人材不足や多様な働き方への対応が求められる現代、限られた人材をいかに戦略的に活かすかが企業成長の鍵となっています。
そんな中注目されているのが、社員一人ひとりのスキルや志向をデータ化・可視化し、適切な配置・育成・評価を可能にする「タレントマネジメントシステム」です。
本記事では、タレントマネジメントシステムの主な機能と導入のメリット、失敗しない選定のポイントを解説します。
目次
社員の強みを引き出し、組織を成長させる研修ならバヅクリ
バヅクリのタレントマネジメント研修は、対話を重視したプログラムを通じて、社員一人ひとりの強みを活かし、組織の成長を加速させるスキルを習得できます。
アクティブラーニングを活用し、実践的なワークやディスカッションを通じて、人材の適材適所やエンゲージメント向上の手法を学びます。
単なる理論の習得ではなく、リアルな企業事例をもとにしたケーススタディやフィードバックを取り入れ、現場ですぐに活かせる戦略的なマネジメントスキルを養うのが特徴です。
タレントマネジメント系の研修をご検討中の方は、ぜひバヅクリまでお問い合わせください。
タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、社員一人ひとりのスキルや経験・価値観・キャリア志向といった情報をデータ化し、一元して管理・分析することで、戦略的な人材育成や人材配置を行う取り組みのこと。
タレントマネジメントが注目されている背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、働き方改革の推進など、日本社会における職場・働き方の変化があります。
大量に人を採用することが難しく、また多様な働き方や価値観に対応した人材マネジメントが求められている今、すでに在籍している従業員のタレント情報 = スキルや経験・価値観・キャリア志向を的確に把握し、戦略的に活用することが、企業の成長を支える重要な鍵となっています。
タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントシステムとは、従業員のタレント情報を集約し、全社的に共有・活用できるようにするためのITシステムのこと。
このシステムを導入することで、人材配置や育成・評価・リーダー候補の発掘などといった組織開発を戦略的にできるようになります。
従来の人事評価システム・人事管理システムは、人事評価や資格・職歴といった情報の管理に特化していました。
一方、タレントマネジメントシステムはそれだけにとどまらず、従業員の働き方に対する価値観や得意な仕事のスタイルといった本人のタレント = 資質や才能に関わる情報を含めて管理できます。
タレントマネジメントシステムの機能とは

タレントマネジメントシステムには、戦略人事(企業の経営戦略と人材戦略を連携させ、人材マネジメントを通じて企業の成長を図る取り組み)を実現するために必要な機能が揃っています。
ここでは、タレントマネジメントシステムの主な機能について紹介します。
人材データベースの管理
タレントマネジメントシステムには、従業員の基本情報やスキル、職歴、資格などを集約し、簡単に検索や更新ができる人材データベース管理機能があります。
タレントマネジメントは、すべての従業員を対象に実施することもあれば、幹部候補や専門人材に絞って実施することもできます。
対象が広いほど組織全体の最適配置が可能になりますが、データ管理が煩雑になりがちなため、データの表記揺れや更新漏れを防ぐ機能、一括更新をスムーズに行える機能などが必要になります。
一方、ハイパフォーマー向けにタレントマネジメントを実施する場合は、本人の特性やキャリア観など、より詳しい情報を管理できるシステムが望ましいでしょう。
人事異動・配置のシミュレーション
タレントマネジメントシステムには、スキル・経験・キャリア志向などの情報を活用した異動・配置のシミュレーション機能があります。
必要な条件を設定して該当人材を瞬時に抽出できるため、適材適所の人材配置がスピーディに行えます。
また、部署ごとの人数や年齢構成、勤続年数、人件費といった統計も同時に確認できるため、組織のバランスを確認しながら人材配置を検討することが可能です。
人事評価・目標の管理
人事評価・目標管理の機能を活用することで、従業員ごとの目標設定・進捗・達成度を一元管理できます。
自社の評価制度に合わせてテンプレートを使い、従業員それぞれの業績や行動を評価・管理することが可能です。
また、組織や部署単位での評価データを集計すれば、チームごとの傾向を分析できます。
さらに、優秀社員のコンピテンシー(成果を生み出す行動特性)を抽出し、評価基準として活用することで、再現性のある人材育成と公正な評価体制を実現できます。
アンケートの作成
タレントマネジメントシステムの中には、従業員の声を収集・分析するアンケート機能が搭載されているものもあります。
モチベーション調査や従業員満足度調査(ES調査)など、多様なテーマのアンケートを作成できるほか、アンケートの回収率を上げるリマインド機能や、集計結果を簡単に確認できる機能など、調査を効率的に実施できるものが備わっていることも多いです。
こうして集めたアンケート結果をもとに、職場環境の改善やエンゲージメント向上施策に活かすことで、離職防止や組織の活性化にもつながります。
タレントマネジメントシステムを導入するメリット

タレントマネジメントシステムを導入するメリットは、単に従業員の情報を可視化・管理できるだけではありません。
個人の強みやキャリアの希望と、会社としての成長戦略を紐づけ、戦略的に人材を活かす仕組みづくりが可能になり、結果的に組織全体のパフォーマンスが向上するようになります。
ここではタレントマネジメントシステムを導入するメリットを4つの視点で解説します。
適切な人材配置
タレントマネジメントシステムを導入することで、適材適所の人材配置が可能になり、離職率の低下や定着率の向上につながります。
タレントマネジメントシステムには従業員に対して「本人が得意とする業務」「望むキャリア」「向いている働き方」などの情報が登録されているため、それらの適性を考慮した上で人材配置を行えるようになります。
一人ひとりが本人の強みを発揮できる場で活躍できるようになれば、モチベーションや満足度も向上し、高い生産性を維持して働くようになるでしょう。
反対に、勘と経験に基づいた人材配置を行うと、能力を活かせずに退職する人材が出てしまい、結果として組織の競争力が落ちていきます。
計画的な人材育成
タレントマネジメントシステムの導入によって、全社的な人材の傾向分析ができるようになります。
これにより、自社に足りない人材像も浮かび上がるため、無駄のない採用と育成が可能です。
これがないと、漫然とした研修や育成が続き、教育投資の効果が見えにくくなります。
人材発掘
タレントマネジメントシステムでは、現状の働きぶりだけではなかなか見えにくいスキルや強みを発掘できます。
たとえば、今いる営業部門では目立った実績をあげていないものの、データ分析のスキルに長けた社員がいた場合、彼を別のプロジェクトに登用すれば、より高い成果をあげられるようになるかもしれません。
タレントマネジメントシステムによってこうした個人の強みを発掘し、再配置を促すことができれば、外部からハイスキルな人材を採用せずに済みます。
その結果、いま社内にいる人材だけで組織を成長させられるようになります。
モチベーションの管理
曖昧な評価や不本意な異動は、社員のやる気を削ぎます。
タレントマネジメントシステムを使うことで、個々のスキルやキャリアプランに沿った人材配置・目標設定ができるようになり、モチベーションの維持・向上につながります。
また、定期的なフィードバックも本人の特性や希望に基づいて行われるようになるため、心理的安全性が担保されやすくなります。
タレントマネジメントシステムを選ぶコツ

タレントマネジメントシステムは、多くの便利な機能が搭載されている一方で、複数の製品を比較・検討せずに選ぶと、導入してから「使いこなせない」「課題が解決しない」といったミスマッチが起こることもあります。
ここではそんな失敗を避けるために、タレントマネジメントシステムを選ぶポイントを解説します。
必要な機能が搭載されている
タレントマネジメントシステムは、製品ごとに機能や強みが大きく異なります。
たとえば人材育成に重点を置く企業には、目標管理やスキルマップ機能が必要です。
一方、人材配置を最適化したい企業には、シミュレーション機能をより多く使うことになるでしょう。
まずは自社の課題やタレントマネジメントの目的を明確にし、その課題解決や目的達成のために必要な機能をリストアップしましょう。
すべての機能を網羅する必要はなく、「何を達成したいのか」に合った製品を選ぶことが、導入後の成果を最大化する鍵になります。
セキュリティレベルを精密にコントロールできる
タレントマネジメントシステムには、社員の経歴や評価、キャリア志向といった機密情報が登録されています。
これらの情報が外部に漏れれば、企業の信頼は一気に失われるため、二段階認証やIP制限、役職ごとのアクセス権限設定といった設定を細かくできるものがおすすめです。
特に上司は部下の情報を見られても、部下は同僚の情報にアクセスできないなど、階層ごとのアクセス制御が緻密にコントロールできるものを選びましょう。
サポート体制の充実
タレントマネジメントシステムの導入後、「使い方がわからない」「データ移行で不具合が出た」といったトラブルは必ず発生するものです。
そこで、初期設定や操作説明、カスタマイズ相談など、システムベンダーによる手厚いサポートがあるか事前に確認しましょう。
導入前にトレーニングプログラムが用意されている、運用中にチャットや電話で即対応できる体制があるなど、十分にサポートがあれば、社内の運用もスムーズに進む可能性が高まります。
おすすめのタレントマネジメント

ここではおすすめのタレントマネジメントシステムを紹介します。
カオナビ
サービス名 | カオナビ |
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製品サイト | https://www.kaonavi.jp/ |
提供会社 | 株式会社カオナビ |
料金 | 要見積もり |
「カオナビ」は、社員の顔写真やスキル、評価などの人材情報を一元管理し、可視化するタレントマネジメントシステムです。
人事出身の創業者が開発しており、人事の深い知見と人事トレンドを反映した機能・サービスを提供しています。
導入企業は4,000社以上、カオナビユーザーが集うコミュニティでは蓄積されたナレッジ・ノウハウが共有され、他社の動向や活用方法を参考にしながらタレントマネジメントを実施できます。
タレントパレット
サービス名 | タレントパレット |
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製品サイト | https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/ |
提供会社 | 株式会社プラスアルファ・コンサルティング |
料金 | 要見積もり |
「タレントパレット」は、あらゆる人事データを一元化し、人事戦略の意思決定につなげるタレントマネジメントシステムです。
AIを活用した機能が充実しており、社員データに基づいたメンバー紹介文の自動生成や、キャリアアドバイスの提案など、様々な切り口でタレントマネジメントの実行を支援します。
大手実績No.1(※デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「HRTechクラウド市場の実態と展望2023年度版」ユーザー規模別人事・配置クラウドベンダー売上高より)と、大手企業によく利用されているツールの一つです。
One人事
サービス名 | One人事 |
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製品サイト | https://onehr.jp/ |
提供会社 | One人事株式会社 |
料金 | 要見積もり |
「One人事」は、労務管理、勤怠管理、給与計算からタレントマネジメントまで、人事労務業務をワンストップで支援するシステムです。
大手企業や官公庁を中心に、有償利用ユーザー数は60万人以上。
入社から退職までの全プロセスを一元管理し、複数システム間のデータ連携不足による情報分散を解消します。
タレントマネジメント機能では、人事評価、KPI設定、人材育成、スキル管理、エンゲージメント、離職防止など、組織の人的資本経営を強力にサポートします。
HRBrain
サービス名 | HR Brain |
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製品サイト | https://www.hrbrain.jp/ |
提供会社 | 株式会社HRBrain |
料金 | 要見積もり |
HRBrainは、人事評価、人材データ管理、組織分析などを包括的にサポートするタレントマネジメントシステムです。
使いやすさを重視したシステム設計が特徴で、これまでに3,000社以上の企業で導入されています。
タレントマネジメントシステム・スキル管理システム・人事業務アプリ・組織診断サーベイなど様々なプロダクトが用意されており、自社が抱える課題に合わせて必要な機能を選んで使うことができます。
SmartHR
サービス名 | SmartHR |
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製品サイト | https://smarthr.jp/ |
提供会社 | 株式会社SmartHR |
料金 | 要見積もり |
SmartHRは、入社手続きや雇用契約、給与明細の配布、年末調整などの労務業務を効率化する労務管理クラウドシステムです。
人事評価やスキル管理、従業員サーベイなどのタレントマネジメント機能を備え、従業員データの一元管理ができます。
初期導入費用・サポート費用ともに無料で、月額使用料以外の追加料金がかからないシンプルな料金設定も魅力です。
タレントマネジメントの実践にはシステムだけでは不十分!
タレントマネジメントを実践するには、自社の従業員一人ひとりが、自身の強みや好きなこと、望むキャリアを理解していることが重要です。
高額なシステムを導入しても、入力するデータが従業員の真意を反映した信頼できるものでなければ、本当の意味でのタレントマネジメントは達成できません。
そのためタレントマネジメントを行う際には、システム導入と並行して研修などを行い、社員自身が自身の強みを確認する場をつくるようにしましょう。
タレントマネジメントを支援するワークショップ
バヅクリは200種類以上のプログラムを用意しており、グループワークや対話をメインに構成されているのが特徴です。
多様性・相互理解ワークショップ

・多様性による不必要な摩擦や誤解を防ぐためのコミュニケーションのコツを
学びながら、参加者同士の相互理解を深める
・他者からのポジティブな評価のフィードバックによる心理的安全性の向上
このワークショップでは、自分と他社の理解を深める実践的な学習を提供します。
まず、多様性の重要性を座学で学んだ後、自分の長所や短所を整理する「ポジティブキャラクター」「ネガティブキャラクター」のワークを実施。
続いて、短所をポジティブにとらえ直す「キャラクターデトックス」を行い、最後に他社の視点を体験する「もしも、私があなたなら…」を実践します。
ワーク中心のプログラムにより、受講者が主体的に学び、自己理解と相互理解を深めることで、組織のコミュニケーションとダイバーシティの促進につながります。
スキルシェアワークショップ
本ワークショップでは、自分の「好き」や「得意」を見つめ直し、現状とのギャップを可視化することで、理想の働き方を考えます。
まず、プライベートとビジネスの両面で「好きなこと」「得意なこと」を洗い出し、自社との関わりやキャリアの方向性を整理。
さらに、評価とやりたい仕事のバランスを分析し、ウェルビーイングな環境で働くために必要な要素を明確化します。
また、参加者同士で意見をシェアすることで、お互いの価値観やスキルを理解し、苦手な部分を補完し合える関係を築くきっかけをつくります。