ミスをしたり、困難にぶつかっても、立ち直る際に重要となるレジリエンス。
部下のレジリエンスを向上させたいけれど、方法がわからないと悩んでいませんか?
この記事では、レジリエンスを向上させるマネジメント方法や、そのメリットについてご紹介します。
従業員のレジリエンスを向上させたいマネジメント層の方は必見です。

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レジリエンスが求められる背景

レジリエンス(Resilience)は、「弾力性」「回復力」を指す英単語で、心理学においては「心の回復力」のことを指します。
レジリエンスが高い人は、ミスをしても立ち直りが早く、困難にぶつかっても挑戦や、さらなる成長を諦めません。

ITの普及により変化が激しくなった現代では、ビジネスのシーンでも移り変わりが早く、ストレスを感じることも多いです。
そのような状況で生き抜くために、レジリエンスが今、注目を集めています。

それではさらに詳しく、レジリエンスが注目される背景をみていきましょう。

1. 日本ではストレスを抱えながら働く人が多いこと

日本では海外と比べストレスを感じる人が多い傾向にあります。
海外では、自分の生活や家族などプライベートを大切にする傾向が強く、感じていること、思ったこともストレートに表現する人が多いです。

しかし、日本では働き方改革が進んでいるとは言え、仕事第一優先であることを企業から求められたり、成長を期待されたりと、自分が望まないことを求められることが多くあります。
そして、それに対し海外の人のように「NO」と言えない日本人が多いことは簡単に想像がつくでしょう。

また、日本人が全員そうであるとは言えませんが、日本人特有の真面目な性格がストレスを感じやすくさせている1つの理由として考えられます。

レジリエンスを高めることで、「今は完璧にできなくても、失敗を次に活かそう」と思えたり、自分自身の思っていることを素直に表現できたりするようになり、ストレスが減少していきます。

2. 企業を取り巻く外部環境が激しく変化していること

新型コロナウイルスの流行は、働き方や環境を大きく変化させました。
また先ほども言ったように、加速度的に進む IT化も、激しい変化の要因の1つです。

変化の多い状況では、適応力が求められます。
事業継続をしていくために、企業側は従業員に柔軟な対応を求めるからです。
変化し続ける環境に対して強いストレスや、不安、プレッシャーを感じる人は少なくありません。

変化が激しい環境や、不安定な状況の中で、良いパフォーマンスを発揮し続けるには、レジリエンスが必要不可欠です。

3. ESG投資の急速な普及

  • 環境(E)
  • 社会(S)
  • ガバナンス(G)

を考慮し投資先を決定するESG投資が普及したことにより、投資家に向けた非財務資本の開示が求められるようになりました。
非財務資本とは、人的資本や社会関係資本などを指します。

企業にどのような人材がいるかや、どのような環境で従業員が働き、どのような影響・イメージを社会に与えているかがこれまでよりも重要視されるようになってきているのです。

レジリエンスが高い従業員が集まった組織になることで、環境、社会、ガバナンス全てに良い影響を与えるチームになれます。

レジリエンスが注目される背景についてこちらもチェック

レジリエンスを向上させるマネジメント方法を学ぼう

レジリエンスが注目されるようになった背景をみると、上司は部下のレジリエンスを向上させるマネジメントの方法を学ぶべきだと言えます。
リーダーが従業員のレジリエンスを高める方法を知ることは、離職や、事業発展の機会損失などを防ぎ、リスクマネジメントにもなります。
そして、より良い企業経営、チャンスを得ることへと繋がるでしょう。

特に若手社員は社会人経験も少なく、トラブルに遭遇した時、どのようにマインドをコントロールしたらいいか分からない人も多いです。
また、打たれ弱い若手も増えている傾向にあります。
企業や上司は、部下のレジリエンスが向上するようにサポートしてください。

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レジリエンスが高い組織の特徴

レジリエンスの高いチーム

それでは、レジリエンスが高い組織の特徴をご紹介します。

1. 失敗から学ぶ姿勢が組織に浸透する

レジリエンスの高い組織では、「失敗をしてもそこから何かを学べる」というポジティブな思考が浸透しており、従業員は失敗を恐れません。

そのような考え方を浸透させるには、まず「失敗してもバカにされない」「失敗しても仲間が助けてくれる」と思え、失敗できる人間関係・雰囲気づくりをすることがポイントです。
また上司は、業務を任せて終わりではなく、フィードバックを実施する習慣を作るようにしましょう。

2. 不測の事態にも落ち着いて対応できる

「起こってしまったことは仕方がない」「きっと対処できる」と想定外のことが起こった時にも、パニックになったりマイナス思考になったりせず、落ち着いて対応できます。

「どうにかなる」と楽観性があるのも特徴です。
この考え方は「これまでもなんとかしてきた」という過去の出来事から作られている思考とも言えます。

ただ、楽観的であることは「物事を深く考えていない」「責任感がない」ということではないと認識しておきましょう。

レジリエンスを構成する6つの要素について詳しくはこちら

レジリエンスを構成する6つの要素の、それぞれの強化方法はこちら

組織のレジリエンスが高いことのメリット

高いレジリエンスによるメリット

次にレジリエンスが高いことによるメリットをみてみましょう。
レジリエンスが高いことによって、組織も従業員も様々なメリットを得られます。

1. 離職率の低下

まず、従業員のレジリエンスが高まることにより離職率が低下します。
レジリエンスが高まることで、困難にぶつかったり、ミスをした時にも挫けることがなく、「離職をしよう」「もう仕事をしたくない」という状況まで追い込まれないためです。

レジリエンスが高まることで「これくらいのミスどうってことはない」「失敗から学ぶことができた」と、難しい状況でも前向きに業務に取り組むことができます。

2. 柔軟性のある対応ができるようになる

レジリエンスの低い人は、視野が狭くなり1つの考え方に囚われたり、失敗を引きずったりします。

レジリエンスが高くなると、1つのネガティブな考え方に囚われたりはしません。
柔軟性のある考え方ができたり、気持ちを切り替えるなど感情をコントロールできたりするようになるのです。
そのため、変化の激しい社会に対応するための企業の戦略転換や、リスクヘッジのための行動にも柔軟に対応できるようになります。

また、柔軟に対応し物事がうまく運ぶ成功体験を繰り返すことで、自分には成功することができる、成し遂げることができる力があると感じること=自己効力感を得られ、さらにレジリエンスが向上していきます。

3. ダイバーシティな組織に

レジリエンスを向上させることは、多様性のある職場づくりにも繋がります。
ダイバーシティな組織には、様々な価値観や、生活環境を持った人材が集まっています。
そのため、様々な意見が出てきます。
レジリエンスの高い従業員が集まった企業では、「このアイディアは拒否されるかも」と不安を抱くことや、「自分の意見を否定された」といちいち落ち込むことはありません。

レジリエンスが高く、かつダイバーシティな組織になることで、意見を言いやすくなるので、イノベーションが起こりやすくなるでしょう。
さらにレジリエンスの高い組織になるよう、従業員自ら変革を起こすこともあるでしょう。
イノベーションが加速することで、どんどん従業員の働きやすい環境へと変化していきます。

もちろん働く環境のみならず、事業に関するソリューションに対しても、前向きに様々な意見が出てくるはずです。

組織のレジリエンスを高めるマネジメント方法

レジリエンスを高めるマネジメント

組織やチームのレジリエンスを高めるマネジメント方法をご紹介します。
チームや従業員のレジリエンスの向上については、上司がどのような言葉をかけるかや、環境を作るかが大きく関係してきます。

また、レジリエンスは元々高い人だけが持っているものではなく、トレーニングなどによって向上させていくことができることを覚えておいてください。

1. 企業文化の醸成

  • 従業員に楽観性がある
  • ミスをしても周囲からバカにされない
  • 従業員は困難な時、周囲がサポートしてくれると認識している
  • 「失敗をしてもそこから何かを学べる」という思考

などのマインドや企業文化の醸成を行いましょう。
マインドや文化の醸成は、短期間でできるものではありません。
中長期的に計画を立てて実行してください。

ちなみに、1955年にアメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが提唱したABC理論では、【出来事=Activating events】を、【どのように受け取るか=Belief(思考・信念・考え方)】によって【結論=Consequences(感情・行動)】が決まると言われており、どのようなマインドを持っているかがとても重要であることがわかります。

ABCDE理論(ABC理論)について詳しくはこちら

2. 独自性の追求・MVV の浸透

先ほど、レジリエンスを高めるメリットの1つは「変化の激しい環境でも柔軟に対応ができる」ことであるとお伝えしました。
レジリエンスが高い組織は、従業員が柔軟に変化に対応できるため、社会環境への順応を目指し企業戦略や事業内容を変更することが可能です。
しかし、それがあまりにも頻繁になると従業員は「この組織はどこを目指しているのだろう」と思ってしまいます。

レジリエンスが高く、変化に柔軟に対応できる企業が、従業員と良い関係を維持しながら存続し続けるためには、外的要素がどれだけ変化しても、変わらない根幹の部分や独自性、ブランド力を内在させる必要があります。

独自性を高める具体的な方法の1つとして、自分達が何を目的とし、社会に対しどのような価値提供をしていくのかを提示するため、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させるという方法があります。

3. 評価基準を明確にする

時短勤務の社員や、子育てをしながら働いている社員など、様々な従業員がいると思います。
それぞれの従業員の働き方を把握し、それを踏まえた上で、評価の明確な基準を設けましょう。

定義や基準を具体的にすることで、「時短勤務だから頑張っているのに評価してもらえない」「評価が上がらないのは上司に嫌われているからだ」などと評価に対する認識の歪みがなくなります。

これを実現させるためには、人事のチームに定義の改訂を依頼するなどの取り組みも必要かもしれません。

4. 従業員の心理的安全性を高める

従業員の心理的安全性を高めるよう心がけましょう。
心理的安全性とは、「自分のありのままの状態を周囲は受け入れてくれている」との認識やその状態を指します。

「こんな意見を言ったらバカにされるんじゃないか」
「失敗しても何か言われそうで助けを求めにくい」
「職場には誰も本当の自分を理解してくれる人はいない」

という環境は、改善するべきです。
心理的安全性が低いチームでは、従業員のレジリエンスの他、エンゲージメントも低下してしまうでしょう。
本音を話せる人間関係をチーム内で築く必要があります。
もちろん日頃からの関係性の構築が大切ですが、それだけでは不十分な場合は、ワークショップの開催などを実行しましょう。
リーダーやマネジメント層は、本音で話せたり、従業員がありのままを受け入れてもらえると思える環境を作るように努めてください。

レジリエンスを高めるトレーニングについてはこちら

施策を実行する前に……

レジリエンスを高める取り組みを実施する前に、組織やチームの課題を見つけ、

  • レジリエンスを強化する目的
  • 対象

などを明確にしてから、実行するようにしましょう。
闇雲に行う取り組みは、従業員が必要性を感じられず、せっかく実施してもコミットしてもらえない場合も考えられます。

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出典:バヅクリ

まとめ

移り変わりの激しい現代のビジネスシーンで活躍するためには、レジリエンスの高いビジネスパーソンであることが必須条件と言えるでしょう。
レジリエンスが高まることで、ダイバーシティの推進にも繋がります。

レジリエンスの高い人材を育成するため、企業はセミナーや研修の実施などを行い、人材教育を行ってください。
特に社会人経験の浅い新入社員は、企業側からの支援が必要だと考えられます。

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