現代の組織において、従業員のエンゲージメント(関与度)は極めて重要な要素となっています。従業員の満足度やモチベーションの向上は、生産性や組織の成果に直結し、企業の成功に大いに貢献します。エンゲージメントサーベイは、組織が従業員のエンゲージメントを評価し、改善策を導くための貴重なツールとなっています。

本記事では、エンゲージメントサーベイでよく用いられる質問項目をカテゴリ別に30問ご紹介します。Q12・eNPSなど代表的なフレームワークや質問設計のポイント・注意点、経済産業省の質問例も徹底解説。従業員のエンゲージメントを高め、組織の成果を最大化するための一歩を踏み出すために、ぜひ本記事をご覧ください。

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エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイ(Engagement Survey)は、組織や企業内の従業員の関与度(エンゲージメント)や満足度を測定するために実施される調査です。従業員のエンゲージメントは、組織に対してどれだけ情熱や意欲を持って取り組んでいるか、仕事に対してどれだけの意義を見出しているかなどを示します。通常、質問形式のアンケートを使用し、従業員が匿名で回答することが一般的です。

エンゲージメントサーベイの目的は、組織や企業が従業員の意見やニーズを把握し、組織のパフォーマンスや生産性を向上させるための具体的な改善策を見つけることです。サーベイの結果は、組織のリーダーや人事部門などの関係者が、必要な改善策を実施するために利用します。

エンゲージメントサーベイは、組織の文化や労働環境の改善、従業員のモチベーションの向上、離職率の低下など、さまざまな利益をもたらすことが期待されています。

エンゲージメントサーベイとは?サーベイのメリットや注意点などをご紹介

従業員満足度調査との違い

エンゲージメントサーベイは「従業員満足度調査(ES調査)」と混同されがちですが、測定対象が根本的に異なります。

項目エンゲージメントサーベイ従業員満足度調査(ES調査)
目的 従業員の会社への貢献意欲を測る 今の仕事・環境への満足度を測る  
何がわかるか熱意・貢献意欲・主体性の高低環境・待遇・人間関係への不満の有無
結果の使い道 離職防止・生産性向上の施策に直結させる職場環境や制度の不満解消に使う 

このように、2つの調査は目的も測定対象も異なります。注意したいのは、従業員満足度が高くてもエンゲージメントが低いケースが珍しくない点です。たとえば「給与や環境には満足しているが、仕事への熱意はない」という状態がこれにあたります。従業員満足度調査調査だけで「問題なし」と判断してしまうと、離職や生産性低下の兆候を見逃すリスクがあるので、2つの調査を使い分けることが大切です。

エンゲージメントサーベイの実施目的

エンゲージメントサーベイの実施目的には以下のようなものがあります。

従業員のエンゲージメントの測定

エンゲージメントサーベイは、組織内の従業員がどれだけ仕事に関与しているかを測定するために使用されます。従業員のエンゲージメントが高いほど、組織に対してより情熱的で意欲的に取り組み、成果やパフォーマンスを向上させる傾向があります。

従業員の満足度の評価

またエンゲージメントサーベイは、従業員の組織への満足度や幸福度を評価するためにも使用されます。従業員が組織の目標や文化に共感し、自身の仕事に満足しているかどうかを把握することができます。

組織の強みと改善の特定

サーベイ結果を分析することで、組織の強みや改善が必要な領域を特定することができます。従業員が特に満足している側面や組織が成功している要素を把握し、同時に改善の必要性がある領域や問題点を特定することができます。

従業員の声を収集

さらにエンゲージメントサーベイは、従業員の意見やフィードバックを収集するための貴重な手段となります。従業員は匿名で意見を述べることができるため、本音を聞くことができます。組織はこれらの声を活用して、従業員のニーズや要望に応え、より良い労働環境や組織文化を構築するための具体的な施策を打つことができます。

らくらくエンゲージメントでは、最新の設問設計により、短い設問で回答者の本音を引き出すことができます。よろしければこちらのサービス資料をご覧ください。

エンゲージメントサーベイを実施するメリット

エンゲージメントサーベイを実施することには、以下のようなメリットがあります。

モチベーションの向上

エンゲージメントサーベイを行うことで従業員のコンディションの変化を察知できるようになり、それに応じた適切なフォローを行うことで仕事へのモチベーションを維持・向上させることができます。

組織課題の早期発見

上司のセクハラやパワハラなど、相談しにくい内容のトラブルも匿名のアンケート等を行うことで悩みを発信しやすい環境を作り、トラブルの火種を早期発見できるような環境を構築することができます。

人材育成・組織の活性化

エンゲージメントサーベイにより人的課題が明確化され、従業員が働きやすい環境が構築されるため、人材の育成や組織の活性化につながります。また従業員のエンゲージメントが高まることで知人に自社を紹介するリファラル採用の促進にもつながります。

エンゲージメントサーベイの質問項目30選

エンゲージメントサーベイを組織改善に活かせるか否かは、質問項目の適切さが重要になってきます。質問の内容によっては、従業員満足度の測定に留まってしまいエンゲージメントが測定できない可能性があるので注意が必要です。エンゲージメントを正確に測定するためには、エンゲージメントサーベイの目的を明確にしたうえで、自社の課題に沿った質問項目を設定しましょう

では、適切にエンゲージメントを計測するためには、どのようなカテゴリの質問を入れれば良いのでしょうか。以下に、6つのカテゴリ別の質問例を計30問紹介しますので、サーベイ設計の参考にしてみてください。

会社の方針や理念への共感

会社の方針や理念への共感の度合いを測る指標となります。スコアが低い場合、理念浸透や経営層からの発信強化が有効な施策となります。

  • 私は会社のミッション・ビジョンに共感している
  • 会社の目指す方向性を理解している
  • 経営陣は会社のビジョンを明確に示していると感じる
  • 自分の仕事が会社の目標達成に貢献していると感じる
  • 会社の理念・価値観は日々の業務の意思決定に役立っている

仕事内容ややりがい

自分の仕事にやりがいや誇りをもってモチベーション高く働けているかを測る指標となります。「仕事に没頭できているか」「成果を実感できているか」という観点でワークエンゲージメントを把握できます。

  • 自分の仕事に意義・やりがいを感じている
  • 仕事を通じて自分が成長していると感じる
  • 業務の進め方や優先順位について、ある程度の裁量がある
  • 自分の強みや得意なことを仕事で活かせている
  • 仕事の成果が認められ、達成感を得られている

人間関係や職場環境

上司、部下、同僚とお互いを尊重し合った良好な人間関係を築きコミュニケーションが活発に行われ連携がスムーズに行われているかを測る指標となります。

  • 上司は私の仕事や成長に関心を持ってくれている
  • チームのメンバーとは相互に尊重し合えている
  • 自分の意見やアイデアを職場で安心して発言できる
  • 困ったときにメンバーや上司に相談しやすい環境がある
  • 部署・チーム間の連携がスムーズに行われている

評価制度やキャリア

人事評価や報酬制度、キャリア形成への期待度や満足度を測るための指標となります。スコアが低い場合は、評価基準の明確化や1on1の実施が効果的です。

  • 自分の業績・貢献が公正に評価されていると感じる
  • 評価の基準や仕組みが明確に示されている
  • 上司は私のキャリア形成に関心を持ち、支援してくれている
  • スキルアップや学習の機会が会社から提供されている
  • この会社で中長期的なキャリアを描くことができる

労働条件・待遇

給与・労働時間・福利厚生など、働く環境への満足度を測る指標となります。「不満がない状態」を作るための土台であり、ここが低いと他のカテゴリのスコアも下がりやすい傾向があります。

  • 現在の給与・報酬は自分の貢献に見合っていると感じる
  • 仕事とプライベートのバランスを保てている
  • 福利厚生や制度が充実していると感じる
  • 業務量は適切な範囲に収まっている
  • テレワーク・フレックスなど柔軟な働き方ができる環境がある

心理的安全性・組織文化

失敗を恐れずに挑戦できるか、多様な意見が尊重されるかといった職場の空気感を測る指標となります。心理的安全性が高い職場ほどエンゲージメントも高い傾向があり、近年特に注目されているカテゴリです。 

  • ミスや失敗をしても、責められるより学びに変える雰囲気がある
  • 職場では多様な意見や価値観が尊重されている
  • 新しいアイデアや改善提案を実行に移しやすい環境がある
  • チーム内で互いにフィードバックし合える関係がある
  • 自分らしく働ける職場だと感じる

エンゲージメントサーベイの代表的な調査方法・設問例

エンゲージメントサーベイの質問項目を自社で作成せずとも、すでに多くの企業で使われている代表的な調査方法と設問例がありますのでご紹介いたします。

Q12(キュートゥエルブ)

Q12(キュートゥエルブ)はアメリカの調査会社「ギャラップ社」が長年の研究によって導き出したエンゲージメントを測定するための12個の質問です。

Q1.職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2.仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3.職場で最も得意なことをする機会が毎日与えられている
Q4.この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5.上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだQ6.職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7.職場で自分の意見が尊重されるようだ
Q8.会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9.職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10.職場に親友がいる
Q11.この6ヵ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12.この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

選択肢は5つで、配点は次のようになっています。

完全に当てはまる(5点)
やや当てはまる(4点)
どちらともいえない(3点)
やや当てはまらない(2点)
完全に当てはまらない(1点)

ギャラップ社の調査によると、点数が高いほど企業の業績も比例して上がることが分かっているそうです。

eNPS(イーエヌピーエス)

eNPS(イーエヌピース)とは「Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称です。
eNPSの調査は「あなたは自分の働いている会社を親しい友人や家族に、自社への入社をどのぐらい勧めますか」というたった一つの質問で構成されていて、0~10の11段階で回答し、職場への愛着心や推奨度を測ることができます。
9~10点を推奨者、7~8点を中立者、0~6点を批判者として分類し、推奨者の割合から批判者の割合の値がeNSPのスコアとなります。

eNPSのスコアはあくまで総合的なエンゲージメントの指標となるため、これに加え、自社に合わせた質問を組み合わせてエンゲージメントを測るのが一般的です。

詳しくはこちらをご覧ください。
eNPSとは?NPSやESとの違い、調査方法について紹介

経済産業省の質問例

経済産業省は「人材版伊藤レポート2.0」などを通じて、人的資本の開示に向けた指標・質問の考え方を提示しています。ISO30414(人的資本に関する国際規格)に準拠した測定が求められる企業では、以下の観点を質問項目に入れることが推奨されています。

  • エンゲージメント指数(組織へのコミットメント)
  • 従業員の満足度・ウェルビーイング
  • 学習・スキル開発への投資と機会
  • 多様性・公平性・インクルージョン(DE&I)に関する認識
  • 離職意向・定着率に関連する指標

上場企業を中心に人的資本の情報開示が求められるようになった今、これらの観点をサーベイに組み込んでおくと、開示データとしてもそのまま活用できます。

エンゲージメントサーベイの質問形式

質問項目を設計する際、「既存のテンプレートをそのまま使うか、自社で独自に作るか」で悩む担当者は少なくありません。エンゲージメントサーベイの質問形式は大きく「固定質問」と「カスタマイズ質問」の2種類に分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に合った形式を選ぶことが重要です。

固定質問カスタマイズ質問(自社設計)
メリット業界ベンチマークとの比較が可能。設計コストが低く、妥当性も担保済み 自社課題に直接対応できる。経営施策と連動しやすい 
デメリット自社特有の課題が見えにくい設計に時間・専門知識が必要 
向いている企業初めてサーベイを導入する企業・ベンチマーク比較を重視する企業 課題が明確で、特定テーマを深掘りしたい企業 

上の表を見ると、固定質問・カスタマイズ質問どちらにもメリット・デメリットがあることがわかります。そのため、どちらか一方に絞る必要はありません。固定質問をベースとしながら、自社特有の課題に関する質問を数問追加する「ハイブリッド型」が最もバランスの良い設計です。固定質問でベンチマーク比較をしつつ、自社の優先課題も同時に把握できるため、初めてサーベイを導入する企業にも取り組みやすい方法です。

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エンゲージメント向上の取り組みを社内だけで完結させるには、設計から集計、施策検討まで多くの工数がかかり、継続が難しくなるケースも少なくありません。特に組織全体の状況と個人ごとの状態を同時に把握しようとすると、さらに負担は大きくなります。
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簡単に回答できる24問の設問でありながら、網羅的・効率的な設計により本質的なデータが取得可能。
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サーベイの結果をもとに、離職防止・コミュニケーション活性化・心理的安全性の醸成につなげます。

エンゲージメントサーベイ実施の注意点

ここでは、エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点をご紹介します。

従業員の理解を得る

エンゲージメントサーベイを実施する前に、従業員に調査の目的や意義を説明し、協力を得ることが重要です。従業員が調査の目的や意義を理解していない場合、調査結果が反映されない可能性があります。

また、調査結果を従業員にフィードバックすることで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながることがあります。

従業員の不利益や負担にならないようにする

エンゲージメントサーベイを実施する際には、従業員が不利益や負担を感じることがないようにすることが大切です。例えば、調査時間が長すぎたり、個人情報が漏洩する可能性がある質問が含まれていたりすると、従業員の不信感を招くことがあります。従業員が信頼できる調査であることを示すことが重要です。

定期的に実施し、結果を活かす

1回の実施で終わるのではなく、四半期・半期・年次など、定期的なサイクルで実施することでスコアの推移と施策効果を追うことができます。 重要なのは「実施 → 結果共有 → 施策実行 → 次回サーベイで効果確認」というPDCAサイクルを回すことです。サーベイ結果を結果を施策に活かせていないと、 従業員は「無駄なアンケート」と感じるようになり、次回の回答率や質が低下します。

エンゲージメントサーベイへの従業員の意識調査

HR研究所では実際にエンゲージメントサーベイへの回答をしたことがある会社員2,200名に対して独自にアンケート調査を行ったところ、「無駄」や「何に活かされているのか分からない」などエンゲージメントサーベイに対しての不満が明らかになりました。

エンゲージメントサーベイに関する従業員の本音を調査した調査結果も、ぜひ参考にしてみてください。

エンゲージメントサーベイを実施しても、目的をうまく伝えられていなかったり、その後のフィードバックが無いと、従業員は業務に加えてサーベイへの回答が負担としてのしかかるだけになってしまい、結果として「エンゲージメントサーベイは無駄なもの」になってしまいます。エンゲージメントサーベイを実施する際には、このような前後の対策が欠かせません。
エンゲージメントサーベイは無駄?「意味がない」と言われるその原因や効果的な活用方法とは

まとめ

エンゲージメントサーベイは、組織の課題を可視化しトラブル防止や組織活性化につなげる有効な手段です。本記事でご紹介した6カテゴリの質問例30問やQ12・eNPS・経済産業省の指針を参考に、自社に合ったサーベイ設計の第一歩を踏み出してみてください。

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