近年、新卒社員のコミュニケーション能力が低下しているという声を、多くの企業から耳にするようになりました。特に、2023年卒以降のZ世代新卒において、その傾向が顕著に見られます。
一体なぜ、このような状況になっているのでしょうか?本記事では、Z世代新卒のコミュニケーション能力低下がなぜ起こっているのか、その原因を5つの視点から深掘りし、企業に与える影響と、Z世代新卒が身につけるべき3つのコミュニケーションスキル、そして、コミュニケーション能力を高めるための施策について解説していきます。
目次
Z世代新卒のコミュニケーション能力が低下している原因
一体なぜ、Z世代新卒のコミュニケーション能力が低下していると言われているのでしょうか。ここでは、その原因を5つの視点から深掘りしていきます。
アルバイト経験の不足
従来、学生時代にアルバイトを経験することで、お客様とのやり取りや、働く仲間とのチームワークを学ぶ機会が多くありました。しかし、近年は新型コロナの影響もあり、アルバイト経験が少ない学生が増えています。
アルバイトを通じて得られる、対人関係のスキルや社会性を身につける機会が減少していることが、コミュニケーション能力の低下の一因と考えられます。
上下関係に対する認識の薄れ
昔に比べて、上下関係が厳格に求められる環境が少なくなってきました。学校や家庭においても、フラットな関係性が重視される傾向があり、Z世代新卒の中には、職場における上下関係の重要性を十分に理解していない人もいます。
上司への敬意や、先輩社員からの指導を素直に受け入れる姿勢が不足していることが、コミュニケーションの円滑さを阻害している可能性があります。
多様性に対する誤解
多様性を尊重することは非常に重要ですが、中には、多様性を「自分の意見を押し通すこと」と誤解しているZ世代新卒もいます。
多様性を理解せずに、自分の意見ばかりを主張してしまうと、周囲とのコミュニケーションが円滑に進まなくなり、人間関係が悪化してしまう可能性があります。
リモートワークの影響
コロナ禍以降、リモートワークが普及し、対面でのコミュニケーションが減少しました。オンライン会議では、非言語的なコミュニケーションが不足しやすく、誤解が生じやすいという課題があります。
また、常に顔を合わせているわけではないため、上司や同僚との関係性が構築されにくく、職場全体のコミュニケーションが活発に行われないという状況も考えられます。
SNSやゲームの影響
SNSやゲームは、若年層の生活に深く根付いています。これらを通じて、手軽にコミュニケーションを取ることができますが、一方で、顔が見えないコミュニケーションに慣れることで、コミュニケーションスキルが十分に発達せず、リアルな人間関係を築くことが苦手になってしまうケースも考えられます。
コミュニケーション能力の低下がもたらす問題点
コミュニケーション能力の低下が企業にもたらす具体的な影響について、3つの観点から解説していきます。
配属現場で発生するトラブル
Z世代新卒が上司や同僚とのコミュニケーションを円滑に行えないことで、指示の誤解や人間関係のトラブルが発生しやすくなります。また、顧客対応においても、適切なコミュニケーションが取れないことで、クレームに繋がる可能性も高まります。
例えば、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
- 指示や情報の理解不足によるミスや作業の遅延
- 同僚や上司とのコミュニケーション不足による人間関係の悪化
- 顧客対応での適切な言葉遣いや説明の不足による顧客満足度の低下
- 問題発生時の周囲との連携不足による問題の長期化
など、多岐にわたるトラブルを引き起こす要因となり得ます。
企業全体の生産性低下
コミュニケーション能力の低下は、企業全体の生産性を低下させる可能性も高まります。
例えば、
- 必要な情報が適切に共有されないことで、プロジェクトが遅延したり、重複作業が発生する
- チームメンバー間のコミュニケーションが円滑に行えない場合、意見交換が活発に行われず、新しいアイデアが生まれにくい環境となる
このような状況は、イノベーションを阻害し、企業の競争力を低下させることにつながります。
早期離職の発生
コミュニケーション能力が低いZ世代新卒は、職場に馴染めず、孤立感を感じやすい傾向にあります。
上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、人間関係を築くことができないと、職場に所属していること自体が苦痛となり、早期に退職を選ぶケースが見られます。
また、仕事の内容や目標が理解できず、周囲との連携も取れない状態が続くと、仕事に対する意欲が失われ、早期離職へとつながる可能性が高まります。
さらに、入社前に思っていた企業への期待と、現実のギャップが大きい場合、企業に対する不満が募り、早期退職を決意する社員も少なくありません。
Z世代新卒に必要なコミュニケーション能力
新入社員が円滑に職場に溶け込み、活躍するためには、コミュニケーション能力の向上が不可欠です。特に、Z世代と呼ばれる若年層は、デジタルネイティブであり、新しい価値観を持つ一方で、対面でのコミュニケーションに慣れていないという側面も指摘されています。
そこで、新入社員が身につけるべき3つのコミュニケーションスキルについて、詳しく解説していきます。
会話力
会話力とは、相手とのコミュニケーションを円滑にする入り口を見つけるための力です。
単に言葉を話すだけでなく、相手に関心を示し、共感することで、より深い関係性を築くことができます。
例えば、相手のことをよく知るための質問をしたり、相手の話を遮ることなく最後まで聴くといったことが挙げられます。会話力が高い人は、初対面の人ともスムーズにコミュニケーションを取ることができ、幅広い人脈を築くことができます。
ヒアリング力
ヒアリング力とは、相手の話をしっかりと聞き、その意図を正確に理解する能力です。単に言葉を聞くだけでなく、話を引き出したり、質問をすることで相手の伝えたいことを理解します。
例えば、上司からの指示をただ聞くだけでなくわからないことを質問したり、先輩社員の話に対して相槌を打ったりすることで、相手との信頼関係を築くことができます。
また、わからないことをそのままにせず、積極的に質問することで、自身の理解を深められるので成長につながります。
理解・共感力
理解・共感力とは、相手の立場や考え方を理解し、共感する能力です。多様な価値観が共存する現代社会において、異なる意見を持つ人々と円滑にコミュニケーションを取るためには、この能力は不可欠です。
例えば、上司の指示に疑問を感じた場合、自分の意見を率直に伝えることも大切ですが、同時に相手の意図を理解しようと努めることが重要です。「○○という点で、少し疑問に思うのですが、もう少し詳しく教えていただけますか?」といったように、相手の立場を尊重しながら自分の意見を伝えることで、建設的な議論を進めることができます。
内定者・新入社員に必要な3つのコミュニケーションスキルについて解説した資料はこちらからダウンロードできます。
コミュニケーション能力を高める方法
新入社員のコミュニケーション能力を高めるためには、実践的な研修やワークショップの実施が効果的です。ここでは、「会話力」「ヒアリング力」「理解・共感力」それぞれを学べるコンテンツを紹介します。それらを通じて得られる効果と、具体的な内容についてご紹介します。
会話力を身につけるワークショップ
どんな相手でも物怖じしない!雑談チームビルディング
ビジネスで使える雑談の基本テクニックを、実践形式で楽しく学ぶプログラム。
参加者の相互理解を深め、相手の考えや価値観を受け入れることを体感します。
・雑談を通して、参加者同士の相互理解を深める
・相手の考え、価値観を受け入れることを体感する
【内容】
このワークショップでは雑談をする際のポイントを、様々なワークを通し実践的に習得することができます。
雑談を行う際は、相手を知ることが重要です。最初にアイスブレイクとし、様々な質問をし相手のことを知っていく『紹介インタビュー』を実施。
次に、会話を広げるために必要な連想力を鍛えるワーク『連想バンク』を行ったり、雑談を行うためのテクニックを学んだりします。
それらのワークや学習の後、最後には2人1組で実際に雑談を行い、雑談をする2人の他のチームメンバーはその雑談を見てフィードバックをします。
ヒアリング力を身につけるワークショップ
プロMCが教えるヒアリングワークショップ~相手の話をどんどん引き出すテクニック~
相手の話を引き出すプロであるMCからヒアリングのテクニックやノウハウを学ぶプログラムです。「本音ヒアリング」のワークを通して仕事にも活かせるヒアリングスキルを身に付け、参加者同士の相互理解を深めることができます。
・プロのMCが使う「相手の本音を引き出すヒアリングテクニック」を習得します
・ヒアリングを通じて相手との本質的な向き合い方を理解します
・ワークを通して参加者同士の相互理解を深めます
【内容】
このワークショップでは、話を聞く際のポイントを、様々なワークを通し実践的に習得することができます。
ヒアリングを行う際は、相手との信頼関係を築くことが重要です。最初にアイスブレイクとして、今欲しいものやしたい事などをテーマに、質問をして答えを導き出す『ヒアリンクイズ』を実施。
次に、信頼関係を構築するために必要な聞き方を鍛えるワーク『一言感想ワーク』を行ったり、本音を引き出すためのテクニックを学んだりします。
理解・共感力を身につけるワークショップ
多様性・相互理解ワークショップ〜あなたの弱みをみんなで強みに変える!〜
多様性による不必要な摩擦や誤解を防ぐためのコミュニケーションのコツを学びながら、参加者同士の相互理解を深めることができます。
・参加者同士で自分の強みと弱みをシェアし合い、違いを認めるためのワークを通して相互理解を推進することができる
・弱みも視点を変えれば強みとなることを理解することができる
・他者から見える自分の強みや可能性に気づくことができる
・他者からのポジティブなフィードバックにより自分の存在価値に気づくことができる
【内容】
このワークショップでは多様性を認めることはどういったことか座学で学んだ後に、自分の良いところや得意なことを3つ書く『ポジティブキャラクター』、逆に自分の良くない部分・苦手なことを3つ書き出す『ネガティブキャラクター』を実施。
そして、〝心配性=慎重である〟などとネガティブな部分をポジティブに変換する『キャラクターデトックス』を行います。
また、最後に「もし自分が○○さんだったら」と仮定し、他の参加者がその人になった場合したいことをシェアする『もしも、私があなたなら…』というワークを行うことで、より広い視野で物事を考えられるように促します。
まとめ
本記事では、Z世代新卒のコミュニケーション能力低下がなぜ起こっているのか、その原因と企業に与える影響、そして、Z世代新卒が身につけるべき3つのコミュニケーションスキルと、コミュニケーション能力を高めるための施策について解説しました。
これらの情報を参考に、企業はZ世代新卒の育成に力を入れることで、より良い組織づくりを目指していきましょう。
ぜひ、バヅクリの研修 / ワークショップでコミュニケーションスキルの習得を検討されてみてはいかがでしょうか。