えるNASAゲームのやり方

株式会社ハートクエイク

2. ベストチーム

ベストチームは、業績目標の達成と良好な人間関係を共に成し遂げるビジネスゲームです。
各チームに配られるPM理論とマネジメント理論がベースとなったカードを用いて、チーム戦で戦うカードゲームとなっています。
3~5名のチーム、最低5チームから実施ができて、100名規模の組織でも導入可能です。

所要時間は約2時間が目安となっています。

参考:『ベストチーム』実施の流れ|チームビルディング研修

株式会社ハートクエイク

3. 財務の虎

ゲームを通して会計、財務の基礎知識を身に付け、経営者視点を養えるものです。
BS/PLの構造理解や、利益とキャッシュの違いなどを2つのゲームレベルで学びとります。

3~25名まで対応でき、人数によって所要時間は変動しますが2~6時間と半日強で気軽に導入が可能です。

参考:財務研修ゲーム「財務の虎」

株式会社ハートクエイク

4. トナリノココロ

チーム一丸となって「承認」をベースとした組織づくりを学べるビジネスゲームです。
職場の雰囲気がギスギスしている、相手の良いところを認めあえる組織にしたいといったニーズにぴったりなゲームで、チームビルディングや協力型コミュニケーション力の強化に役立ちます。

12~24名、振返り時間含めて3~7時間で実施が可能です。

参考:「承認」のコミュニケーションゲーム「トナリノココロ」

カレイドソリューションズ株式会社

5. かちかち山

かちかち山とは、あらゆる提供価値や、提供価値のもととなる価値観を検討するビジネスゲームです。
企業が提供する社会への価値、製品サービスの価値観など、曖昧で抽象的な概念を可視化し、共通認識の形成を後押しします。

4名ほどの少人数で1時間程度で導入できるため、短い時間で研修実施したい企業におすすめです。

6. ビズストーム

ビズストームは経営視点を学べるビジネスボードゲームです。
マーケティングや経営戦略など、ビジネスの仕組みを学ぶことができる点が特徴です。

4名ほどの少人数で実施できますが、所要時間は3時間~6時間と半日ほどが目安となります。

参考:経営センスを鍛えるビジネスゲーム「ビズストーム」

株式会社 ビズストーム

7. ストマネ

職場でのメンタルヘルスを学べるビジネスゲームです。
ゲームと講義、振返り時間をセットで行って、メンタルヘルスに対する基礎知識を習得します。
「ストレスをいかにためずにプロジェクト(業務)を完成させるか」というルールとなっているため、ストレスとの付き合い方や、ストレスに対する周囲からの支援の重要性を実践的に学べます。

参考:「ストマネ」実施の流れ|メンタルヘルス研修

株式会社ハートクエイク

8. レゴシリアスプレイ

幼少期に誰もが遊んだおもちゃの「レゴ」を活用して、共同作業で作品づくりをしながら、言語化できない思いの共有や可視化、チームワークなどを総合的に養うビジネスゲームです。

ただ作品を作るだけでなく、課題設定や作成後の発表などをセットで行うことで、右脳と左脳をバランス良く刺激する研修となります。

参考:レゴ®シリアスプレイ®誕生のきっかけ

株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ

9. 部課長ゲーム

チーム5名の中で部長1名、課長2名、平社員2名と役割分担し、報連相(報告・連絡・相談)を適切に行うビジネスゲームです。
ゲーム中は口頭で報連相ができず、決められたカードを用いてコミュニケーションをとるため、短い時間で頭を使いながら報連相の重要性やコミュニケーション力を養えます。

参考:部課長ゲームのやり方

株式会社ハートクエイク

10. 戦略MGゲーム

戦略マネジメントゲームは、会計思考や戦略思考を学ぶビジネスゲームです。
参加者は架空の企業の社長となり、意思決定を繰り返しながら企業の成長を競い合います。

参考:戦略MGマネジメントゲームのプラットフォーマー

株式会社戦略MG研究所

11. ビールゲーム

MITスローン経営大学院の教授が考案したビジネスゲームで、ビールの発注から納品までの製造業務を疑似体験し、システム思考について学びとります。
4人1組でチームを組み、ビール製造業者と小売店や向上など役割を分け、全体最適を目指します。

参加人数は40名ほどまで、2~3時間で実施可能です。

参考:ビールゲーム実施の流れ|システム思考研修

株式会社ハートクエイク

12. ペーパータワー

ペーパータワーとは、その名の通りA4サイズの用紙を切ったり折ったりしながら組み合わせて、紙のタワーを作っていくビジネスゲームです。
チーム戦でペーパータワーをどのように作っていくか、相談・連携しながらチームビルディングに貢献します。
所要時間は1時間ほどですが、作戦タイムや自己紹介、振返りの時間によって変動します。

参考:ペーパータワーとは?実践方法や研修の効果、研修事例の紹介

あしたの人事

13. イエナイヨ-管理職版-

部下にパワハラと言われるのが怖くて指示できない、注意しすぎて部下がへこんでしまったなど、管理職の困りごとを解決するビジネスゲームです。
昨今注目されているハラスメントやメンタルヘルス対策として、導入がおすすめの研修です。

3~5名ほどのチームで実施でき、所要時間は1時間~2時間ほどが目安となります。

参考:管理職向けアサーティブネスゲーム「イエナイヨ【管理職版】」

カレイドソリューションズ株式会社

14. パースペクティブ

財務会計が未経験の方でも、1日で財務三表の全体像や経営の意思決定と財務のつながりについて学べるビジネスゲームです。
基礎知識の講義でインプットをした後、繰り返しゲームを行って財務の重要ポイントを暗記することが可能です。
1~25名で実施でき、4~7.5時間の所要時間となります。

参考:財務会計ゲーム「パースペクティブ」

カレイドソリューションズ株式会社

15. ボスの品格

パワハラの原因や、パワハラと指摘される考え方や価値観を学べるビジネスゲームです。
パワハラの多くは価値観の違い、物事の受け取り方の相違から生まれるため、自分がパワハラと感じることと他者がパワハラと受け止めることの違いを学び、自身の言動を見直すきっかけとなります。

3~4名の少人数で1時間ほどで実施可能です。

参考:パワハラ防止ツール「ボスの品格

カレイドソリューションズ株式会社

16. あかんたぶる

経営活動の概要や、人・モノ・カネといった経営資源の配分方法を学び、社長と同じ視座を身に付けるビジネスゲームです。
ゲーム中に疑似的な倒産を経験し、繰り返す中で経営者感覚を養い、管理職の視座を高めることができます。

1~25名まで対応でき、所要時間はやや長めの4~7.5時間となります。

参考:倒産体験ゲーム 「あかんたぶる」

カレイドソリューションズ株式会社

17. シンセサイザー

仕入れ担当、製造担当、研究開発担当、営業担当の4つに役割を分け、部門間の目標や情報共有、合意形成などのコミュニケーションを養うビジネスゲームです。

立場や情報量が異なるそれぞれの部門で、互いに意見を出し合いコンセンサスをとり、資金の制約がある中で企業の目標達成を目指します。
疑似的なジョブローテーション研修としても、管理職研修としても役立つおすすめの研修です。

12~25名で実施でき、所要時間は6~8時間となるため1営業日ほど確保が必要となります。

参考:総合ビジネスゲーム「シンセサイザー」

カレイドソリューションズ株式会社

18. バヅクリ

バヅクリはチームビルディングやリーダーシップを養える、独自のオンラインプログラムを提供する研修サービスです。
アナウンサーや劇団員など、本格的かつ個性的な研修講師を抱えており、若手社員から管理職まで幅広い層を巻き込んで、楽しみながら参加できる研修プログラムが特徴です。

90分で完結できるプログラムも多く、研修は全て対面・オンラインどちらでも実施可能です。
忙しい管理職でも導入しやすくおすすめです。

まとめ

ゲーム研修を受ける管理職の社員

管理職は経営者と共に事業方針や目標達成責任を負い、組織のメンバー管理や育成も行う重要な立場です。
管理職が身に付けるべきスキルは幅広いため、効率的に研修を行うにはゲーム形式の管理職研修がおすすめです。
ゲーム形式の研修は簡単に導入できますが、研修効果を保つためにはゲーム終了時に振返り時間を設けるよう注意しましょう。

今回ご紹介したおすすめのゲーム研修18選を参考に、ぜひ皆さんの企業でも管理職向けゲーム研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。