近年その重要性が認識されている1on1。すでに導入している企業や、導入を検討している企業が増えてき1on1を任されたものの、「毎回何を話せばいいのか分からない」「気づけば業務の進捗確認だけで終わってしまう」。そんな手応えのなさを抱える方は多いのではないでしょうか。話す内容を事前に整理しておかないと、せっかくの時間が雑談か報告のどちらかに偏りがちです。

この記事では、1on1で話すことをテーマ別の一覧に整理し、そのまま使える質問例と上司・部下の会話例を紹介します。あわせて「話すことがない」と感じたときの対処法や、相手の本音を引き出す進め方のコツも、進行役として数多くの場を取り仕切ってきた視点からお伝えしていきます。

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1on1ミーティングを実施する目的

最初に、1on1を実施する目的をはっきりさせておきましょう。目的がぶれていると話す内容も定まらないため、主な3つの狙いを紹介します。

1. 部下のパフォーマンス向上

まず挙げられるのは、部下のパフォーマンスを向上させることです。1on1を通じて部下の業務上の課題や悩みを把握し、適切なマネジメントにつなげることで、さらなる成長を促せます。

日々の業務に追われていると、上司が部下一人ひとりの詰まりに気づく余裕はなかなか持てません。定期的に対話の時間を設けておくことで、「実は先週から手が止まっている」といった声を早めに拾えるようになります。問題が小さいうちに一緒に手を打てれば、本人も安心して次の業務へ向かえるでしょう。

2. エンゲージメント向上

続いて、部下の会社や組織へのエンゲージメントを高めることです。定期的に1on1を実施すると、部下の成長や課題をいち早く把握して対応できます。

自分の成長や問題解決に向き合ってくれる上司に対して、部下は「ちゃんと見てくれている」という信頼を抱きやすくなります。その積み重ねが組織への帰属意識につながり、長く働き続けたいという気持ちを支えていくのです。逆に放っておかれていると感じると、本人は静かに気持ちを離していきます。

3. 上司と部下の関係性構築

上司と部下の関係性を築くことも、大切な目的の一つです。定期的に対話の機会を設け、お互いの考え方や価値観を伝え合うことで、心理的安全性が生まれます。

ここで土台になるのが、「何を言っても頭ごなしに否定されない」という安心感です。普段の業務連絡だけでは伝わりにくい部分も、1on1という落ち着いた場でなら言葉にしやすくなります。良好な関係は離職や休職の予防につながるだけでなく、日々の業務の進めやすさにも返ってきます。

1on1の概要については下記も併せてご覧ください。

テーマ別・1on1で話すことと質問例

1on1実施の様子

まず、1on1で扱える代表的なテーマを一覧にまとめました。

テーマ主な狙い話を切り出すきっかけの問い
仕事・業務の状況課題や手応えの把握「いま一番気になっている業務は何ですか」
人間関係・チーム働きやすさの確認「最近、誰と組んで仕事を進めていますか」
目標・キャリア中長期の方向づけ「これから挑戦してみたい仕事はありますか」
心身のコンディション不調の早期発見「ここ最近、十分に休めていますか」
モチベーション意欲の源の把握「最近、手応えを感じた場面はありましたか」
雑談・アイスブレイク緊張をほぐす「休みの日はどんなふうに過ごしていますか」

ここからは、一覧で挙げたテーマごとに、具体的な質問例と会話例を見ていきます。そのまま読み上げるのではなく、相手の反応に合わせて言葉を選ぶための引き出しとして使ってみてください。

仕事・業務内容について

1on1でまず取り上げやすいのが、仕事や業務内容に関する話題です。いま取り組んでいる業務に課題や不満はないか、ある場合はどう解決していくかを、一緒に考えていきます。

業務が順調なときも、工夫している点や周囲に共有できそうなノウハウがないかを聞いておくと、本人の手応えを言葉にする手助けになります。詰まっている様子が見えたら、原因を一緒にほどいていくつもりで耳を傾けましょう。

質問例

  • いま一番時間をかけている業務は何ですか
  • 進めるうえで引っかかっている点はありますか
  • 最近うまくいったと感じた仕事はありますか

会話例

上司:いま気になっている業務はありますか。

部下:A社の提案資料が、どこから手をつければいいか迷っていて。

上司:どの部分が一番迷いますか。

部下:構成です。先方が何を重視しているか、まだつかめていなくて。

人間関係・プライベートについて

人間関係やプライベートに関する話題も、1on1で触れておきたい領域です。社内の人間関係が良好か、困っていることはないかを確認します。

部下が得意とするタイプや苦手とするタイプを把握しておくと、その後の業務の割り振りやチーム編成に生かせます。信頼関係が十分に育っているなら、趣味や休日の過ごし方といった話題に少し踏み込むと、距離が縮まるでしょう。

ただし、プライベートに触れられること自体に抵抗を感じる部下もいます。信頼関係の段階や相手のタイプを見ながら、踏み込みすぎないよう注意しましょう。

質問例

  • 最近、どのメンバーと関わって仕事を進めていますか
  • チーム内で気になっていることはありますか
  • 休日はどんなふうに過ごすことが多いですか

会話例

上司:最近、チームで気になっていることはありますか。

部下:新しく入ったBさんへの指示が、うまく伝わっているか不安で。

上司:どんな場面でそう感じますか。

今後の目標・キャリア設計について

部下の今後の目標やキャリア、やってみたい仕事についても、1on1の機会に聞いておくとよいでしょう。

どんな仕事にやりがいを感じ、どのようなキャリアを描いているのかを把握しておくと、これから任せる業務や配置を考えるときの材料になります。将来像がまだ漠然としている部下も多いため、正解を求めるのではなく、一緒に探っていく姿勢で臨むと話が広がります。

質問例

  • これから挑戦してみたい仕事はありますか
  • どんな場面でやりがいを感じますか
  • 数年後、どんな働き方をしていたいですか

会話例

上司:最近、やりがいを感じた瞬間はありましたか。

部下:自分が考えた企画が通ったときは、うれしかったです。

上司:その経験を、これからどんな仕事で増やしていきたいですか。

心身の健康状態について

1on1は、部下の体調やメンタルに問題がないかを確かめる機会でもあります。業務量や人間関係で心身の健康を損なっていないかを、さりげなく確認します。

体調の変化は本人も言い出しにくいものです。「最近、眠れていますか」といった具体的な問いのほうが、抽象的に「大丈夫ですか」と尋ねるより答えやすくなります。テレワーク中心の働き方では様子が見えにくいため、いつもより意識して触れておきたい領域だといえます。

ここで注意しておきたい点は、質問は一度に多くを並べないことです。問いを重ねられると相手は答えに追われ、考える前に言葉を探してしまいます。一つ尋ねたら、相手が話し終えるまで待ちましょう。その「待つ時間」こそが、用意した質問リスト以上に本音を引き出します。

質問例

  • いまの業務量に負担を感じていませんか
  • ここ最近、しっかり休めていますか
  • 気持ちの面で引っかかっていることはありますか

1on1で「話すことがない」ときの原因と対処法

1on1を受ける社員

「1on1 話すこと」で悩む方の多くが、回を重ねるうちに「もう話す話題がない」という壁にぶつかります。これは準備不足というより、話題が出てくる仕組みが整っていないことが背景にあります。

話すことがなくなる主な原因

雑談か進捗確認のどちらかに偏り、毎回同じやり取りを繰り返してしまうと、新しい話題は生まれません。背景には、評価面談と混同されて部下が身構えている、信頼関係が育っておらず本音を出しにくい、上司側がテーマを準備していない、といった要因が重なっています。原因を一つずつ切り分けていくと、打ち手が見えてきます。まずは「話題がない」のか「話しにくい」のか、どちらに近いかを見極めるところから始めましょう。

事前に話題を準備してもらう

話すことがない状態は、その場の思いつきに頼っているときに起こりがちです。あらかじめ「次回はこのあたりを話したい」と部下自身に2つ3つ挙げてもらうだけで、当日の沈黙はぐっと減ります。テーマ一覧を共有しておき、その中から選んでもらう形にすると、本人も準備しやすくなるでしょう。上司が一方的に議題を決めるより、部下が選んだテーマのほうが対話は自然に動き出します。

前回の続きや雑談から話題を見つける

新しい話題が浮かばないときは、無理に探さず、すでにある手がかりを使うのも1つの手です。前回の1on1で「次までに試してみる」と決めたことの振り返りから入れば、それだけで一つのテーマになります。雑談で出た言葉も種になり、休日の話で「資格の勉強をしている」と聞いたら、「その学びを仕事でどう生かしたいですか」とキャリアの話へ広げられます。話題はゼロから生み出すものではなく、過去の対話や目の前の会話から拾うものだと考えると、ぐっと楽になるでしょう。

1on1の進め方と基本の流れ

話す内容が決まっても、進め方が定まっていないと対話は安定しません。1on1は「導入→本題→振り返り」という流れを意識すると、毎回の質がそろいやすくなります。

導入で場を和ませる

いきなり本題に入ると、部下は身構えたまま当たり障りのない受け答えに終始しがちです。最初の数分は、軽い雑談で相手の表情をほぐす時間に充てましょう。週末の出来事など答えやすい話題から入り、相手の声のトーンを確かめながら、少しずつ距離を縮めていきます。この入り口の数分が、その後の話しやすさを大きく左右します。 

本題で部下の考えを引き出す

場が温まったら、用意したテーマに沿って本題に入ります。ここで意識したいのは、上司が話す量を抑え、部下が考えを言葉にする時間を多くとることです。「どう思いますか」「なぜそう感じましたか」と開かれた問いを重ねると、本人の中で考えが整理されていきます。アドバイスを伝えるのは、相手が言いたいことを出し切ったあとでも遅くありません。

振り返りと次回アクションの確認

終盤は、その日話した内容を一緒に振り返り、次回までに取り組むことを一つ二つ決めて終えます。あいまいなまま終わると、せっかくの対話が次につながりません。「次回までに〇〇を試してみる」と具体的な一歩を言葉にしておくと、本人も動き出しやすくなるでしょう。前回決めたことを次の冒頭で確認する習慣をつけると、1on1が回を追うごとに積み上がっていきます。

1on1と評価面談の違い

1on1がうまく機能しない原因として多いのが、評価面談との混同です。同じ一対一の面談でも、目的も進め方も別物だと整理しておきましょう。

項目1on1評価面談
目的部下の成長と信頼関係づくり処遇や昇給の判断
話す内容業務からキャリア、体調まで幅広く設定した目標の達成度
頻度週1回〜月1回程度四半期〜年1回程度
中心になる人部下(上司は聞き役)上司(評価を伝える)

混同するとなぜ本音が出なくなるのか

1on1が評価の場だと受け取られると、部下は「ここで弱みを見せると査定に響くのでは」と身構えます。その結果、課題や悩みは口にされず、当たり障りのない報告だけが残ります。本音が出てこなければ、上司も何を支えればよいか分からないまま時間が過ぎていきます。「この時間は評価とは切り離す」と最初に伝えておくだけでも、相手の構えはずいぶんやわらぎます。

評価に触れる場合の進め方

とはいえ、評価の話題を完全に避けると、今度は1on1が形だけのものになりかねません。評価そのものを決める場ではないと線引きをしたうえで、評価の背景や次に伸ばしたい点を一緒に確認する程度にとどめるとよいでしょう。人事評価の時期はあえて1on1の日程をずらす、評価の通知は別の面談で行うなど、運用のルールを決めておくと混乱を防げます。記録を残す場合も、育成用と評価用を分けておくと安心です。

1on1で避けたい注意点

最後に、よかれと思ってやってしまいがちな注意点を整理します。当てはまっていないか、振り返ってみてください。

上司が話しすぎる

熱心な上司ほど、つい自分の経験談やアドバイスで時間を埋めてしまいがちです。けれども1on1の主役は部下であり、話す時間の大半は本人に渡したいところです。上司が語り続けると、部下は「聞く時間」と受け止め、自分から話さなくなります。問いを投げたあとは、相手が話し終えるまで聞き役に徹するくらいでちょうどよいといえます。

詰問・進捗確認だけになる

「あの案件はどうなった」「期限は間に合うのか」とだけ尋ねていると、1on1は定例会議の短縮版になってしまいます。進捗の確認は必要ですが、それだけでは本人の悩みや成長の話までたどり着きません。事実を問いただすより、「進めてみてどう感じたか」と本人の受け止めを聞くと、対話が広がります。詰問口調にならないよう、声のトーンにも気を配りたいところです。

プライベートへの過度な踏み込み

距離を縮めたい一心で私生活に踏み込みすぎると、かえって相手を身構えさせてしまいます。家庭や交友関係など、本人が話したがらない領域は無理に掘り下げないことが大切です。相手が言葉を濁したら、さっと別の話題に切り替える。この引き際の見極めが、安心して話せる関係を守ります。

1on1ミーティングを学ぶなら令和の研修

1on1で話すべき内容を紹介してきましたが、実際に上手に進めるとなると、どう学べばよいか迷うものです。そこでおすすめなのが、研修を通じて効果的な1on1を身につける方法です。

研修サービス「令和の研修」の1on1ミーティング研修では、1on1の目的や効果、進め方を学べます。通常の面談やミーティングとの違いを、ワークショップを交えながら理解できる内容です。リラックスした雰囲気の中で、1on1の考え方や効果を楽しく学べるようにワークを設計しています。

初めて管理職になった方、部下を持つマネージャー職の方、若手の扱いに悩む管理職の方などにおすすめの研修です。

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まとめ

1on1で話すことは、テーマ別に一覧で持っておくと、当日の状況に合わせて選べるようになります。仕事の話から心身のコンディションまで、その日の相手に合った入り口を選び、質問例を引き出しとして使ってみてください。

話題が尽きたと感じたときは、部下自身に次のテーマを挙げてもらう、沈黙を急いで埋めない、雑談から出た言葉を本題につなげる、といった工夫が効いてきます。進め方そのものを学びたいときは、研修という選択肢もあります。この記事を参考に、部下が安心して話せる1on1を重ねていきましょう。

の記事を参考に、受講を検討されてみてはいかがでしょうか。

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