「新卒の離職率が高く、採用コストが膨らんでいる…」
「若手社員がなかなか定着せず、会社の中核を担う人材が育たない…」
など、若手社員の離職率に課題を抱えている企業は多いと言われています。

若手社員の定着率を上げるためには、若手社員が会社を離れる理由を理解して然るべき対策を打つ必要があります。
本記事では若手社員の離職の原因や離職防止のための施策、若手社員の離職防止に成功した企業の事例を紹介します。

若手社員の離職率は高い

高い若手の離職率

社員の離職の中でも、特に若手社員の離職は多いと言われています。
ここでは若手社員にフォーカスして離職の現状と、離職しそうな人の特徴を紹介します。

約3割が新卒3年目で離職

厚生労働省の調査によると、大卒の新入社員は約30%の人が3年以内に新卒で入社した会社を離職をしていることがわかりました。

また30年前のデータにまで遡ると、最も離職率が低かったのはバブル崩壊の翌年である1992年(23.7%)、最も高かったのは2004年(36.6%)という結果でした。

新卒社員の離職率はここ30年間で20台後半〜30台前半を推移しており、おおよそ「3年以内に3割の新卒が離職する」という傾向は長年続いていることがわかります。

離職に至る主な理由

離職の理由
出典:2018年版子供・若者白書

内閣府が発表した「2018年版子供・若者白書」によると、離職の理由で最も重要なものの1位は「仕事が自分に合わなかったため」(23.0%)、2位「は人間関係がよくなかったため」(10.0%)、3位は「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」(6.8%)と続いています。

仕事内容や職場の雰囲気、労働条件など、入社する前に思い描いていた理想と入社後の現実との間でギャップを感じ、離職に至る人が多いようです。

離職しそうな人の特徴

離職は突発的な行動というよりも、強い決心が必要な行動です。
新卒社員が実際に離職に至るまでには、葛藤や無気力状態など、さまざまな感情の動きに紐づいた離職のサインが出ていることがあります。
ここでは離職しそうな人の特徴を紹介します。

1. 業務へのモチベーションが下がる

離職を決心した人は、「社内で評価されようとも、ここで出世するつもりはない」という気持ちが強くなるため、社内での評価を気にしなくなります。
そのためチームへの貢献意欲や目標達成意欲などとともに、業務へのモチベーションが低下します。

2. 社内でのコミュニケーションが希薄になる

離職を決めた人たちは、休憩時間も転職活動に時間を使いたくなるため、職場のコミュニケーションが希薄になりがちです。
今まで職場の人とのランチや飲み会に参加していたにも関わらず、急に付き合いが悪くなった人は、離職を検討している可能性があります。

3. 仕事を早く切り上げるようになる

離職を決めた人たちは現在の業務よりも転職活動を優先して行いたいため、最低限の時間で仕事を終わらせるようになります。
残業を急にしなくなった、有給休暇を取得する頻度が増えたなどの行動の変化がある場合は、1on1などの時間を設け現在の仕事の悩みなどをヒアリングしても良いかもしれません。

新入社員の6割以上が職場にストレスを感じている 

若手社員・新入社員のストレスケアやメンタルヘルスケアは企業にとって重要な対策となってきています。

そこでバヅクリHR研究所では、義務化されているストレスチェック制度と併せて、新入社員が抱えるストレスの原因や企業が行うべき新入社員のストレスケア施策のポイントについてまとめました。

下記からダウンロードできますので、新入社員のストレスケア施策にお役立てください。

離職防止をしないと起こる問題

離職から起こる問題

離職防止施策を行わないことで起こる問題とは、どのようなものなのでしょうか。

1. 優秀な人材が流出する

優秀な人材は社外での市場価値も高いため、次の転職先がすぐに見つかる傾向があります。
積極的に離職防止施策を行わないと、会社を支える優秀な人材が流出してしまいやすくなります。

2. 採用コストの増加

離職防止施策を行わないと離職に歯止めがかからないため、企業は常に採用活動を行わなければいけなくなり、採用コストが増大します。
また採用コストだけではなく、入社してからの教育コストや毎月の給与など、活躍するまでに投資したコストを回収できないままになってしまいます。

3. 既存社員の負担が増す

会社を支える従業員が離職してしまうと、離職した社員の業務を既存社員が肩代わりして行わなければいけなくなります。
既存社員一人ひとりの負担が増すことで、生産性が低下したり、職場の活力が低下したりなど、更なるデメリットを引き起こすこともあります。

4. 離職の連鎖

既存社員の一人当たりの負担が大きくなることで、業務量の不満やストレスの増大など、新たな離職のきっかけになります。
また優秀な社員が離職してしまうと「ロールモデルとなる人がいなくなる」「あの人が転職してしまうなんて、この会社は大丈夫なのか」など、他の社員にも不安や不信感が伝播して、更なる離職を引き起こします。

5. 企業イメージが低下する

離職防止施策を行わず、離職を放置していると「あの会社は離職率が高い」という企業イメージがついてしまい、採用活動にも支障をきたすようになります。
また顧客にとっても、担当者がすぐに変わってしまう会社は信頼しにくい傾向があります。

若手社員の離職を防止する施策

若手の離職を防止する施策

若手社員の離職を防止するには、採用や人事制度、育成など、さまざまな人事施策の見直しを行うのが有効です。
ここでは若手社員の離職を防止する具体的な施策を解説します。

1. 採用手法を変える

若手社員の早期離職を引き起こしてしまう原因として、入社前後のギャップが大きいことがあります。
ギャップを埋めるために、仕事内容や条件について正しい情報を発信したり、オンラインでの面談とオフラインでのオフィス訪問などハイブリッド採用を取り入れたりしましょう。
入社する前に、候補者へ自社の特徴をよく理解してもらうことが、入社後の離職防止につながります。

また、昨今はデータを活用することで自社に合う人材かどうかを把握できる適性検査ツールもあります。
そのようなツールを活用し、採用のミスマッチを防ぐことができます。

2. 労働条件・人事制度を見直す

離職につながる不満のひとつに「労働条件の不満」があります。
不満を解消するための労働条件・人事制度の見直しも、若手社員の離職を防止することにつながります。
例えば、リモートワークや時短勤務、副業制度などを取り入れると、柔軟な働き方を実現できるため、さまざまな立場の人が働きやすい職場を作ることができます。

3. 上司のマネジメントスキルを伸ばす

上司のマネジメントスキルを伸ばし、若手社員がいきいきと働ける環境を作ることも離職防止には有効です。
上司が適切なフィードバックと評価を行うことで、若手社員は成長実感と目標意識を保つことができるので、業務にモチベーション高く取り組めるようになります。
またコミュニケーションを活性化し、普段から気軽に業務やキャリアのことを相談できる関係を作ることで、若手社員の細かな不満や要望を拾い上げることができます。

4. 研修制度を整える

研修も離職防止施策として活用することができます。
若手社員の離職につながる悩みとして「会社の将来性が感じられない」という課題を解消するには、自社理解研修を通して経営方針への理解を深め、企業の発展性を共有するのが有効です。
また業務を一通りできるようになり、仕事にマンネリ感を抱える社員には、キャリアデザイン研修がおすすめです。
キャリアデザイン研修を通して自分の将来のイメージを明確にしてもらうことで、仕事への目的意識をサポートできます。

離職防止研修には「バヅクリ」

バヅクリ
出典:バヅクリ

オンラインでできる社内イベント/研修サービス「バヅクリ」では、若手社員の離職防止に役立つプログラムを実施しています。
離職防止研修を設計する工数やノウハウがないという企業は、バヅクリのような外部の研修サービスを活用するのもオススメです。

バヅクリの離職防止プログラムを見る

離職防止に成功した企業事例

離職防止に成功した企業

ここでは離職防止施策が功を奏した企業の事例を紹介します。

1. 三菱商事ライフサイエンス労働組合

三菱商事ライフサイエンス労働組合では、コロナ禍にリモートワークを導入。
毎年、拠点ごとに行なっていたレクリエーションが、コロナの影響で開催できない状況が続き、組合員同士のコミュニケーションが希薄になっていました。

そこで同社はバヅクリのプログラム「オンラインスパイスカレープログラム」を実施。
社員同士がコミュニケーションをとりながらカレーづくりのレクリエーションを楽しみました。

違う部署や拠点の人とコミュニケーションが取れたことで、若手の新入社員も”この会社に入ったんだ”と実感できるようになるなど、一体感の醸成につながったようです。

バヅクリの離職防止につながる企業事例はこちら

2. サイボウズ

IT業界の大手であるサイボウズでは、どんな人も気持ちよく働ける職場を目指し人事制度の拡充を行いました。
在宅勤務や副業制度などを整備し、それぞれの社員がニーズやライフスタイルの変化に合わせて働き方を選択できる「選択型人事制度」を導入。
多様な働き方を自分で主体的に選べるようにしました。
これらの取り組みにより一時期28%あった離職率は4%まで改善しました。

参考:ワークスタイル

サイボウズ株式会社

3. ビースタイル

人材サービス業を提供するビースタイルは、コミュニケーション不足による離職の増加が課題になっていました。
そこで同社は「コミュニケーション」を会社の行動方針に掲げ、「バリューズアワード」で社員の行動を評価し表彰する機会や、「全社日報」で社長も含めた様々な社員の気づきや疑問を共有するツールを取り入れました。
コミュニケーションを促進する機会を設けることで、社員同士のつながりを大切にする社風を築き上げていったようです。

出典:離職率改善のために実施した(株)ビースタイルのコミュニケーション施策とは?

ビルディンググループ

4. 鳥貴族

飲食業界でもトップクラスに離職率が低いと言われている鳥貴族が実施しているのが、本社の人財部による人材育成です。
採用時の面接官が入社1ヶ月前後で店舗を訪問し、社員とのコミュニケーションを深めることで、現場の店長には言いづらい本音を汲み取る仕組みを作りました。
また飲食業界にありがちな無断残業や休日出勤などを徹底的に禁止し、従来の働き方の見直しを積極的に推進しています。  

参考:【定着率の裏に理念あり】離職率が業界平均を大きく下回る鳥貴族の秘密

リクナビNEXTジャーナル

まとめ

本記事では若手社員の離職の原因や離職防止のための施策、若手社員の離職防止に成功した企業の事例を紹介しました。
自社だけで離職防止施策を行うのは難しい場合も多いため、外部の研修サービスなどを導入し、効果的な離職防止施策を行いましょう。
また、入社後の社員に対する施策だけではなく、採用時に自社にマッチした人材を採用できるよう設計を行うことも重要です。