売り手市場が続くなか、内定を出しても辞退される企業が増えています。複数内定を持つ学生が当たり前になり、内定承諾後も気持ちが揺れ続けるケースも珍しくありません。そのため、内定を出して終わりではなく、入社日まで継続的にフォローする体制が求められるようになっています。

とはいえ、「何をすればいいかわからない」「イベントを実施しているが効果が見えない」という担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、内定辞退が起こる根本的な理由から、選考フェーズごとの具体的な対策、やってしまいがちなNG行動、他社の取り組み事例まで整理しています。内定者フォローの見直しにお役立てください。

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内定辞退率の現状

近年、内定辞退率は上昇傾向が続いており、採用担当者にとって見過ごせない課題になっています。株式会社マイナビの2026年卒企業新卒内定状況調査によると、2026年卒の採用充足率(内定者数÷募集人数)は69.7%と4年連続で減少し、現行スケジュール導入以降の過去最低を更新しました。

また同調査では、内定辞退率「5割以上」の企業が増加傾向にあり、2026年卒は2019年卒と比較して約2倍にのぼるとされています。売り手市場が続くなかで複数内定を持つ学生が増え、企業間の争奪戦はさらに激化しています。

こうした状況を踏まえ、内定辞退が起こる理由を正確に把握したうえで、フェーズごとに対策を講じることが求められます。

なぜ内定辞退は起こるのか?

内定辞退が起こる

内定辞退を防ぐ方法をご紹介する前に、まずは内定辞退が起こる理由をいくつかご紹介したいと思います。
内定辞退が起こる理由を知り、それに合わせ上手に対策・対処をしていきましょう。

雇用の条件・待遇がマッチしなかった

まず1つ目に内定辞退の理由として考えられることは、雇用の条件・待遇がマッチしなかったという理由です。
選考の中であらかじめ候補者には、給与や待遇、福利厚生などについて説明をしておくといいでしょう。
自分から給与や待遇に関することは聞きにくいという候補者も多いもの。
内定を出す前に候補者に説明する機会を設け、お互いの考えをすり合わせることで内定辞退や認識の相違を防ぐことができます。

採用担当者や面接官の対応が悪かった

採用活動の際、採用担当者やリクルーター、面接官が威圧的な雰囲気で対応をした場合、「こんな企業で働くのは厳しいな」と内定辞退を選ぶ候補者が増えるでしょう。
候補者に対しへりくだる必要はありませんが、高圧的な態度は取らないようにしてください。
企業側が候補者の中から共に働く人を選んでいるのと同時に、候補者も働く場所や人を選んでいるのだということを忘れないようにしましょう。

志望度がより高い企業から内定が出た

志望度がより高い企業から内定が出た場合に起こる内定辞退は、防ぎようのない内定辞退であると言えるでしょう。
企業側は候補者の志望度がどれだけ高いかや、入社の確度はどれだけあるのかを面接などを通し見抜く必要があります。

しかし、近年よく話題に上がる「オワハラ」(就活終われハラスメント)などを内定承諾を得ようと行なってはいけません。
候補者に対し、内定を出したらその他の企業への就職活動は終わらせるように仕向けるのではなく、企業の魅力を感じてもらうことで内定承諾を得たいものです。

入社後のイメージが描けない

「この会社で自分がどう働くのか、まったくイメージできない」という不安も、辞退の大きな引き金になります。仕事内容や配属先、入社後のキャリアパスが曖昧なまま内定を迎えると、時間が経つにつれて「本当にここでいいのだろうか」という迷いが生じやすくなります。

特に職場の雰囲気や人間関係が見えない状態は不安を増幅させます。「職場に馴染めるだろうか」「上司とやっていけるだろうか」という内的な問いに答えを出せないまま入社日を迎えると、直前での辞退につながることも少なくありません。

こうした不安を和らげるには、早い段階で社員との接点を設け、入社後の働き方を具体的にイメージできる機会を提供することが有効です。

内定辞退率は上昇傾向!内定企業への不満とは?

昨今のオンライン採用の普及、人材不足により複数内定を持つ学生が増加傾向にあるため、内定辞退率は上昇傾向にあります。そのため内定者フォローを強化する企業が増えていますが、効果的な施策がわからない担当者も多いかと思います。

学生が内定通知を受けた企業に対して、何に不安を感じ、内定辞退に至るのか、アンケート調査を行い企業に対する不満点をまとめました。

調査結果は下記からダウンロードできますので、内定者フォロー施策の参考にしてみてください。

内定企業への不満アンケート調査結果

内定辞退を防ぐための対策

内定辞退を防ぐために行う対策

内定辞退が起こる理由を知ったところで、内定辞退を防ぐための対策をご紹介していきます。
防ぎようのない内定辞退も起こる可能性はありますが、対策をすることで防止できる内定辞退はしっかりと防いでいきましょう。

1. 選考過程の中で自社の魅力をわかりやすく伝える

当たり前のことかもしれませんが候補者に「この企業で働きたい!」と思ってもらうことが内定承諾獲得に繋がります。
しっかり企業の魅力が候補者に伝わった場合、自社よりも志望度の高い企業があったとしても内定承諾を獲得できることもあるでしょう。

一緒に働く同僚、企業のカルチャー、環境など自社の魅力を明確にし、企業側もそれをしっかりと理解し、そして候補者に伝える必要があります。

企業側が候補者のことを知るためだけの面接ではなく、企業側にとっては自社の魅力を伝えるため、候補者側に取っては企業のことを知るための時間であると認識しましょう。

2. 内定の出し方を印象に残るように工夫する

「これからこの企業で働くんだ」という意識を持ってもらい、かつ、思い入れのある瞬間にするためにも内定の出し方を工夫するようにしましょう。
例えば、内定出しの際、社員全員に祝ってもらう、社長や役員から内定を出してもらうなどが例として挙げられます。
内定の出し方を工夫することで、既存の社員との繋がりを感じたり、感動が生まれたりし、企業に対する思い入れが強くなります。
いい思い出や印象を持ってもらうことが、内定辞退を防ぐことに繋がるのです。

3. 内定承諾の後に定期的に連絡を取る

内定を出し承諾をもらった後も、内定者とは定期的に連絡を取るようにしてください。
入社まで連絡を取らなかった場合、内定者は不信感を抱いたり、企業に対する愛着が薄れてしまったりします。
バヅクリ株式会社が320名の内定者を対象に行なったアンケートによると、内定者の9割りが月に1度以上のコミュニケーションを求めているという結果がでています。

定期的な連絡や、内定者フォローを行うことで「この企業は社員の不安に寄り添ってくれる組織である」というイメージをつけることができます。
そのようなイメージは、入社後の企業への信頼感や安心にも繋がります。

4. 内定者研修を実施する

内定辞退の防止策として、内定者研修やセミナーを行うという方法があります。
企業のビジョンやカルチャー、職場の雰囲気を知ってもらうこと、入社後に必要なスキルの習得などを目的とします。
また、内定者研修の中で交流会や座談会などのイベントを開くことで、今後一緒に働くことになる同僚との関係性の構築ができます。
どのような人と働くかが入社を判断する材料となることも大いにあります。

働く環境や人を理解してもらうため、インターンシップや企業でのアルバイトを実施する方法もあります。
長期インターンシップを経験すればよりどのような環境で働くことになるのかをしっかりと内定者に知ってもらえるでしょう。
しかし、長期インターンシップへの参加を強要することはおすすめしません。
就職活動を終えやりたいことがある人もいるでしょうから、配慮が必要です。

内定者研修について詳しくはこちら

5. 社員や役員と会って話す機会を作る

座談会や懇親会、ランチ会などを開き社員や役員と話せる機会を作るようにしましょう。
どんな人と一緒に働くことになるかや、職場の雰囲気などが分かり不安が減るだけでなく、仕事に対するモチベーションや、組織に対するエンゲージメントも向上するでしょう。
役員や活躍している社員と会話することで、自分自身の将来像やキャリアプランを思い描くことができ、期待を抱けるようになるからです。
配属先の希望も明確になるはずです。

6. 待遇についての認識の相違を解消する

待遇や条件などの認識の相違がないようにしっかりとすり合わせを行なってください。
面接時にあらかじめすり合わせを行い、待遇などを明確にすることでミスマッチを避け「こんなはずじゃなかった」と入社後の離職を防ぐことにも繋がります。
入社後のイメージがつき未来を展望しやすくなることで、入社に対するモチベーションもアップするでしょう。

7. 学生を歓迎する姿勢を示す

「入社してくれて嬉しい」「一緒に働くのが楽しみだ」というように、内定者を歓迎する姿勢を示してください。
既存の社員や企業側がオープンに歓迎してくれているムードは、内定者の気持ちもオープンにしコミュニケーションが活発になったり、関係性の構築がスムーズになったりします。

8. 選考スピードを上げる

内定通知のスピードは、辞退率に直結します。「最初に内定をもらった企業に入社する」という学生は一定数おり、選考に時間をかけるほど他社に先を越されるリスクが高まります。

応募から内定出しまでのリードタイムを2週間以内に抑えることを目標にすると、他社との差別化につながりやすいといえます。また、候補者から連絡があった場合は迅速に返答することも重要です。レスポンスが遅いと「この会社は学生を大切にしていない」という印象を与えかねません。

内定辞退を防ぐうえでのNG行動

対策を講じることと同じくらい大切なのが、かえって辞退を招く行動を避けることです。以下のような対応は、善意から行ったとしても逆効果になることがあります。

過度な囲い込みや就活終わらせ圧力をかける

先述の通り、「うちで決めてほしい」「他社の選考はもう終わりにして」と迫る「オワハラ」(就活終われハラスメント)は、内定承諾を強制する行為として学生に強いストレスを与え、かえって不信感を生む原因になります。

内定承諾はあくまで学生が自分の意思で選ぶものです。圧力をかけるのではなく、自社の魅力を丁寧に伝えることに注力しましょう。強引な引き留めは、SNS等で拡散されてブランドイメージを損なうリスクもあります。

内定後の連絡が途絶える

内定承諾を得た直後から入社まで連絡をまったく取らないのも要注意です。「自分は歓迎されていないのだろうか」という不安が積み重なると、他社への気持ちが傾きやすくなります。

月1回程度のオンライン面談や近況報告メールなど、無理のない形でも定期接点を設けることが大切です。接触頻度が高すぎても負担になるため、学生の状況に合わせた頻度調整が求められます。

選考で得た情報と異なる待遇を提示する

内定後に雇用条件通知書を見て「聞いていた話と違う」と感じると、企業への不信感は一気に高まります。給与や残業時間、勤務地など重要な条件は、できる限り選考の早い段階で正確に開示することが信頼の土台になります。

「不利な情報は後で伝える」という発想は短期的には応募者確保に見えても、辞退や入社後の早期離職につながりやすく、中長期的には採用コストを押し上げます。

内定辞退への対策を行なっている企業

内定辞退の対策を行う企業

それでは内定辞退の対策を行なっている企業の具体例をご紹介していきます。
他社事例を参考に、いいと思う部分はぜひ自身の組織にも取り入れてみてください。

1.株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、内定者を「まだ学生」として扱わず、入社前からプロフェッショナルとして関わる姿勢を採用フォローの軸に置いています。2018年に導入した新卒向け人事制度「Mergrads(メルグラッズ)」では、一律の初任給ではなく内定者個人のスキルやバリューに応じた年収を提示し、内定期間中にスキルアップした場合は入社後の初任給に反映する仕組みを設けています。

内定者向けのインプット支援制度も用意されており、世界各国で最新サービスを体験するための海外出張費を全額負担するほか、プログラミング学習や書籍購入費の補助、語学留学費の補助なども内定者に開放しています。「内定者にも社員と同じ成長機会を提供する」という設計が、入社への期待感と動機を高めるうえで機能しているといえます。

条件提示と学習支援を一体化させることで、内定者が「自分はこの会社で育てられる」という具体的な見通しを持てるようにしている点が、他社との差別化につながっています。

2. クックパッド株式会社

ワークスタイルトランプというツールを利用して内定者フォローを行なっているクックパッド株式会社。
ワークスタイルトランプとはその名の通りトランプのようなカードで、52枚のトランプにはそれぞれ「働き方」をテーマとしたキーワードが書かれています。
それを使うことで自分自身の働き方について考えることができます。

遊びで利用するような取り組みやすいツールを使うことで、キャリアや働き方に関することを考えるという、少し身構えてしまいそうな行動も取り組みやすくなりそうです。
また、入社前に現状のキャリアプランや理想とする働き方を明確にすることで、入社後のモチベーションに繋がるだけでなく、取り組むべきこともクリアになるでしょう。

3. 株式会社ジェイック

株式会社ジェイックでは内定者研修を通して内定者フォローを行なっています。
内定者研修の目的は「社会人になるという意識の醸成」「社会人として必要な基礎スキルの習得」「入社までの不安解消」の3つ。
内定研修を通し内定辞退を防止することはもちろんですが、活躍できる社会人の育成を目指しています。

研修の内容は、マインド面にアプローチする研修と、ビジネスマナーなどスキル面にアプローチする研修を行います。

4. 三井住友海上火災保険株式会社

三井住友海上火災保険株式会は、「遊び」を通して内定者フォローを実現できるサービス、内定辞退防止くんを導入し内定辞退を防止しています。

「おとなの図工」、「マインドフルネス」、「筋トレ」、「演劇」などのワークショップをオンラインで実施し、楽しみながら相互理解を深めることに成功しました。
内定者の新たな一面や、価値観を知ることができ、例年行なっていた懇親会を兼ねた飲み会では得られない気づきを得られたそうです。

三井住友海上火災保険株式会社の内定者フォローについて詳しくはこちら

内定辞退を防ぐために役立つツール

内定辞退を防ぐためのツール

最後に内定辞退を防ぐために利用したい役立つツールやサービスをご紹介します。

定期的に連絡を取ったり、イベントなどのコミュニケーション機会を作ったりする内定者フォローは、時間などのコストがかかるものです。
ぜひ便利なツール・サービスを利用してプロの助けを借りながら、時間コストを削減し、効率的に内定者フォローを行い内定辞退を防ぎましょう。

1. 内定辞退防止くん

内定辞退防止くんはバヅクリ株式会社が運営する研修・チームビルディングサービスです。
図工、マインドフルネス、食レポなど200種類もの非日常な体験を通してコミュニケーションを産み、「遊び」という取り組みやすい題材ながらも、しっかりと絆や相互理解を深いものとします。
内定者に楽しんでもらいながら、内定辞退の防止や入社後の定着化を実現できます。

一見仕事と関係の薄いような内容でも、業務にも応用できる学びを得ることも。
運営は同社にお任せでき、人事負担を90%もカットし導入することが可能。
運営回数は3500回以上にものぼり、安心して任せられるのもポイントです。

開始5年で1000社以上に導入され、満足度は97%を誇ります。

料金:250,000円〜
https://buzzkuri.com/

2. エアリーフレッシャーズクラウド

出典:エアリーフレッシャーズクラウド

EDGE株式会社が提供するエアリーフレッシャーズクラウドは、新卒採用におけるコミュニケーションプラットフォームで、内定者のエンゲージメント向上を期待できます。

学生の不安を解消することによる内定辞退の防止や、社会人基礎力の醸成、効率的なコミュニケーションを行うことができます。
導入への提案や、導入支援、運営支援も同社が行います。

料金:11,000円〜
https://fresher.jp/

3. TUNAG

出典:TUNAG

TUNAGは株式会社スタメンが運営する、エンゲージメント経営プラットフォームで会社の成功や成長を支援するためのツールです。

企業の経営理念の浸透や、コミュニケーションの活性などを目的とし運営されています。
内定者に向け導入することも可能です。
ダッシュボード機能があるので利用状況を可視化できます。

https://tunag.jp/ja/

4. 内定者パック

出典:内定者パック

eラーニング事業や、次世代人材事業などを展開する株式会社プロシーズが提供している内定者パックは、内定者向けのSNS。
このツールを利用することで、企業と内定者間だけでなく、内定者同士のコミュニケーションも活発にすることができます。

企業から内定者に向けての連絡、アンケートの回収だけでなく、内定者同士でも発信に対して「いいね」やコメントを送ることが可能。

また、15万人以上が学習した、良質なオリジナルeラーニングも受け放題です。
リーズナブルな価格設定も人気の秘訣です。

料金:5,000円/1人〜
https://www.naiteisha.jp/

まとめ

内定辞退は時に防ぎようのない場合もありますが、対策を行えば回避できる内定辞退もあります。

内定辞退を防ぐ対策は、

  • 候補者に企業の魅力をしっかり伝える
  • 内定者の不安を解消する
  • NG行動を避け、信頼関係を維持する

という3つを大きなテーマとし、意義のある施策を行いましょう。ノウハウがない、時間がかけられないという場合は、最後にご紹介したツールやサービスなどの導入も検討してみてください。

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