近年、組織の課題として挙げられるものの一つに、社内のパワハラ、パワーハラスメントがあります。そしてそのパワハラが生じる原因として、社員のアンガーマネジメントスキルが注目されている。
本記事では、アンガーマネジメントの効果やそれを身に付ける研修についてご紹介します。

アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントとは、「怒りを管理する方法」のことです。怒らないことではなく、怒りの感情と上手に付き合うことや、そのトレーニングを意味します。

怒りは、その破壊的な面だけ見ると、良くない感情であるというイメージがありますが、人を動かすモチベーションとして有効活用できるという側面もあります。
そのため、アンガーマネジメントでは、「怒らない」ことを目指すのではなく、怒るべき時には上手に怒り、そうでない時は無駄に怒らなくて済むようなスキルを身に付けることを目指します。

アンガーマネジメントが注目されている背景

アンガーマネジメントが注目されている背景

それでは、アンガーマネジメントが注目されるようになった背景について見ていきましょう。

価値観の多様化

まずは、人々の価値観の変化、多様化が挙げられます。
インターネットが普及し、多くの情報が入手できるようになった現代において、様々な価値観やライフスタイルを互いに認め合う社会へと変化してきています。

特に昨今ではZ世代と呼ばれる、スマホネイティブ・デジタルネイティブの世代が社会に出てきています。この世代は、SNSなどを通じて世界中の様々な文化や考え方があることを知っているため、価値観や人間関係の多様性に柔軟で、自身もまたそれらに影響された価値観を形成しています。

図:株式会社RASHISA実施「Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査」より

しかし、インターネットに親しみがなくそういった素地がない人は、Z世代などの多様な価値観を受け入れる世代と異なり、自分の価値観以外を受け入れがたいと感じる人もまだ多く存在します。
そういった人たちが怒りを爆発させ周りに迷惑をかけたり、ストレスを溜め込んでしまわないようにアンガーマネジメントが注目されています。

ハラスメント防止

また、ハラスメントに対して社会が敏感になっていることも背景として挙げられます。
上司が部下に対して教育のつもりで叱ったとしても、叱られた相手や周囲の人々によってはハラスメントとみなされる可能性があります。またその結果、パフォーマンス低下やメンタル不調に繋がりかねません。

こうした社会的な要請もあり、パワハラの抑制効果を持つアンガーマネジメントが求められるようになっています。

アンガーマネジメントによる効果

アンガーマネジメントによる効果

アンガーマネジメントができるようになると、当人や組織にどのような効果が生まれるのでしょうか。
いくつか具体例をご紹介します。

良好な人間関係の構築

怒りをマネジメントできるようになることで、周囲と良好な人間関係を構築できるようになります。怒りの感情をそのまま相手にぶつけてしまうと、ぶつけられた相手はストレスを感じてしまい、コミュニケーションに不要な壁ができてしまいます。

例え自分がストレスに感じるようなことがあったとしても、怒りを抑え、落ち着いて自分の意図を相手に伝えることで人間関係が良好になり、結果として自身や組織のパフォーマンスも向上します。

時間の有効活用

怒りをコントロールできるようになることで、怒りに身を任せて行動することが減り、無駄な行動が少なくなります。

それによって、本来やるべきことに時間を使えるようになり、時間を有効活用できるようになります。

物事を冷静に判断できるようになる

アンガーマネジメントがうまくできるようになると、理性が働きやすくなり、冷静な状況で物事を判断することに繋がります。
業務では難しい判断を必要とする局面も多く、冷静に判断することで間違った決断を行い、ミスに繋がる可能性を減少させることができます。

アンガーマネジメントの実践方法

アンガーマネジメントの実践方法

ここでは、アンガーマネジメントの実践方法について、簡単にご紹介します。

【方法1】6秒カウント

怒りは、生じてから6秒がそのピークであると言われています。6秒をすぎると、怒りは徐々に減少していきます。
そのため、怒りを感じたら6秒自分の中でカウントする、「6秒カウント」が有効であると言われています。
深呼吸をして心を落ち着かせたり、その場を離れることも有効です。

【方法2】「~すべき」という概念をもたない

人間は多くの人が、「~するべき」という価値観を持っていて、更に他人がその考えと異なっている場合に怒りを感じやすい傾向にあります。

自分が考える「~するべき」と、他人が考える「~するべき」の間にはギャップが存在する可能性があることを理解することが重要です。

自分でできることに集中する

さらにアンガーマネジメントの手法として、自分の力でコントロールできないものにエネルギーを使わないというものがあります。
自分で行動できることにのみ目を向け、自分の力で行動のコントロールができないものに関しては、必要以上のエネルギーを使わないようにすることで、怒りをおさえることができます。

アンガーマネジメント診断

アンガーマネジメントにおいては、自分がどのようなことで怒りが生じるのかなどの怒りのタイプを把握することが重要です。

一般社団法人任本アンガーマネジメント協会が考案した「アンガーマネジメント診断」は、無料で誰でも受けることができ、12項目の質問に答えるだけで自分の怒りのタイプを知ることができるため、こちらも試してみてはいかがでしょうか。

無料アンガーマネジメント診断

アンガーマネジメントの習得方法

それでは、アンガーマネジメントを習得するための方法についてご紹介します。

本を読む

アンガーマネジメントを習得する際には、文字で理解することも効果的です。
研究や事例、図解などを交えて説明されている書籍は、アンガーマネジメントの理解を促進させるでしょう。

研修を受ける

また、アンガーマネジメントは研修によっても身に付けることができます。
研修サービスでは、体系化されたノウハウをもとに実践的なコンテンツも充実しているため、アンガーマネジメントを効率的に身に付けることが出来るでしょう。

アンガーマネジメント研修なら、バヅクリ

アンガーマネジメント研修

感情の中でも扱うのが難しいとされる「怒り」のマネジメントを学ぶ研修です。ハラスメントに怯えることなく、また一方で強く言い過ぎることもなく、どう部下に関わっていくと良いかを、実践ワークを通じて考え習得します。
怒りのメカニズムの理解と共に、自分自身の感情の癖も把握し、感情に流されない適切な指導ができるようになれる部下育成力を身に付けます。

  • ついイライラしてしまい、上手に部下を叱ることができない
  • 適切な部下指導ができるようになりたい
  • 自分の怒りをコントロールできず、職場の空気も悪くなってしまう

こういった部下との関わり方に関する悩みを解決いたします。

マネジメントをしている管理職やチームリーダーの方、後輩社員の指導やOJTトレーナーを担う方を対象とした研修です。

まとめ

本記事では、アンガーマネジメントの効果やその習得方法についてお伝えしました。
自社の組織的な課題、特に社員間でのパワハラなどにお悩みの場合は、アンガーマネジメントの研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。