現代のビジネス環境において、企業にとって最も大切な資産は従業員であることは言うまでもありません。中でも、若手社員は企業にとって将来を担う存在であり、彼らの育成と定着は特に重要です。
しかし、近年では、若手社員の離職が増加しており、その要因の一つとして「やりがいの欠如」が挙げられています。
本記事では、若手社員のモチベーションが低下する原因と、モチベーションを高めるための具体的な方法10選を解説します。
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モチベーションを構成する2つの要素

やりがいやモチベーションを感じる要素には、大きく2種類あります。
モチベーションを構成する要素① : 内発的動機と外発的動機
内発的な動機とは、自身の内面の興味・関心(本能的な欲求)に基づいて発生するモチベーションのことです。外部からの誘因に関係なく、自分自身からのみ発生します。自身の満足、学びたいことを身に着けるために働くなどがそれに当てはまります。
一方、外発的な動機とは、報酬・懲罰といった外部要因によって発生するモチベーションのことです。給料がもらえるから働く、などがそれに当てはまります。自身の内面から発する内発的動機づけとは、モチベーションの源泉が異なります。
内発的動機の重要性
企業にとって、社員の内発的動機は非常に重要です。
その理由の一つは、内発的動機付けは自身の興味関心、やりがいなど自己成長につながる動機づけであるため、動機が強く、モチベーションが持続しやすいという点が挙げられます。
また2つ目としては、外発的動機づけの場合は外部要因によりモチベーションが左右されるという点があります。何かしらの事情で報酬が減少したり、長期間の間増加することができないことでモチベーションが維持できないといったケースも十分に考えられ、また他社がより多くの報酬を提示した場合は簡単に離職することにもなりかねません。
このように、社員のモチベーションを内発的に維持することは、企業にとって業績に関係してくるため、重要であると言えます。
モチベーションを構成する要素② : ワークエンゲージメント
内発的動機と深く関連する概念が「ワークエンゲージメント」です。ワークエンゲージメントとは、仕事に対してポジティブで充実した心理状態が持続している状態のことを指し、オランダのユトレヒト大学のSchaufeli教授らが提唱しました。単なる「やる気」とは異なり、一時的な感情ではなく安定的・継続的に仕事へ深く関わっている状態を意味します。この概念は「熱意」「没頭」「活力」の3要素で構成されています。
- 熱意:仕事に誇りややりがい、挑戦しようという意欲を感じている状態
- 没頭:仕事にのめり込み、時間を忘れるほど熱心に取り組んでいる状態
- 活力:困難な状況でも粘り強く取り組める気持ちやエネルギーがある状態
ワークエンゲージメントを高めるメリット
少子高齢化が進み、一つの企業に長年勤め続けることが当たり前でなくなった今、内発的動機をベースにワークエンゲージメントを高めることが、優秀な若手社員の定着と組織の成長に直結します。主なメリットは以下の3つです。
離職率の低下
仕事に熱中し没頭している状態では転職の動機が高まりにくく、給与などの金銭的なインセンティブよりも高い定着効果が期待できます。
生産性・業績の向上
ワークエンゲージメントが高い状態は、働くことが楽しく仕事にエネルギーを注いでいる状態です。若手社員のモチベーションが高まることで、組織全体のパフォーマンスや業績の向上につながります。
メンタルヘルスの健全化
熱意や活力が高まっている状態ではストレスを感じにくくなり、精神疾患や体調不良の減少にもつながります。
若手社員のモチベーション低下が企業に与えるリスク

若手社員のモチベーション低下は、単に「やる気がない」という個人の問題にとどまらず、企業全体に深刻な影響をもたらします。ここでは、若手社員のモチベーション低下が企業に与えるリスクを紹介します。
業務パフォーマンスの低下
モチベーションが低い状態では、仕事への熱意や責任感が薄れ、業務の質と生産性が下がります。集中力が落ちてミスや遅れが増え、新しいアイデアも出にくくなります。
こうした状態が続くと、やがてワークエンゲージメント(仕事への深い関与・熱意)も低下していきます。Gallupの「State of the Global Workplace 2026」では、仕事に意欲を持てていない社員によって、世界全体で年間約10兆ドル分の生産性が失われていると報告されています。若手社員のモチベーション低下を放置すると、会社全体の成果にも確実に影響が出ると言えます。
早期離職リスクの増加
やりがいやモチベーションを感じられない若手社員は、次第に「この会社にいる理由」を見失い、転職を考えるようになります。リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、若手社員が「会社を辞めたい」と思った理由の1位は「仕事にやりがい・意義を感じない」(27.0%)、3位に「自分のやりたい仕事ができない」(12.8%)が入っており、やりがいの欠如が離職に直結していることがわかります。また、離職が続くと残った社員の負担が増え、職場全体のモチベーションも下がるという悪循環に陥りやすくなります。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」
若手社員のモチベーションが下がる7つの原因

仕事にやりがいを感じられていない状態が続くと、ワークエンゲージメントも低下してしまいます。では若手社員はどういった理由で仕事にやりがいを感じていないのでしょうか。
①仕事に楽しさを見いだせていない
若手社員が仕事の楽しさを見いだせていない場合、モチベーションが低下し、仕事に対する興味や関心が薄れる可能性があります。
また、楽しさを感じられないことが原因で、ストレスや過労が蓄積され、健康や精神的な面で悪影響を及ぼすこともあります。
その結果、やがて仕事に対する意欲が失われ、離職するというケースも珍しくありません。
若手社員は、今後長期的に企業で働くためにも、仕事の楽しさややりがいを見つけることが重要です。
②職場の人間関係が悪い
職場の人間関係が悪いと、ストレスや不安感が増し、やりがいを感じづらくなります。人間関係が原因で退職するケースも少なくありません。
職場でのコミュニケーションの改善や、上司や同僚との話し合いなどを通じて、人間関係を改善することが必要です。
③賃金・報酬が適正でない
仕事に対して適正な報酬を得られない場合にも、やりがいを感じづらくなります。
給与面や待遇面が不満である場合には、給与の見直しや福利厚生の充実など、報酬面の改善が求められます。
④ストレスや過労
ストレスや過労は、若手社員の離職原因として大きな要因です。適正な時間内での業務ができていない場合や、業務量が多すぎて負荷が大きい場合、ストレスや過労につながります。
そのため、労働環境の改善が求められます。
また、定期的な健康診断やメンタルヘルスケアの提供、ストレスチェックの実施なども、若手社員のストレスや過労を減らすための重要な施策となります。
⑤指導者やマネージャーの指導力不足
指導者やマネージャーの指導力不足も、若手社員がやりがいを感じられない原因の1つです。
若手社員が育成されずに放置されている場合や、的確なフィードバックがなく、やりがいを感じられない場合があります。
そのため、指導者やマネージャーには、若手社員を適切に育成し、成長を促す役割が求められます。
具体的には、定期的な面談や目標設定、フィードバックの提供などが必要です。
⑥成長の機会が限られている
若手社員は、将来の成長やキャリアアップに期待している場合が多いです。しかし、成長の機会が限られている場合、やりがいを感じられなくなることがあります。
そのため、若手社員には、キャリアアップの可能性を示すことが求められます。
具体的には、社内研修や教育制度、外部研修の提供などが挙げられます。
また、昇進や役職昇格などのキャリアアップの機会も、若手社員がやりがいを感じるための大きな要素です。
⑦承認・評価が不足している
現代の若手社員はSNS文化の中で育っており、他者からの承認に敏感な傾向があります。成果を出してもフィードバックや承認がなければ、「頑張っても意味がない」という気持ちになり、モチベーションが低下します。「やって当たり前」という雰囲気が漂う職場では特に注意が必要です。
若手社員のモチベーションを高める方法10選

モチベーション低下の原因を踏まえ、人事・管理職が実践できる具体的な対策を10個ご紹介します。
① 本人に合った仕事・業務内容にする
その人のスキルや興味に合わせた仕事をアサインすることで、仕事に打ち込めるようになります。そのためには、本人や上司がその人の特性を把握し、それに合った職種や業務内容を任せることが必要です。
② 仕事に変化を加える
同じ仕事を繰り返すことが、やりがいの低下につながることがあります。そのためには、仕事に変化を加えることで、自分自身のやる気を刺激することが必要です。具体的には、新しいプロジェクトに参加する、別の部署で働くなどの方法があります。
③ 仕事の意義や目的を明確にする
自分がやっている仕事の意義や目的を明確にすることで、仕事に対するモチベーションが向上します。自分が担当している業務がどのような社会的役割を果たしているのか、その重要性を各々が理解できるよう、上司・管理職が丁寧に伝えることが重要です。
④ 定期的な1on1ミーティングを実施する
上司と若手社員が月1回程度1対1で対話する機会を設けることで、悩みや不安を早期に把握し、適切なサポートができます。1on1では業務の進捗だけでなく、キャリアの希望や職場環境に関する本音を引き出すことが大切です。
⑤ 適切な承認・フィードバックを行う
若手社員の承認欲求を満たすことは、モチベーション維持に直結します。成果だけでなく、プロセスや姿勢を具体的に認めることが重要です。「〇〇の対応が素晴らしかった」のように具体的なフィードバックを心がけましょう。また、改善点を伝える際も、まず相手の話や気持ちを受け止めてから伝えると、素直に受け入れてもらいやすくなります。
⑥ キャリアビジョンを一緒に描く
若手社員が「この会社でどう成長できるか」を具体的にイメージできるよう、キャリア面談を定期的に実施しましょう。目の前の業務と将来のキャリアを結びつけて伝えることで、日々の仕事への意欲が生まれます。昇進の基準や成長の道筋を明確に示すことも効果的です。
⑦ 目標設定を本人参加型にする
上司主導で目標を押しつけるのではなく、若手社員自身が目標設定に参加できる仕組みを作りましょう。自ら設定した目標には「やらされ感」がなく、達成への意欲が高まります。MBO(目標管理制度)やOKRなどを活用し、本人の納得感を大切にすることがポイントです。
⑧ 研修・スキルアップ機会を提供する
成長実感はモチベーションの大きな源泉です。社内研修や外部セミナー、eラーニングなどの学習機会を充実させることで、「この会社にいれば成長できる」という安心感が生まれます。研修後のフォロー体制(上司とのフィードバック面談など)を整えることで、さらに効果が高まります。
⑨ チームのコミュニケーションを活性化する
職場での孤立感はモチベーション低下の大きな要因です。チームビルディング活動やランチ会、社内イベントなどを通じて、横のつながりや心理的安全性を高めましょう。特にリモートワーク環境では、意識的にコミュニケーションの機会を作ることが重要です。
⑩ 労働環境・ワークライフバランスを整える
過度な残業や負荷の高い業務は、若手社員のバーンアウト(燃え尽き症候群)につながります。業務量の適正化、テレワークの活用、有給取得の促進など、働きやすい環境を整備することがモチベーション維持の土台となります。
仕事の意義や目的を明確にしワークエンゲージメントを高めるバヅクリ
1. 仕事のやりがい実感ワークショップ
このプログラムではまず、自分が人に感謝したことベスト3を考えた後、人に感謝されたことベスト3を発表し、人に対する感謝の気持ちや、自身の価値を再認識します。
その他にも、仕事は様々な人や時間、行動が連鎖し成り立っていると考え、自分が仕事をすることで誰にどのような影響を与えるかを書き出す『価値観の連鎖フロー』と言うワークを行います。
このワークを行うことで、自分の仕事の意義や、やりがいを強く感じることができるでしょう。
また、自分自身が多くの人に支えられていることも再認識できるはずです。
2. 若手社員のためのエンゲージメント研修
このプログラムでは、自分の中にある思考や行動を内省/可視化/整理し、エンゲージメントを自ら高めていく方法や考え方を学びます。
また、それを参加者同士で共有することで、相互理解も深まります。
人生の多くを占める仕事の時間をはじめ、自分の人生を自分で楽しんでいけるようになります。
3. 仕事の魅力紹介ワークショップ
「どんな仕事をしてるの?」という質問は様々なシーンでよく投げかけられるものですが、「簡潔に伝えられない」「魅力的に伝えられたか不安だ」という経験がある人も多いのではないでしょうか?
このプログラムは、小学生に自分の仕事を説明するというシチュエーションを想定して、自分の仕事を改めて見つめ直し、理解を深めたり、魅力を再発見できたりする内容となっています。
自分の仕事の魅力を再発見することで、仕事へのモチベーションや組織へのエンゲージメント向上が期待できます。
まとめ
本記事では、若手社員のモチベーションを高めるための方法と、ワークエンゲージメントややりがいの重要性について解説しました。
若手社員のモチベーション低下は、業務パフォーマンスの低下・早期離職といった深刻なリスクをもたらします。
これらに対して、1on1の実施・適切なフィードバック・キャリア支援・目標設定への参加・研修機会の提供・チームコミュニケーションの活性化・労働環境の整備など、多角的なアプローチを組み合わせることが効果的です。
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