バヅクリではエンゲージメントを高め、離職を防止するための研修やワークショップを200種類以上ご用意しています。ぜひ貴社のエンゲージメント向上施策の参考にしてみてください。
バヅクリのサービス資料を無料ダウンロードする>>
「社員の退職が止まらない…」 「採用コストばかりかかって、会社への負担が大きすぎる…」このような悩みを持つ人事担当者も多いのではないのでしょうか。
従業員の定着率向上に効果的なのが、「エンゲージメント」を高める取り組みです。
本記事では、エンゲージメントと離職率の関係性を、データや企業事例を交えながら分かりやすく解説していきます。
目次
エンゲージメントとは
エンゲージメントの定義
エンゲージメントを一言で表すと、「会社に対する愛着心や思い入れ、貢献意欲」と言い換えられます。 従業員一人ひとりが、会社や仕事に対して、どれほど強い愛着や想い入れを持ち、自発的に貢献しようという気持ちで働いているかを示す言葉です。
エンゲージメントについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
エンゲージメントとは?企業における意味や重要性・向上ポイント・他社事例などを解説
従業員満足度との違い
エンゲージメントと混同されがちな言葉に「従業員満足度」があります。どちらも従業員のモチベーションに関わる重要な要素ですが、明確な違いがあります。
従業員満足度
給与、福利厚生、労働時間など、労働環境に対する満足度を表します。
エンゲージメント
会社や仕事への愛着心、貢献意欲、共感など、より内面的な部分を指します。
従業員満足度は、あくまで労働環境に対する満足度であり、満足度が高くても、必ずしもエンゲージメントが高いとは限りません。例えば、給与や待遇に満足していても、仕事への意欲や会社への愛着心が低ければ、エンゲージメントは低いと言えます。
従業員満足度についてもっと知りたい方はこちらをご覧ください。
従業員満足度(ES)とは?なぜ高めるのか、その方法まで解説
エンゲージメントを高めるメリット
従業員のエンゲージメントを高めることは、企業にとって多くのメリットをもたらします。
生産性の向上
エンゲージメントの高い従業員は、受け身の姿勢ではなく、自ら考え、積極的に行動を起こします。この主体的な働き方は、質の高いアウトプットと効率的な業務遂行に繋がり、結果として組織全体の生産性向上に貢献します。
エンゲージメントと業績や生産性に相関はあるのか? データに基づく関係性と効果的な施策を紹介
離職率の低下
エンゲージメントの高い従業員は、会社や仕事に強い愛着と誇りを持っています。そのため、待遇面だけで転職を検討することが少なくなり、長期的な人材の定着に繋がります。貴重な人材と経験を失うリスクを減らし、採用・教育コストの削減にも貢献します。
顧客満足度の向上
エンゲージメントの高い従業員は、顧客に対してもより良いサービスや商品を提供しようとします。彼らの熱意や顧客に対する思いやりは、顧客満足度の向上に繋がり、企業の成長を力強く後押しします。
企業ブランドの向上
エンゲージメントの高い従業員は、自社の商品やサービス、そして企業理念に共感し、誇りを持っています。彼らは、その想いを言葉や態度で自然と表現するため、社内外に対する企業ブランドの向上に大きく貢献します。
イノベーションの創出
エンゲージメントの高い従業員は、現状維持に満足せず、常に新しいアイデアや改善策を提案しようとします。この積極的な姿勢は、イノベーションを促進し、企業の競争力強化に繋がります。
日本企業はエンゲージメントが低い
実は、日本企業の従業員エンゲージメントは、世界的に見ても低い水準と言われています。
ギャラップ社の最新のレポートによると、2023年の日本の従業員エンゲージメントは前年から1ポイントアップしたものの、わずか6%(世界平均23%)で、調査対象の139カ国中137位と、エジプト(6%)、香港(6%)と並び世界で最下位となっています。
またギャラップ社のレポートでは、エンゲージメントを高めると離職率や生産性、収益性が向上すると述べられており、これからの日本企業を救う鍵はエンゲージメントにあると言えるかもしれません。
(参考:State of the Global Workplace: 2024 Report.)
エンゲージメント向上は離職率の低下と相関があるのか
エンゲージメントを高めるメリットとして、よく言われているのが「離職率の低下」ですが、果たしてそれは本当なのでしょうか。
エンゲージメントと離職率の関係性については、数多くの調査機関や企業が分析を行っています。ここでは、エンゲージメントと離職率の関連性を示す具体的な調査結果をいくつかご紹介します。
株式会社リンクアンドモチベーションによる調査結果
株式会社リンクアンドモチベーションは慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室と共同で「エンゲージメントと退職率の関係」に関する調査を行いました。
その調査の結果、エンゲージメントと退職率には負の相関が見られ、
- エンゲージメントスコアが高いほど離職率が低い傾向にある。
- エンゲージメント向上は、業務遂行を担う「メンバー層」だけでなく、管理監督を担う「ミドル層」の退職率低下にも寄与する。
ということが分かりました。
エンゲージメントを高めることで離職率の低下が期待できる調査結果となっています。
(参考:「エンゲージメントと退職率の関係」に関する研究結果を公開)
CEB(Corporate Executive Board Company)による調査結果
アメリカのコンサルティング会社CEB社の調査でも、従業員エンゲージメントと離職率の間には、明確な負の相関関係が見られています。
エンゲージメントが高い従業員の1年以内の離職率はわずか1.2%であるのに対し、エンゲージメントが低い従業員では9.2%と87%も高くなっています。
つまり、エンゲージメントを高めることで離職率を低下させることが期待できる調査結果となっています。
この結果からも、従業員エンゲージメントを高めることは、人材の定着を促進し、企業の成長に貢献する重要な要素と言えるでしょう。
(参考:CBE Driving Performance and Retention Through Employee Engagement)
厚生労働省による調査結果
エンゲージメントと離職率の関係については、厚生労働省も令和元年の「労働経済の分析」でレポートを出しています。
調査結果によると、従業員のエンゲージメントが高い企業ほど、離職率が低下する傾向があることがわかりました。
具体的には、企業を対象に、現在の従業員の離職率が3年前と比べてどうかを調査し、「低下」と回答した企業の割合と「上昇」と回答した企業の割合の差分をD.I.という指数として算出しています。このD.I.がプラスであれば、離職率が低下している企業の方が多いことを示します。
その結果、従業員のエンゲージメントスコアが高い企業ほど、D.I.も高くなる傾向が見られました。つまり、従業員のエンゲージメントが高い企業ほど、離職率が低下している企業が多いという相関関係が認められました。
ただし、これはあくまで相関関係を示しているに過ぎず、エンゲージメントが高いから離職率が低下する、あるいはその逆の因果関係があるとは断言できません。しかし、過去の研究結果とも照らし合わせると、従業員のエンゲージメントを向上させることが、離職率の低下につながる可能性は高いと言えるでしょう。
(出典:厚生労働省:令和元年 労働経済の分析:ワーク・エンゲイジメントと定着率・離職率について)
エンゲージメントと離職率の相関について、いくつかの調査結果を見てきましたが、 従業員エンゲージメントは、離職率低下に大きく寄与する可能性があると言えるでしょう。
離職を防ぐ!エンゲージメントを高めるための施策例
従業員のエンゲージメントを高め、離職率を低下させるためには、企業は戦略的な取り組みを行う必要があります。ここでは、具体的な施策例を4つのカテゴリーに分類してご紹介します。
1.やりがいを感じられる評価・報酬制度
従業員が自分の仕事に価値を感じ、貢献が公正に評価されていると実感できることは、エンゲージメント向上に不可欠です。
施策例 | ポイント |
明確な評価基準の設定と共有 | 従業員が自身の評価ポイントを理解し、納得感を持って業務に取り組めるよう、具体的な評価基準を設定し、分かりやすく共有することが重要です。 |
評価に対するフィードバックの充実 | 評価結果だけでなく、評価に至るまでのプロセスや具体的な行動指針などをフィードバックすることで、従業員の成長を促し、更なるモチベーション向上に繋げます。 |
成果や能力に応じた報酬体系 | 従業員の頑張りが正当に評価され、報酬に反映される仕組みを作ることは、エンゲージメントと定着率向上に大きく貢献します。 |
2. 心理的安全性を育むコミュニケーション
風通しの良いオープンなコミュニケーションは、従業員の不安や疑問を解消し、組織への信頼感を高めます。
施策例 | ポイント |
1on1ミーティングの実施 | 上司と部下が定期的に面談を行うことで、仕事上の課題やキャリアプランについて相談しやすい関係性を築き、従業員一人ひとりの状況を把握することができます。 |
チームビルディング | チームワークを高めるための研修やイベントを実施することで、従業員同士の相互理解を深め、一体感を醸成することができます。 |
風通しの良い組織文化の構築 | 上司や経営層へ意見や提案をしやすい環境を作ることで、従業員の意見を積極的に吸い上げ、組織運営に反映することができます。 |
エンゲージメント向上に繋がる社内コミュニケーションとは?心理的安全性を高める対話手法もご紹介
3. 成長を後押しする環境づくり
従業員が自身の成長を実感でき、将来に希望を持てる環境は、エンゲージメントと定着率向上に大きく貢献します。
施策例 | ポイント |
キャリアパス制度の整備 | 将来のキャリアプランを描きやすくすることで、従業員の成長意欲を高め、長期的なキャリア形成を支援することができます。 |
研修・教育制度の充実 | スキルアップや自己成長を支援する研修制度を充実させることで、従業員の能力開発を促進し、キャリアアップの機会を提供することができます。 |
挑戦を奨励する文化 | 新しい業務に挑戦する機会や、責任ある役割を任せるなど、従業員の成長意欲を刺激し、能力を最大限に発揮できる環境を提供しましょう。 |
4. 働きやすい環境整備
仕事とプライベートのバランスが取れ、心身ともに健康でいられる環境は、従業員のエンゲージメントに直結します。
施策例 | ポイント |
労働時間の適正化 | 無駄な残業を減らし、従業員が限られた時間で最大限の成果を出せるよう、業務効率化を推進します。 |
休暇取得の推奨 | 有給休暇を取得しやすい雰囲気作りや、休暇取得を推奨することで、従業員が心身ともにリフレッシュできる環境を整えましょう。 |
柔軟な働き方の導入 | テレワークやフレックスタイム制など、従業員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を導入することで、仕事とプライベートの両立を支援しましょう。 |
これらの施策はあくまでも一例です。自社の課題や従業員のニーズに合わせて、最適な施策を組み合わせることが重要です。
エンゲージメント向上施策で離職率を低下させた企業例
株式会社鳥貴族:飲食業界の平均を大きく下回る離職率8.6%の仕組み
離職防止の取り組み内容
厚生労働省が令和5年に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、飲食・サービス業の大卒の離職率は51.4%、高卒は62.6%と非常に高い水準となっています。
そんな業界の中で、入社半年後の離職率が8.1%と低い水準を誇る鳥貴族は、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
鳥貴族は「将来設計できる、外食産業。」というスローガンを掲げ、飲食業界でも生活に不安を抱えず仕事が続けられるための仕組みを用意しています。
- 長時間労働にはイエローカード、1日の残業は1時間まで
- 他業界の平均をも上回る年間休日111日
- 店長の最高年収を750万円に引き上げ
- 転勤なしや短時間勤務などの制度を導入
- 転職者にも、新卒同様の研修を導入
- こども手当の拡充で、年収約62万円UP
- 面接担当者による定期フォロー
離職防止の成果
社員が夢や誇りをもてるようにしたい、という大倉社長の信念の元、飲食業界の中では離職率が低かった鳥貴族ですが、特に面接担当者による定期フォローを実施してから、入社半年後の離職率が13.3%(2020年度)から8.6%(2021年度)まで低下したそうです。この数字をゼロにするべく、今後もフォロー体制を強化していくそうです。
(参考:TORIKIZOKU中途採用サイト)
サイボウズ株式会社:離職率を28%から4%まで改善した「選択型人事制度」
離職防止の取り組み内容
サイボウズは急成長に伴い、社員の仕事量が増大し、長時間労働が常態化。離職率は28%にまで悪化しました。
この状況を打破するため、新社長の青野氏は社員の多様な価値観に目を向け、「100人いれば100通りの働き方がある」という考えに基づいた“働き方改革”に着手し、2007年に「選択型人事制度」を導入したそうです。
1. 働く時間を選べる自由
当初は、
- 時間に関係なく働く
- 少し残業して働く
- 定時、短時間で働く
という3つの選択肢から、自分に合った働き方を選べるようにしました。
2. 働く場所を選べる自由
2010年には在宅勤務制度を導入し、その後「ウルトラワーク」制度へと進化。オフィス以外に、自宅やカフェなど、どこでも働ける環境を整備しました。
これらの制度により、社員は時間と場所の両面で柔軟な働き方ができるようになり、仕事とプライベートの両立や、突発的な出来事への対応がしやすくなりました。
離職防止の成果
2005年に28%だった離職率は、2013年に4%へと改善。
社員のモチベーションとエンゲージメントが向上し、会社への貢献意欲が高まりました。
「選択型人事制度」は、社員と会社双方にとってWin-Winの関係を築き、企業の持続的な成長を支える重要な取り組みとなっています。
(参考:離職率28%→4%に低下させた“選択型人事制度”とはサイボウズ株式会社)
国内大手人材派遣会社:研修と対話のオンボーディング施策で離職率を10%改善
離職防止の取り組み内容
事業の拡大で派遣社員とサポート担当者の人員が急増していましたが、派遣先でのフォローや内勤社員のコミュニケーションが希薄になり、離職が課題となっていました。
自社で研修や1on1を実施していましたが、効果は薄く限界を感じていたそうです。
そこで、バヅクリを利用し、
- 定着し活躍できるためのオンボーディングプラン
- 派遣社員同士、派遣社員と社員のつながり作り
を目的として、研修・ワークショップや交流会を入社月ごとに毎月4プログラム実施しました。
実施したプログラム例
人材育成施策
- みんなのアサーティブコミュニケーション研修
- レジリエンス研修
- 報連相コミュニケーション研修
- クレーム対応コミュニケーション研修
コミュニケーション/風土改革施策
離職防止の成果
- 派遣社員の月次離職率を3.5%から1.2%へ改善
- 社員の離職率を年間25%から15%へ改善
- 社員と派遣社員の採用コストが年間1.2億円効率化
派遣先でのコミュニケーション方法や言いにくいことを相手の目線で伝える方法を、座学の研修ではなくクイズ形式やゲーム形式で、楽しく学べるよう実施。
また、派遣社員同士、社員との相互理解を深めるためのワークショップを実施し、心理的安全性を高め相談しやすい環境を整えました。
エンゲージメントを高め離職を防止する研修/ワークショップサービス「バヅクリ」
バヅクリでは、エンゲージメントを高めて離職を防止する200種類以上のプログラムをご用意しています。ぜひ貴社のエンゲージメント向上施策にお役立てください。
下記よりサービス詳細の資料がダウンロードできます。
まとめ
今回は、企業にとって重要な課題である「離職率」と、その解決策としての「エンゲージメント」について解説しました。
企業はエンゲージメントを高めることで、生産性向上や顧客満足度向上など、様々なメリットを享受できます。
離職率を低下させるためには、エンゲージメントを高めるための戦略的な取り組みが不可欠です。評価・報酬制度の見直しやコミュニケーションの活性化、成長を後押しする環境づくりなど、多角的な視点から施策を検討していく必要があります。
自社の課題や従業員のニーズを把握し、最適な施策を組み合わせることで、従業員がイキイキと働き、定着率の高い組織を構築していきましょう。