アクティブラーニングは、受講者がお互いに協力しながら主体的に学び、問題解決能力を養う学習方法です。

グローバル化と技術進化の激しい近年のビジネス環境において、企業の競争力を高めるためにアクティブラーニングを導入する企業が増加しています。

ここでは企業が研修でアクティブラーニングを導入するメリットや、受講者の学びを促す効果的な学習方法を解説します。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングは、研修や教育現場において受講者が主体的にワークに取り組む学習方法を指します。

従来の座学学習が「講師が受講者に対して知識やスキルを提供する」という一方向的な学びの形式である一方、アクティブラーニングでは受講者が自ら情報を収集、議論や発表を行います。

・グループディスカッション
・ディベート
・グループ・ワーク

などの体験学習を中心に、学びの主体が講師ではなく受講者にある学習方法なため、単なる知識やスキルだけではなく、コミュニケーション能力や創造性も養えるのが特徴です。

またアクティブラーニングでは、講師の役割は従来の「教える人」から「学びを支援する人」へと変わります。

講師はファシリテーターとして議論を促進するとともに、受講者が学習の中でつまづいた際には必要な知識やスキルを引き出すためのフィードバックを行います。

なぜ注目されているのか

もともとアクティブラーニングは、高等教育の場で従来型の学習方法の効率性が悪化した1980年代にアメリカで生まれました。

当時のアメリカでは教育政策の影響で、かつては進学せずに就職していた学生も大学に進学するようになり、従来の一方的なレクチャーでは学びが浸透しないという問題が発生しました。

そこで、より知識の定着率が高い教育手法として開発されたのが、受講者自身が能動的に学ぶことで深い学びを促進するアクティブラーニングです。

日本においても、平成29年に文部科学省が公示した「新しい学習指導要領の考え方」にて、アクティブラーニングの視点を取り入れた授業改善の指針が示されるようになりました。

それは日本が成熟社会へ移行し、産業構造が変化する中で、創造性や問題解決力が求められるようになったことが大きな背景としてあります。

またビジネスシーンにおいても、企業研修においてもアクティブラーニングを導入する企業が増えています。

日本の高度成長期は、上司の命令に忠実な人材を揃え、画一的な製品・サービスを国内市場へ大量に供給することで経済が大きく発展しました。

しかし「VUCAの時代」と呼ばれるように、AIをはじめとする情報通信技術の発展やグローバル化など、外部環境の変化が速まっています。

そんな中で従業員が自らビジネス課題を発見し、解決する力を養うアクティブラーニングは、企業競争力を向上させる教育・研修手法として期待されています。

アクティブラーニングを企業研修に取り入れるメリット

ここではアクティブラーニングを企業研修に取り入れるメリットを解説します。

論理的思考力の向上

アクティブラーニングでは、受講者が自ら課題を解決するプロセスの中で論理的思考力を養うことができます。

単に講師から知識を受け取る従来の講義形式の研修とは異なり、アクティブラーニングでは自分自身で情報を分析し、結論や仮説を導き出す必要があります。

その中で論理的思考力が培われ、ビジネスで直面する様々な問題を主体性を持って解決する能力が身につきます。

相互理解につながる(コミュニケーションスキル・協調性)

アクティブラーニングでは、複数の受講者がチームを組んでディスカッションしたり、協力しながら学んだりすることが多いです。

そのため自然と他者の意見を聞く機会が増え、コミュニケーションスキルや協調性、傾聴力といった対人スキルが養われます。

またアクティブラーニングは、チームメンバーの相互理解を深めるのにも役立つため、チームワークを醸成する際にも有効です。

このようにアクティブラーニングの導入は、個々の能力のみならず、組織全体のコラボレーションや生産性の観点からもメリットがあります。

臨機応変な対応力が身につく

アクティブラーニングでは「正解が存在しない問題」に取り組むことも多いです。

その中で自分なりに仮説を立て、アイデアや解答をまとめることで、さまざまな状況に対しても臨機応変に対応する能力が身につきます。

その結果、不確実な状況や早急な対応が必要なトラブルに対しても柔軟に対応できるようになるでしょう。

変化の激しい現代社会で求められる対応力を鍛える観点からも、アクティブラーニングの中で学んだことが役立ちます。

アクティブラーニングの学習方法

研修でアクティブラーニングを実施する際に、どんなやり方で進めていけばよいのでしょうか。

ここではアクティブラーニングの具体的な学習方法を解説します。

PBL

PBLは「Problem-based Learning(課題を基にした学習法)」の略称で、受講者に課題のテーマだけを与え、その解決策を考えてもらう方法です。

受講者はチームになり、課題解決までの学習計画立案から資料収集と自己学習、グループでの討論、解決策のプレゼン発表までを行います。

この過程を通じて受講者は主体性を身につけるとともに、どのようにチームで課題解決をしていくか、そのプロセスを学ぶことができます。

ジグソー法

ジグソー法は与えられたテーマに対して、役割分担をして自己学習を行い、自分が調べた内容をチームメンバーに教え合う学習方法です。

ジグソーパズルのように担当分野を明確に切り分けることからこの名前がついており、アクティブラーニングの実践方法の一つとして知られています。

それぞれのメンバーが学習してきた内容を発表し、進め方やプレゼン方法へのフィードバックをし合う中で、傾聴力やコミュニケーション力が自然と養われます。

一方で、自分の担当箇所以外の理解度が低下する可能性があるというデメリットもあるため、知識の習得ではなく、あくまでも課題解決力やコミュニケーションスキルを磨くことに主眼が置かれた方法と言えるでしょう。

ケースメソッド

ケースメソッドは、もともとはもともとはハーバードのロースクールやビジネススクールで採用されていたアクティブラーニングの手法です。

実際に起こった事例を基に「なぜこのような問題が生じたのか」「どうしたらよいのか」「自分が同じ立場に立ったらどうするか」など、当事者の立場に立って意見交換をします。

ケースメソッドでは実際の出来事を取り上げることで、絶対的な正解が存在しない問題に対して課題点を見つけ、解決策・対応策を模索できます。

その結果、自ら考え意思決定ができるリーダーを育成したり、実践的な課題解決力の育成・定着が可能となります。

実際にアクティブラーニングを導入した企業

ここでは多く教育効果が期待できるアクティブラーニングを実際に導入した日本企業の事例を紹介します。

ソニー銀行株式会社

インターネット銀行大手のソニー銀行では、データドリブンな企業文化を推進するために「データサイエンスブートキャンプ」を実施しています。

「データサイエンスブートキャンプ」は5日間の短期集中教育プログラムで、前半の3日間でデータサイエンスに関する理論を学んだあと、残りの2日間で実際にデータ分析を行います。

そして分析したデータを元に問題の解決方法を考え、最終的に社内で発表するための資料作成も行います。

また年間を通じてソニー銀行内でデータ分析ワークショップを実施、ビジネスに活かせる論理的思考やクリティカルシンキングの醸成をするとともに、データ分析力の定着と向上を目指しています。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

キヤノンマーケティングジャパン株式会社では、新入社員に対してグループワークによるアクティブラーニング研修を実施しています。

グループワークのテーマは「社会課題×ITソリューション」。

社会課題に関する講演を聞いたり、フィールドワークを実施したりする中で社会課題を抽出し、ITを活用したソリューションを立案します。

また、そこで考えてもらうソリューションを実際にアプリケーションとして開発、同社のサービスとして利益が出るかを含めて検討し、最終的にプレゼンテーションを行います。

この研修を通じて、社員の実践的なビジネススキルを開発するとともに、同期同士のコミュニケーションを促進させることに成功しました。

アクティブラーニングの導入に効果的な研修

バヅクリの研修はグループワークや対話をメインに構成されています。

スキル習得と組織のチームビルディングを同時に行うことで、学習効果と組織力を同時に向上できます。

参加者同士の交流により新たな気付きを得ることができたり、学習内容を共に振り返る仲間ができたりなど、アクティブラーニングによって受講者の行動変容を促すプログラムが揃っています。

まとめ

時代の変化とともに、ビジネスシーンにおいては従来の座学教育で得られた知識だけでなく、個人の主体性やコミュニケーション能力が重要視されるようになりました。

バヅクリではこれらの能力を養うアクティブラーニングを取り入れた研修を数多くご用意しております。

是非この記事を参考に受講を検討されてみてはいかがでしょうか。