「HRBPという言葉をよく聞くようになったが、従来の人事部門と何が違うのか分からない」
「自社にHRBP制度を導入すべきか判断がつかない」
といった悩みを抱える人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
事業部門ごとに人材課題が複雑化し、経営スピードが年々速まる中で、経営戦略と人事をつなぐHRBPという役割に注目が集まっています。
本記事では、HRBPの定義から具体的な役割、導入・育成方法のポイントを解説します。
HRBPとは

ここではHRBPの定義と、役割が生まれた背景を解説します。
HRBPの定義
HRBPとは「Human Resources Business Partner」の略称です。
経営層や事業部門のリーダーのビジネスパートナーとして、事業戦略と連動した人材戦略の立案・実行を担う役割を指します。
単に「人事の仕事をする人」ではなく、事業の意思決定に人材・組織の視点から関与し、成果に責任を持つ立場である点が最大の特徴です。
HRBPが生まれた背景
HRBPという概念は、経営学者デイビッド・ウルリッチが提唱した人事の役割モデルに由来します。
ウルリッチは人事機能を「戦略パートナー(Strategic Partner)」「変革エージェント(Change Agent)」「管理エキスパート(Administrative Expert)」「従業員チャンピオン(Employee Champion)」の4つに整理しました。
このうち、事業戦略と人材戦略を結びつける「戦略パートナー」としての機能を専門的に担うポジションがHRBPです。
HRBPが注目される理由
日本企業でHRBPへの関心が高まっている背景として、経営環境の変化が激しくなる中で、人材戦略と事業戦略の連動が不可欠になったことが挙げられます。
Googleやデロイト トーマツなど、各エリア・部門ごとに異なる人材課題が存在するグローバル企業を中心にHRBPの導入が進んでおり、その潮流が日本企業にも広がっている形です。
「日本の人事部 人事白書2025」によると、5001人以上の企業の50.0%が「HRBPがいる」と回答しており、特に複数部門を持つ大企業で必要性が高まっていることが分かります。

出典:日本の人事部
こうした背景から、単なる管理部門としての人事ではなく、事業の成長に直接貢献する人事機能への期待が強まっています。
HRBPと従来の人事の違い

HRBPと従来の人事部門の間にはどんな違いがあるのでしょうか。
ここでは二者の立ち位置・視点の違いを解説します。
従来の人事部門の役割
従来の人事部門は、主に以下のような機能を担ってきました。
- 採用、労務管理、給与計算、評価制度運用などの人事オペレーション
- 全社共通の人事制度・施策の企画と運用
- グループ会社も含めた全社の人事機能の一括管理
- 各部門からの依頼や相談へのサポート
HRBPの役割
一方でHRBPは、以下のような役割を担います。
- 事業戦略に基づく人材戦略の立案と実行
- 担当事業部門に入り込み、経営課題や事業課題を人材面から解決すること
- 対等なパートナーとして、事業部門のリーダーとの議論・提言
- 「攻めの人事」として事業成長に直接貢献する機能
同じ「人事」という言葉を使っていますが、HRBPは受け身の対応ではなく、能動的に事業に関与していく必要があります。
立ち位置の違い
従来の人事部門の役割は「本社機能」として全社を横断的に支える守りの性格が強いです。
対してHRBPは「事業部門の中に入り込む」パートナーであり、担当部門の経営チームの一員のように振る舞うことが求められます。
制度を提供する立場ではなく、事業リーダーの隣で一緒に人事課題の解決策を考える立場と言えるでしょう。
視点の違い
従来の人事は「全社最適・制度運用」の視点が強く、公平性や一貫性を重視します。
一方でHRBPは「事業成果・事業部門最適」の視点で物事を考え、担当部門の戦略実現に必要な人材戦略を優先的に組み立てます。
両者が適切に役割を果たすことで、組織の安定性を保ちながら事業成果を達成することができます。
ウルリッチモデルにおけるHRBPの位置づけ

HRBPという役割を体系的に理解するために、ここではデイビッド・ウルリッチが提唱した人事機能モデルについて紹介します。
ウルリッチの4つの人事役割
ウルリッチは人事の機能を次の4つに分類しました。
- 戦略パートナー(Strategic Partner):事業戦略と結びついた人材戦略を策定・実行する
- 変革エージェント(Change Agent):経営理念やミッション・ビジョン・バリューに合わせて組織変革を推進する
- 管理エキスパート(Administrative Expert):人事オペレーションの標準化や効率化、労務リスクの最小化を行う
- 従業員チャンピオン(Employee Champion):従業員のエンゲージメントを高める
HRBPはこのうち特に戦略パートナーの機能を専門とするポジションとして位置づけられています。
3ピラーモデル(CoE・HRBP・SSC)
ウルリッチのモデルをもとに発展した人事組織の考え方が「3ピラーモデル」です。
3ピラーモデルでは、人事部門の機能を3つの柱(ピラー)に分け、それぞれ役割を特化させています。
- CoE(Center of Excellence):人事制度・施策の専門家集団。全社共通の制度設計や専門的な知見の提供を担う
- HRBP(Human Resources Business Partner):事業部門のパートナー。事業戦略と人材戦略の連動を担う
- SSC(Shared Service Center):給与計算や労務手続きなど、人事オペレーションの集約・効率化を担う
この3つの機能が役割分担しながら連携することで、戦略性と効率性を両立した人事組織が実現しやすくなります。
HRBPの役割の広がり
実務では、HRBPは「戦略パートナー」の役割に留まらず、状況に応じて「変革エージェント」や「従業員チャンピオン」の役割も担うことがあります。
たとえば組織再編のタイミングでは変革エージェントとして組織の混乱を最小限に抑える役割を担ったり、従業員のモチベーションが課題になった際には従業員の声を吸い上げるチャンピオンの役割を求められたりします。
HRBPの具体的な役割・業務内容

ここではHRBPが実際の業務で何を行っているのか、その役割と業務内容を解説します。
1. 事業戦略に基づく人材戦略の立案
担当事業部門の事業戦略や中期計画を深く理解し、実現に必要な人材戦略を立案します。
「どのような人材が、何人、いつまでに必要か」「どのような組織体制であるべきか」を事業リーダーと一緒に議論し、設計していく業務です。
採用以外に社内育成や他部署からの異動など、人材を確保するための施策を幅広く検討します。
2. 人材配置・異動の提言
事業戦略の実現に最適な人材配置を検討し、事業リーダーに提言します。
重要ポジションが空席になった場合に備える後継者計画(サクセッションプラン)の策定もHRBPの重要な仕事のひとつです。
3. 採用戦略の立案・実行支援
担当部門の採用ニーズを正確に把握し、採用戦略を立案します。
採用要件の定義・採用チャネルの選定・面接プロセスへの関与など、採用活動全体を支援する役割を担います。
4. 人材育成・タレントマネジメント
担当部門の育成ニーズを把握し、育成施策を企画・実行します。
将来を担うハイポテンシャル人材の特定・育成計画の策定・キャリア開発の支援なども担います。
5. 組織開発・組織課題の解決
エンゲージメントの低下・部門内のコミュニケーション不全・チーム間の連携不足といった組織課題を特定し、解決策を企画・実行します。
課題に合わせて組織診断やワークショップ、チームビルディング施策なども実施します。
6. 評価・報酬制度の運用支援
全社共通の評価・報酬制度が担当部門で適切に運用されるよう支援します。
具体的な業務として評価者研修の実施、評価調整会議のファシリテーション、昇格・昇給に関する検討支援などがあります。
7. 労務課題・ピープルイシューへの対応
ハラスメント・メンタルヘルスの不調・退職相談といった労務課題への対応もHRBPの重要な役割です。
問題を早期に発見し、関係者間の対応・調整を行うことが求められます。
8. 事業リーダーへのコーチング・アドバイス
部門長やマネージャーといった事業リーダーに対して、人材マネジメントに関するコーチングやアドバイスを行います。
リーダー自身のピープルマネジメント力を高める支援を行う点が特徴です。
9. 経営会議・事業会議への参加
担当部門の経営会議や事業会議に人事の立場で参加し、人材・組織に関する議題を提起・議論します。
「人事のことは人事部に聞く」という受け身の姿勢ではなく、事業の意思決定プロセスに人材視点を最初から組み込むことを目指します。
HRBPに求められるスキル・能力

HRBPは人事の専門知識だけではなく、幅広いスキルセットが求められます。
ここでは代表的な8つの能力を紹介します。
1. ビジネス理解力
担当事業部門の事業内容、ビジネスモデル、市場環境、競合状況、戦略や課題を深く理解する力です。
「人事の専門家」であると同時に「事業を理解するビジネスパーソン」であることが求められます。
たとえば製造業の生産部門を担当するHRBPであれば、製造現場の稼働状況や人員配置の制約を理解し、現実的な採用計画や配置提案をするスキルが重要です。
2. 戦略思考力
事業戦略と人材戦略を連動させて考える力です。
中長期的な視点で人材・組織の課題を捉え、実行可能な解決策を設計する力が問われます。
3. 人事専門知識
採用・育成・評価・報酬・労務・組織開発など、人事領域の幅広い知識も重要です。
事業リーダーからの専門的な相談にも対応できるレベルの知識が求められます。
4. コンサルティング力
事業リーダーの課題をヒアリングして、根底にある問題を特定し、解決策を提言する力です。
課題発見力・仮説構築力・提案力が総合的に求められます。
5. コミュニケーション力・関係構築力
事業リーダー・マネージャー・従業員・本社人事(CoEやSSC)などと円滑にコミュニケーションを取る力です。
多様な立場の関係者と信頼関係を築き、人材確保のために協力を仰ぐスキルが求められます。
6. 影響力・交渉力
事業リーダーに対して、対等な立場で提言・交渉する力です。
「人事の言うことだから」ではなく、事業成果への貢献を根拠に相手を納得させる力が問われます。
たとえば「増員したい」という事業リーダーの要望に対して、単に承認・却下するのではなく、既存メンバーの稼働データを示しながら「増員よりも業務の再配分で解決できないか」を一緒に検討できるかどうかが重要です。
7. 変革推進力
組織変革やカルチャー変革を推進する力も求められます。
変化への抵抗が生じる場面でも、粘り強く変革を実現に導く姿勢が必要です。
8. データ分析力
離職率・エンゲージメントスコア・採用データといった人事データを分析し、課題を可視化して提言につなげる力です。
近年は客観的なデータに基づいて人事施策を展開するピープルアナリティクスが注目されており、それに伴ってデータ分析スキルも求められるようになっています。
HRBPに向いている人の特徴

ここではHRBPに向いている人の特徴を5つ紹介します。
HRBP候補の選抜や自分自身の適性を考える際の参考にしてください。
事業・ビジネスへの関心が高い
人事の専門領域だけでなく、事業内容やビジネス全体に強い興味を持っている人です。
ビジネスの仕組みや市場を含めて深く理解しようとする姿勢がある人がHRBPに向いています。
現場に入り込むことを厭わない
本社で制度を設計するよりも、現場に飛び込んで課題そのものを解決することにやりがいを感じる人が向いています。
「制度を作って終わり」ではなく、現場で実際に使われ、成果につながるまで伴走したいと考えるタイプは、HRBPの働き方と相性が良いです。
対等な立場で議論できる
事業リーダーに対しても臆せず対等な立場で自分の意見を言い、議論できる人が向いています。
HRBPは事業部に深く入り込んで提案することが必要なため、遠慮しすぎない姿勢が重要です。
曖昧さ・複雑さに耐えられる
HRBPの仕事には明確な正解がないケースも多いため、曖昧な状況でも前に進める力や、複雑な利害関係を調整する力が必要です。
マニュアル通りに進められる業務ではないからこそ、仮説を立てて動きながら軌道修正していく姿勢が求められます。
人事以外の経験がある
事業部門での実務経験や、営業・企画・経営企画などの経験があると、事業理解や事業リーダーとの対話がスムーズになりやすい傾向があります。
HRBP制度導入のメリット・デメリット

ここではHRBP制度を導入するメリットとデメリットを解説します。
メリット
HRBPを導入することで、事業戦略と人材戦略を連動させ、各事業部門の課題や目標に応じた人材施策をスピーディーに実行できるようになります。
また事業部門ごとの最適化の視点で人材配置を検討できるため、パフォーマンス向上が期待できます。
さらに、オペレーション中心の役割から戦略的な役割へとシフトすることで、人事機能全体の付加価値が向上します。
デメリット・注意点
HRBPの配置や育成・組織体制の整備には一定のコストがかかるほか、成果が短期間で見えにくいというデメリットもあります。
事業への理解と人事の専門知識を兼ね備えたHRBP人材の採用・育成が難しい点も見逃せません。
またHRBP・CoE・SSCの役割分担が曖昧だと、本社人事との連携において業務の重複や混乱が生じることも。
さらに、HRBPが担当事業部門の利益を優先しすぎて全社最適の視点が薄れるリスクもあります。
HRBP制度を導入すべき企業の特徴

HRBP制度は、すべての企業にとって最適な選択肢とは限りません。
「他社が導入しているから」という理由だけで導入を決めると、立ち上げ後に機能しないケースも起こりえます。
ここではHRBP制度を導入すべき企業の特徴を紹介します。
導入が向いている企業
HRBP制度が向いているのは、複数の事業を持っており、各事業で求められる人材や組織課題が異なったり、事業環境の変化が激しかったりする企業です。
また、M&Aや新規事業の立ち上げが多かったり、グローバル展開を進めていたりなど、地域や事業ごとにきめ細かな人事対応が求められるケースも適しています。
人事部門を単なる管理部門ではなく、経営や事業に貢献する戦略的な機能へと強化したい企業にとっても、HRBP制度は有効な選択肢となるでしょう。
導入を慎重に検討すべき企業
一方で、HRBP制度の導入を慎重に検討すべき企業もあります。
例えば事業部門が少なく、現状の人事運用でも十分に戦略策定・実施ができている企業では、HRBPを配置しても十分な効果を得られないでしょう。
人事部門のリソースが限られており、HRBPを担う人材を確保・配置する余裕がない企業では、導入による負担が大きくなることがあります。
また人事オペレーション(SSC機能)が整備されていないと、HRBPが本来担うべき戦略的な業務ではなく、日常的なオペレーション業務に追われてしまうおそれがあり、導入のメリットが薄くなるため注意が必要です。
HRBP制度の導入ステップ

ここでは実際にHRBP制度を導入するステップを解説します。
ステップ1:人事組織の現状分析
現在の人事組織の体制、機能、課題を分析します。
どの機能が不足しているか、事業部門からどのような要望が寄せられているかを把握しましょう。
人事部門側の視点だけでなく、事業部門のリーダーに直接ヒアリングを行い、「人事に何を期待しているか」「現状どこに不満があるか」を率直に聞き出すことが重要です。
ステップ2:目指す人事組織モデルの設計
HRBP・CoE・SSCの3ピラーモデルを参考にしながら、自社に合った人事組織モデルを設計します。
各機能の役割分担と連携方法を明確にしましょう。
たとえば「どこまでをHRBPが判断し、どこからをCoEに相談するのか」という線引きを曖昧にしたまま進めると、現場で判断が滞ったり、本社人事の制度と現場対応が食い違ったりするトラブルが起きやすくなります。
ステップ3:HRBPの配置計画を策定
どの事業部門にHRBPを配置するか、何名配置するかを検討します。
事業規模、人材課題の複雑さ、優先度に応じて配置を決定していきましょう。
すべての部門に配置するのではなく、経営上の優先度が高い部門や、人材課題が深刻な部門から優先的に配置すると、限られたリソースでも早期に効果を実感しやすくなります。
ステップ4:HRBP候補の選定・育成
HRBPに適した人材を社内から選定します。
必要に応じて外部採用も検討し、選定後はHRBP向けのトレーニングを実施して必要なスキルを習得させます。
選定にあたっては人事経験の長さだけでなく、事業への関心の高さや対等に議論できる姿勢を重視して見極めましょう。
ステップ5:パイロット導入・検証
まずは一部の事業部門でパイロット導入を行い、HRBPの活動状況・事業部門からの評価・見えてきた課題を検証します。
パイロット部門は、事業部門長がHRBPの必要性を理解し協力的である部門を選ぶことが重要です。
最初の部門でうまくいった実績があれば、次の展開時に他部門からの理解も得やすくなります。
ステップ6:本格展開・継続改善
パイロット導入の結果を踏まえて本格展開します。
導入後も定期的に効果測定を行い、役割定義や配置、育成の方法を見直しましょう。
HRBPの育成方法

HRBPに求められるスキルは幅広く、一朝一夕には身につきません。
社内で計画的に育成するための代表的な方法を6つ紹介します。
事業部門での実務経験を積ませる
人事一筋のキャリアではなく、事業部門での実務経験を積ませることでビジネス理解力を高めましょう。
ジョブローテーションや事業部門への出向も有効です。
たとえば人事担当者を営業部門や企画部門に配置し、実際の業務を体感させることで、机上の知識では得られない経験を養うことができます。
HRBP向けトレーニングの実施
ビジネス理解・戦略思考・コンサルティング・ピープルアナリティクスなど、HRBPに必要なスキルを体系的に習得できるトレーニングを実施します。
座学だけでなく、実際の事業部門の課題を題材にしたケーススタディやロールプレイを取り入れることで、実務に近い形でスキルを定着させやすくなります。
メンター・コーチをつける
経験豊富なHRBPや外部コンサルタントをメンター・コーチとして配置し、OJTで育成しましょう。
座学で学んだ知識だけでは、事業リーダーとの実際のやり取りで生じる細かな判断に対応しきれないことがあります。
たとえば経験の浅いHRBPが難しい交渉に臨む前に、メンターと事前にシミュレーションを行ったり、面談に同席してもらいフィードバックを受けたりすることで、実務の勘所を段階的に習得できます。
事業会議への参加機会を設ける
事業部門の経営会議や事業会議に参加させ、実際の意思決定プロセスを学ばせる機会を作ります。
会議に同席させることで、議論の流れや事業リーダーが重視している論点を把握でき、さらに事業理解を深めることができます。
HRBP同士のコミュニティを作る
HRBP同士が学び合い、ナレッジを共有できるコミュニティを設けましょう。
各事業部門を個別に担当しているHRBPは孤立しやすいポジションでもあります。
横のつながりを作ることで、悩みを相談できる関係性を生み出すことができます。
外部からの採用も検討する
社内育成だけでは難しい場合、コンサルティングファーム出身者や、事業会社でHRBP経験のある人材を外部から採用するのもおすすめです。
制度を導入したばかりの企業では、社内に手本となるHRBPがおらず、育成に着手しても具体的なイメージを持ちにくいです。
経験者を1名でも採用すると、動き方やノウハウを参考にできるため、育成のスピードを上げることができます。
HRBPの評価・キャリアパス

ここではHRBPの人事評価のポイントと、どのようなキャリアパスを提示するかについて解説します。
HRBPの評価指標
HRBPの主な評価指標として下記があります。
- 担当事業部門の人材KPI(離職率、エンゲージメントスコア、採用充足率など)
- 事業リーダーからの評価・満足度
- 人材戦略の立案・実行状況
- 組織課題の解決件数・質
- 本社人事(CoEやSSC)との連携状況
これらの指標を組み合わせて評価することで、事業成果への貢献と、人事としての専門性の両面からHRBPを評価できます。
評価の注意点
HRBPの成果は短期的には見えにくいことが多いです。
そのため定量指標だけでなく、事業リーダーからの定性的なフィードバックも重視することが大切です。
また、担当部門の業績だけでHRBPを評価してしまうと、外部要因の影響を過度に受けてしまう点にも注意が必要です。
HRBPのキャリアパス
HRBPを一時的な配置ではなく、明確なキャリアパスとして提示できるかどうかは、優秀な人材を惹きつけるうえで重要です。
代表的なキャリアパスには下記があります。
- HRBPとしてのステップアップ:小規模事業部門から大規模事業部門へ、さらに複数事業部門を統括するシニアHRBPへ
- CHRO・人事部門長への昇進:HRBP経験を経て、全社の人事戦略をリードするCHROや人事部門長へ
- CoEへの異動:専門性を深めたい場合は、人事制度企画やタレントマネジメント、報酬設計などCoE機能へ
- 事業部門への転身:事業理解を活かし、事業部門の経営企画や事業責任者などへ転身するケースも
HRBP導入の成功事例

ここでは、HRBP制度を導入した企業の取り組み例を紹介します。
自社の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
事例1:事業の多角化に合わせてHRBP制度を導入
ITベンチャー企業のディー・エヌ・エーでは、事業の多角化にともない、事業部門ごとの人材課題が多様化しており、その対応に追われていました。
そこで2014年から各部門にHRBPを配置、事業リーダーのパートナーとして、現場の社員の声を聞きながら採用・育成・組織課題の解決を担当させる体制を立ち上げました。
ゲーム・エンタメ事業では、現場社員のヒアリングの結果、マネージャー不足が現場の不満に直結していることを特定。
ヒアリング結果をもとにマネージャーの育成施策に取り組み、約半年でゲーム・エンタメ事業の離職率を18%から1桁台まで下げることに成功しました。
参考リンク:https://unite.unipos.co.jp/1641/
事例2:人事出身者と事業部門出身者の混成チームでHRBPを構成
自動車メーカー大手のいすゞ自動車ではHRBP制度の導入時、専門性や運用経験を重視し、人事のプロフェッショナルを社外から採用していました。
しかし、事業理解が浅く、現場とHRBPの間に距離が生じてしまうという懸念から、社外100%の体制から部門経験者も含めたハイブリッド型に切り替え、全社·部門間のコミュニケーションの最適化を目指しています。
現場の苦しさや痛みがわかるHRBPのほうが現場の支持を得やすく、事業戦略に踏み込んだ議論ができるようになりました。
参考リンク:https://mag.smarthr.jp/hr-management/business-management/arisawa_hrbp/
まとめ
HRBPを自社に導入する際は、事業構造や人事部門の現状を踏まえて、CoE・SSCとの役割分担を明確にしながら段階的に進めることが重要です。
まずは自社の人事組織の現状分析から着手し、自社がHRBP導入に向いているかどうか確認してみてはいかがでしょうか。
