近年注目を集めているキャリアデザイン。
その重要性や具体的な方法、キャリアデザインの支援を行っている企業の事例をご紹介します。
働き方の多様化が進む今、どの年代・役職にとってもキャリアデザインは重要なものです。
キャリアデザインを行うことで、従業員側だけでなく企業側も様々なメリットを得られます。
ぜひ組織を挙げ率先して、従業員のキャリア形成のための支援を行いましょう。

キャリアデザインとは

キャリアデザインを行う社員

キャリアデザインは自己の職業人生、つまりキャリアについて自分自身で考え設計し積み上げていくことを指します。
キャリアデザインを行う際は将来のプランを立てて終わりではなく、それを実行し達成することを重視しましょう。

キャリアデザインが注目を集める背景

キャリアデザインが注目を集める背景には、終身雇用の崩壊や、年功序列を重視した人事評価の制度が減少してきたことなどによる、働き方の変化があります。

また、人生100年時代と言われる今、以前よりも働く期間が長くなり、シニア社員と呼ばれる従業員が出現したことも理由の1つです。

キャリアデザインのメリット・デメリット

キャリアデザインを行うことで、

  • 早期離職の防止
  • 退職の防止
  • 組織強化
  • 人生100 年時代を見据えた働き方の実現
  • モチベーションアップ
  • エンゲージメントアップ

などのメリットがあります。

しかし、キャリアデザインを行うことにより、従業員の転職を後押ししてしまうリスクも考えられます。
また、昇進や昇給の目的化を招くことで、従来の制度・基準から新しいものへ一新しなければならない場合もあるでしょう。
しかし、制度や評価基準を時代や従業員に合ったものにすることは、働きやすい職場やモチベーションを高く働ける環境を作るために必要なことです。

キャリアデザインの効果・メリット、注目を集める背景について詳しくはこちら

キャリアデザインの設計方法

キャリアデザインの設計

キャリアデザインの設計方法やそのポイントを解説していきます。
1人でできることや、2人など少人数でできることばかりです。

1. 過去を振り返る

過去を振り返ることで自己分析ができ、自分への理解を深められます。
自己理解を深めることで、どのような働き方が自分に合っているか、自分が心地いいライフワークバランス、どのようなキャリアパスを描けばいいかなどが明確に分かるようになります。

2. 信頼性の高い心理テストや適性検査を行う

自己理解を深める方法として、心理テストや適性検査を受ける方法もあります。
自分では気づけなかった強みや適性、現状の把握に繋がります。

3. 周囲からフィードバックをもらう

強みやクリアすべき課題、伸ばすと良いスキルなど、自分自身のことは意外とよくわからないものです。
上司や先輩など周囲からフィードバックをもらうことで、客観的な意見を取り入れキャリアプランニングを行うことができます。
近しい人にフィードバックをもらうことに抵抗を感じる場合や、深いアドバイスが欲しい場合は、人材育成のプロや、キャリアカウンセリングからフィードバックをもらうことをおすすめします。

4. 将来の目標やありたい姿、なりたい自分を書き出す

将来の理想の自分を描きます。
遠い未来が思い描けない人は近い未来でも構いません。
また、理想像は自由に描きましょう。

5. キャリアステップを考える

理想の自分になるためにキャリアパスをどのように行うかを考えます。
どのようなキャリア選択をするべきかは、その人の適性や、年代、現在の役職などにより異なるでしょう。

出産や子育てなどがキャリア形成に大きな影響を与える女性は、ライフイベントの発生も含めキャリアステップを考える必要があります。

女性向けキャリアデザイン研修について詳しくはこちら

6. 今自分がやるべきことを決める

キャリアアップのためどのようなステップを踏むか考えた後は、今やるべきことをリストアップし洗い出します。
このステップでは「資格を取る」「エクセルのスキルを上げる」などより具体的に目標設定をしましょう。
ただ理想を描くだけでなく、目標達成をするために重要なことです。

キャリアデザインを支援する施策

キャリアデザインの支援

先ほどご紹介したように1〜2人で可能なキャリアデザインの方法もありますが、企業側が支援することでより効率的に、質の良い取り組みにすることが可能です。

上記でご紹介したように、キャリアデザインを行うことでモチベーション向上、エンゲージメントアップなど企業側にも得られるメリットがたくさんあるので、ぜひ積極的に取り組みたいものです。
また、新入社員のうちからキャリアについて考えるクセを付けることで、自律型人材の育成にもなります。

企業側が従業員のキャリアデザインを支援するために実施できることは以下です。

1. コーチング

目標達成に向け行動する際、セルフマネジメントだけでは、途中で自分のしたいことが分からなくなったり、選ぶべき道が分からなくなったりすることがあります。
その際、質問や考察、提案を投げかけながら相手の内面にある答えを引き出すコーチングを行うことで、その答えを導き出すことができます。
コーチングは1人で行えるものではありませんから、企業側が支援を行いましょう。

2. キャリアデザインを支援する人事制度(自己申告制度、社内公募制度など)

組織でキャリアアップ支援に取り組む場合は、新しい人事施策に取り組むことや、人事制度を変更することも必要になる可能性があります。
ジョブローテーションを回し従業員の可能性を引き出すための施策や、希望するキャリアを形成しやすくなる施策など、モチベーション高くキャリア形成に取り組める仕組み・環境づくりを行いましょう。

3. キャリア面談

面談を行うことで、従業員1人1人に合ったキャリアデザイン支援を行うことができます。
面談は周囲を気にすることなく、本音でキャリアについて考え、相談できる時間です。
面談担当者は上司や先輩などの他、従業員のロールモデルとなる人材に任せると、実体験からアドバイスをもらえたり、深い相談ができたりと、大変役立つ時間となります。

4. 目標管理制度

シートを作成するなどし、目標達成の度合いや、取り組むべきことが可視化できる仕組みを作りましょう。

5. キャリアデザイン研修

キャリアデザイン研修は、キャリア形成の知識や方法を学ぶための研修です。
階層によって学ぶべきことは異なるので、階層別研修とすることをおすすめします。

研修を行うことで知識が身につくだけでなく、受講者間でコミュニケーションを取れる機会を設けると、従業員同士の横の繋がりができるのもメリットです。
共に頑張る仲間がいると認識することで、前向きにキャリアップに取り組めるようになります。

研修は集合型研修、オンラインでの研修、e ラーニングを用いた研修など様々な方法があります。
公開型講座では、外部の社員と交流を深め刺激を受けたり、コネクションを得たりすることができます。

研修サービスの活用がおすすめ

キャリアデザイン研修を実施する際には、研修サービスの活用がおすすめです。
研修実施には、時間や人のコストがかかりますがサービスを活用することで、社内負担を大幅に削減できます。
また、プロを講師として招ける点もメリットです。

研修やワークショップの企画・運営を行うバヅクリなら、社内負担を85%もカットでき、その業界のプロが講師を務めるので深く学べ、参加者が「楽しい」と前向きに受講できる研修を提供してくれます。

バヅクリを活用し実施できる、キャリアデザインを目的としたおすすめのプログラムをいくつかご紹介します。

キャリアデザイン研修
キャリアデザイン研修
出典:バヅクリ

新入社員や若手社員向けのキャリアデザイン研修です。
変化に柔軟に対応できるキャリアの考え方を、内省・可視化・整理・相互理解を通しグループワーク形式で学び、仕事に対するモチベーション向上を目指します。
同プログラムは4時間で完結する未来創造編と、6時間かけて行う現在&未来創造編に分かれています。

目標設定マインドフルネス
目標設定マインドフルネス
出典:バヅクリ

マインドフルネスとは、仏教の瞑想をもとに宗教的要素を取り除いたストレス軽減方法です。
マインドフルネスと、キャリア形成に必要な目標設定を掛け合わせて行うことで、本音を引き出しより前向きに取り組める目標を設定できます。

キャリアデザインのためのワークショップについて詳しくはこちら

キャリアデザインの支援に成功した企業事例

キャリアデザインの支援に成功した企業

最後に、キャリアデザイン支援に成功した企業の事例をご紹介します。

1. 株式会社みずほフィナンシャルグループ

株式会社みずほフィナンシャルグループでは、社員に自律的にキャリアデザインができる人材になって欲しいとし、キャリア支援を目的として、

  • キャリアデザイン研修
  • キャリアアドバイザー相談制度
  • キャリアオンライン座談会

を実施・導入しています。
また、1人1人が専門性向上と能力発揮をするためには、上司のマネジメントが大きな影響を与えると考え、マネジメント研修を実施するなど、上司力強化に取り組んでいます。

参考:人材育成

みずほフィナンシャルグループ

2. 伊藤忠商事

伊藤忠商事では、キャリアカウンセリング室を設け、新入社員から管理職まで全従業員のキャリアに関する相談・支援を行っています。
カウンセラーは全員がキャリアコンサルタントの国家資格を保有。
年間700件以上の相談があり、守秘義務を徹底したカウンセリング室で周囲を気にすることなくキャリアプランを考えることができます。

また、人材募集案件リストを見て異動希望を上司に申告できる「チャレンジ・キャリア制度」の導入や、総合職に就く若手社員のジョブローテーションを回すため「ローテーションガイドライン」を制定するなど、それぞれが思い描くキャリアが実現しやすい仕組みを作り、自律的にキャリアパスを思い描ける人材の育成を目指しています。

参考:人材育成

伊藤忠商事

3. 大阪ガス株式会社

大阪ガス株式会社では、・目指すべき人材像、育成段階に応じてコースを設定。
課長相当以上に当たる

  • 組織経営・経営コース
  • 組織経営スペシャリストコース

と、副課長相当~一般社員に当たる

  • マイスターコース
  • マネジメントコース
  • プロフェッショナルコース
  • ゼネラルコース
  • スペシャリストコース
  • ゼネラル / スペシャリストコース

の各育成コースに合わせた人事制度を導入しています。

また、コースや入社年数に合わせた研修、自らの仕事ぶりや適性を見直す面談、45歳・53歳のタイミングでセカンドキャリアについて考える研修などを実施しています。

参考:大阪ガス 株式会社

4. 株式会社千代田設備

社員成長支援を、一年間どんな勤務態度で・どんな知識技術を習得し・どんな業務を行い・どんな成果を上げればよいのかを職種・階層別にまとめた基準シート「成長シート」を用いて実施。
上司からフィードバックをもらい、二人三脚で成長を目指します。

シートを導入してから、自律的にキャリアについて考える従業員が増え、資格取得に励む社員の数が一年目で60%増加しました。
また、定着率も80%から90%へ増加しました。

参考:株式会社 千代田設備

まとめ

キャリアデザイン研修を行うことで、モチベーションやエンゲージメントの向上に繋がり、従業員だけでなく企業側もメリットを得られます。
キャリアデザインは大変注目されており、他社の事例からも分かるように、多くの企業がキャリアデザインのための支援を行っています。
ぜひ、キャリアデザインを行う時間を設け、働き方が多様化するこの時代に、モチベーション高く活躍できる社員の育成に取り組みましょう。