近年新卒採用において、内定承諾率が低下する傾向がみられています。
その背景には、内定者の選択肢が多様化するなか、企業側の内定者へのサポートが不十分であることや、内定者の不安や疑問に対する解消策が不明確であることなどが挙げられます。

そこで本記事では、内定承諾率を上げるために有効なアプローチと具体的な施策を紹介し、内定者との信頼関係構築や、最終的な採用力を高める方法について考察します。

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内定承諾率とは

内定承諾率とは、企業が内定を出した候補者のうち、実際に承諾の意思を示した人の割合を指します。採用活動の「最終的な成果率」とも言える指標であり、内定を出すことがゴールではなく、承諾してもらうことで初めて採用が完結します。

承諾率が低い場合、採用コスト(面接官の工数・求人広告費・エージェント手数料など)をかけても採用数が確保できないという状況に直結するため、採用効率を測る上で重要な数値です。

内定承諾率の出し方は以下の通りです。

 内定承諾率(%)= 内定承諾者数 ÷ 内定通知者数 × 100

たとえば10名に内定を出して4名が承諾した場合、内定承諾率は40%となります。

また、混同しやすい用語を以下に記載しますので違いを整理しておきましょう。

用語意味
内定承諾率内定を出した人数のうち、承諾した割合
内定辞退率内定を出した人数のうち、辞退した割合(=100%-承諾率)
就職内定率就職希望者のうち内定を得た割合

内定承諾率の平均値

新卒と中途では平均値が大きく異なります。自社の数値と照らし合わせて現状を把握しましょう。

新卒採用では、就職活動の仕組み上、学生が複数社に同時応募するのが一般的です。そのため、第一志望以外の企業には内定を辞退されるケースが多く、承諾率は構造的に低くなります。就職みらい研究所「就職プロセス調査(2026年卒・4月1日時点)」によると、新卒の内定辞退率は39.7%で、承諾率に換算すると約60%程度。一方、中途採用ではマイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると内定辞退率は9.3%で、承諾率に換算すると約90.7%となっており、新卒との差は30ポイント以上に上ります。

自社の承諾率がこの平均を大きく下回る場合は、選考プロセスや内定者フォローに改善余地があるサインです。逆に平均を上回っていても、採用目標人数のために内定数を増やす必要があるなら、母集団形成(応募数の確保)も合わせて見直すことが必要でしょう。

採用区分内定承諾率の目安
新卒採用約60.3%(内定辞退率39.7%) 
中途採用約90.7%(内定辞退率9.3%) 

内定承諾率が上がらない3つの背景

内定承諾率が上がらない要因は企業努力だけではコントロールできない社会的背景も含まれます。まずは原因を理解した上で対策を立てることが重要です。

① 少子化による売り手市場の加速

若年層の減少により企業間の人材獲得競争が激化しています。学生側に選択肢が多い状態が続いており、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」へのシフトを余儀なくされています。かつては「内定を出せば来てくれる」という前提が成り立つ時代もありましたが、現在は内定を出した後も競合他社と比較され続けます。内定承諾率の低下は、採用市場の構造変化として受け止める必要があります。

② Web面接の普及で応募社数が増加

オンライン選考の定着により、地方学生でも遠方企業を並行受験できるようになりました。一人あたりの応募数が増えるほど、内定承諾率は構造的に下がります。移動コストや時間的制約がなくなったことで、「とりあえず受けてみる」という応募行動も増加。企業側からすると、選考を通過させた候補者が最初から入社意欲の高くないケースも混在しており、以前より承諾率の読みが難しくなっています。

③ 候補者の価値観の多様化

給与・安定性を重視する傾向は今も変わりませんが、それに加えて働き方・キャリア成長・社風・心理的安全性など、判断軸は年々多様化しています。条件面だけでの差別化は、もはや難しい時代です。

特にZ世代では「仕事を通じて何を実現できるか」「自分らしく働けるか」といった定性的な要素が意思決定に大きく影響します。数字で示せる条件が横並びになれば、最後は「この会社の人と働きたいか」という感覚で決まるもの。候補者の価値観に寄り添えない企業は、条件が良くても選ばれない時代になっています。

内定者が内定を辞退する理由

内定者が内定承諾を辞退する理由はさまざまですが、以下に一般的な理由をいくつか挙げてみます。

より志望度の高い他社の内定を受けたため

就活生の多くは複数社に並行応募しており、第一志望の内定が出た時点で他社を辞退するのは自然な流れです。この場合、企業側にできることは限られますが、選考を通じて「この会社が第一志望に近い」と感じてもらえるかどうかが分岐点になります。志望度を上げるための情報提供や接点設計が、最終的な承諾率に影響します。

業界や職種への関心が薄れたため

就活を続ける中で視野が広がり、当初とは異なる業界・職種に興味が移るケースです。内定後に「本当にこの仕事がやりたいのか」と立ち止まる学生は少なくありません。入社後のキャリアイメージを具体的に描いてもらう機会を早い段階で設けることで、こうした迷いを軽減できます。

給与や待遇面での不満があるため

他社との比較で条件面の差が明確になると、そこが辞退理由になりえます。ただし、条件だけで負けているケースばかりではなく、「条件の説明が不十分で不安が残った」という理由も少なくありません。オファー面談で条件の背景や将来的な報酬の見通しまで丁寧に伝えることが、この層の辞退防止につながります。

転勤や勤務地が遠いため

勤務地への不安は、内定後に現実として突きつけられやすい問題です。選考中に曖昧にしたまま進めると、内定後に「やっぱり無理」となるリスクが高まります。転勤の頻度・タイミング・希望を考慮する仕組みがあるかどうかを、早い段階で明示しておくことが有効です。

その他の理由

内定後に企業の口コミや評判を調べ直してイメージが変わった、内定通知後の連絡が遅く放置されていると感じた、といったケースも一定数あります。内定者が「この会社に決めてよかった」と思い続けられるよう、内定後の対応や情報発信にも気を配ることが求められます。

内定辞退率は上昇傾向!内定企業への不満とは?

昨今のオンライン採用の普及、人材不足により複数内定を持つ学生が増加傾向にあるため、内定辞退率は上昇傾向にあります。そのため内定者フォローを強化する企業が増えていますが、効果的な施策がわからない担当者も多いかと思います。

学生が内定通知を受けた企業に対して、何に不安を感じ、内定辞退に至るのか、アンケート調査を行い企業に対する不満点をまとめました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、内定者フォロー施策の参考にしてみてください。

内定企業への不満アンケート調査結果

内定承諾の決め手とは

内定承諾の決め手

内定者が最終的に内定を承諾する決め手は、個人によって異なりますが、以下のような要素がある場合が多いです。

就業条件の良さ

給与や待遇、福利厚生など、自分にとって魅力的な就業条件が整っているかどうかが、内定承諾の決め手となることがあります。

仕事内容や業務環境の魅力

内定をもらった企業の業務内容や、自分が担当する業務にやりがいや興味を感じるかどうか、また職場環境や社風に適合するかどうかが、内定承諾の決め手となることがあります。

就業先のイメージ

自分が内定をもらった企業のイメージや、その企業が扱う商品やサービス、または企業の社会的責任やCSR活動などが、内定承諾の決め手となることがあります。

キャリアアップの可能性

内定者が、将来的に自分自身のスキルアップやキャリアアップが期待できると感じることができる場合、内定承諾の決め手となることがあります。

HR研究所で実施した調査では、内定承諾の決め手として、条件面と並んで「人事がキャリアイメージを一緒に考えてくれた」という回答が多く集まっています。

複数の内定を承諾した状態から一つの企業に入社を決めた、最終的な決め手は何でしたか?

内定後のフォロー体制

内定者が、内定承諾後にも十分なフォローやサポートを受けることができると感じる場合、内定承諾の決め手となることがあります。

内定承諾率を上げる6つの施策 

内定承諾率を上げるための具体的な施策

内定承諾率を上げるには、選考段階の改善と内定後フォローの両輪が必要です。候補者が内定を承諾し入社当日を迎えるまでの全体を通じた設計が求められます。

① 選考スピードを上げる

書類選考・面接結果の通知は可能な限り早めることが重要です。他社と並行している候補者は、最初に内定をくれた企業に心理的な好印象を持ちやすく、迷っているときほど「早く動いてくれた会社」に気持ちが傾きます。特に最終面接から内定通知までは1週間以内を目安に設定し、「この会社は動きが速い」という印象を候補者に残すことが、承諾率向上の第一歩です。

② カジュアル面談を選考前に実施する

正式な選考の前にカジュアルな対話の場を設けることで、候補者は企業への理解を深めながら志望度を高められます。面接では聞きにくい本音の疑問、たとえば「実際の職場の雰囲気は?」「残業はどのくらい?」といった話を気軽に引き出せるのがカジュアル面談の強みです。この段階で不安や疑問を解消しておくことで、選考に進んだ際の志望度の高さが変わり、結果として内定承諾率にも好影響をもたらします。また、入社後のミスマッチ防止という観点でも有効で、お互いの期待値を事前に擦り合わせることが早期離職の抑制にもつながります。

③ オファー面談で個別の不安を払拭する

内定通知と同時にオファー面談を設定し、条件説明だけでなく「候補者が何を不安に思っているか」を直接ヒアリングします。内定者が抱える不安は人によって異なり、給与・配属・キャリアパスなど多岐にわたります。一方的に条件を説明して終わる面談では、その不安を拾いきれません。リクルートマネジメントソリューションズの「大学生の就職活動に関する調査」でも、「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」が内定承諾理由として選択率が上昇傾向にあり、候補者に寄り添う姿勢そのものが承諾の後押しになります。企業側の「伝える場」ではなく、候補者の「話す場」として設計するのがポイントです。

④ 懇親会・座談会で「人」を見せる

承諾直後のタイミングで懇親会や先輩社員との座談会を設けることで、入社後のイメージを早期に具体化できます。この時期に「一緒に働く人」の顔が見えるかどうかが、その後の気持ちの安定に直結します。あわせてグループチャットの開設や内定者限定イベントを通じて内定者同士の横のつながりも作っておきましょう。同期の存在が「自分だけじゃない」という安心感を生み、承諾後の気持ちの揺り戻しを防ぎます。

⑤ キャリアデザイン研修・業務体験で入社後の自分を描いてもらう

入社が現実として近づく入社3ヶ月前は、不安が再燃しやすいタイミングです。「本当にこの会社でよかったのか」という迷いが生じやすく、他社からの誘いに揺らぐケースもあります。キャリアデザイン研修や業務体験を通じて「入社後の自分」を具体的に描いてもらうことで、その迷いを払拭できます。知識のインプットよりも、自分のキャリアと会社のビジョンを重ねて考えるワークショップ形式が効果的です。

⑥ 入社準備情報の提供と最後の接点づくり

入社1ヶ月前は、手続きや準備への不安が高まりやすいタイミングです。入社手続きの案内や持ち物・服装などの実務情報を丁寧に提供することで、「何もわからないまま初日を迎える」という不安を取り除けます。あわせて内定者同士が改めて交流できる場を設けることで、入社への期待感も高まります。準備が整っている実感と仲間の存在が、入社当日への前向きな気持ちにつながるでしょう。

各施策のフォロー頻度は「月1回以上の接点」を最低ラインとして設定するのが現実的です。選考段階から入社直前まで、候補者との接点を意図的に設計し続けることが、辞退防止と承諾率向上の両方に効いてきます。

内定者のキャリア支援なら内定辞退防止くん

「内定辞退防止くん」では、内定者のキャリアを支援するための様々なプログラムが用意されてます。
研修として内定者自身が自分と向き合うものだけでなく、先輩社員との交流を通じて自身のキャリアをイメージするワークショップ型のプログラムもあり、様々な観点からしっかりと内定者にキャリアイメージを掴んでもらう事が可能です。

キャリアデザイン研修

キャリアデザイン研修 未来想像編

キャリアデザイン研修(未来創造編)は、1年後、3年後には何を成し遂げるべきか、成長シナリオを紙芝居にする『私の成長未来日記』作りを行い、未来の展望を描く、ワークショップ中心のカリキュラムです。

ゲーム要素を取り入れた座談会

人狼座談会

内定者座談会に、人気ゲーム『人狼ゲーム』の要素を取り入れた座談会プログラムです。
先輩社員には内定者のフリをして座談会に参加してもらい、会社や仕事等に関するテーマに沿って対話を楽しむ中で、内定者に誰が先輩社員かを当ててもらうといった内容です。

クイズ形式でキャリアデザイン

こちらのプログラムは、先輩社員のエピソードを元にしたクイズを解くことを楽しみながら、入社後の様子や、自分の数年後の姿のイメージを持てるプログラムとなっています。

まとめ

内定承諾率を上げるためには、内定者の関心や課題に対応する施策を行うことが大切です。本稿では、内定者へのアプローチと、それに基づく具体的な施策を紹介しました。これらの施策を実施することで、内定承諾率上昇に寄与することが可能です。また、内定者の関心に応えることで、内定者のモチベーション向上にもつながります。

なお、内定承諾率の改善は内定後フォローだけで完結するものではありません。本記事で解説した通り、選考スピードの向上・カジュアル面談の活用・オファー面談による個別対応など、内定を出す前の段階から一貫した候補者体験を設計することが重要です。

今後も、内定者中心のアプローチを継続し、内定者の関心に対応しながら、内定承諾率を上げる取り組みを進めていくことが企業や人事担当者に求められます。

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